2007年1月14日（日），イイノホール（東京都千代田区）にて標記セミナーが開催された．「口腔力で能力アップと全身の健康増進―歯科衛生士はお口の健康コンサルタント―」と題した本セミナーは，口腔の健康および“噛むこと”が全身の健康に大きく影響していることについての理解を深めるもので，歯科衛生士を主とする500名あまりの参加者を集めた．
冒頭の野口俊英先生（歯科医師，愛知学院大学歯学部歯周病学）の講演では，“Periodontal Medicine”に基づく，全身疾患と歯周病とのかかわりが語られ，糖尿病や冠動脈性心疾患をはじめとするメタボリックシンドローム，早産・低体重児出産，喫煙やストレスと歯周病の双方向的な関連性についての最新情報がエビデンスとともに示された．
会場全体を巻き込んでの「脳力テスト」から始まった続く小野塚 実先生（医師，神奈川歯科大学生理学）の講演「噛んで脳力アップ」では，噛むことが脳を活性化し，認知症やストレス，メタボリックシンドロームを予防するという説が語られ，ビジュアルな画像が参加者の目を惹きつけていた．
また，北原 稔先生（歯科医師，神奈川県茅ヶ崎保健福祉事務所）は行政の立場から口腔機能向上サービスの実践方法と効果，要支援・介護者の能力に応じた支援を行っていくことの重要性，渡邉麻理先生（歯科衛生士，渡辺歯科）は診療所において患者さんの真のニーズをつかみ，問題解決を支援するためのコミュニケーションについて講演され，歯科衛生士がいま知らなくてはいけないトピックスがさまざまな角度から取り上げられたセミナーとなった．
本セミナーでは，歯科衛生士が国民の口腔の健康だけにとどまらず，全身的なQOLの向上に寄与することができるという事実が改めて確認され，会場は2007年のはじまりにふさわしい熱気に溢れていた． なお，次回は2008年1月20日（日）に開催予定（会場未定）．