やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

序にかえて

 健康保険等の一部改正に伴い,本年10月 1 日より,健康保険法において70歳以上の人については療養の給付に係る一部負担金の割合が1割(一定以上の収入を有する人は2割)とすること,3 歳未満の被扶養者の自己負担割合を2割とすること,老人保健法の老人医療受給対象者を75歳以上として一部負担金の額を1割(一定以上の報酬を有する人については2割)とすること等の改正が行われました.
 本書は,これらの一部改正と平成 14年4月の診療報酬改定の全容を盛り込んでまとめたもので,改定後の疑義解釈や記載要領を Q&Aを中心に網羅するとともに,新設された「歯周病のメインテナンス」については,多数の症例で詳説しました.
 さらに,チェアサイドで活用していただくことを配慮して,保険解説と各種便覧に力点をおき,日常診療のガイドブックとなるよう工夫しました.

 <本書の主な特徴>
 ◎診療の流れに即して診療報酬請求明細書の項目順に解説し,疑問点や確認すべき点がすぐに解決できるように工夫してあります.
 ◎本文の解説の中で,特に注意を要する項目については右欄に,点数算定に直接的にかかわる留意事項はチェック(例:■1マーク)を,算定の背景となる考え方や臨床的な事項に関する解説にはメモ(例:●1マーク)を,またレセプトやカルテ記載にかかわる事項には,レセ,カルテ(例:◆1マーク)を入れて解説を補完してあります.
 ◎各章とも,要所要所に「点数一覧」や「早見表」を付して,請求点数が一目でわかるよう配慮しました.
 ◎症例については,算定の基本と応用がわかる例と,さまざまなバリエーションを含んだ治療例のカルテとレセプトを提示しました.
 ◎カルテに関しては,特に解説を要するものには右欄に「保険解説」をつけました.
 ◎レセプトの記載で注意すべき点については,カルテの右欄に明示しました.
 ◎巻末には,「摘要」欄記載一覧等を付して,レセプト記載時に確認ができるよう工夫しました.
 なお,カルテの表記では,目的とするポイントを示す便宜上,あるいは紙面の都合で,検査結果や麻酔(OAの薬剤名),薬剤表記などを省略した場合があります.また解説上の相違点,表現のいたらなかった点,盛り込めなかった項目や症例もあるかと思いますが,その点は次回改訂に委ねたいと思います.なお,本書を編集する際に,多くの方々のご協力をいただきましたが,あらためてここに深甚なる謝意を表します.
 平成 14年10月
 編者一同
 健康保険法等改正による平成14年10月〜15年3月までの実施内容
  1 医療保険
  2 老人保健法等にかかわる主な改正点
   (1) 70 歳〜74 歳の者(老人保健対象外)の一部金負担金
   (2) 0〜2 歳の保険給付率の改正
   (3) 3 歳〜70 歳未満の自己負担額
   (4) 新しい様式のレセプト
   (5) 処方せん
     現行様式のレセプト(歯科)の保険種別・本人家族欄の取り繕い方法
     レセプト等の編綴方法
     保険種別・本人家族欄のレセプト種別コード番号一覧
     平成14年4月改正以降の主な変更および留意事項
     疑義解釈 Q&A 85

1章 保険診療録記載
 1 診療録(カルテ)記載にあたっての留意事項
 2 傷病名の記載方法
 3 電子媒体による保存を認める文書等
 4 診療録の記載例とポイント

2章 基本診療料
 1 基本診療料とは
 2 初診料
 3 再診料

3章 指導管理料等
 1 算定の原則
 2 点数および適用早見表
 3 各指導管理料
 4 老人保健法に基づく指導管理

4章 在宅医療
 1 歯科訪問診療料算定の原則
 2 歯科訪問診療における加算
 3 訪問歯科衛生指導料
 4 老人訪問口腔指導管理料
 5 訪問歯科衛生指導料,老人訪問口腔指導管理料と介護保険法による給付との調整
 6 介護保険と診療情報提供料―主治医から意見を求められた場合の対応
 7 介護老人保健施設入所者にかかわる訪問歯科診療および通院について

5章 リハビリテーション
 1 算定の原則
 2 リハビリテーション料

6章 画像診断
 1 算定の原則
 2 診断料
 3 撮影料
 4 算定例

7章 投薬・注射
 1 投薬の算定について
 2 注射の算定について

8章 麻 酔
 1 算定の原則
 2 麻酔薬剤
 3 麻酔の種類と算定

9章 手術(口腔外科関連)
 1 手術算定にかかわる事項
 2 抜歯関連(抜歯,移植,再植)
 3 炎症
 4 外傷
 5 外来一般的手術
 6 口腔外科専門症例
 7 顎関節関連

10章 歯周治療
 1 歯周病とは
 2 歯周治療の進め方
 3 歯周治療の流れ
 4 患者の依頼(歯周情報提供)
 5 歯周組織検査と診断
 6 歯周疾患指導管理料
 7 歯周基本治療
 8 歯周外科手術
 9 歯周病のメインテナンス

11章 歯内療法
 1 歯内療法処置
 2 歯牙疾患の処置

12章 歯冠修復・ブリッジ
 1 充填・インレー
 2 補綴時診断料
 3 補綴物維持管理料
 4 歯冠修復物
 5 歯冠修復における製作(診査・歯冠形成・維持管理)
 6 歯冠修復物における適応の一覧表
 7 ブリッジ
 8 ブリッジにおける診査・処置・維持管理

13章 有床義歯
 1 有床義歯の算定
 2 顎補綴・口蓋補綴
 3 維持装置,連結装置等
 4 人工歯料等
 5 その他の技術
 6 特定療養費制度による金属床総義歯
 7 有床義歯における検査
 8 印象前処置
 9 有床義歯における補綴時診断料と加算
 10 印象採得
 11 咬合採得
 12 仮床試適
 13 有床義歯の装着料
 14 有床義歯修理
 15 有床義歯床裏装
 16 人工歯の咬合面の再形成
 17 義歯の人工歯置換
 18 有床義歯の未来院請求
 19 有床義歯調整指導
 20 「その他」欄に処置等を記載する項目
 21 「摘要」欄記載が必要な項目と関連事項
 22 保険給付外の診療行為:自費による診療
 23 補綴(義歯装着)のための手術
 24 病名等の書き方一覧 有床義歯関係 その 1
 25 病名等の書き方一覧 有床義歯関係 その 2

14章 老人保健法による医療
 1 老人保健法の対象者
 2 老人保健算定の基礎知識
 3 老人保健法による各特掲診療料

15章 歯科矯正
 1 歯科矯正
 2 算定


 保険診療適応ブリッジの一覧
 レセプト「摘要」欄の主な記載事項
 全体の「その他」欄の主な記載事項一覧
 病名・診療内容一致のためのチェック表
 診療録,歯科診療報酬明細書記載上の主な略称・表記
 薬価請求点数早見表

 さくいん
 症例
  1.かかりつけ歯科医
  2.一部に歯周外科手術を必要とした中等度症例における初診料の算定例
  3.居宅(社会福祉施設等)で 1 人のみの在宅医療
  4.社会福祉施設等で複数の訪問診療
  5.○老の訪問歯科診療(医療保険)と居宅療養管理指導(介護保険)
  6.各種加算のある在宅医療
  7.全顎撮影法・同時単純撮影
  8.パノラマ型
  9.ヘミセクション(分割抜歯),投薬
  10.歯根未完成歯の移植手術
  11.埋伏智歯と隣接面の同時抜歯,投薬
  12.破折注射針の摘出術
  13.魚骨等の異物除去
  14.歯牙腫摘出術
  15.濾胞性歯嚢胞開窓術, 埋伏歯抜歯術
  16a.中等度の歯周炎の初期治療からメインテナンスへ
  16b.歯周治療のメインテナンス
  17.歯炎(16 歳未満)
  18.軽度歯周炎(16 歳以上)
  19a.一部に歯周外科手術を必要とした中等度の歯周炎
  19b.中等度の歯周炎
  20.重度歯周炎
  21.歯ぎしりの処置
  22.失活抜髄
  23.抜髄
  24.間接歯髄覆罩算定後の抜髄
  25.感染根管処置
  26.予後観察のための暫間的根管充填
  27.根管側壁の穿孔
  28.歯周疾患を原因としない根分岐部病変
  29.ヘミセクション
  30.初期齲蝕小窩裂溝填塞処置
  31.知覚過敏処置・歯牙漂白法
  32.歯冠修復物製作
  33.齲蝕歯即時充填形成
  34.齲蝕歯インレー修復形成
  35.ブリッジ製作
  36.支台歯とポンティックの数の合計が 6 歯以上のブリッジ
  37a.ブリッジ脱離再装着
  37b.補管中のブリッジ脱離再装着
  38.即時義歯
  39.顎補綴・口蓋補綴
  40.金属床総義歯(特定療養費)
  41.有床義歯の増歯・修理,ティッシュコンディショニング
  42.義歯新製
  43.義歯装着
  44.ティッシュコンディショニング→床裏装
  45.有床義歯の未来院請求
  46.未来院請求後,患者が来院して義歯を装着する場合
  47.老人歯周疾患基本指導管理料,老人有床義歯調整・指導料
  48.歯科口腔疾患指導管理料,老人新製義歯調整指導料および老人有床義歯調整・指導料
  49.老人有床義歯調整・指導料,老人有床義歯長期調整指導料(I)