やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに
 1994年から「母性看護学1 妊娠・分娩」(東野妙子,村本淳子,石原昌編),「母性看護学2 産褥・新生児」(今津ひとみ,加藤尚美,嶋崎千壽,深川ゆかり編),「母性看護学概論」(村本淳子,森明子編)の発行が始まりました.その後,それぞれ第2版が発行され,初版発行から20年以上にわたり母性看護を学ぶ多くの学生に読まれています.このたび,これら「母性看護学シリーズ」の優れた特徴を模範として,新しい書籍を編集,発行するに至りました.
 今日,日本をはじめとした先進国では,人口構造の変化に伴い,超高齢社会に対応した社会経済構造を構築することが必須となっています.また,地球規模で自然環境が急速に悪化し,「未曾有」の大災害という言葉が用いられるような異常な事態が頻繁に引き起こされています.
 このような21世紀を生き抜くためには,「変化」に対応できる「基礎体力」が必要であり,とくに保健医療分野の人材を育成するにはこの視点が重要であると考えます.そのためには,今の知識を暗記する学習法は意味をなさず,知識を使える「知恵と技術」を習得することが求められます.また,市民も医療専門職と同じ速度で医療情報にアクセスできるこの時代においては,「質の高い知識と技術を選別する」能力が専門職に求められています.そして,日本では少子化に対するさまざまな取り組みが実施されているにもかかわらず,少子化が進行し,人口減少の時代を迎えます.本当にそれでよいのか,人間らしい出産のあり方を市民とともに考え,未来に向けた方向性を共有する必要があります.
 本書は,「概論」と「周産期各論」の2巻から構成しました.いずれも,時代の変化に対応でき,市民とともに考えられる看護職のための書籍となるよう編集しました.一般の人が読んでもわかりやすい,けれども各章をその分野の専門家が担当し,最新のエビデンスに基づいた医療がまとめられています.
 今日,母性看護学のテキストは数多く出版されていますが,本書「周産期各論」は,アセスメントを中心に実習で活用できることを重視した構成と内容になっていることが特徴です.
 母性看護は,基本的には病とは異なる発達課題のイベントである出産を援助する看護です.出産が順調に経過することを確認する作業が圧倒的に多く,手を動かすような目に見える行為は,他領域での看護に比べると少ないのが特徴でしょう.すなわち,順調に経過し適応しているかという「アセスメント」を系統的に母子とその家族に行うことが求められます.
 アセスメントは,思考過程をつくるトレーニングです.ある程度は繰り返すことも必要でしょう.本書では,テキストに書いてあることを暗記するのではなく,周産期の解剖生理を理解して,必要な情報を意図的に収集し,分析,解釈し,ケアに関連づけられるように,一連のアセスメント項目を見やすい表にまとめています.また,生涯のなかで最も劇的な変化をとげる新生児の生理を充実させているのも本書の特徴です.看護学生のみならず,臨床の皆様が日々のアセスメントを確認する際にも活用していただけるものと思います.
 最後になりましたが,冒頭に記した長い歴史を持つ「母性看護学シリーズ」の編者と執筆者に最大限の敬意を表しますとともに,執筆をお引き受けいただきました諸先生方,監修の労をおとりいただきました先生方,そして,きめ細やかなご配慮と静かな情熱をもってご支援いただきました医歯薬出版編集部に深謝いたします.
 2015年9月 有森直子
第1章 妊娠期の看護
 (五十嵐ゆかり)
 第1節 妊娠経過のアセスメントに必要な知識と技術
  A 情報を得るために必要な知識
   (1)妊娠の成立と妊娠の診断
    1)妊娠の成立
    2)女性が自覚する妊娠性変化
     月経の停止/基礎体温高音相の20日以上の持続/腟分泌物の量や性状の変化
     嘔気・嘔吐(つわり)/尿意頻数/乳房の変化
    3)妊娠の診断
     妊娠反応の陽性化/超音波診断法
   (2)妊娠期間と分娩予定日
    1)妊娠時期の表現方法
    2)分娩予定日の算定
     最終月経から算定する方法/基礎体温から判定する方法
     超音波診断法から算定する方法
   (3)妊娠期の身体的特徴
    1)妊娠時期に応じた生殖器の変化
    2)妊娠に伴う全身の変化
     内分泌の変化/筋骨格系の変化/循環器系および血液の変化/呼吸器系の変化
     消化器系の変化/泌尿器系の変化/代謝の変化/体温の変化/体重の変化/皮膚の変化
   (4)妊娠期の心理的特徴
    1)妊婦の複雑な情緒的変化
    2)妊婦の情緒的変化がもたらすパートナーと子どもたちへの影響
     パートナーへの影響/上の子への影響
    3)親役割取得過程
     母性意識の発達/母親役割の取得過程/母親役割の取得過程における課題
     父性意識の発達/父親役割の取得
   (5)胎児の発育と胎児付属物の機能
    1)胎芽期と胎児期
    2)在胎期間に応じた胎児の発育
    3)胎児の位置・姿勢
     胎勢/胎位/胎向
    4)胎児付属物の機能
     胎盤/羊水/卵膜/臍帯
  B 情報を得るために必要な技術
   (1)妊婦健康診査の概要
    1)妊婦健康診査の目的
    2)妊婦健康診査による情報収集
   (2)ヘルスアセスメントに必要な技術
    1)毎回の健診時に行うヘルスアセスメント
     コミュニケーション(問診)/体重・血圧・尿検査・浮腫(計測診)
     腹囲・子宮底長の測定(計測診)/レオポルドの触診法(触診)/胎児心拍の聴取(聴診)
    2)必要時や妊娠経過にあわせて行う技術
     乳房(視診,触診)/ノンストレステスト/内診の介助
   (3)妊婦への検査
     Rh式血液型/不規則抗体(免疫学的検査:赤血球抗原に対する抗体検査)
     風疹HI抗体/ヒトT細胞白血病ウィルス(HTLV-1)
     随時血糖および糖負荷試験(75gOGTT,50gGCT)/胎児-胎盤機能検査
     B群溶血性レンサ球菌(GBS)
 第2節 妊娠経過のアセスメント
  妊婦の健康状態のアセスメント
 第3節 妊娠期の健康課題と看護
  A 妊娠期の看護とは
  B 健康状態を保持・増進するための看護
   (1)栄養と食事
    1)妊婦の食事摂取基準
    2)妊婦に必要な各栄養素
     カルシウム/鉄/葉酸/塩分
    3)食事行動への看護
     飲酒が妊婦に及ぼす影響/その他の嗜好品/喫煙が妊婦に及ぼす影響
   (2)排泄
    1)排尿
    2)排便
     排便習慣を身につける食事の工夫/排便習慣を身につける生活の工夫
   (3)姿勢と運動
    1)正しい姿勢
    2)日常動作
    3)運動
     妊婦体操/安全への配慮
   (4)休息と睡眠
   (5)身体の清潔
    1)入浴の注意
    2)外陰部の清潔
    3)口腔内の清潔
   (6)衣生活
    衣類に対する指導
   (7)性生活
   (8)勤労妊婦
    1)勤労妊婦の課題
    2)勤労妊婦への指導
     通勤/勤務先・家族の協力
   (9)旅行
    1)妊娠中の旅行の条件
    2)旅行に対する指導
  C 妊娠期に予測される問題と看護
   (1)つわり(悪心・嘔吐)
     原因/症状/“正常からの逸脱”を判断する/看護
   (2)腰部・背部痛
     原因/症状/“正常からの逸脱”を判断する/看護
   (3)胸やけ
     原因/症状/“正常からの逸脱”を判断するポイント/看護
   (4)(妊娠性)浮腫
     原因/症状/“正常からの逸脱”を判断するポイント/看護
   (5)腟分泌物
     原因/症状/“正常からの逸脱”を判断するポイント/看護
   (6)静脈瘤
     原因/症状/“正常からの逸脱”を判断するポイント/看護
   (7)手のこわばりやしびれ,下肢の痙攣
     原因/症状/看護
   (8)頻尿
     原因/症状/“正常からの逸脱”を判断するポイント/看護
   (9)便秘
     原因/症状/“正常からの逸脱”を判断するポイント/看護
  D 出産準備への看護(出産準備教育)
   (1)分娩を理解するための教育・学習
    1)身体の構造と分娩の理解
    2)妊娠期のトレーニング
     妊婦体操/弛緩方法(リラクゼーション)/呼吸法
    3)分娩経過の理解と対処法
   (2)安楽な分娩のための教育・学習
    1)産痛と不快症状
    2)産痛と不快症状の緩和
     ゲートコントロール理論/体位の工夫
   (3)満足感のある出産体験とするための教育・学習
    1)バースプラン
    2)心理的にストレスの少ない分娩のための学習
    3)分娩を支援する施設の選択
   (4)母親役割に伴う知識と技術の学習
    1)育児の準備
    2)母乳育児の準備
     母乳育児支援に必要な情報
 第4節 妊娠期に起こりうる正常からの逸脱
   (1)妊娠悪阻
     定義/原因/症状/治療/看護
   (2)妊娠高血圧症候群(PIH)
     定義/原因/症状/治療/看護
   (3)妊娠貧血
     定義/原因/症状/治療/看護
   (4)妊娠糖尿病(GDM)
     定義/原因/症状/治療/看護
   (5)妊娠の早期中絶
     定義/原因/症状/切迫早産の治療/看護
   (6)妊娠中の出血
     定義/原因/症状/治療/看護
   (7)胎児発育不全(FGR)
     定義/原因/症状/治療/看護
   (8)巨大児
     定義/原因/症状/治療(分娩方針)/看護
   (9)多胎妊娠
     定義/原因と特徴/症状/治療(分娩方針)/看護
第2章 分娩期の看護
 (黒川寿美江・李節子)
 第1節 分娩経過のアセスメントに必要な知識と技術(黒川寿美江)
  A 分娩期にある対象の理解
    1)分娩期とは
    2)分娩期にある対象の特性
  B 情報を得るために必要な知識
   (1)分娩・産婦の看護を理解するのに必要な用語
    1)産婦の分類
    2)分娩の分類
     妊娠週数による分類/分娩の経過による分類/分娩の方法による分類
     胎児の数による分類/胎児の生死による分類
    3)分娩経過
   (2)分娩の3要素
    1)産道
     骨産道(小骨盤)/軟産道
    2)娩出力
     陣痛/陣痛の性状・区分の表現/腹圧
    3)胎児および胎児付属物
     子宮内における胎児の位置・姿勢/児頭の構成/児頭の応形機能/胎児付属物
   (3)正常分娩の機転
    1)軟産道開大の機序
     展退
    2)胎児の運動(回旋と下降)と姿勢の変化
      回旋の機序/回旋の分類
    3)胎盤の剥離と娩出機序
     胎盤娩出機序/胎盤娩出様式/胎盤剥離時の出血および止血の機序
   (4)正常分娩の経過
    1)陣痛の発来機序
    2)分娩の経過
   (5)分娩が母体に及ぼす影響
    1)全身状態に及ぼす影響
    2)循環器系に及ぼす影響
    3)泌尿器系に及ぼす影響
    4)消化器系に及ぼす影響
   (6)分娩が胎児に及ぼす影響
   (7)分娩経過に影響を及ぼす因子
    1)身体面が分娩に及ぼす影響
    2)精神面が分娩に及ぼす影響
    3)物的,人的環境が分娩に及ぼす影響
   (8)産痛
    1)産痛の発生機序
    2)産痛に影響を与える因子
    3)分娩各期における産痛部位の変化
    4)産痛の観察と評価
    5)産痛緩和とゲートコントロール理論
    6)産痛緩和とβエンドルフィンの働き
   (9)産婦の心理
    1)産婦の心理的特性
    2)産婦の心情の変化
    3)分娩の振り返り
    4)出産・出生のパラダイムシフト
   (10)分娩期の夫の心理と夫・家族への支援
    1)夫立ち会い分娩
    2)夫立ち会い分娩における夫婦の関係性
    3)出産に立ち会う夫の心理・心情と支援
    4)家族の出産への参加と支援
   (11)ドゥーラとその役割
    1)ドゥーラとは
    2)ドゥーラの役割
  C 情報を得るために必要な技術
   (1)産婦の診察
   (2)情報を得るために必要な技術
    1)産婦・胎児の状態を知るための技術
     子宮底の測定/レオポルドの触診法/胎児心音の聴取/内診介助
    2)陣痛の状態を知るための測定法
     触診法/外測法(分娩監視装置による方法)
    3)後産所見の検査とその測定法
     胎盤の検査と測定法/その他の後産の検査と測定法
    4)産婦とのコミュニケーション技術
 第2節 分娩経過のアセスメント
  A 分娩経過における判断項目(黒川寿美江)
   (1)分娩開始の予知
    1)産婦が自覚する症状
    2)子宮頸管の成熟度からの判断
   (2)分娩開始の判断
    1)分娩開始とは
    2)分娩開始の徴候
   (3)分娩経過の判断
    1)陣痛の評価
    2)分娩所要時間の評価
    3)破水の評価
     破水の時期/破水の診断
    4)児頭先進部下降の評価
     外診による判断/内診による判断/ディ・リー(de Lee)のステーション方式/児頭の固定と嵌入
    5)骨盤内方向と方位点による回旋の評価
    6)胎児と骨産道均衡の評価
   (4)胎盤娩出状態の判断
    1)胎盤の剥離徴候
    2)胎盤排出(胎児付属物)状態の評価
   (5)胎児の健康状態の判断
    1)胎児機能不全(NRFS)
    2)胎児の健康状態の評価方法
     胎児心拍数モニタリング/ノンストレステスト/コントラクションストレステスト
     バイオフィジカル・プロファイルスコア(BPS)/羊水の混濁度/産瘤の部位と大きさ
     臍帯動脈血ガス分析
  B 産婦のアセスメント(李節子・黒川寿美江)187
 第3節 分娩期のニーズ・健康課題と看護(黒川寿美江)
   (1)分娩開始の予知
    1)産婦のニーズ
    2)分娩期の看護目標
    3)援助技術
   (2)分娩第1期の看護
    1)病院への来院時期
     情報収集/ケア
    2)日常生活の援助
     水分・栄養のニーズの充足/排尿のニーズの充足/排便のニーズの充足
     清潔のニーズの充足/睡眠・休養のニーズの充足
    3)安全な分娩への看護
    4)産痛緩和の援助
     情報収集/薬を使わない産痛緩和方法/薬物による産痛緩和方法
    5)不安緩和の援助
    6)自己コントロール感への看護
   (3)分娩第2・3期の看護
    1)日常生活の援助
     水分・栄養のニーズの充足/排泄(排尿・排便)のニーズの充足
    2)自己コントロール感への看護
     分娩室入室と体位の選択/努責と呼吸の調節
    3)安全な分娩への看護
     外陰部消毒と消毒野作成/児の健康状態の把握/会陰切開
    4)母親役割獲得への看護
     母子対面の援助
   (4)分娩直後の看護
    1)安全な分娩への看護
     子宮収縮促進の援助/日常生活の援助
     清潔のニーズの充足/水分・栄養のニーズの充足
    2)自己コントロール感への看護
     分娩体験の想起(バースレビュー)
 第4節 分娩期に起こりうる正常からの逸脱(黒川寿美江)
  A 娩出力に関する異常
   (1)微弱陣痛
     原発性微弱陣痛の原因/続発性微弱陣痛の原因/母児に及ぼす影響/判断ポイント
   (2)過強陣痛
     原因/母児に及ぼす影響/判断ポイント/治療・管理
  B 産道に関する異常
   (1)児頭骨盤不均衡(CPD)
     母児に及ぼす影響/判断ポイント/試験分娩の限界
   (2)狭骨盤
     原因/母児に及ぼす影響/判断ポイント
   (3)広骨盤
   (4)軟産道の異常
     原因/母児に及ぼす影響
  C 胎児および胎児付属物に関する異常
   (1)胎勢の異常(反屈位)
     原因/母児に及ぼす影響/判断ポイント
   (2)回旋の異常
     原因/母児に及ぼす影響/判断ポイント/治療・管理
   (3)肩甲難産
     リスク因子/対処法/母児に及ぼす影響
   (4)前期破水
     原因/症状/母児に及ぼす影響/判断ポイント/治療・管理
   (5)早期破水
     原因/症状/母児に及ぼす影響/判断ポイント
   (6)臍帯下垂および脱出
     原因/症状/母児に及ぼす影響/判断ポイント/対処
   (7)臍帯巻絡
     原因/母児に及ぼす影響/判断のポイント
   (8)前置胎盤・低置胎盤
     原因/症状/母児に及ぼす影響/判断ポイント/治療・管理
   (9)常位胎盤早期剥離
     原因/症状/母児に及ぼす影響/判断ポイント/治療・管理
   (10)癒着胎盤
     原因/症状/母児に及ぼす影響/判断ポイント/治療
   (11)胎盤の奇形
  D 分娩時間に関する逸脱
   (1)遷延分娩
  E 出血に関する異常
   (1)子宮破裂
     原因/症状/判断ポイント
   (2)子宮内反症
     原因/症状/予防と治療
   (3)弛緩出血
     原因/症状/判断ポイント/治療
   (4)軟産道の損傷
     原因/症状/判断ポイント
  F 器械分娩(吸引・鉗子分娩)
     適応/条件/吸引分娩/鉗子分娩
  G 帝王切開術
     適応/皮膚切開/子宮筋層切開/合併症/帝王切開の麻酔
     分娩期の看護目標/分娩期の看護のポイント
  H 分娩誘発と促進
     適応/方法/留意点と管理
第3章 産褥期の看護
 (小黒道子)
 第1節 産褥経過のアセスメントに必要な知識と技術
  A 産褥期看護の概念
   (1)産褥期とは
   (2)産褥期の対象の特性
   (3)産褥期の看護とは
  B 産褥期の身体的特徴
   (1)神経内分泌系の変化
    1)胎盤性ホルモンの変化
    2)下垂体性ホルモンの変化
    3)視床下部―下垂体―卵巣機能の回復
   (2)復古
    1)生殖器系
     子宮/子宮頸部/腟・外陰/骨盤底筋群・子宮周囲の靭帯
    2)バイタルサイン
     体温/脈拍/血圧/呼吸
    3)循環器系
     血液量/血液像
    4)腎・泌尿器系
    5)消化器系
    6)体重
    7)皮膚
    8)腹筋
   (3)母乳分泌
    1)母乳育児の意義
     母親にとっての意義/児にとっての意義
     母子双方にとっての意義/家族・社会にとっての意義
    2)母親側の授乳への準備状態
     乳房の構造/母乳産生・移送組織/母乳分泌の5段階
     乳汁産生機構/授乳方法の決定
    3)新生児側の授乳への準備状態
     適切に吸啜できる形態的・機能的な条件/哺乳に関する反射
     覚醒状態/吸啜運動/吸啜リズム(非栄養的吸啜,栄養的吸啜)
    4)ポジショニング
     授乳姿勢/児が吸着を開始するときの位置
    5)ラッチ・オン
    6)母乳育児を成功するための要件
  C 産褥期の心理社会的特徴
   (1)褥婦の心理社会的特徴
    1)自己概念の再調整とその影響因子
    2)マタニティ・ブルーズ
   (2)父親の心理社会的特徴
   (3)上の子の心理社会的特徴
 第2節 産褥経過のアセスメント
  A 産褥経過を判断するポイント
     生理的変化と産褥日数/生理的変化とセルフケア行動/役割移行/家庭での生活適応
  B 褥婦の健康状態のアセスメント
 第3節 産褥期のニーズ・健康課題と看護
  A 復古に関する看護
   (1)子宮復古の看護とは
    1)子宮復古の看護の目的
    2)子宮復古状態のアセスメント
     リスク因子の観察・判断/子宮底(高さ・硬さ)の観察・判断
     悪露の観察・判断/後陣痛の観察・判断/子宮復古促進因子の観察・判断
   (2)子宮復古を促すケア
    1)膀胱充満の除去
     根拠/ケア
    2)直腸充満の除去
     根拠/ケア
    3)適度な活動・体位の工夫
     根拠/ケア
   (3)会陰部への看護
    1)会陰部の看護の目的
    2)会陰部の清潔,会陰縫合部痛の緩和
     根拠/情報/ケア
   (4)肛門部への看護
    1)肛門部の看護の目的
    2)疼痛の緩和・便秘予防
     根拠/情報/ケア
  B 母乳育児に関する看護
   (1)母乳育児に関係する因子
    1)母親側の因子
    2)新生児側の因子
   (2)母乳育児へのケア
    1)乳房の観察
    2)授乳の観察
    3)自律授乳
     自律授乳と授乳のサイン/適切な自律授乳のための条件とケア
    4)効果的に母乳育児が行われているサイン
    5)母乳のみで育つ児の体重増加の目安
    6)精神的支援(エモーショナル・サポート)
   (3)母乳育児支援に必要な情報
    1)出産前
    2)出産後
     早期接触・早期授乳/授乳期の食事/薬物/喫煙/飲酒/カフェイン
  C 退院後の生活調整への支援
   (1)活動と休息
   (2)家族計画:産後の月経再来
   (3)栄養
   (4)新生児の世話
    1)抱き方と寝かせ方
    2)おむつの交換方法
    3)更衣
    4)排気
    5)環境調整
    6)沐浴
     準備/手順/沐浴後
  D 家族のニーズと健康課題
   (1)父親役割取得への支援
   (2)家族形成への支援
  E 産褥期に予測される問題と看護
   (1)後陣痛
   (2)下部尿路症状(排尿障害)
     原因/支援
   (3)会陰縫合部痛
   (4)過度な乳房緊満(病的乳房緊満)
     原因/支援
   (5)乳頭痛・乳頭の損傷
     原因/支援
   (6)貧血
     原因/支援
   (7)痔核
 第4節 産褥期に起こりうる正常からの逸脱
   (1)子宮復古不全
     定義/原因/症状/治療/看護
   (2)子宮内感染症
     定義/原因/症状/治療/看護
   (3)乳腺炎
     定義/原因/症状/治療/看護
   (4)尿路感染症
    1)膀胱炎
     症状/原因/治療/看護
    2)腎盃腎炎
     症状/原因/治療/看護
   (5)産褥血栓性静脈炎・深部静脈血栓症
     定義/原因/症状と治療/看護
   (6)産褥期精神病(産褥精神障害)
    1)産後うつ病
     定義/原因/症状/治療/看護
    2)神経症様病態
     定義/原因/症状/治療
    3)非定形精神病様状態
     定義/原因/症状/治療
 第5節 特別な支援を要する褥婦の看護
   (1)帝王切開後の褥婦の看護
    1)帝王切開後の看護の分類
     術後早期の看護(術後当日から歩行開始まで)
     離床期から回復期の看護(歩行開始から退院まで)
    2)帝王切開後の看護の要点
     合併症の予防・早期発見・早期対処/子宮復古の支援/疼痛管理
     母子の愛着形成支援/日常生活行動の支援/心理的支援
   (2)多胎児出産後の看護
   (3)母子分離状態にある褥婦への看護
第4章 新生児の看護
 (蛭田明子)
 第1節 新生児のアセスメントに必要な知識と技術
  A 新生児とは
   (1)新生児の定義・分類
    1)新生児の定義
    2)新生児の分類
     在胎週数による分類/出生体重による分類/在胎週数と出生体重による分類
  B 胎外生活への適応
   (1)胎内生活から胎外生活への生理的変化(出生直後の移行期)
    1)呼吸
     胎児の肺の発達/第一呼吸の出現/呼吸の確立
    2)循環
     胎児循環/新生児循環
    3)体温
     新生児の熱産生機序/新生児の熱の喪失機序
     出生直後の体温の変化/低体温による影響/中性温度環境
    4)糖代謝
     出生直後の血糖の調節機序/出生後の血糖の変化
    5)関連し合う適応過程(呼吸―循環―体温―糖代謝)
   (2)新生児の生理的特徴
    1)呼吸
     解剖学的特徴/生理学的特徴
    2)循環
     循環の特徴/血圧
    3)体温(深部体温と皮膚温)
    4)水―電解質バランスと腎機能
     体水分と体重減少/不感蒸泄/尿/腎機能/電解質バランス
    5)消化器系
     吸綴・嚥下反射/蠕動運動/消化管の特徴/消化・吸収/排便
    6)ビリルビン代謝と黄疸
     ビリルビン代謝/黄疸/新生児の生理的黄疸の発生機序
    7)免疫
     免疫能の未熟性/液性免疫系
    8)血液凝固
    9)皮膚
     皮膚の機能的役割/胎脂の役割/皮膚付属器
    10)神経系
     中枢神経系の発達/原始反射
    11)睡眠と覚醒
     睡眠周期
    12)感覚機能
     視覚/聴覚
  C 新生児の観察
   (1)身体計測
    1)体重
    2)身長
    3)頭囲
    4)胸囲
   (2)バイタルサイン
    1)体温
     直腸温/皮膚温
    2)呼吸
     呼吸数/呼吸の音/呼吸の型/呼吸のリズム/努力呼吸
    3)心拍
     心拍数/心音
   (3)フィジカルアセスメント
    1)実施上の原則
    2)事前に情報収集する項目
    3)全体の観察
    4)視診と触診
   (4)神経系の観察
   (5)見落としてはならない所見や症状
   (6)成熟度の評価
    1)Dubowitz法
    2)New Ballard法
   (7)新生児の行動評価
    1)Brazeltonの新生児行動評価法
    2)覚醒水準
  D 新生児の検査法
   (1)一般検査
     臍帯動脈血血液ガス分析/パルスオメーター/CRP検査
     血糖値の測定/ビリルビン値の測定
   (2)マス・スクリーニング
     先天性代謝異常スクリーニング検査/新生児聴力マス・スクリーニング
 第2節 新生児のアセスメント
  A 時期に応じたアセスメントの視点
   (1)出生直後の観察重点項目
    1)蘇生の必要性の判断
    2)全身状態の評価
    3)呼吸機能の適応状態の評価
   (2)生後24時間以内の観察重点項目
    1)新生児の適応過程の特徴
    2)系統的な観察
   (3)出生後24時間以降〜退院までの観察重点項目
  B 新生児のアセスメント
 第3節 新生児の看護
  A 新生児の特性と看護の視点
  B 出生直後の看護
   (1)新生児を迎える準備
    1)保温のため準備
    2)蘇生のための準備
   (2)新生児蘇生法に沿ったルーチンケア
    1)ルーチンケア
     保温/気道開通/皮膚乾燥/さらなる評価
    2)早期母子接触
     早期母子接触のメリット/早期母子接触を実施する際の留意点
     早期母子接触の適応基準,中止基準,および実施方法
   (3)出生直後の処置
    1)母子標識の装着
    2)点眼
    3)臍処置
  C 入院中の看護
   (1)正常からの逸脱を予防する看護
    1)バイタルサインの測定と全身観察
    2)黄疸のスクリーニング
    3)適切な栄養の維持
     必要エネルギーと栄養素/補足/母乳による新生児への効果
    4)ビタミンK投与
   (2)清潔ケア
    1)ドライテクニック
     準備/手順
    2)沐浴
    3)臍ケア
   (3)感染防止と医療事故・医療安全
    1)感染予防
    2)事故防止
 第4節 新生児期に起こりうる正常からの逸脱
  A ハイリスク新生児
    1)ハイリスク新生児とは
    2)ハイリスク新生児となる因子
     在胎週数および出生体重に起因するハイリスク因子
     母体の疾患および服用した薬物・嗜好品に起因するハイリスク因子
     妊娠および分娩に起因するハイリスク因子
  B 新生児によくみられる正常からの逸脱
   (1)低出生体重児
     定義/原因/管理/低出生体重児の特長と必要な支援
   (2)新生児仮死・低酸素性虚血性脳症(HIE)
     定義/原因/症状/検査/治療
   (3)呼吸障害
    1)新生児一過性多呼吸(TTN)
     疾患の概念/原因/症状/診断/治療
    2)呼吸窮迫症候群(RDS)
     疾患の概念/原因/症状/診断/治療
    3)胎便吸引症候群(MAS)
     疾患の概念/原因/症状/診断/治療
    4)無呼吸発作
     定義/原因/診断/治療
   (4)チアノーゼと心雑音
    1)動脈管開存症(PDA)
     定義/原因/症状/診断/治療
    2)新生児遷延性肺高血圧症(PPHN)
     定義/原因/症状/診断/治療
    3)心室中隔欠損症(VSD)
     定義/症状/診断/治療
   (5)体温障害
    1)高体温
     定義/原因/症状/診断/治療
    2)低体温
     定義/原因/症状/診断/治療
   (6)易刺激性・痙攣
    1)頭蓋内出血
     定義/原因/症状/診断/治療
    2)低血糖
     定義/原因/症状/診断/治療
   (7)下血
    1)新生児一過性ビタミンK欠乏症(新生児メレナ)
     定義/原因/症状/診断/治療
   (8)嘔吐・腹部膨満
    1)生理的な嘔吐
     病態/症状/診断/治療
    2)病的な嘔吐
     病態/症状/診断/治療
    3)腹部膨満
     病態/症状/診断/治療
   (9)高ビリルビン血症(黄疸)
     定義/原因/症状/診断/治療
   (10)細菌感染症
    1)GBS感染症
     病態/症状/診断/治療
    2)羊水感染症
     病態/症状/診断/治療
    3)敗血症・髄膜炎
     病態/症状/診断/治療
   (11)母体感染症
    1)肝炎ウイルス
     B型肝炎ウイルス/C型肝炎ウイルス
    2)ヒトT細胞白血病ウイルス1型

 巻末資料1 妊産婦のための調理レシピ集
 巻末資料2 周産期に用いられる用語
 索引