序文
昨今のさまざまな技術革新や電子化によって,われわれの身の回りはその恩恵を受け,日々快適で便利な日常生活を過ごすことができるようになってきた.医療技術の進歩も著しく,精密な検査所見やデータに基づいて診断がなされ,高度な医療機器を用いた治療へと発展してきた.しかし,その反面,人々は検査データの数値に振り回されて一喜一憂したり,かえって気持ちが塞いだりすることも多くなってきている.高度先進医療の発展により,患者の訴えや気持ちは置き去りにされたまま,医療の独り歩きが加速化しているように思えてならない.
看護は,患者の持てる力を最大限に発揮できるよう援助することであるといわれている(薄井).患者の訴えにまずじっくりと耳を傾け,その人に備わっている自然治癒力を高めるにはどうすればよいのかという看護の視点をもう一度振り返ってみたい.
そのために本書は,白か黒か判別することを得意とする西洋医学からグレイの部分をどのようにとらえ理解するのかという東洋医学の知識を深め,看護に活かす目的で書かれたものである.前半は,聞きなれない難解な用語がたくさん出てくるが,東洋医学の基本的概念について説明したものである.基礎的な知識を学んだうえで,後半ではどのように看護に活かすのか実践編である.しかし,ハウツーものではなく,東洋医学の知識を駆使して,人をどのようにとらえるかが大きなポイントになる.西洋と東洋医学の知識をバランスよく駆使し,その人に備わる自然治癒力の向上に貢献できることを祈っている.
2012年3月吉日
著者代表 下平唯子
昨今のさまざまな技術革新や電子化によって,われわれの身の回りはその恩恵を受け,日々快適で便利な日常生活を過ごすことができるようになってきた.医療技術の進歩も著しく,精密な検査所見やデータに基づいて診断がなされ,高度な医療機器を用いた治療へと発展してきた.しかし,その反面,人々は検査データの数値に振り回されて一喜一憂したり,かえって気持ちが塞いだりすることも多くなってきている.高度先進医療の発展により,患者の訴えや気持ちは置き去りにされたまま,医療の独り歩きが加速化しているように思えてならない.
看護は,患者の持てる力を最大限に発揮できるよう援助することであるといわれている(薄井).患者の訴えにまずじっくりと耳を傾け,その人に備わっている自然治癒力を高めるにはどうすればよいのかという看護の視点をもう一度振り返ってみたい.
そのために本書は,白か黒か判別することを得意とする西洋医学からグレイの部分をどのようにとらえ理解するのかという東洋医学の知識を深め,看護に活かす目的で書かれたものである.前半は,聞きなれない難解な用語がたくさん出てくるが,東洋医学の基本的概念について説明したものである.基礎的な知識を学んだうえで,後半ではどのように看護に活かすのか実践編である.しかし,ハウツーものではなく,東洋医学の知識を駆使して,人をどのようにとらえるかが大きなポイントになる.西洋と東洋医学の知識をバランスよく駆使し,その人に備わる自然治癒力の向上に貢献できることを祈っている.
2012年3月吉日
著者代表 下平唯子
東洋医学へのQuestion
(1〜9:佐藤弘,10:下平唯子)
1 東洋医学と西洋医学の違いは何?
2 東洋医学の治療法にはどのようなものがあるの?
3 東洋医学はどんなときに使えるの?
4 東洋医学はどんな患者さんにも使えるの?
5 東洋医学は,続けないと効果がないの?
6 漢方薬には,副作用がないんですよね?
7 子ども,妊娠中の方が漢方薬を服用する際の注意点は?
8 鍼は痛くないの? また,鍼灸はどこで受けられるの?
9 養生って何?
10 看護にどういかすの?患者さんの訴えを受け止めるってどういうこと?
I 東洋医学の基礎知識
(佐藤弘)
1 東洋医学・漢方医学とは?─医療の歴史
(1)東洋医学・漢方医学とは?
(2)漢方医学の歴史
紀元前の医学 紀元前・紀元後の医学 日本における医学の流れ 現代化への道のり
2 基本となる概念の理解
(1)気・血・水
気 血 水
(2)陰陽
陰の状態を示唆する症候 陽の状態を示唆する症候
(3)虚実
虚証の状態を示唆する症候 実証の状態を示唆する症候
(4)表裏
表証 半表半裏証 裏証
(5)五臓
肝 心 脾 肺 腎
(6)五行
表裏関係 相生相尅
II 看護アセスメントに活用できる東洋医学
(1〜4:佐藤弘,5:吉川信)
1 患者のとらえ方
(1)検査所見と自覚症状は必ずしも相関しない
(2)全身を診ることの重要性
(3)四診(望診・聞診・問診・切診)
2 望診
(1)望診の進め方
(2)舌診
3 問診
(1)問診の重要性
(2)問診の進め方
4 聞診
(1)聞診の進め方
5 切診
(1)体表観察
体表に触れて反応を探る 患者と信頼関係を構築する 評価の判定について
(2)自覚症状の部位を確認する
症状の部位を確認して経絡を探る 症状からトリガーポイントを探る
(3)切診の実際
切診の基本手技 脈診 腹診 背診 切経 内蔵体壁反射
III 看護ケアに活用できる東洋医学
(1:吉川信,2〜3:佐藤弘)
1 指圧・マッサージに関する知識
(1)東洋医学における治療の目的
(2)ツボの選び方
局所取穴と遠隔取穴 体表面の症状と取穴 内臓の症状と取穴 精神症状と取穴 全身症状と取穴
(3)ツボ刺激の方法
基本手技 刺激条件
(4)ツボ刺激の実際
頭部 顔面部 頸部 胸部 腹部 背部・腰部・殿部 上肢 下肢 耳
2 生薬に関する知識
(1)生薬と漢方薬
薬と漢方薬 民間薬・家伝薬 生薬の作用(薬能)
(2)漢方薬と剤型
(3)漢方薬と近代医薬品の違い
近代医薬品と漢方薬の主な相違点 複合成分系と単一成分系─ドベネックの桶
(4)漢方薬・生薬と有害事象,瞑眩
(5)服用の際の注意点
小児 妊産婦 高齢者・虚弱者・薬に過敏な者 その他,服用時に注意すること
(6)服用後の経過観察
副作用の発現に注意 長く飲まないと効果はない?
(7)海外製品の使用はないか?
(8)新たな病気に対する漢方薬を服用する際,これまでの薬をどうするか?
3 養生に関する知識と技術
(1)歴史的背景─古典の記載(『呂氏春秋』と『黄帝内経』上古天真論)
(2)『養生訓』における養生法
養生こそ第一 長寿の意義 養生の実際
(3)現代における養生の意味
現代の健康法と養生 発想の転換
(4)東洋医学からの養生のすすめ─食養生
(5)養生に関するまとめ
IV 看護への活用の実際
(1:下平唯子,2:清藤和子,コラム:穐山真理)
1 看護師ができるベッドサイドケア─ツボ押し
(1)症状緩和の方法としてのツボ押し
症状緩和のためのおもなツボ
1.百会 2.曲池 3.手三里 4.内関 5.神門 6.合谷 7.足三里 8.照海 9.失眠 10.湧泉 11.関元 12.腎愈
(2)ツボを押す際のポイント
ツボを押す前に ツボ押しのコツ
(3)日々の看護場面での応用
洗髪の場面でのツボ押し 足浴の場面でのツボ押し 手浴の場面でのツボ押し
2 食養生の実際
(1)食物の性味について
食物の食性
(2)食物の味─五味
(3)食物の帰経
(4)食物の効能
(5)漢方ドックでの症例
症例1 性別:女性,年齢:30歳代前半,BMI:20,職業:主婦 症例2 性別:女性,年齢:40歳代後半,BMI:19,職業:編集の仕事PC作業 症例3 性別:男性,年齢:60歳代前半,BMI:22,職業:なし
コラム ツボ押しを看護実践の場で活用してみて
文献
索引
(1〜9:佐藤弘,10:下平唯子)
1 東洋医学と西洋医学の違いは何?
2 東洋医学の治療法にはどのようなものがあるの?
3 東洋医学はどんなときに使えるの?
4 東洋医学はどんな患者さんにも使えるの?
5 東洋医学は,続けないと効果がないの?
6 漢方薬には,副作用がないんですよね?
7 子ども,妊娠中の方が漢方薬を服用する際の注意点は?
8 鍼は痛くないの? また,鍼灸はどこで受けられるの?
9 養生って何?
10 看護にどういかすの?患者さんの訴えを受け止めるってどういうこと?
I 東洋医学の基礎知識
(佐藤弘)
1 東洋医学・漢方医学とは?─医療の歴史
(1)東洋医学・漢方医学とは?
(2)漢方医学の歴史
紀元前の医学 紀元前・紀元後の医学 日本における医学の流れ 現代化への道のり
2 基本となる概念の理解
(1)気・血・水
気 血 水
(2)陰陽
陰の状態を示唆する症候 陽の状態を示唆する症候
(3)虚実
虚証の状態を示唆する症候 実証の状態を示唆する症候
(4)表裏
表証 半表半裏証 裏証
(5)五臓
肝 心 脾 肺 腎
(6)五行
表裏関係 相生相尅
II 看護アセスメントに活用できる東洋医学
(1〜4:佐藤弘,5:吉川信)
1 患者のとらえ方
(1)検査所見と自覚症状は必ずしも相関しない
(2)全身を診ることの重要性
(3)四診(望診・聞診・問診・切診)
2 望診
(1)望診の進め方
(2)舌診
3 問診
(1)問診の重要性
(2)問診の進め方
4 聞診
(1)聞診の進め方
5 切診
(1)体表観察
体表に触れて反応を探る 患者と信頼関係を構築する 評価の判定について
(2)自覚症状の部位を確認する
症状の部位を確認して経絡を探る 症状からトリガーポイントを探る
(3)切診の実際
切診の基本手技 脈診 腹診 背診 切経 内蔵体壁反射
III 看護ケアに活用できる東洋医学
(1:吉川信,2〜3:佐藤弘)
1 指圧・マッサージに関する知識
(1)東洋医学における治療の目的
(2)ツボの選び方
局所取穴と遠隔取穴 体表面の症状と取穴 内臓の症状と取穴 精神症状と取穴 全身症状と取穴
(3)ツボ刺激の方法
基本手技 刺激条件
(4)ツボ刺激の実際
頭部 顔面部 頸部 胸部 腹部 背部・腰部・殿部 上肢 下肢 耳
2 生薬に関する知識
(1)生薬と漢方薬
薬と漢方薬 民間薬・家伝薬 生薬の作用(薬能)
(2)漢方薬と剤型
(3)漢方薬と近代医薬品の違い
近代医薬品と漢方薬の主な相違点 複合成分系と単一成分系─ドベネックの桶
(4)漢方薬・生薬と有害事象,瞑眩
(5)服用の際の注意点
小児 妊産婦 高齢者・虚弱者・薬に過敏な者 その他,服用時に注意すること
(6)服用後の経過観察
副作用の発現に注意 長く飲まないと効果はない?
(7)海外製品の使用はないか?
(8)新たな病気に対する漢方薬を服用する際,これまでの薬をどうするか?
3 養生に関する知識と技術
(1)歴史的背景─古典の記載(『呂氏春秋』と『黄帝内経』上古天真論)
(2)『養生訓』における養生法
養生こそ第一 長寿の意義 養生の実際
(3)現代における養生の意味
現代の健康法と養生 発想の転換
(4)東洋医学からの養生のすすめ─食養生
(5)養生に関するまとめ
IV 看護への活用の実際
(1:下平唯子,2:清藤和子,コラム:穐山真理)
1 看護師ができるベッドサイドケア─ツボ押し
(1)症状緩和の方法としてのツボ押し
症状緩和のためのおもなツボ
1.百会 2.曲池 3.手三里 4.内関 5.神門 6.合谷 7.足三里 8.照海 9.失眠 10.湧泉 11.関元 12.腎愈
(2)ツボを押す際のポイント
ツボを押す前に ツボ押しのコツ
(3)日々の看護場面での応用
洗髪の場面でのツボ押し 足浴の場面でのツボ押し 手浴の場面でのツボ押し
2 食養生の実際
(1)食物の性味について
食物の食性
(2)食物の味─五味
(3)食物の帰経
(4)食物の効能
(5)漢方ドックでの症例
症例1 性別:女性,年齢:30歳代前半,BMI:20,職業:主婦 症例2 性別:女性,年齢:40歳代後半,BMI:19,職業:編集の仕事PC作業 症例3 性別:男性,年齢:60歳代前半,BMI:22,職業:なし
コラム ツボ押しを看護実践の場で活用してみて
文献
索引