はじめに
本書は透析を中心とする血液浄化療法の現場で活動する看護師,臨床工学技士,さらには薬剤師,管理栄養士,医療ソーシャルワーカーなどにとって,必要な基礎的知識や技術を簡潔に要領よくまとめたものです.ポケットに常時携帯することを念頭においておりますので,なぜそうなのか,そうするのか……その背景にある病態生理の解説部分は極力簡略化しております.時間の余裕が生じた時点で,改めて成書を読んで各自でさらに深く学習し,理解を深めて頂きたいと考えております.
これまで,同様の基本スタンスで作成された『ポケッタブル腎透析マニュアル』が,多くの臨床現場の皆様に高く評価されてまいりました.しかし,この分野での学問や技術の進歩は極めて速いものです.そこで今般,『ポケッタブル腎透析マニュアル』をベースに,新しい治療薬剤の登場や治療技術の進歩を取り入れて,全く新たな一冊として本書をまとめました.
わが国の慢性透析患者数は漸くその増加速度が鈍ってきたものの,27万名を超えるところまで増加し,米国,欧州諸国と並んで3極を形成します.実に国民の500人に一人が透析を受けている状態となりました.しかもその治療成績をみると米国はもちろん,欧州諸国と比較しても優れています.
「透析大国」を手放しで喜ぶべきとは言えませんが,それを支えてきた医療制度,経済力,突き詰めれば国民の勤勉さ……として評価すべきことでありましょう.
さらに世界に冠たる治療成績は,わが国の透析医療現場での質の高さを示すものとして高く評価されるべきであります.血液浄化医療は医師を中心とした近代的チーム医療の典型とも言えます.つまり看護師,臨床工学技士,薬剤師,管理栄養士,医療ソーシャルワーカーなどのスタッフが,わが国の治療成績を支える重要な一端を担っていると言えます.
本書が,血液浄化医療の現場で活躍するスタッフの諸君に広く利用され,わが国の血液浄化療法の発展に寄与できれば望外の喜びです.
2008年5月
信楽園病院顧問
鈴木正司
本書は透析を中心とする血液浄化療法の現場で活動する看護師,臨床工学技士,さらには薬剤師,管理栄養士,医療ソーシャルワーカーなどにとって,必要な基礎的知識や技術を簡潔に要領よくまとめたものです.ポケットに常時携帯することを念頭においておりますので,なぜそうなのか,そうするのか……その背景にある病態生理の解説部分は極力簡略化しております.時間の余裕が生じた時点で,改めて成書を読んで各自でさらに深く学習し,理解を深めて頂きたいと考えております.
これまで,同様の基本スタンスで作成された『ポケッタブル腎透析マニュアル』が,多くの臨床現場の皆様に高く評価されてまいりました.しかし,この分野での学問や技術の進歩は極めて速いものです.そこで今般,『ポケッタブル腎透析マニュアル』をベースに,新しい治療薬剤の登場や治療技術の進歩を取り入れて,全く新たな一冊として本書をまとめました.
わが国の慢性透析患者数は漸くその増加速度が鈍ってきたものの,27万名を超えるところまで増加し,米国,欧州諸国と並んで3極を形成します.実に国民の500人に一人が透析を受けている状態となりました.しかもその治療成績をみると米国はもちろん,欧州諸国と比較しても優れています.
「透析大国」を手放しで喜ぶべきとは言えませんが,それを支えてきた医療制度,経済力,突き詰めれば国民の勤勉さ……として評価すべきことでありましょう.
さらに世界に冠たる治療成績は,わが国の透析医療現場での質の高さを示すものとして高く評価されるべきであります.血液浄化医療は医師を中心とした近代的チーム医療の典型とも言えます.つまり看護師,臨床工学技士,薬剤師,管理栄養士,医療ソーシャルワーカーなどのスタッフが,わが国の治療成績を支える重要な一端を担っていると言えます.
本書が,血液浄化医療の現場で活躍するスタッフの諸君に広く利用され,わが国の血液浄化療法の発展に寄与できれば望外の喜びです.
2008年5月
信楽園病院顧問
鈴木正司
1 透析療法の基礎
・慢性腎不全
1.腎臓の働き―構造と機能
2.慢性腎不全の概念
3.慢性腎不全の原因疾患
4.慢性腎不全の症状
5.慢性腎不全の病期分類
・慢性腎不全の透析療法
6.透析療法の導入基準
7.糖尿病性腎症の透析療法
・透析患者の看護
8.透析患者の病期別看護
・透析療法の実際
9.ダイアライザーの種類と選択
10.血液透析における必要物品
11.溶液の濃度計算方法
12.人工腎臓の安全監視装置―多人数用供給装置,個人用透析装置,透析監視装置
13.透析開始前の準備(プライミング)
14.透析開始時の確認事項と対策
15.透析中の観察
16.透析終了手順と注意事項
・抗凝固剤
17.抗凝固剤の種類と特性
18.抗凝固法の実際
・バスキュラーアクセス
19.バスキュラーアクセスの種類と特徴
20.内シャントによる透析の実際
21.内シャントのトラブルと合併症
22.バスキュラーアクセス用カテーテルで透析を行う場合の実際
2 透析合併症
・呼吸器系合併症
23.呼吸器系合併症の病態と治療
・循環器系合併症
24.高血圧
25.低血圧
26.心不全,心外膜炎
27.動脈硬化症
28.不整脈
・消化器系合併症
29.消化器系合併症の病態と治療
・中枢神経系合併症
30.意識障害
・末梢神経障害
31.末梢神経障害の病態と対策
32.透析患者とフットケア
・貧血
33.透析患者の貧血―原因,不足の評価
34.透析患者の貧血─ヒトエリスロポエチン製剤(rHuEPO)
・電解質の異常
35.高カリウム血症
36.高リン血症
37.骨カルシウム代謝異常―慢性腎臓病にともなう骨ミネラル代謝異常(CKD-MBD)
・関節・正中神経症状
38.透析性関節症
39.手根管症候群
・その他の合併症
40.肝炎
41.皮膚の異常
42.副甲状腺腫大
43.アルミニウム中毒
44.透析アミロイド症
3 透析療法の実際
・慢性透析と定期検査
45.透析患者に必要な検査項目と維持レベル
46.ドライウェイトの設定法と心胸比の計測法
47.心電図
48.骨X線検査
49.その他の検査
・透析中の事故と偶発症
50.透析中の事故
51.透析中の偶発症
52.リスクマネジメント
・透析患者の外科手術
53.外科手術時の患者管理
・透析患者の栄養管理
54.食事療法の必要性と原則
55.食事療法の実際
56.体重増加量と食塩摂取量
57.高カリウム血症の食事療法
58.高リン血症の食事療法
59.脂質異常症の食事療法
60.腎臓病食品交換表
61.透析患者の栄養評価
62.サプリメント使用上の注意
・水処理
63.水処理装置
・限外濾過による治療法
64.血液濾過法(hemofiltration:HF)
65.血液透析濾過法(hemodiafiltration:HDF)
66.アセテートフリーバイオフィルトレーション(acetate free biofiltration:AFBF)
67.持続的腎代替療法(continuous renal replacement therapy:CRRT)
68.ECUM(extra corporeal ultrafiltration method)
・CAPD
69.CAPDの原理
70.CAPDの選択と適応
71.CAPDシステムの種類と透析液
72.CAPD導入時の患者教育
73.カテーテルトラブル
74.カテーテルケア
75.CAPDの合併症
76.腹膜炎の診断と治療および看護
77.糖尿病性腎症例でのCAPD
4 特殊な血液浄化法
78.血漿交換療法(plasma exchange:PE)
79.LDL吸着療法
80.二重膜濾過法(double filtration plasmapheresis:DFPP)
81.直接血液灌流法(direct hemoperfusion:DHP)
82.免疫吸着法
83.透析液の清浄化
84.透析液の汚染防止
85.kt/V,nPCR
5 透析患者の医療費と介護支援
86.利用可能な医療制度
87.介護支援
索引
・慢性腎不全
1.腎臓の働き―構造と機能
2.慢性腎不全の概念
3.慢性腎不全の原因疾患
4.慢性腎不全の症状
5.慢性腎不全の病期分類
・慢性腎不全の透析療法
6.透析療法の導入基準
7.糖尿病性腎症の透析療法
・透析患者の看護
8.透析患者の病期別看護
・透析療法の実際
9.ダイアライザーの種類と選択
10.血液透析における必要物品
11.溶液の濃度計算方法
12.人工腎臓の安全監視装置―多人数用供給装置,個人用透析装置,透析監視装置
13.透析開始前の準備(プライミング)
14.透析開始時の確認事項と対策
15.透析中の観察
16.透析終了手順と注意事項
・抗凝固剤
17.抗凝固剤の種類と特性
18.抗凝固法の実際
・バスキュラーアクセス
19.バスキュラーアクセスの種類と特徴
20.内シャントによる透析の実際
21.内シャントのトラブルと合併症
22.バスキュラーアクセス用カテーテルで透析を行う場合の実際
2 透析合併症
・呼吸器系合併症
23.呼吸器系合併症の病態と治療
・循環器系合併症
24.高血圧
25.低血圧
26.心不全,心外膜炎
27.動脈硬化症
28.不整脈
・消化器系合併症
29.消化器系合併症の病態と治療
・中枢神経系合併症
30.意識障害
・末梢神経障害
31.末梢神経障害の病態と対策
32.透析患者とフットケア
・貧血
33.透析患者の貧血―原因,不足の評価
34.透析患者の貧血─ヒトエリスロポエチン製剤(rHuEPO)
・電解質の異常
35.高カリウム血症
36.高リン血症
37.骨カルシウム代謝異常―慢性腎臓病にともなう骨ミネラル代謝異常(CKD-MBD)
・関節・正中神経症状
38.透析性関節症
39.手根管症候群
・その他の合併症
40.肝炎
41.皮膚の異常
42.副甲状腺腫大
43.アルミニウム中毒
44.透析アミロイド症
3 透析療法の実際
・慢性透析と定期検査
45.透析患者に必要な検査項目と維持レベル
46.ドライウェイトの設定法と心胸比の計測法
47.心電図
48.骨X線検査
49.その他の検査
・透析中の事故と偶発症
50.透析中の事故
51.透析中の偶発症
52.リスクマネジメント
・透析患者の外科手術
53.外科手術時の患者管理
・透析患者の栄養管理
54.食事療法の必要性と原則
55.食事療法の実際
56.体重増加量と食塩摂取量
57.高カリウム血症の食事療法
58.高リン血症の食事療法
59.脂質異常症の食事療法
60.腎臓病食品交換表
61.透析患者の栄養評価
62.サプリメント使用上の注意
・水処理
63.水処理装置
・限外濾過による治療法
64.血液濾過法(hemofiltration:HF)
65.血液透析濾過法(hemodiafiltration:HDF)
66.アセテートフリーバイオフィルトレーション(acetate free biofiltration:AFBF)
67.持続的腎代替療法(continuous renal replacement therapy:CRRT)
68.ECUM(extra corporeal ultrafiltration method)
・CAPD
69.CAPDの原理
70.CAPDの選択と適応
71.CAPDシステムの種類と透析液
72.CAPD導入時の患者教育
73.カテーテルトラブル
74.カテーテルケア
75.CAPDの合併症
76.腹膜炎の診断と治療および看護
77.糖尿病性腎症例でのCAPD
4 特殊な血液浄化法
78.血漿交換療法(plasma exchange:PE)
79.LDL吸着療法
80.二重膜濾過法(double filtration plasmapheresis:DFPP)
81.直接血液灌流法(direct hemoperfusion:DHP)
82.免疫吸着法
83.透析液の清浄化
84.透析液の汚染防止
85.kt/V,nPCR
5 透析患者の医療費と介護支援
86.利用可能な医療制度
87.介護支援
索引