はじめに
がんに罹患する人は年々増え続け,現在,日本では300万人の人びとががんを体験している.残念ながら,その約1割が死亡しているが,残りの9割の人びとは生存し,それぞれの生活を送っている.診断直後の人もいれば治療が終わって外来通院している人もいる.また,再発もなく5年,10年,20年と経っている人もいれば,再発して治療を数年間受け続けている人もいる.これらの人びとは毎日の暮らしのなかでどのようにがんと向き合っているのだろうか.そして,どのような体験をしているのだろうか.
先日,ある30歳代後半の女性と話をしたときのことである.彼女はがんの初期治療から5年が経っており,再発もなく暮らしていた.ある日,知人から“もうがんは治ったのね.よかったわね”と言われたという.彼女はその言葉に嬉しいという感情はわかず,むしろ「やっぱり私の気もちは理解されない」と思ったという.彼女はこのとき「これまでの5年間,がんがいつ再発するかわからない不安を抱えて生活してきた.その状況は今でも変わらない.私はこの状況を治ったとはとても思えない」と思っていたのだ.がんを体験した人の複雑な気もちを表している言葉だと思う.周りの人びとから見ると元気そうであったり病気は完治したように見えても,その人にとっては違った体験をしていることがある.相手を理解するとは,相手を自分の物差しで見るのではなく,その人に関心を寄せ,一人ひとりを大切に思うことから始まるのではないかと思う.がん体験は千差万別である.
近年,がんの診断や治療の技術が発展し,がんを体験しながら長期に生存する人びとが増え,がんは慢性疾患としてとらえられるようになった.それに伴い,がんの病期や進行度などを超えて,がんと診断されて死の瞬間まで生存者であり続けるという意味を込めて,がん体験を見つめる視点が重要となっている.本書はがんと診断され,がんとともに歩んでいるサバイバーと,がんサバイバーシップの考え方,がんサバイバーの体験と看護を記述することを目的とした.本書の内容に触れることで,がんサバイバーやがん体験の理解と関心を深め,実践力を高める機会になれば幸いである.
がんを取り巻く情勢は年々変化しており,サバイバーシップの潮流も時代の流れのなかでさまざまな顔を見せるだろう.がんの診断や治療,人びとの価値観や生き方も時代の変化とともに変わり,われわれには常にその人の体験に沿いながら必要とされるサポートを行うことが求められる.がんサバイバーの体験は時代とともに常に変化することを付け加えておきたい.
本書の作成の過程では多くの方々のご尽力をいただいた.著者の方々には国内外の文献から最新の情報を収集・分析していただき,ご自身の貴重な看護経験から多くの示唆を提示してくださった.繰り返しお願いした内容調整に快く対応してくださった著者の方々に深謝申し上げたい.また,構想から出版までの長期間,温かく見守りさまざまな調整をしてくださった医歯薬出版編集担当各位に感謝申し上げたい.
2006年5月
編者を代表して 近藤まゆみ
がんに罹患する人は年々増え続け,現在,日本では300万人の人びとががんを体験している.残念ながら,その約1割が死亡しているが,残りの9割の人びとは生存し,それぞれの生活を送っている.診断直後の人もいれば治療が終わって外来通院している人もいる.また,再発もなく5年,10年,20年と経っている人もいれば,再発して治療を数年間受け続けている人もいる.これらの人びとは毎日の暮らしのなかでどのようにがんと向き合っているのだろうか.そして,どのような体験をしているのだろうか.
先日,ある30歳代後半の女性と話をしたときのことである.彼女はがんの初期治療から5年が経っており,再発もなく暮らしていた.ある日,知人から“もうがんは治ったのね.よかったわね”と言われたという.彼女はその言葉に嬉しいという感情はわかず,むしろ「やっぱり私の気もちは理解されない」と思ったという.彼女はこのとき「これまでの5年間,がんがいつ再発するかわからない不安を抱えて生活してきた.その状況は今でも変わらない.私はこの状況を治ったとはとても思えない」と思っていたのだ.がんを体験した人の複雑な気もちを表している言葉だと思う.周りの人びとから見ると元気そうであったり病気は完治したように見えても,その人にとっては違った体験をしていることがある.相手を理解するとは,相手を自分の物差しで見るのではなく,その人に関心を寄せ,一人ひとりを大切に思うことから始まるのではないかと思う.がん体験は千差万別である.
近年,がんの診断や治療の技術が発展し,がんを体験しながら長期に生存する人びとが増え,がんは慢性疾患としてとらえられるようになった.それに伴い,がんの病期や進行度などを超えて,がんと診断されて死の瞬間まで生存者であり続けるという意味を込めて,がん体験を見つめる視点が重要となっている.本書はがんと診断され,がんとともに歩んでいるサバイバーと,がんサバイバーシップの考え方,がんサバイバーの体験と看護を記述することを目的とした.本書の内容に触れることで,がんサバイバーやがん体験の理解と関心を深め,実践力を高める機会になれば幸いである.
がんを取り巻く情勢は年々変化しており,サバイバーシップの潮流も時代の流れのなかでさまざまな顔を見せるだろう.がんの診断や治療,人びとの価値観や生き方も時代の変化とともに変わり,われわれには常にその人の体験に沿いながら必要とされるサポートを行うことが求められる.がんサバイバーの体験は時代とともに常に変化することを付け加えておきたい.
本書の作成の過程では多くの方々のご尽力をいただいた.著者の方々には国内外の文献から最新の情報を収集・分析していただき,ご自身の貴重な看護経験から多くの示唆を提示してくださった.繰り返しお願いした内容調整に快く対応してくださった著者の方々に深謝申し上げたい.また,構想から出版までの長期間,温かく見守りさまざまな調整をしてくださった医歯薬出版編集担当各位に感謝申し上げたい.
2006年5月
編者を代表して 近藤まゆみ
BOOKI がんサバイバーシップ
サバイバーとサバイバーシップの概念
がんサバイバー/ サバイバーシップ
サバイバーシップの4つの季節と看護支援
acute stage of survival; 急性期の生存の時期─がんの発見・診断から治療終了/ extended stage of survival; 延長された生存の時期─病気が治療に反応した時点から/ permanent stage of survival; 長期的に安定した生存の時期─変化のない時期/ final stage of survival; dying: 終末期の生存の時期─死にゆくこと
サバイバーシップとサバイバー研究・総説
がんの統計とがん生存者
5年生存率/ がん生存者
日本におけるがん看護の背景とサバイバーシップの浸透
1960年代/ 1970年代/ 1980年代/ 1990年代以降/ 2000年代
BOOKII 支援
イントロ
1.セルフアドボカシーを高める支援
アドボカシーの概念
サバイバーが直面する困難とアドボカシーが必要な理由
セルフアドボカシーとは何か
セルフアドボカシーを高めるスキル
アドボカシーの3つの視点と活動
個人のアドボカシー/ 他のサバイバーへのアドボカシー/ 公共に向けたアドボカシー
セルフアドボカシーに関する研究
セルフアドボカシー支援の日本への適応
2.Cancer Survival ToolboxTM─がんを生き抜く道具箱
1─Cancer Survival ToolboxTMとは
文献レビュー
“がんを生き抜く道具箱”のグループモデル
心理教育でのグループ展開/ 修了証書の授与式
アメリカの医療文化に合わせた,自己擁護技能のプログラムの成果とその限界
わが国の医療文化に合わせた,自己擁護技能プログラムの適用とその限界
2─コミュニケーション(communicating)
プログラムの構成
コミュニケーションに必要な5つの基本的スキル
アサーティブにある/ “私は“メッセージを使う/ 積極的に聴く/ 自分が“言葉で言ったこと”と,“言葉以外の表現で伝えたこと”が一致していること/ 自分の感情を見つめ表現する
コミュニケーションスキルを生活でどのように使うか
医師とのコミュニケーション/ 家族とのコミュニケーション/ 同病者とのコミュニケーション
グループセッションにおけるプログラムの進め方
プログラムの日本への適応
3─情報探求(information seeking)
がんサバイバーと情報探求
情報探求プログラムの紹介
アメリカにおけるCancer Survival ToolboxTMの活用と限界
わが国でのプログラムの活用と方向性
4─意思決定(making decisions)
意思決定技能に関するプログラムの紹介
意思決定に必要な知識/ プログラムに紹介された意思決定をするための方法
研究を踏まえたわが国への適用とその限界
5─交渉(negotiating)
プログラムの内容
交渉スキル/ 交渉の実際
職場の差別から自分自身を擁護する方法
日本への適用
6─問題解決(solving problems)
問題解決技能に関するプログラムの紹介
問題解決の5つのステップ/ 事例による問題解決技能の解説
研究を踏まえたわが国への適用とその限界
7─公に権利を主張すること(standing up for your rights; assertion)
“公に権利を主張する”技能に関するプログラムの紹介
プログラムに紹介された“公に権利を主張する”ための知識と方法
研究を踏まえたわが国への適用とその限界
3.QOLとがんサバイバーシップ
がん看護領域のQOLとサバイバーシップに関する国内外の研究
がんサバイバーのQOL
身体的安寧/ 精神的安寧/ 社会的安寧/ 霊的安寧
訴えが少なく,看護師のかかわりを拒否する終末期のAさんと看護師の事例
4.意味を見いだすことに向けた支援(search for meaning)
意味とは何か
がんサバイバーが意味を見いだすことについての文献レビュー
国外文献/ 国内の研究
意味を見いだすことに向けた看護の支援
急性期の生存の時期/ 延長された生存の時期から長期的に安定した生存の時期/ 終末期の生存の時期
造血細胞移植を受けて困難な状況で長期に外来通院を続けるサバイバーの事例
5.食事療法を求める人への支援
文献レビュー
食事および栄養に対するニーズと関心/ がん化学療法を受けた乳がん女性と食事・栄養に関する研究/ 補完・代替療法としての食事,栄養に関する研究/ がんと食事・栄養の関連
がんサバイバーが求める食事を支援する
ACSの栄養と身体活動に関するガイドライン/補完・代替療法としての食事と栄養
6.補完・代替療法を求める人への支援
補完・代替療法とは
補完・代替療法が着目されるようになってきた背景と注意点
補完・代替療法の内容と治験
補完・代替療法の教育
がん看護における補完療法─文献レビュー
看護師が実践する看護ケアとしての補完療法について
7.社会支援としてのサポートグループ
社会支援に関連した文献
社会支援の効果/ 社会支援ネットワーク/ グループによる支援
サバイバーへの支援
NPO団体活動による支援/ サポートグループによる支援/ “I Can Cope”/ 日本におけるサポートグループ/ ファシリテーターとしての支援
サポートグループに参加した3人のサバイバーの事例
8.セルフ・ヘルプ・グループ
がんサバイバーSHGの特徴と日本の現状
がんサバイバーSHGに関する研究的取り組み
海外文献の動向/ わが国の文献の動向
がんサバイバーのSHG内での体験
自分自身についての物語の語り(ナラティブ)/ ナラティブ・コミュニティ
がんサバイバーSHGの支援
パートナーシップ/ グループの基盤 の明確化と共有/ グループリーダーの補佐
9.がん体験者とともに歩む専門職者のありよう
がん看護に携わる看護師の苦悩
“新たながん看護”へのパラダイムシフト
がんサバイバーとともに歩むために
BOOKIII がん体験者を理解する─パートナーシップを通した変化
イントロ
1.がんの発生部位とサバイバー・家族の体験
1─胃がん・食道がん体験者
胃がん・食道がんサバイバーの体験に関する研究レビュー
胃がん・食道がんサバイバーの体験と看護
胃がん・食道がんの治療/ 急性期の生存の時期─納得のいく治療方法の選択を支援する/ 延長された生存の時期─新たな自分らしさの獲得と生活の拡大を支援する/ 長期的に安定した生存の時期─自らの身体状況に対処しながら人生を調和させていくことを支援する
胃がんとともに生きることを決めたKさんとのパートナーシップの体験
2─乳がん体験者
乳がんサバイバーの体験に関連した研究の動向
国外文献の動向/ 国内研究の動向
乳がんサバイバーと家族の体験と看護
急性期の生存の時期─がんの発見・診断から初期治療終了までの時期/ 延長された生存の時期─再発予防の治療(術後補助療法)が開始され,終了するまでの時期/ 長期的に安定した生存の時期─治療を終え社会生活を歩んでいる時期,再発しながらも治療を継続し生きていく時期/ 終末期の生存の時期─苦痛症状が増悪し,死にゆくまでの時期
乳がんサバイバー・家族とのパートナーシップ─手術を受ける乳がん患者・配偶者,看護師 とのかかわり
3─肺がん体験者
肺がんサバイバー・家族に関連した看護研究の 動向
肺がんの特徴/ 肺がんの治療
肺がんサバイバー・家族の体験と看護
急性期の生存の時期─診断から初期治療の過程/ 延長された生存の時期/ 終末期の生存の時期
終末期に家族・友人との温泉旅行を実現できた肺がんサバイバーの事例
4─大腸がん体験者
大腸がんサバイバーの体験に関連した文献
大腸がんサバイバーの体験と看護
急性期の生存の時期/ 延長された生存の時期/ 延長された生存の時期〜終末期の生存の時期
直腸がんの再発と化学療法の再開を告げられ,衝撃を受けた事例
5─頭頸部がん体験者
頭頸部がん患者の看護に関連した研究の動向
手術療法を受ける患者の看護/ 放射線療法を受ける患者の看護/ 精神的援助
頭頸部がんサバイバー・家族の体験と看護
急性期の生存の時期/ 延長された生存の時期/ 終末期の生存の時期
看護師の支援と頭頸部がんサバイバー・家族の事例
6─肝臓がん体験者
肝臓がんサバイバーの体験に関連した研究の動向
研究の概観/ 研究論文内容の動向/ 学会発表内容の動向
肝臓がんサバイバーの体験と看護
急性期の生存の時期─がんへの移行に対する予期と構えをもって生きる時期/ 延長された生存の時期〜長期的に安定した生存の時期─自分らしくがんとともに生きることを確立する時期/ 終末期の生存の時期─身体症状の出現とともに生の終結に備える時期
自分らしく生を終結したサバイバーとそれを支えた妻へのかかわりの事例
7─膵臓がん体験者
膵臓がん患者の看護に関連した研究
日本国内の文献の動向/ 海外文献の動向/ 今後の研究課題
膵臓がんサバイバーの体験と看護
急性期の生存の時期/ 延長された生存の時期/ 長期的に安定した生存の時期/ 終末期の生存の時期
症状体験の語りを契機にセルフコントロール感覚を取り戻していったAさんと受け持ち看護師の事例
8─婦人科がん体験者
婦人科がんサバイバーの体験に関する文献レビュー
婦人科がんサバイバーの体験と看護
急性期の生存の時期/ 延長された生存の時期/ 長期的に安定した生存の時期/ 終末期の生存の時期
約9年のあいだ,がんサバイバーとして生きたAさんの事例─最後まで食べること,家族とともにあることを望み,笑いを絶やさず,私(筆者)をも癒してくれたAさん
9─泌尿器科がん体験者
部位別にみた泌尿器科がんの特徴
泌尿器科がんサバイバー・家族を対象とした看護研究
日本国内の文献の動向/ 海外文献の動向
泌尿器科がんサバイバーの体験と看護
急性期の生存の時期/ 延長された生存の時期〜長期的に安定した生存の時期/ 終末期の生存の時期
泌尿器科がんサバイバーの体験─患者とともにがん体験の意味を探るプロセス
ケアリングパートナーシップの面談を通して存在価値を再び見いだしたAさんの事例
2.がんの集学的治療とサバイバー・家族の体験
1─手術療法
手術療法を受けるがんサバイバーの看護研究の動向
手術療法におけるがん看護研究の動向/ 意思決定/ QOL
がんサバイバーの体験と看護
急性期の生存の時期から延長された生存の時期
手術後の苦痛を感じている患者へのナラティブアプローチの事例
2─化学療法
化学療法とがんサバイバーに関連した研究
研究内容/ がんサバイバーシップの視点からの闘病体験/ 化学療法後の患者の体験/ 海外文献にみる研究内容
化学療法を受けるがんサバイバーの体験と看護
急性期の生存の時期/ 延長された生存の時期
再度,化学療法を必要としたサバイバーの意思決定支援の事例─ケアリングとパートナーシップのかかわりを通して
3─放射線療法
がんの放射線療法と看護に関する研究的取り組み
海外の研究の動向/ わが国の研究の動向
放射線療法を受けるサバイバーが体験する局面
急性期の生存の時期にあるサバイバーの放射線療法の体験/ 延長された生存の時期や長期的に安定した時期を経て新たな問題出現により再び放射線療法を受けるサバイバーの体験/ 終末期の生存の時期に放射線療法を受けるサバイバーの体験
放射線療法を受けるがんサバイバーの看護
放射線療法看護の役割要素と実践内容/ 看護実践の方法
4─造血細胞移植
造血細胞移植サバイバーの体験に関する文献レビュー
QOLという観点からみた体験/ 新しい生き方の獲得や人としての成長の体験
造血細胞移植サバイバーの特徴と看護
造血細胞移植サバイバーの体験のプロセス
急性期の生存の時期/ 延長された生存の時期/ 造血細胞移植サバイバーへの看護
対応を必要とした造血細胞移植サバイバーへの看護の実際
5─臨床試験
臨床試験体験者に関する文献レビュー
臨床試験参加におけるインフォームドコンセント/ 臨床試験参加に伴う負担感と治療効果への期待/ 臨床試験中止に伴う精神的苦痛
臨床試験を受けるがんサバイバーの体験と看護
“急性期の生存の段階“にある臨床試験体験者への看護/ “もちこたえていく生存の段階”にある臨床試験体験者への看護
6─リハビリテーション
がんリハビリテーションに関する文献
がんのリハビリテーション看護
直面することをサポートする/ 参画することをサポートする/ 再構築することをサポートする/ 意味を見いだすことをサポートする
“今の自分が普通の自分である”という感覚を獲得するまでのAさんの事例
3.症状の進行とサバイバー・家族の体験
1─痛み
がん性痛に関連する文献レビュー
がん性痛の体験と看護
急性期の生存の時期─診断期/ 延長された生存の時期/ 長期的に安定した生存の時期/ 終末期の生存の時期
痛みを抱えながら新しい生活に移行するのに時間がかかったAさんの事例
2─リンパ浮腫
リンパ浮腫に関する看護研究の動向
国外文献レビュー/ 学会発表の動向
リンパ浮腫症状を抱えるがんサバイバーへの看護
リンパ浮腫の定義と原因/ リンパ浮腫症状を抱えるがんサバイバーへの看護
リンパ浮腫症状を抱えるがんサバイバーと看護師とのパートナーシップ2つの事例
事例1: 乳がん術後にリンパ浮腫症状を体験するサバイバーと看護師とのかかわり
事例2: 再発進行期に,リンパ浮腫症状を抱える乳がんサバイバーと看護師のかかわり
3─倦怠感
倦怠感とは何か
倦怠感に関する看護研究
倦怠感の体験/ 倦怠感に関連のある要素/ 倦怠感を測定するスケール/ 倦怠感に対する看護介入/ 倦怠感に対するセルフケア
がんサバイバーが体験する倦怠感
急性期の生存の時期/ 終末期の生存の時期
倦怠感のケア
倦怠感の測定方法/ 倦怠感に対するチーム医療/ 家族へのケア
がんの治療による怠感とトータルペインから生じた怠感の2つの事例
事例1: 倦怠感のつらさから治療を受けたくないと思っている事例
事例2: 終末期の倦怠感とトータルペインで苦しんでいる事例
4.がんの発生時期とサバイバー・家族の体験
1─小児のがん
小児がんの特徴
小児がんサバイバーについて
小児がんサバイバーについての研究/ 身体的な晩期障害/ 病気の認識・理解について/ 心理社会的側面の影響/ 家族について
小児がんサバイバーへの看護
急性期の生存の時期─入院治療の時期/ 延長された生存の時期─退院後日常生活に戻る時期/ 長期的に安定した生存の時期─治療終了後以降の時期
社会支援
セルフ・ヘルプ・グループ/ サマーキャンプ/ 医療保護/ 小児慢性特定疾患治療研究事業/ 社会的自立支援ガイドライン
2─老年がんサバイバー
老年がんサバイバーの特徴
老年期がん患者の動向/ 老年期の特徴と発達課題/ 老年がんサバイバーへの看護の必要性
老年がんサバイバーに関連する研究の動向
日本における研究の動向/ 海外における研究の動向
老年がんサバイバーの体験と看護
急性期の生存の時期─がんは人生の転換点/ 延長された生存の時期〜長期的に安定した生存の時期─力は老年がんサバイバーのなかにある/ 終末期の生存の時期─人生の統合へ
老年がんサバイバーへの看護の実際
サバイバーとサバイバーシップの概念
がんサバイバー/ サバイバーシップ
サバイバーシップの4つの季節と看護支援
acute stage of survival; 急性期の生存の時期─がんの発見・診断から治療終了/ extended stage of survival; 延長された生存の時期─病気が治療に反応した時点から/ permanent stage of survival; 長期的に安定した生存の時期─変化のない時期/ final stage of survival; dying: 終末期の生存の時期─死にゆくこと
サバイバーシップとサバイバー研究・総説
がんの統計とがん生存者
5年生存率/ がん生存者
日本におけるがん看護の背景とサバイバーシップの浸透
1960年代/ 1970年代/ 1980年代/ 1990年代以降/ 2000年代
BOOKII 支援
イントロ
1.セルフアドボカシーを高める支援
アドボカシーの概念
サバイバーが直面する困難とアドボカシーが必要な理由
セルフアドボカシーとは何か
セルフアドボカシーを高めるスキル
アドボカシーの3つの視点と活動
個人のアドボカシー/ 他のサバイバーへのアドボカシー/ 公共に向けたアドボカシー
セルフアドボカシーに関する研究
セルフアドボカシー支援の日本への適応
2.Cancer Survival ToolboxTM─がんを生き抜く道具箱
1─Cancer Survival ToolboxTMとは
文献レビュー
“がんを生き抜く道具箱”のグループモデル
心理教育でのグループ展開/ 修了証書の授与式
アメリカの医療文化に合わせた,自己擁護技能のプログラムの成果とその限界
わが国の医療文化に合わせた,自己擁護技能プログラムの適用とその限界
2─コミュニケーション(communicating)
プログラムの構成
コミュニケーションに必要な5つの基本的スキル
アサーティブにある/ “私は“メッセージを使う/ 積極的に聴く/ 自分が“言葉で言ったこと”と,“言葉以外の表現で伝えたこと”が一致していること/ 自分の感情を見つめ表現する
コミュニケーションスキルを生活でどのように使うか
医師とのコミュニケーション/ 家族とのコミュニケーション/ 同病者とのコミュニケーション
グループセッションにおけるプログラムの進め方
プログラムの日本への適応
3─情報探求(information seeking)
がんサバイバーと情報探求
情報探求プログラムの紹介
アメリカにおけるCancer Survival ToolboxTMの活用と限界
わが国でのプログラムの活用と方向性
4─意思決定(making decisions)
意思決定技能に関するプログラムの紹介
意思決定に必要な知識/ プログラムに紹介された意思決定をするための方法
研究を踏まえたわが国への適用とその限界
5─交渉(negotiating)
プログラムの内容
交渉スキル/ 交渉の実際
職場の差別から自分自身を擁護する方法
日本への適用
6─問題解決(solving problems)
問題解決技能に関するプログラムの紹介
問題解決の5つのステップ/ 事例による問題解決技能の解説
研究を踏まえたわが国への適用とその限界
7─公に権利を主張すること(standing up for your rights; assertion)
“公に権利を主張する”技能に関するプログラムの紹介
プログラムに紹介された“公に権利を主張する”ための知識と方法
研究を踏まえたわが国への適用とその限界
3.QOLとがんサバイバーシップ
がん看護領域のQOLとサバイバーシップに関する国内外の研究
がんサバイバーのQOL
身体的安寧/ 精神的安寧/ 社会的安寧/ 霊的安寧
訴えが少なく,看護師のかかわりを拒否する終末期のAさんと看護師の事例
4.意味を見いだすことに向けた支援(search for meaning)
意味とは何か
がんサバイバーが意味を見いだすことについての文献レビュー
国外文献/ 国内の研究
意味を見いだすことに向けた看護の支援
急性期の生存の時期/ 延長された生存の時期から長期的に安定した生存の時期/ 終末期の生存の時期
造血細胞移植を受けて困難な状況で長期に外来通院を続けるサバイバーの事例
5.食事療法を求める人への支援
文献レビュー
食事および栄養に対するニーズと関心/ がん化学療法を受けた乳がん女性と食事・栄養に関する研究/ 補完・代替療法としての食事,栄養に関する研究/ がんと食事・栄養の関連
がんサバイバーが求める食事を支援する
ACSの栄養と身体活動に関するガイドライン/補完・代替療法としての食事と栄養
6.補完・代替療法を求める人への支援
補完・代替療法とは
補完・代替療法が着目されるようになってきた背景と注意点
補完・代替療法の内容と治験
補完・代替療法の教育
がん看護における補完療法─文献レビュー
看護師が実践する看護ケアとしての補完療法について
7.社会支援としてのサポートグループ
社会支援に関連した文献
社会支援の効果/ 社会支援ネットワーク/ グループによる支援
サバイバーへの支援
NPO団体活動による支援/ サポートグループによる支援/ “I Can Cope”/ 日本におけるサポートグループ/ ファシリテーターとしての支援
サポートグループに参加した3人のサバイバーの事例
8.セルフ・ヘルプ・グループ
がんサバイバーSHGの特徴と日本の現状
がんサバイバーSHGに関する研究的取り組み
海外文献の動向/ わが国の文献の動向
がんサバイバーのSHG内での体験
自分自身についての物語の語り(ナラティブ)/ ナラティブ・コミュニティ
がんサバイバーSHGの支援
パートナーシップ/ グループの基盤 の明確化と共有/ グループリーダーの補佐
9.がん体験者とともに歩む専門職者のありよう
がん看護に携わる看護師の苦悩
“新たながん看護”へのパラダイムシフト
がんサバイバーとともに歩むために
BOOKIII がん体験者を理解する─パートナーシップを通した変化
イントロ
1.がんの発生部位とサバイバー・家族の体験
1─胃がん・食道がん体験者
胃がん・食道がんサバイバーの体験に関する研究レビュー
胃がん・食道がんサバイバーの体験と看護
胃がん・食道がんの治療/ 急性期の生存の時期─納得のいく治療方法の選択を支援する/ 延長された生存の時期─新たな自分らしさの獲得と生活の拡大を支援する/ 長期的に安定した生存の時期─自らの身体状況に対処しながら人生を調和させていくことを支援する
胃がんとともに生きることを決めたKさんとのパートナーシップの体験
2─乳がん体験者
乳がんサバイバーの体験に関連した研究の動向
国外文献の動向/ 国内研究の動向
乳がんサバイバーと家族の体験と看護
急性期の生存の時期─がんの発見・診断から初期治療終了までの時期/ 延長された生存の時期─再発予防の治療(術後補助療法)が開始され,終了するまでの時期/ 長期的に安定した生存の時期─治療を終え社会生活を歩んでいる時期,再発しながらも治療を継続し生きていく時期/ 終末期の生存の時期─苦痛症状が増悪し,死にゆくまでの時期
乳がんサバイバー・家族とのパートナーシップ─手術を受ける乳がん患者・配偶者,看護師 とのかかわり
3─肺がん体験者
肺がんサバイバー・家族に関連した看護研究の 動向
肺がんの特徴/ 肺がんの治療
肺がんサバイバー・家族の体験と看護
急性期の生存の時期─診断から初期治療の過程/ 延長された生存の時期/ 終末期の生存の時期
終末期に家族・友人との温泉旅行を実現できた肺がんサバイバーの事例
4─大腸がん体験者
大腸がんサバイバーの体験に関連した文献
大腸がんサバイバーの体験と看護
急性期の生存の時期/ 延長された生存の時期/ 延長された生存の時期〜終末期の生存の時期
直腸がんの再発と化学療法の再開を告げられ,衝撃を受けた事例
5─頭頸部がん体験者
頭頸部がん患者の看護に関連した研究の動向
手術療法を受ける患者の看護/ 放射線療法を受ける患者の看護/ 精神的援助
頭頸部がんサバイバー・家族の体験と看護
急性期の生存の時期/ 延長された生存の時期/ 終末期の生存の時期
看護師の支援と頭頸部がんサバイバー・家族の事例
6─肝臓がん体験者
肝臓がんサバイバーの体験に関連した研究の動向
研究の概観/ 研究論文内容の動向/ 学会発表内容の動向
肝臓がんサバイバーの体験と看護
急性期の生存の時期─がんへの移行に対する予期と構えをもって生きる時期/ 延長された生存の時期〜長期的に安定した生存の時期─自分らしくがんとともに生きることを確立する時期/ 終末期の生存の時期─身体症状の出現とともに生の終結に備える時期
自分らしく生を終結したサバイバーとそれを支えた妻へのかかわりの事例
7─膵臓がん体験者
膵臓がん患者の看護に関連した研究
日本国内の文献の動向/ 海外文献の動向/ 今後の研究課題
膵臓がんサバイバーの体験と看護
急性期の生存の時期/ 延長された生存の時期/ 長期的に安定した生存の時期/ 終末期の生存の時期
症状体験の語りを契機にセルフコントロール感覚を取り戻していったAさんと受け持ち看護師の事例
8─婦人科がん体験者
婦人科がんサバイバーの体験に関する文献レビュー
婦人科がんサバイバーの体験と看護
急性期の生存の時期/ 延長された生存の時期/ 長期的に安定した生存の時期/ 終末期の生存の時期
約9年のあいだ,がんサバイバーとして生きたAさんの事例─最後まで食べること,家族とともにあることを望み,笑いを絶やさず,私(筆者)をも癒してくれたAさん
9─泌尿器科がん体験者
部位別にみた泌尿器科がんの特徴
泌尿器科がんサバイバー・家族を対象とした看護研究
日本国内の文献の動向/ 海外文献の動向
泌尿器科がんサバイバーの体験と看護
急性期の生存の時期/ 延長された生存の時期〜長期的に安定した生存の時期/ 終末期の生存の時期
泌尿器科がんサバイバーの体験─患者とともにがん体験の意味を探るプロセス
ケアリングパートナーシップの面談を通して存在価値を再び見いだしたAさんの事例
2.がんの集学的治療とサバイバー・家族の体験
1─手術療法
手術療法を受けるがんサバイバーの看護研究の動向
手術療法におけるがん看護研究の動向/ 意思決定/ QOL
がんサバイバーの体験と看護
急性期の生存の時期から延長された生存の時期
手術後の苦痛を感じている患者へのナラティブアプローチの事例
2─化学療法
化学療法とがんサバイバーに関連した研究
研究内容/ がんサバイバーシップの視点からの闘病体験/ 化学療法後の患者の体験/ 海外文献にみる研究内容
化学療法を受けるがんサバイバーの体験と看護
急性期の生存の時期/ 延長された生存の時期
再度,化学療法を必要としたサバイバーの意思決定支援の事例─ケアリングとパートナーシップのかかわりを通して
3─放射線療法
がんの放射線療法と看護に関する研究的取り組み
海外の研究の動向/ わが国の研究の動向
放射線療法を受けるサバイバーが体験する局面
急性期の生存の時期にあるサバイバーの放射線療法の体験/ 延長された生存の時期や長期的に安定した時期を経て新たな問題出現により再び放射線療法を受けるサバイバーの体験/ 終末期の生存の時期に放射線療法を受けるサバイバーの体験
放射線療法を受けるがんサバイバーの看護
放射線療法看護の役割要素と実践内容/ 看護実践の方法
4─造血細胞移植
造血細胞移植サバイバーの体験に関する文献レビュー
QOLという観点からみた体験/ 新しい生き方の獲得や人としての成長の体験
造血細胞移植サバイバーの特徴と看護
造血細胞移植サバイバーの体験のプロセス
急性期の生存の時期/ 延長された生存の時期/ 造血細胞移植サバイバーへの看護
対応を必要とした造血細胞移植サバイバーへの看護の実際
5─臨床試験
臨床試験体験者に関する文献レビュー
臨床試験参加におけるインフォームドコンセント/ 臨床試験参加に伴う負担感と治療効果への期待/ 臨床試験中止に伴う精神的苦痛
臨床試験を受けるがんサバイバーの体験と看護
“急性期の生存の段階“にある臨床試験体験者への看護/ “もちこたえていく生存の段階”にある臨床試験体験者への看護
6─リハビリテーション
がんリハビリテーションに関する文献
がんのリハビリテーション看護
直面することをサポートする/ 参画することをサポートする/ 再構築することをサポートする/ 意味を見いだすことをサポートする
“今の自分が普通の自分である”という感覚を獲得するまでのAさんの事例
3.症状の進行とサバイバー・家族の体験
1─痛み
がん性痛に関連する文献レビュー
がん性痛の体験と看護
急性期の生存の時期─診断期/ 延長された生存の時期/ 長期的に安定した生存の時期/ 終末期の生存の時期
痛みを抱えながら新しい生活に移行するのに時間がかかったAさんの事例
2─リンパ浮腫
リンパ浮腫に関する看護研究の動向
国外文献レビュー/ 学会発表の動向
リンパ浮腫症状を抱えるがんサバイバーへの看護
リンパ浮腫の定義と原因/ リンパ浮腫症状を抱えるがんサバイバーへの看護
リンパ浮腫症状を抱えるがんサバイバーと看護師とのパートナーシップ2つの事例
事例1: 乳がん術後にリンパ浮腫症状を体験するサバイバーと看護師とのかかわり
事例2: 再発進行期に,リンパ浮腫症状を抱える乳がんサバイバーと看護師のかかわり
3─倦怠感
倦怠感とは何か
倦怠感に関する看護研究
倦怠感の体験/ 倦怠感に関連のある要素/ 倦怠感を測定するスケール/ 倦怠感に対する看護介入/ 倦怠感に対するセルフケア
がんサバイバーが体験する倦怠感
急性期の生存の時期/ 終末期の生存の時期
倦怠感のケア
倦怠感の測定方法/ 倦怠感に対するチーム医療/ 家族へのケア
がんの治療による怠感とトータルペインから生じた怠感の2つの事例
事例1: 倦怠感のつらさから治療を受けたくないと思っている事例
事例2: 終末期の倦怠感とトータルペインで苦しんでいる事例
4.がんの発生時期とサバイバー・家族の体験
1─小児のがん
小児がんの特徴
小児がんサバイバーについて
小児がんサバイバーについての研究/ 身体的な晩期障害/ 病気の認識・理解について/ 心理社会的側面の影響/ 家族について
小児がんサバイバーへの看護
急性期の生存の時期─入院治療の時期/ 延長された生存の時期─退院後日常生活に戻る時期/ 長期的に安定した生存の時期─治療終了後以降の時期
社会支援
セルフ・ヘルプ・グループ/ サマーキャンプ/ 医療保護/ 小児慢性特定疾患治療研究事業/ 社会的自立支援ガイドライン
2─老年がんサバイバー
老年がんサバイバーの特徴
老年期がん患者の動向/ 老年期の特徴と発達課題/ 老年がんサバイバーへの看護の必要性
老年がんサバイバーに関連する研究の動向
日本における研究の動向/ 海外における研究の動向
老年がんサバイバーの体験と看護
急性期の生存の時期─がんは人生の転換点/ 延長された生存の時期〜長期的に安定した生存の時期─力は老年がんサバイバーのなかにある/ 終末期の生存の時期─人生の統合へ
老年がんサバイバーへの看護の実際