はじめに
腎臓病はその種類により様々な症状を呈する.その特徴として,症状が急性に現れるものと,発症していても症状に気づかないものとの2つに大別される.腎臓病の多くは後者であり,ゆっくり発症し静かに潜行するといわれる.
また,腎臓の機能は尿の生成に代表され,代謝の結果生じた不要な産物の排泄を通して,生きるための体液の恒常性の維持が図られる.したがって,腎臓病のある対象者の生活がどのように営まれるかは,生きることにおいて,非常に重要な課題となる.
腎臓病のある生活を営んでいる人に対して看護者がなしうることとして,その人の新しい生活設計とその生活が生き生きと営まれるように支え見守ることがあげられる.
対象者においては,それまでの習慣化された生活から,腎臓病のある生活へと新しい生活を創造し実行・維持することに,大変な戸惑いが生じると予測される.できればその変化は少なく,その人が自ら進んで変え実行できるものであることが望ましいと考える.それゆえに,腎臓病のある生活はその発見から生活の創造,実行から維持へと,対象者の主体的行動により行われることが好ましいといえる.
本書は,このような視点から,日常,臨床・外来において聞かれる壮年期を中心とした患者自身の素朴な疑問を出発点とし,対象者が自ら情報を収集・分析しながら生活を再設計できるように,必要とされる思考・判断材料を提供することで,対象者自身のセルフケアを促進し,さらに,看護者のケアに役立つものとなることを意図したものである.
すなわち,腎臓病のある対象者がもつ自分自身の身体への素朴な疑問から,病気への関心の高まりと闘病意欲の喚起・維持に応える形でポイントとなる病態・生理機能の知識にも触れながら,生活設計とその実行に役立つものとなるように,次のような流れにそって構成されている.
素朴な疑問→ アセスメント→ 自己認識→ 病態・生理機能→ 生活設計・工夫・実行
腎臓病のある対象者は,腎臓病のある生活が描けるまでに幾つかの葛藤の過程を経るであろう.腎臓病のある事実を自身の中に見いだし,受けとめること,さらに,病気に伴う様々な状況に対応することを余儀なくされる.ときには,それらはその人の心を憂うつにし,社会生活への不適応状態をもたらす結果ともなりうる.したがって,看護者は,人々がどのようなきっかけで腎臓病のあることに気づき,また,腎臓病のあることに向き合うのかについて認識する必要がある.また,腎臓病のある状態について熟知し,対象者が生き生きとした生活を営めるよう,その生活設計のよき支援者となることが求められる.
第1章と第2章では,腎臓病のある生活とそれを支える看護について,「腎臓病の人」ではなく「腎臓病のある人」であることを意識しながら,看護者としての支援の方向性を述べる.第3章は,“からだに聴く腎臓病“の実際編として,人々が自身の身体の変化に気づくことの必要性とその手がかりについて述べる.腎臓病があることへの気づきは,人々が“喉の渇き,痒み,むくみ,尿の量・質の変化”など,心身に異常を感じたり,素朴な疑問をもつことから出発する.人々の日常性と異なることへの気づきは,立ち止まり吟味することにより確かなものとなる.また,身近な人による観察にも耳を傾け,情報として活用する力も必要である.これらは,多くの腎臓病が静かに発症し,静かに潜行するという特徴をもっていることからも大事なことである.第4章は,腎臓病のある生活を生き生きと積極的な人生とするために,日常生活の中から特に重要であり共通すると思われる知識をとり上げ,さらに,食生活・運動・休息について具体的なあり方を展開する.また,第5章では,今後の展望として腎臓病のある対象者の看護への展望について述べる.
本書が,腎臓病のある人々の素朴な疑問に応えるものであり,腎臓病のある生活を営む人々のセルフケアに役立つものであること,また,人々を支える看護者に活かされるものであることを願っている.
最後に,この本の出版を見守り,ご尽力くださった医歯薬出版編集部の担当者各位に深く感謝いたします.
2003年3月
編者を代表して
尾岸恵三子
腎臓病はその種類により様々な症状を呈する.その特徴として,症状が急性に現れるものと,発症していても症状に気づかないものとの2つに大別される.腎臓病の多くは後者であり,ゆっくり発症し静かに潜行するといわれる.
また,腎臓の機能は尿の生成に代表され,代謝の結果生じた不要な産物の排泄を通して,生きるための体液の恒常性の維持が図られる.したがって,腎臓病のある対象者の生活がどのように営まれるかは,生きることにおいて,非常に重要な課題となる.
腎臓病のある生活を営んでいる人に対して看護者がなしうることとして,その人の新しい生活設計とその生活が生き生きと営まれるように支え見守ることがあげられる.
対象者においては,それまでの習慣化された生活から,腎臓病のある生活へと新しい生活を創造し実行・維持することに,大変な戸惑いが生じると予測される.できればその変化は少なく,その人が自ら進んで変え実行できるものであることが望ましいと考える.それゆえに,腎臓病のある生活はその発見から生活の創造,実行から維持へと,対象者の主体的行動により行われることが好ましいといえる.
本書は,このような視点から,日常,臨床・外来において聞かれる壮年期を中心とした患者自身の素朴な疑問を出発点とし,対象者が自ら情報を収集・分析しながら生活を再設計できるように,必要とされる思考・判断材料を提供することで,対象者自身のセルフケアを促進し,さらに,看護者のケアに役立つものとなることを意図したものである.
すなわち,腎臓病のある対象者がもつ自分自身の身体への素朴な疑問から,病気への関心の高まりと闘病意欲の喚起・維持に応える形でポイントとなる病態・生理機能の知識にも触れながら,生活設計とその実行に役立つものとなるように,次のような流れにそって構成されている.
素朴な疑問→ アセスメント→ 自己認識→ 病態・生理機能→ 生活設計・工夫・実行
腎臓病のある対象者は,腎臓病のある生活が描けるまでに幾つかの葛藤の過程を経るであろう.腎臓病のある事実を自身の中に見いだし,受けとめること,さらに,病気に伴う様々な状況に対応することを余儀なくされる.ときには,それらはその人の心を憂うつにし,社会生活への不適応状態をもたらす結果ともなりうる.したがって,看護者は,人々がどのようなきっかけで腎臓病のあることに気づき,また,腎臓病のあることに向き合うのかについて認識する必要がある.また,腎臓病のある状態について熟知し,対象者が生き生きとした生活を営めるよう,その生活設計のよき支援者となることが求められる.
第1章と第2章では,腎臓病のある生活とそれを支える看護について,「腎臓病の人」ではなく「腎臓病のある人」であることを意識しながら,看護者としての支援の方向性を述べる.第3章は,“からだに聴く腎臓病“の実際編として,人々が自身の身体の変化に気づくことの必要性とその手がかりについて述べる.腎臓病があることへの気づきは,人々が“喉の渇き,痒み,むくみ,尿の量・質の変化”など,心身に異常を感じたり,素朴な疑問をもつことから出発する.人々の日常性と異なることへの気づきは,立ち止まり吟味することにより確かなものとなる.また,身近な人による観察にも耳を傾け,情報として活用する力も必要である.これらは,多くの腎臓病が静かに発症し,静かに潜行するという特徴をもっていることからも大事なことである.第4章は,腎臓病のある生活を生き生きと積極的な人生とするために,日常生活の中から特に重要であり共通すると思われる知識をとり上げ,さらに,食生活・運動・休息について具体的なあり方を展開する.また,第5章では,今後の展望として腎臓病のある対象者の看護への展望について述べる.
本書が,腎臓病のある人々の素朴な疑問に応えるものであり,腎臓病のある生活を営む人々のセルフケアに役立つものであること,また,人々を支える看護者に活かされるものであることを願っている.
最後に,この本の出版を見守り,ご尽力くださった医歯薬出版編集部の担当者各位に深く感謝いたします.
2003年3月
編者を代表して
尾岸恵三子
第1章 腎臓病と共に歩む―自らつくる生活設計 (尾岸)
1)腎臓病のある生活とは
腎臓病があること /腎臓病と共に歩む /腎臓病のある生活
2)自らつくる生活設計
生活設計をする―自分に合った生活設計 /腎臓病のある自分に合った生活設計の創造・工夫
コラム:病気があること /病気と共に歩む
第2章 生活設計を支える看護 (尾岸)
1)腎臓病のある生活を共に描く
2)腎臓病のある対象者の好ましい生活の実現に向けて
3)腎臓病のある対象者の好ましい生活を支える看護者
腎臓病のある生活のアセスメント能力の向上を支える /生活者の視点に立った支援の継続
第3章 からだに聴く腎臓病
1 喉の渇き (杉本・遠藤)
1.喉が渇くのはどのようなときでしょうか
■ 基本的な事項をまとめてみましょう
脱水とは /塩分のとり過ぎとは /血糖値の上昇とは /飲酒後になぜ喉が渇くのか
2.実際の問題をアセスメントしてみましょう
3.このようなときのからだの仕組みはどうなっているのでしょうか
■ まず,からだの基本的な仕組みを理解しましょう
からだの半分以上は水 /体液の区分 /腎臓の仕組み /腎臓の働き
■ では,具体的な状況を考えていきましょう
大量に発汗した後のからだはどうなっているのでしょう /塩分をとり過ぎるとどうなるのでしょう
4.どうしたら腎臓病を発見できるのでしょうか 生活の工夫はどうしたらよいのでしょうか
事例1 /事例2 /事例3 /事例4
2 痒み (杉本・遠藤)
1.どのようなときに痒みが起こるのでしょうか
■ 基本的な事項をまとめてみましょう
痒みとは /皮膚の乾燥とは /発汗 /循環 /アレルギー
2.実際の問題をアセスメントしてみましょう
3.このようなときのからだの仕組みはどうなっているのでしょうか
■ まず,からだの基本的な仕組みを理解しましょう
皮膚の構造 /痒みの分類 /腎と皮膚との関係 /カルシウム,リン代謝異常
■ では,具体的な状況を考えていきましょう
腎機能が低下すると痒みが起こるのはなぜでしょう /透析に伴うアレルギー反応
4.どうしたら腎臓病を発見できるのでしょうか 生活の工夫はどうしたらよいのでしょうか
事例1 /事例2 /事例3
補体とは
3 むくみ・浮腫 (杉本・遠藤)
1.どのようなときにむくみに気がつくのでしょうか
■ 基本的な事項をまとめてみましょう
むくみ・浮腫とは /塩分,水分のとり過ぎ /栄養状態が悪いとき /心機能が低下すると
2.実際の問題をアセスメントしてみましょう
3.このようなときのからだの仕組みはどうなっているのでしょうか
■ まず,からだの基本的な仕組みを理解しましょう
浮腫の起こり方
■ では,具体的な状況を考えていきましょう
朝起きたときの浮腫・むくみはどういうとき要注意なのでしょう /血清タンパクの低下はどうして浮腫の原因になるのでしょうか
4.どうしたら腎臓病を発見できるのでしょうか 生活の工夫はどうしたらよいのでしょうか
事例1 /事例2 /事例3
むくみのチェック方法
4 血尿(岡部)
1.どのようなときに血尿を知るのでしょう
■ 基本的な事項をまとめてみましょう
血尿とは /血尿の種類 /血尿と鑑別が必要なもの /血尿の原因 /腎臓病かどうかの鑑別方法
2.実際の問題をアセスメントしてみましょう
3.このようなときのからだの仕組みはどうなっているのでしょうか
■ まず,からだの基本的な仕組みを理解しましょう
血尿の組成 /腎臓病で血尿が出るメカニズム /つくられた尿の流れ
■ では,具体的な状況を考えていきましょう
腎前性血尿の特徴 /腎性血尿の特徴 /腎後性血尿の特徴
4.どうしたら腎臓病を発見できるのでしょうか 生活の工夫はどうしたらよいのでしょうか
事例1 /事例2 /事例3 /事例4 /事例5 /事例6 /事例7 /事例8
喫煙と血尿の関係 /潜血反応(-)の落とし穴
5 タンパク尿 72(甲斐・長谷川)
1.タンパク尿が出るのはどのようなときでしょうか
■ 基本的な事項をまとめてみましょう
タンパク尿が発見されるのは /尿中のタンパクはどこからくるのでしょう /タンパク尿との出会い―試験紙法とスルフォサリチル法 /泡立つ尿
2.実際の問題をアセスメントしてみましょう
3.このようなときのからだの仕組みはどうなっているのでしょうか
■ まず,からだの基本的な仕組みを理解しましょう
タンパク尿の種類と特徴
■ では,具体的な状況を考えていきましょう
検診を受けましょう
4.どうしたら腎臓病を発見できるのでしょうか 生活の工夫はどうしたらよいのでしょうか
事例1 /事例2 /事例3
6 高血圧 (安田・長谷川)
1.血圧が高いと感じるのはどのようなときでしょうか
■ 基本的な事項をまとめてみましょう
血圧が高くなるのは /塩分と血圧 /肥満と血圧 /ストレスと血圧 /喫煙と血圧 /寒冷刺激と血圧
2.実際の問題をアセスメントしてみましょう
3.このようなときのからだの仕組みはどうなっているのでしょうか
■ まず,からだの基本的な仕組みを理解しましょう
血圧
■ では,具体的な状況を考えていきましょう
腎臓病になると血圧が高くなるのはなぜでしょうか /血圧が高いと腎臓病になるのはなぜでしょうか /どうしたら高血圧を発見できるのでしょうか
4.どうしたら腎臓病を発見できるのでしょうか 生活の工夫はどうしたらよいのでしょうか
事例1 /事例2 /事例3
血圧測定
7 貧血 (鈴木・大橋)
1.どのようなときに貧血と感じるのでしょうか
■ 基本的な事項をまとめてみましょう
貧血症状と代償反応 /皮膚の蒼白とは /動悸・息切れとは /立ちくらみ・倦怠感・食欲不振とは /腎機能低下
2.実際の問題をアセスメントしてみましょう
3.このようなときのからだの仕組みはどうなっているのでしょうか
■ まず,からだの基本的な仕組みを理解しましょう
血液の成分・生成と働き /貧血とは /貧血の分類 /腎不全と貧血の関係
■ では,具体的な状況を考えていきましょう
腎機能悪化によりからだはどうなっているのでしょう /鉄の欠乏になるとどうなるのでしょう /十分な透析をしないとどうなるのでしょう
4.どうしたら腎臓病を発見できるのでしょうか 生活の工夫はどうしたらよいのでしょうか
事例1 /事例2 /事例3 /事例4
鉄分の上手な補給の仕方:レバーのおいしい食べ方/
鉄分たっぷりの一品料理:切り干し大根とアサリの煮物
8 排尿痛 (出口)
1.排尿痛はどのようなときに起こるのでしょうか
■ 基本的な事項をまとめてみましょう
排尿痛が起こるのは /尿路感染症とは /膀胱尿管逆流現象とは /膀胱炎とは /抗がん剤などを内服中のからだの状態 /糖尿病で感染しやすいのは
2.実際の問題をアセスメントしてみましょう
3.このようなときのからだの仕組みはどうなっているのでしょうか
■ まず,からだの基本的な仕組みを理解しましょう
排尿までのからだの構造
■ では,具体的な状況を考えていきましょう
長時間排尿しなかった場合からだはどうなっているのでしょう /前立腺炎はどのように起こるのでしょう
4.どうしたら腎臓病を発見できるのでしょうか 生活の工夫はどうしたらよいのでしょうか
事例1 /事例2
9 腰痛 (出口)
1.腰痛はどのようなときに起こるのでしょうか
■ 基本的な事項をまとめてみましょう
腰痛症とは /腎障害における腰痛 /尿路結石 /腎腫瘍
2.実際の問題をアセスメントしてみましょう
3.このようなときのからだの仕組みはどうなっているのでしょうか
■ まず,からだの基本的な仕組みを理解しましょう
腎,尿管,膀胱,尿道の仕組み /尿管と結石
■ では,具体的な状況を考えていきましょう
腎臓が原因で起こる腰痛にはどのようなものがあるでしょう
4.どうしたら腎臓病を発見できるのでしょうか 生活の工夫はどうしたらよいのでしょうか
事例1 /事例2
10 発熱 (出口)
1.発熱はどのようなときに起こるのでしょうか
■ 基本的な事項をまとめてみましょう
体温とは /体温調節のしくみ /発熱の原因 /発熱とは /前立腺炎とは /副睾丸炎とは /急性腎炎(急性糸球体腎炎)とは
2.実際の問題をアセスメントしてみましょう
3.このようなときのからだの仕組みはどうなっているのでしょうか
■ まず,からだの基本的な仕組みを理解しましょう
発熱の仕組み /解熱(平常体温)にもどす仕組み
■ では,具体的な状況を考えていきましょう
腎盂腎炎・急性副睾丸炎・急性前立腺炎 /急性腎炎
4.どうしたら腎臓病を発見できるのでしょうか 生活の工夫はどうしたらよいのでしょうか
事例1 /事例2
第4章 自らの人生を営むための学習
1 楽しい食卓から腎臓病と付き合う (遠藤)
1)食事をすることの意味
ヒトとしての食事 /食事の楽しさ
2)食事と充実した生活との関係
食の多様性 /QOLと食 /楽しいはずの病院の食事
3)腎臓病の食事は普通の食事と違うのか
腎の機能も個性の一つ /腎臓病の食事のポイントはタンパク質,エネルギー,塩分,水
4)自分の食卓を創ろう
まず何から始めるのか /「やる気」を起こす学習理論の活用 /変化のステージモデル-行動変容の段階を知るために /食事をつくり,食べるだけが食事か /個性を活かした食事
5)食卓の和を広げよう-サポートネットワーク
2 楽しい運動と休息―腎の安静と血流量を増やすこと 167(金子)
1)運動と休息とは
2)運動に伴う体の変化
エネルギー代謝 /体温 /呼吸 /心拍出量 /血圧 /血流の配分 /血液成分 /ホルモン
3)運動に伴う腎臓の変化
腎血流量の減少 /尿量の低下 /尿毒素・電解質の排泄の低下
4)腎臓病における安静の必要性
成人の生活指導区分 /急性腎不全の場合 /慢性腎不全の場合 /維持透析期の場合 /各腎機能レベルを考慮した運動の実際
第5章 今後の展望
1)〜3):尾岸
4),5):大橋
1)腎臓病のある生活を営む対象者の看護への再提案
腎臓病のある生活への葛藤 /腎臓病のある生活の折り合いの継続 /腎臓病のある対象者を支える家族
2)腎臓病のある対象者の支援システム
3)腎臓病のある対象者を支える看護者間の積極的連携
4)透析療法を受ける患者とその家族の生活の援助
安定した透析生活 /透析患者が利用できる社会保障制度
5)腎臓移植への道
1)腎臓病のある生活とは
腎臓病があること /腎臓病と共に歩む /腎臓病のある生活
2)自らつくる生活設計
生活設計をする―自分に合った生活設計 /腎臓病のある自分に合った生活設計の創造・工夫
コラム:病気があること /病気と共に歩む
第2章 生活設計を支える看護 (尾岸)
1)腎臓病のある生活を共に描く
2)腎臓病のある対象者の好ましい生活の実現に向けて
3)腎臓病のある対象者の好ましい生活を支える看護者
腎臓病のある生活のアセスメント能力の向上を支える /生活者の視点に立った支援の継続
第3章 からだに聴く腎臓病
1 喉の渇き (杉本・遠藤)
1.喉が渇くのはどのようなときでしょうか
■ 基本的な事項をまとめてみましょう
脱水とは /塩分のとり過ぎとは /血糖値の上昇とは /飲酒後になぜ喉が渇くのか
2.実際の問題をアセスメントしてみましょう
3.このようなときのからだの仕組みはどうなっているのでしょうか
■ まず,からだの基本的な仕組みを理解しましょう
からだの半分以上は水 /体液の区分 /腎臓の仕組み /腎臓の働き
■ では,具体的な状況を考えていきましょう
大量に発汗した後のからだはどうなっているのでしょう /塩分をとり過ぎるとどうなるのでしょう
4.どうしたら腎臓病を発見できるのでしょうか 生活の工夫はどうしたらよいのでしょうか
事例1 /事例2 /事例3 /事例4
2 痒み (杉本・遠藤)
1.どのようなときに痒みが起こるのでしょうか
■ 基本的な事項をまとめてみましょう
痒みとは /皮膚の乾燥とは /発汗 /循環 /アレルギー
2.実際の問題をアセスメントしてみましょう
3.このようなときのからだの仕組みはどうなっているのでしょうか
■ まず,からだの基本的な仕組みを理解しましょう
皮膚の構造 /痒みの分類 /腎と皮膚との関係 /カルシウム,リン代謝異常
■ では,具体的な状況を考えていきましょう
腎機能が低下すると痒みが起こるのはなぜでしょう /透析に伴うアレルギー反応
4.どうしたら腎臓病を発見できるのでしょうか 生活の工夫はどうしたらよいのでしょうか
事例1 /事例2 /事例3
補体とは
3 むくみ・浮腫 (杉本・遠藤)
1.どのようなときにむくみに気がつくのでしょうか
■ 基本的な事項をまとめてみましょう
むくみ・浮腫とは /塩分,水分のとり過ぎ /栄養状態が悪いとき /心機能が低下すると
2.実際の問題をアセスメントしてみましょう
3.このようなときのからだの仕組みはどうなっているのでしょうか
■ まず,からだの基本的な仕組みを理解しましょう
浮腫の起こり方
■ では,具体的な状況を考えていきましょう
朝起きたときの浮腫・むくみはどういうとき要注意なのでしょう /血清タンパクの低下はどうして浮腫の原因になるのでしょうか
4.どうしたら腎臓病を発見できるのでしょうか 生活の工夫はどうしたらよいのでしょうか
事例1 /事例2 /事例3
むくみのチェック方法
4 血尿(岡部)
1.どのようなときに血尿を知るのでしょう
■ 基本的な事項をまとめてみましょう
血尿とは /血尿の種類 /血尿と鑑別が必要なもの /血尿の原因 /腎臓病かどうかの鑑別方法
2.実際の問題をアセスメントしてみましょう
3.このようなときのからだの仕組みはどうなっているのでしょうか
■ まず,からだの基本的な仕組みを理解しましょう
血尿の組成 /腎臓病で血尿が出るメカニズム /つくられた尿の流れ
■ では,具体的な状況を考えていきましょう
腎前性血尿の特徴 /腎性血尿の特徴 /腎後性血尿の特徴
4.どうしたら腎臓病を発見できるのでしょうか 生活の工夫はどうしたらよいのでしょうか
事例1 /事例2 /事例3 /事例4 /事例5 /事例6 /事例7 /事例8
喫煙と血尿の関係 /潜血反応(-)の落とし穴
5 タンパク尿 72(甲斐・長谷川)
1.タンパク尿が出るのはどのようなときでしょうか
■ 基本的な事項をまとめてみましょう
タンパク尿が発見されるのは /尿中のタンパクはどこからくるのでしょう /タンパク尿との出会い―試験紙法とスルフォサリチル法 /泡立つ尿
2.実際の問題をアセスメントしてみましょう
3.このようなときのからだの仕組みはどうなっているのでしょうか
■ まず,からだの基本的な仕組みを理解しましょう
タンパク尿の種類と特徴
■ では,具体的な状況を考えていきましょう
検診を受けましょう
4.どうしたら腎臓病を発見できるのでしょうか 生活の工夫はどうしたらよいのでしょうか
事例1 /事例2 /事例3
6 高血圧 (安田・長谷川)
1.血圧が高いと感じるのはどのようなときでしょうか
■ 基本的な事項をまとめてみましょう
血圧が高くなるのは /塩分と血圧 /肥満と血圧 /ストレスと血圧 /喫煙と血圧 /寒冷刺激と血圧
2.実際の問題をアセスメントしてみましょう
3.このようなときのからだの仕組みはどうなっているのでしょうか
■ まず,からだの基本的な仕組みを理解しましょう
血圧
■ では,具体的な状況を考えていきましょう
腎臓病になると血圧が高くなるのはなぜでしょうか /血圧が高いと腎臓病になるのはなぜでしょうか /どうしたら高血圧を発見できるのでしょうか
4.どうしたら腎臓病を発見できるのでしょうか 生活の工夫はどうしたらよいのでしょうか
事例1 /事例2 /事例3
血圧測定
7 貧血 (鈴木・大橋)
1.どのようなときに貧血と感じるのでしょうか
■ 基本的な事項をまとめてみましょう
貧血症状と代償反応 /皮膚の蒼白とは /動悸・息切れとは /立ちくらみ・倦怠感・食欲不振とは /腎機能低下
2.実際の問題をアセスメントしてみましょう
3.このようなときのからだの仕組みはどうなっているのでしょうか
■ まず,からだの基本的な仕組みを理解しましょう
血液の成分・生成と働き /貧血とは /貧血の分類 /腎不全と貧血の関係
■ では,具体的な状況を考えていきましょう
腎機能悪化によりからだはどうなっているのでしょう /鉄の欠乏になるとどうなるのでしょう /十分な透析をしないとどうなるのでしょう
4.どうしたら腎臓病を発見できるのでしょうか 生活の工夫はどうしたらよいのでしょうか
事例1 /事例2 /事例3 /事例4
鉄分の上手な補給の仕方:レバーのおいしい食べ方/
鉄分たっぷりの一品料理:切り干し大根とアサリの煮物
8 排尿痛 (出口)
1.排尿痛はどのようなときに起こるのでしょうか
■ 基本的な事項をまとめてみましょう
排尿痛が起こるのは /尿路感染症とは /膀胱尿管逆流現象とは /膀胱炎とは /抗がん剤などを内服中のからだの状態 /糖尿病で感染しやすいのは
2.実際の問題をアセスメントしてみましょう
3.このようなときのからだの仕組みはどうなっているのでしょうか
■ まず,からだの基本的な仕組みを理解しましょう
排尿までのからだの構造
■ では,具体的な状況を考えていきましょう
長時間排尿しなかった場合からだはどうなっているのでしょう /前立腺炎はどのように起こるのでしょう
4.どうしたら腎臓病を発見できるのでしょうか 生活の工夫はどうしたらよいのでしょうか
事例1 /事例2
9 腰痛 (出口)
1.腰痛はどのようなときに起こるのでしょうか
■ 基本的な事項をまとめてみましょう
腰痛症とは /腎障害における腰痛 /尿路結石 /腎腫瘍
2.実際の問題をアセスメントしてみましょう
3.このようなときのからだの仕組みはどうなっているのでしょうか
■ まず,からだの基本的な仕組みを理解しましょう
腎,尿管,膀胱,尿道の仕組み /尿管と結石
■ では,具体的な状況を考えていきましょう
腎臓が原因で起こる腰痛にはどのようなものがあるでしょう
4.どうしたら腎臓病を発見できるのでしょうか 生活の工夫はどうしたらよいのでしょうか
事例1 /事例2
10 発熱 (出口)
1.発熱はどのようなときに起こるのでしょうか
■ 基本的な事項をまとめてみましょう
体温とは /体温調節のしくみ /発熱の原因 /発熱とは /前立腺炎とは /副睾丸炎とは /急性腎炎(急性糸球体腎炎)とは
2.実際の問題をアセスメントしてみましょう
3.このようなときのからだの仕組みはどうなっているのでしょうか
■ まず,からだの基本的な仕組みを理解しましょう
発熱の仕組み /解熱(平常体温)にもどす仕組み
■ では,具体的な状況を考えていきましょう
腎盂腎炎・急性副睾丸炎・急性前立腺炎 /急性腎炎
4.どうしたら腎臓病を発見できるのでしょうか 生活の工夫はどうしたらよいのでしょうか
事例1 /事例2
第4章 自らの人生を営むための学習
1 楽しい食卓から腎臓病と付き合う (遠藤)
1)食事をすることの意味
ヒトとしての食事 /食事の楽しさ
2)食事と充実した生活との関係
食の多様性 /QOLと食 /楽しいはずの病院の食事
3)腎臓病の食事は普通の食事と違うのか
腎の機能も個性の一つ /腎臓病の食事のポイントはタンパク質,エネルギー,塩分,水
4)自分の食卓を創ろう
まず何から始めるのか /「やる気」を起こす学習理論の活用 /変化のステージモデル-行動変容の段階を知るために /食事をつくり,食べるだけが食事か /個性を活かした食事
5)食卓の和を広げよう-サポートネットワーク
2 楽しい運動と休息―腎の安静と血流量を増やすこと 167(金子)
1)運動と休息とは
2)運動に伴う体の変化
エネルギー代謝 /体温 /呼吸 /心拍出量 /血圧 /血流の配分 /血液成分 /ホルモン
3)運動に伴う腎臓の変化
腎血流量の減少 /尿量の低下 /尿毒素・電解質の排泄の低下
4)腎臓病における安静の必要性
成人の生活指導区分 /急性腎不全の場合 /慢性腎不全の場合 /維持透析期の場合 /各腎機能レベルを考慮した運動の実際
第5章 今後の展望
1)〜3):尾岸
4),5):大橋
1)腎臓病のある生活を営む対象者の看護への再提案
腎臓病のある生活への葛藤 /腎臓病のある生活の折り合いの継続 /腎臓病のある対象者を支える家族
2)腎臓病のある対象者の支援システム
3)腎臓病のある対象者を支える看護者間の積極的連携
4)透析療法を受ける患者とその家族の生活の援助
安定した透析生活 /透析患者が利用できる社会保障制度
5)腎臓移植への道