やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

私たちはなぜこの本を書いたか

 1.はじめに
 私たちはなぜこの本を書いたかということをまず述べて,本書を始めたいと思う.
 第一は,現代の日本人の食生活は大きく変化しており,従来どおりの食事指導ではとうてい補いえない状態にある.とくに糖尿病の病態是正のための食事療法は,単に栄養素の分析とカロリー計算のみでは不十分といえる.加工食品,食物嗜好の年代格差,ファーストフードの現代生活が定着していることをみれば理解できるところである.したがって,これらの多様化した食生活を考慮した食事指導があってもよいと考えたためである.
 第二は,糖尿病人口の増加と患者の生存年齢の延長に伴い,糖尿病合併症も増加している.この慢性代謝性疾患治療のターゲットは,合併症の予防と治療であるといえる.したがって,合併症をもつ糖尿病の食事療法について,とくに病態別に記載された指導書の少ないことから,ぜひ必要であると考えたためである.
 前著の『糖尿病治療のための食事指導マニュアル』を総論とすると,本書は各論ともいえるものであり,実地臨床での応用に重点を置いて書かれたものである.編集にあたっては,日常最も多く遭遇する症例を中心にして質問事項を作成し,それに解答するという形式,すなわちQ&Aとしたところに特徴がある.実地指導書として,広く利用されることを期待するものである.
 2.食生活の現状をふまえた糖尿病食事療法の考え方
 下表は現代の日本人の食生活の問題点をまとめたものである.
 現代日本人の食生活の問題点
 1.国民栄養摂取の時代推移,とくに西欧化
 2.嗜好の年代格差の拡大
 3.食物嗜好の時代的変化
 4.利便性に伴う食品加工,食習慣の変化
 5.食物繊維の減少傾向
 6.人工食品,機能性食品の出現
 これらの状況下にあって,糖尿病の食事指導も患者個人によって一定でない.また,糖尿病患者の一生を左右する重大な障害は,糖尿病によって引き起こされる合併症である.
 DCCTやUKPDS,Kumamoto Studyなど高血糖の厳重コントロールが糖尿病細小血管障害の進展を阻止することを示唆したが,高血圧にはあまり影響がなかった.しかし,実際の臨床では,高血圧,高脂血症への介入の重要性が指摘される.このことは,糖尿病合併症をもつ患者の食事治療にいっそう積極的に介入しなければならないことを示している.患者の個々の生活習慣を生かしつつ,かつまた病態とともに是正していくことが,真の食事指導である.
 米国での糖尿病治療は,積極的治療を優先している.病態改善教育において,食事や治療薬の指導に重点を置いているのが特徴である.
 疾病予防と健康増進のための食事指導と,糖尿病の食事療法とは異なる.臨床栄養とは病期・病態にあった食事指導であるが,公衆衛生的栄養学とは,保健のための栄養摂取量を評価して修正指導するものをいう.さらに,病態の時期に合わせた食事指導は,急性,重篤な状態からの回復期,さらに慢性期ともいえる状態のものも含まれ,治療の目的は個人の社会復帰にある.退院前には,日常生活と労働生活に対応した食生活を考えなければならない.とくに,回復期や慢性期にある患者の心因的要素は,その個人の歴史,伝統,文化も考慮すべきで,臨床栄養の幅広さと指導の重要性が要求される.
 環境因子として,内的および外的因子の重要性はいうまでもないが,糖尿病の発症と進展に関与している.とくに,食事の影響が大きな因子であることは明白である.
 われわれは糖尿病の食事療法をいかに教育し,どう指導するかに努力してきた.日本糖尿病学会は,昭和40(1965)年に『食品交換表』を利用する食事療法の指導理論をまず作成した.その内容も,さらにわかりやすく,使いやすいものとすべく,数次にわたる編集委員会の努力が払われてきた.とくに,その記載は初版の原則が守られてきたことからも,食生活自体のもつ治療法としての重要性と,その意義を裏づけるものであるといえよう.
 しかし,日本人の食生活が予想もしなかったほどの変還を遂げた現在,その評価と見直しをしなければならない時期にきていると考えるものである.
 3.利便性と食生活の変化
 現代社会において,利便性は商品としての“食”の重要な品質要素である.女性の社会参加が急速に進展する今日,主婦の半数以上が職業をもつ時代となった.主婦と勤労者との1人2役は,家事に使える時間が短くなることを意味する.すなわち,時間をかけずに食事に供することのできる半調理食品や調理済み食品など,利便性の高い食品への需要が高まることになる.また,近年,世帯総数の約20%に達する単身生活者にも,同様の傾向が強いことに注目しなければならない.
 これがいわゆる外食,持ち帰り弁当などの中食(ナカショク,もしくはチュウショク)であり,調理済み食品が商品として産業化を遂げ,“社会台所”という名称まで現れてきた.現在も,ますます消費者の要望する利便性を充足すべく,食の外部化社会が広がっている.
 一方,消費者側にとっては美味であることも重要であるため,栄養や原材料などについての十分な吟味や表示ができているとはいえないのが現状である.まして,治療食として満足できるものであるか,疑問のあるところである.
 この外食文化傾向に対応して,栄養管理面からも正しい食事指導が急務となってきたといえる.人間の食生活のもつ文化と健康保持について再認識し,評価しなければならない時代となったといえる.
 4.国民栄養調査にみる変動と私たちのねらい
 本格的な国民栄養調査が平成8(1996)年より実施され,平成10(1998)年度の概要発表により,日本人の身体状況,食生活状況,栄養素などの摂取状況の変動が明らかにされてきたことは,特筆すべきである.糖尿病の予防や食事指導を実践していくうえで,きわめて参考となる資料である.その要約をまとめ,その対策を考えてみたい.
 1)増える男性の「肥満」と若年女性の「やせ」
 昭和54(1979)年に比べ,男性はいずれの年代においても肥満者の割合が増加し,一方,若年女性はやせの者が増加している.日本人の肥満人口(15歳以上)は推計で2,300万人,男性で1,300万人,女性で1,000万人.ここ20年間の肥満者の割合の推移では,男性では20〜30歳代を中心に著しく増加し,女性ではほぼ横ばいであるとしている.しかし,現在では女性のやせ傾向が目立ってきたことは,国民体力の将来像を考えると,重要視しなければならない.
 2)体型に対する意識の変化:進む女性の「やせ指向」,理想もスリム化
 昭和54(1979)年に比べ,男女とも自分の体型を「太っている」と評価する者が増加し,一方「やせている」と評価する者は減少している.理想とするBMI=22は男女とも現実のBMIより低くなっており,とくに女性では現実のBMIも低いが,理想のBMIはさらに低い値となっている.体重についても,女性では15〜19歳といった若い世代において,現実と理想の差が大きくなっていることは前述のとおりである.若い女性については,ストレス社会などの影響により,食思不振,拒食症につながっていることも注目しなければならない.
 3)体重や食事コントロールの状況:男性で少ない実践
 男性では「体重コントロール」への心がけは少なく,肥満であっても4割は「心がけていない」.体重コントロールを心がける理由は,若年女性では「きれいでありたいから」,男性はいずれの年代でも「健康のため」がトップ.「いつになったら体重コントロールに心がけるか」については,20〜40歳代の男性の8割は「すぐには心がけるつもりはない」としている.このことの背景には,健康教育の不適性はいうまでもなく,学校教育の欠陥がある.
 4)進む「運動不足」の蔓延化
 「運動不足と思う」者は,昭和54(1979)年に比べ,20歳代以降で増加,とくに男性では30〜40歳代で7割を超え,女性では20〜30歳代で8割を超えている.運動不足になった時期は,15〜19歳では7割が「中学,高校生頃から」,20歳代では「高校を卒業した頃から」が5割.このことには,受験勉強やITとの関わり,娯楽嗜好の変化も関与している.学校スポーツ教育の必要性が見直されるところである.
 5)男性20歳代後半から30歳代で増える飲酒
 男性では,20歳代後半から30歳代にかけて飲酒頻度,飲酒量が増加する.飲酒が増えた理由は,20歳代から30歳代にかけては,「仕事上のつきあいが増えた」,さらに40代にかけては「ストレスが多くなった」ためといわれる.
 6)栄養素等摂取量について
 国民1人1日当たりの栄養素等の摂取量を,調査対象の平均栄養所要量に対する充足率でみると,エネルギーはほぼ適正摂取であり,カルシウムを除く栄養素については所要量を上回っている.性・年齢階級別でみると,若年層を中心に,男性ではカルシウムの充足率が低く,女性ではカルシウム,鉄の充足率が低くなっている.しかし,最近ではアンバランスな栄養過剰も増加していることに注意しなければならない.
 7)食品群別摂取量について
 主要食品群別の摂取量について,年齢階層別にみると,15〜19,20歳代で摂取量が多いのが油脂類,肉類.一方,緑黄色野菜,その他の野菜,海藻類,魚介類は若い世代では摂取量が少なく,50〜60歳代での摂取量が高い.牛乳・乳製品については7〜14歳で300gを超えるが,20歳以降は100g前後と少ない.
 8)エネルギーの栄養素別摂取構成比について
 摂取エネルギーに占めるたんぱく質,脂質,糖質の構成比をみると,脂質は平成7(1995)年以降26%を超えている.年齢階級別にみると,20〜40歳代で脂質エネルギー比率が適正比率の上限とされる25%を超えて高率である.すなわち,食の西欧化の傾向がみられる.このことが糖尿病や動脈硬化のリスクとなっている.日本人若年者の血清コレステロール値が西欧人のそれを超えていることは,今後の指導の重点事項となる.
 9)われわれの役割
 以上の重要な調査成績を有効に利用し,生活習慣に関連する疾患の対策をたてることこそ,本来の目的である.そして,それは健康医療専門職である私たちの役割である.なかでも食生活への対策は最大施策であるべきで,社会的ニーズとして21世紀のテーマとしなければならない.
 5.糖尿病の食事指導のあり方について
 これまでは,糖尿病の病型,すなわち1型糖尿病,2型糖尿病の病態に対する栄養食事指導を食事治療としてみてきた.しかし,それぞれの病型にあっても,初期から終末期まで社会活動,年齢,体力,性別によって食生活は一律でなく,いわゆるステージドマネージメント(staged management)を考えなければならないことは前述のとおりである.とくに,現代のように生活が多様化,複雑化するなか,個体とそれを取り巻く環境をトータルで考えることによって,はじめて糖尿病治療は達成できるといえよう.
 しかしながら,それは決して容易なものではなく,心のケア(心理・行動的介入法:行動変容療法)にとってみても,適正なカロリー摂取を実現させるためには,熟考期,準備期,行動期を経て,継続的食事治療へ移行することが必要である.
 食は保守的なものといわれ,食べ物の嗜好はなかなか変化しない.また,人間の食べるという本能は,エネルギーを得る本質的なものであるほか,心理的に安定した状態が得られるという側面もある.食は,人間を楽しくする最も簡単にして,共通のものといえるからである.
 先にも述べたように,現代生活は食品の多様化に加えて,とくに加工食品への要望の高まりを背景としている.さらに,各食品の調理,消化吸収,代謝反応を総合的に考慮した栄養食事指導が,糖尿病の食事療法の方向性となってきた.栄養素とエネルギー計算のみの食事指導では不十分であり,その効果を示す指標,決定因子の選び方や評価の手法は,個人個人によって異なるものである.
 とくに糖尿病は,インスリン作用不全を中心とする慢性の代謝症候群であり,その合併症は生活障害をきたす疾患の最大のものである.したがって,食事療法は薬物治療法の進展とあいまって,ますます重要となってきている.
 すなわち,私たちは『食品交換表』を主体とする糖尿病食事指導のみでなく,さらなる発展を願って,この本を書いた.諸兄諸姉のご忠言ご指導を切にお願いする次第である.
 2001年4月吉日 馬場茂明
 私たちはなぜこの本を書いたか…馬場茂明

第1章 心のケア
 治療のポイント…斎藤 登
 食事指導Q & A
  Q1 なかなか本音をいわない患者で,食事記録の信頼度が低いと思われる場合のアプローチと献立のポイントはどのようなものか.…玉木悦子
  Q2 はじめて「合併症がある」といわれて,それに反発していらいらしたり,不安感のために悩む患者に対して,献立の工夫や食卓の演出をどのようにしたらよいか.…玉木悦子
  Q3 食事をゆっくり味わいながら食べられるようにするには,どのような点に気をつければよいか.…玉木悦子
  Q4 合併症のため好きなものが思うように食べられず,抑うつ的になっている場合,献立をどのように工夫したらよいか.…玉木悦子
  Q5 合併症があり規則的な食事を摂るようにいわれたが,食事時間が不規則で夕食に偏る場合は,どのような指導をしたらよいか.…玉木悦子
  Q6 2週間程度の海外旅行に誘われた患者に対して,食事のことをどう指導したらよいか.…松岡良平
  Q7 家族の入院のため,患者自身が介護にあたらなければならなくなったとき,食生活が乱れがちになるが,どのような注意が必要か.…松岡良平
  Q8 家族や親しい友人の不幸で,心痛のため食事が乱れ,食べ物も欲しくなくなるとき,何をどうしたらよいか.…巽 達也
  Q9 上司から宴会に誘われて困り,気が重く食欲がなくなって落ち込んでいる患者に,どのように指導したらよいか.…巽 達也
  Q10 合併症のある患者が交通事故で入院,血糖値が異常に高くなり,いままでの食事が喉を通らなくなるような場合,どのように指導したらよいか.…巽 達也
  Q11 子どもが糖尿病の場合,学童期の食事と心のケアをどのようにしたらよいか.…山本國夫
  Q12 子どもが糖尿病の場合,思春期の食事と心のケアをどのようにしたらよいか.…山本國夫

第2章 低血糖
 治療のポイント…森田聰一郎
 食事指導Q & A
  Q1 低血糖を起こしやすい条件,時間帯とそれに応じた食事の摂り方はあるか.…市橋きくみ
  Q2 胃切除手術後の低血糖に対して,食事療法をどのように進めればよいか.…市橋きくみ
  Q3 アルコールを飲んだときに低血糖を起こすことがあるが,予防のための食事の注意点はどのようなものか.…市橋きくみ
  Q4 1型糖尿病の小学生で,インスリン注射をしている.学校で体育の授業中,激しい運動を行ったことから低血糖で意識がなくなった場合,どのように対処すればよいか.…畦西克己・福井富穂

第3章 シックデイ
 治療のポイント…柏木厚典
 食事指導Q & A
  Q1 1型糖尿病の小学生で,インスリン注射をしている.急な発熱や腹痛などで食事が摂れない場合,何を摂取すればよいか.…畦西克己・福井富穂
  Q2 2型糖尿病歴12年,65歳の男性で,インスリン(ペンフィル30Rを朝18単位,夕方10単位)を注射しており,HbA1C値7.5%である.1週間前から37.5度の微熱と咽頭痛,口内炎があり,近医に風邪と診断された.現在,吐き気があり,食欲がない.このようなときはお粥と梅干しでよいといわれるがどうか.また,インスリン投与と食事の関係をどのように判断し,対応したらよいか.…岩川裕美・福井富穂
  Q3 2型糖尿病の55歳,女性で,インスリン治療(ペンフィル30Rを朝16単位,夕方8単位)を受けている.メニエール症候群で,昨日より起き上がると回転性のめまいが強く,吐き気があり,食事に立ち上がることができない.このような場合,食事をどのようにしたらよいか.…岩川裕美・福井富穂
  Q4 2型糖尿病の36歳,男性で,経口血糖降下薬(グリベンクラミド7.5mg/日)にて治療中である.右下顎小臼歯の虫歯がひどくなり,昨日近くの歯科医院にて抜歯をした.まだ局所は腫れており,痛みのために噛むことができない.このような場合,食事はどのようにしたらよいか.…畦西克己・福井富穂
  Q5 慢性関節リウマチを合併した2型糖尿病の36歳,女性.経口血糖降下薬で治療を受けている.最近,腰痛と膝関節痛が強く,非ステロイド性抗炎症薬を常時服用している.昨日より上腹部痛,嘔吐があり,食欲不振が強くなってきた.この場合,最低どの程度の食事を摂取する必要があるか.そして,嘔吐した後の食事はどのようなことに気をつければよいか.また,シックデイから回復した後はどのようなことに注意をすればよいか.…畦西克己・福井富穂
  Q6 2型糖尿病でα-グルコシダーゼ阻害薬の投与を受けている75歳の男性.一昨日より急性胃炎にて下痢が続いている.市販の清涼飲料水を飲んで水分を補給しているが,食事を抜くべきか,あるいは摂るとしたらどのようなものがよいか.…畦西克己・福井富穂

第4章 糖尿病と眼合併症
 治療のポイント…山本 節
 食事指導Q & A
  Q1 糖尿病網膜症を予防する食事療法はあるか.あればどのようにすればよいか.…玉木悦子
  Q2 眼によいといわれている食物にはどのようなものがあるか.また,その効果は期待できるか.…玉木悦子
  Q3 視覚障害の患者にも視覚をイメージできるような食事の工夫には,どのようなものがあるか.…玉木悦子

第5章 糖尿病性神経障害
 治療のポイント…上田容生
 食事指導Q & A
  Q1 糖尿病性神経障害に対して有効と考えられる栄養素と,その栄養素を摂取するための食品にはどのようなものがあるか.…玉木悦子
  Q2 頑固な便秘に対しては,どのような食品が有効か.…玉木悦子
  Q3 末梢血管の循環を促すような食べ物にはどのようなものがあるか.…玉木悦子
  Q4 自律神経障害にはどのような食事指導をしたらよいか.…玉木悦子
  Q5 ED(Erectile Dysfunction)にはどのような食事指導をしたらよいか.…玉木悦子

第6章 糖尿病性足病変
 治療のポイント…上田容生
 食事指導Q & A
  Q1 糖尿病性足壊疽を予防する食事療法はあるか.あればどのようにすればよいか.…玉木悦子
  Q2 糖尿病性足潰瘍,壊疽ややけど(火傷,熱傷,凍傷)を起こした場合,傷の改善を促すような食事にはどのようなものがあるか.…玉木悦子
  Q3 やけどを予防するための調理方法や調理器具にはどのようなものがあるか.…玉木悦子

第7章 糖尿病性腎症
 治療のポイント…馬場茂明
 食事指導Q & A
  Q1 糖尿病+ネフローゼ症候群はどのように治療し,どのように食事指導したらよいか.…山本國夫
  Q2 実効性を伴う低たんぱく療法にはどのような方法があるのか.…山本國夫
  Q3 塩分とカリウムはつねに制限すべきか,またカルシウムとリンはどう管理すべきか.…山本國夫
  Q4 食欲減退期のエネルギーの供給方法はどのようにすればよいか.…山本國夫
  Q5 糖尿病性腎症治療のためのエネルギー制限は必要か.…山本國夫
  Q6 透析導入後の食事療法で,血液透析と腹膜透析に違いがあるのか.…山本國夫
  Q7 水分制限はどのようなときに必要か.…山本國夫

第8章 糖尿病と高血圧
 治療のポイント…南部征喜
 食事指導Q & A
  Q1 糖尿病患者で高血圧を合併している場合,食事をどのように指導したらよいか.…田辺節子
  Q2 糖尿病と高血圧を合併している.高血圧にはカルシウム拮抗薬を服用しており,現在血圧は130/80〜85mmHgで安定している.塩分の多い加工食品を好み,いままで食べている.味付けはできるだけうすくしているが,血圧が安定しているとき,食塩のリスクはどの程度あるか.…田辺節子
  Q3 高血圧とカリウムの関係はどのようなものか.…田辺節子
  Q4 アルコールを飲用する糖尿病患者で,高血圧治療のために利尿薬を使っている.このような場合の食事管理をどのようにしたらよいか.…田辺節子

第9章 糖尿病と脳・心血管障害
 治療のポイント…南部征喜
 食事指導Q & A
  Q1 大血管障害の指標となる検査と,日常生活や食事療法における注意点はどのようなものか.…田辺節子
  Q2 Brain Attackとリスクの関係,その治療法と関係する食事指導はどのようなものか.…南部征喜
  Q3 心筋梗塞における食事療法によるリハビリとはどのようなものか.…南部征喜
  Q4 心筋梗塞の治療食では塩分をどの程度制限すればよいか.…田辺節子
  Q5 脳卒中で半身麻痺の後遺症がある患者では,どのような食事形態,時間配分,内容とすればよいか.…田辺節子
  Q6 高コレステロール血症の患者が,心筋梗塞再発予防のために肉類を食べなくなった場合,どのような食事指導を行えばよいか.…田辺節子

第10章 糖尿病と肝障害
 治療のポイント…河原 啓
 食事指導Q & A
  Q1 糖尿病患者が急性肝炎に罹患した場合,発症初期の食事療法のポイントはどのようなものか.…玉木悦子
  Q2 糖尿病患者の急性肝炎回復期の食事療法のポイントはどのようなものか.…玉木悦子
  Q3 非活動性慢性肝炎を伴う糖尿病患者の食事療法のポイントはどのようなものか.…玉木悦子
  Q4 糖尿病を伴う肝硬変患者の場合,黄疸・腹水のある時期の食事療法はどうすればよいか.…玉木悦子
  Q5 アルコールの飲み方と食事療法はどのようにすればよいか.…玉木悦子
  Q6 肝疾患の患者の場合,ビタミン摂取にはどのような注意が必要か.…玉木悦子

第11章 糖尿病と肥満
 治療のポイント…徳永勝人
 食事指導Q & A
  Q1 糖尿病を伴う肥満の場合,摂取エネルギー何kcalぐらいから治療を始めたらよいのか.…山本國夫
  Q2 内臓脂肪型肥満の場合の内臓脂肪を減少させるには,どのような食事が必要か.…山本國夫
  Q3 体重減少が止まった場合,どのような食事指導をすればよいのか.…山本國夫
  Q4 低カロリーの間食(お菓子など)は,どのようなものを作ったらよいか.…山本國夫
  Q5 インスリン抵抗性を起こしやすい食品,あるいは栄養成分はどのようなものか.…山本國夫

第12章 糖尿病と高脂血症
 治療のポイント…芳野 原・平野 勉・鹿住 敏
 食事指導Q & A
  Q1 高脂血症IIa型を呈する糖尿病患者には,どのような食事が必要か.…植田福裕
  Q2 高脂血症IIb型を呈する糖尿病患者には,どのような食事が必要か.…植田福裕
  Q3 高TG,低HDLの糖尿病患者には,どのような食事が必要か.…植田福裕
  Q4 高脂血症が改善したとき,その後の指導をどのようにしたらよいか.…植田福裕

第13章 糖尿病と妊娠
 治療のポイント…大森安惠
 食事指導Q & A
  Q1 妊娠前の体重がほぼ標準体重に近い糖尿病妊婦の食事療法の基本はどのようなものか.…福井俊弘
  Q2 BMIが25以上の肥満妊婦に対する食事療法は,基本的にはどのくらいのエネルギー摂取にしたらよいか.胎児発育に支障をきたさない低カロリーは最低どのくらいか.…山本國夫
  Q3 妊娠中は胎児の発育を考慮して,鉄分,ビタミン,カルシウムの補給が必要と思われるが,どのような食品を選べばよいか.…福井俊弘
  Q4 妊娠中毒症や羊水過多症,高血圧が出たときの食塩制限のコツはどのようなものか.…福井俊弘
  Q5 妊娠中毒症や腎症がある妊婦の場合,胎児発育に支障のないたんぱく制限はどのようにしたらよいか.…山本國夫
  Q6 糖尿病授乳婦における摂取エネルギーはどのように計算したらよいか.…松岡良平

第14章 小児糖尿病
 治療のポイント…高橋利和
 食事指導Q & A
  Q1 小児の1型,2型糖尿病では,エネルギー量や栄養素量を成長発育にあわせてどのように決め,どのように摂取したらよいか.…堀内幸子
  Q2 小児の1型,2型糖尿病で食事療法をしている患児は,学校給食をどうすればよいか.…堀内幸子
  Q3 小児の1型,2型糖尿病でおやつは食べてもよいか.…堀内幸子
  Q4 小児の1型,2型糖尿病で,発熱,嘔吐,下痢など,シックデイのときの食事はどうすればよいか.…堀内幸子
  Q5 運動と補食の関係,そしてその必要性はどのようなものか.…堀内幸子
  Q6 子どもに理解しやすく食事療法を行うには,どのようにしたらよいか.また,いつ頃から教育していくべきか.…堀内幸子

第15章 高齢者の糖尿病
 治療のポイント…横野浩一
 食事指導Q & A
  Q1 合併症が出現した骨粗鬆症を伴うや・せ・の患者の場合,どのように食事指導をしたらよいか.…玉木悦子
  Q2 若い人と同居している高齢者で脂っこいものが多い食事の場合は,どのようにしたらよいか.…玉木悦子
  Q3 高齢者の独居や夫婦だけの二人住まいでは,食事の工夫をどのようにしたらよいか.…玉木悦子
  Q4 タバコ,酒をどう指導したらよいか.…玉木悦子
  Q5 腰痛などで運動があまりできない高齢者への食事をどう指導したらよいか.…玉木悦子
  Q6 物忘れ,軽度のボケなど認知機能障害のある高齢者への食事をどう指導したらよいか.…玉木悦子
  Q7 咀嚼力の低下や嚥下障害のある高齢者への食事指導をどうしたらよいか.…玉木悦子
  Q8 寝たきり患者の食事ではどのような点に注意すればよいか.…玉木悦子
  Q9 便秘を併発している場合,どのような食事療法があるか.…玉木悦子

第16章 糖尿病と内分泌障害
 治療のポイント…奥野巍一
 食事指導Q & A
  Q1 甲状腺機能亢進症はバセドウ病として古くから知られるが,その30〜50%に耐糖能の異常を伴う.この異常はOxyhyperglycemiaといわれる.ブドウ糖の腸管吸収促進と糖代謝亢進により初期の血糖上昇が著しく(oxyとは“鋭い,急峻”という意味),以後速やかに血糖が前値に戻る.この場合,どのように食事指導をしたらよいか.…植田福裕
  Q2 コーチゾルの過剰分泌で起こるクッシング症候群に糖代謝異常は約80%に発生し,さらに高血圧,肥満,時に低カリウム血症をきたしやすい.この場合,どのように食事指導をしたらよいか.…植田福裕
  Q3 カテコラミン過剰で起こる褐色細胞腫の耐糖能異常率は約30%である.このような症例では,高血圧と,甲状腺機能亢進を伴わない代謝亢進がしばしば起こる.この場合,どのように食事指導をしたらよいか.…奥野巍一
  Q4 成長ホルモン過剰で,巨人症と末端肥大症が起こり,約60%に耐糖能異常が発生する.肥満はあまりない.この場合,どのように食事指導をしたらよいか.…植田福裕

第17章 糖尿病と痛風
 治療のポイント…岩谷征子
 食事指導Q & A
  Q1 痛風の治療としてなぜ食事療法が大切か.…岩谷征子・三野幸治
  Q2 アルコールは高尿酸血症の原因となり,また痛風発作を起こすが,どのような点に気をつければよいか.…岩谷征子・三野幸治
  Q3 食品のプリン体をどう考えたらよいか.…岩谷征子・三野幸治
  Q4 日常生活のなかで,無症候のときの食事指導は具体的にどのように行えばよいか.…岩谷征子・三野幸治

第18章 糖尿病合併症と外食
 治療のポイント…徳永勝人
 食事指導Q & A
  Q1 レトルト食品,調理済み惣菜や宅配サービスを利用するにはどうしたらよいか.…山本卓也
  Q2 肥満を伴う糖尿病の場合,外食をどのように摂ったらよいか.…安井洋子

第19章 糖尿病に必要な臨床検査
 検査項目と選び方とデータの見方…亀野靖郎
 食事指導Q & A
  Q1 糖尿病マネージメントに必要な検査項目は,どのようなものがあるか.
  Q2 同じ日の同じ時間に測定した血糖値に差がある場合,どう考えればよいか.
  Q3 血糖値が高くないのに尿糖が陽性になることがあるが,なぜか.
  Q4 投与薬剤や食品が判定値に影響を与えることがあるが,どのようなものがあるか.
  Q5 アセトン体陽性尿のとき,何を考えたらよいか.
  Q6 エネルギー制限時,栄養評価に必要な検査にはどのようなものがあるか.
  Q7 簡易血糖測定器の選び方と適切な使用法は,どのようなものか.
  Q8 血糖値の単位にはmg/dlとmmol/lとあるが,どちらが正しいか.また,採血部位によって差があるが,その違いはどのようなものか.

第20章 糖尿病臨床に用いる医薬品と栄養素との関係
 食事指導時に注意すべき医薬品と栄養素との相互作用…馬場茂明・南部征喜

 付録
 索引