序文
本書はdysarthriaについての教科書をつくることをめざして執筆された.19世紀中葉,ドイツのKussmaulは構音障害-語音をつくる過程の障害-をDysglossie,Dyslalie,Dysarthrieの3種に分類した.現在のわが国における構音障害の分類はほぼこれに従っているといえよう.
このうちDysarthrie(英語ではdysarthria)については一般に“ことばの生成に関連した運動を制御する筋・神経系の異常に起因する構音の障害”と定義される.本書でも基本的にこの定義に従って記述を進めることとした.
“Dysarthria”の邦訳については,長く麻痺性構音障害という用語が用いられてきた.しかし例えば失調性構音障害のように,麻痺によらない構音の障害もこの概念に含まれるところから,用語の不適切性が指摘されてきた.さらに1960年代になって米国のDarleyらが筋・神経機構の破綻としてのdysarthriaと,運動プログラミング機構の障害としてのapraxia of speech(発語失行症)を一括してmotor speech disordersと定義したことに触発され,このうちのdysarthriaを運動障害性構音障害と呼ぶことが一般化したのである.例えば日本音声言語医学会における委員会活動や,あるいは言語聴覚士国家試験出題基準などにおいてこの用語が用いられている現状である.このような背景のもとに本書においては,表題に「運動障害性構音障害」という用語を用い,この病態には狭義の構音の要素のほか,呼吸,発声,プロソディなど,oral speechの各要素の障害を含めて考えることとした.さらに臨床的な立場から,各種の病態において,ことばの障害に併発することの多い嚥下機能の障害についても触れることとした.
本書においてはまず運動障害性構音障害の臨床の枠組みについて述べたあと,話しことばの生成についての解剖,生理学的事項について解説し,またことばの音に関する基本的知識を整理した.そのうえで各種の神経障害の臨床的特徴について述べ,それぞれに伴う構音障害の病態とその評価,治療・訓練について,できるだけ最近の知見を盛り込むように努めながら記述した.
本書の執筆にあたって読者対象としては言語聴覚士および言語聴覚士をめざす学生を想定した.その主な理由は言語聴覚士の業務を遂行する上で運動障害性構音障害についての知識が不可欠であると考えたからに他ならない.いうまでもなく言語聴覚士がカバーすべき領域はかなり広く,音声,構音,言語,聴覚,嚥下などの諸機能の病態と,それに対する訓練,治療的アプローチについての基礎知識が要求されている現状である.このうちでも話しことばの生成に直接関与する構音機能についての知識は,言語聴覚士の日常臨床において最も基本的なものの一つであると考えられる.読者諸氏にあっては,言語障害学を医学の一分野としてとらえ,構音訓練を神経機構および運動の病態の理解に立脚する体系として構築していくことを目指していただきたい.そのためには話しことばの生理学,神経学,病理学を学ぶことが不可欠となる.このような見地から,本書においては特に第2章「ことばの産生の仕組み」や第3章「運動障害性構音障害の病態」などを中心にこれらの領域の記述に力点を置くように努めた.本書が言語聴覚士の知識の整理のうえで役立つものになることを期待している.
さらに本書が言語聴覚士のみならず,この領域の臨床に携わる医師をはじめとする医療関係者にとって有用なものとなることを願っている.
2001年2月 廣瀬 肇 柴田貞雄 白坂康俊
本書はdysarthriaについての教科書をつくることをめざして執筆された.19世紀中葉,ドイツのKussmaulは構音障害-語音をつくる過程の障害-をDysglossie,Dyslalie,Dysarthrieの3種に分類した.現在のわが国における構音障害の分類はほぼこれに従っているといえよう.
このうちDysarthrie(英語ではdysarthria)については一般に“ことばの生成に関連した運動を制御する筋・神経系の異常に起因する構音の障害”と定義される.本書でも基本的にこの定義に従って記述を進めることとした.
“Dysarthria”の邦訳については,長く麻痺性構音障害という用語が用いられてきた.しかし例えば失調性構音障害のように,麻痺によらない構音の障害もこの概念に含まれるところから,用語の不適切性が指摘されてきた.さらに1960年代になって米国のDarleyらが筋・神経機構の破綻としてのdysarthriaと,運動プログラミング機構の障害としてのapraxia of speech(発語失行症)を一括してmotor speech disordersと定義したことに触発され,このうちのdysarthriaを運動障害性構音障害と呼ぶことが一般化したのである.例えば日本音声言語医学会における委員会活動や,あるいは言語聴覚士国家試験出題基準などにおいてこの用語が用いられている現状である.このような背景のもとに本書においては,表題に「運動障害性構音障害」という用語を用い,この病態には狭義の構音の要素のほか,呼吸,発声,プロソディなど,oral speechの各要素の障害を含めて考えることとした.さらに臨床的な立場から,各種の病態において,ことばの障害に併発することの多い嚥下機能の障害についても触れることとした.
本書においてはまず運動障害性構音障害の臨床の枠組みについて述べたあと,話しことばの生成についての解剖,生理学的事項について解説し,またことばの音に関する基本的知識を整理した.そのうえで各種の神経障害の臨床的特徴について述べ,それぞれに伴う構音障害の病態とその評価,治療・訓練について,できるだけ最近の知見を盛り込むように努めながら記述した.
本書の執筆にあたって読者対象としては言語聴覚士および言語聴覚士をめざす学生を想定した.その主な理由は言語聴覚士の業務を遂行する上で運動障害性構音障害についての知識が不可欠であると考えたからに他ならない.いうまでもなく言語聴覚士がカバーすべき領域はかなり広く,音声,構音,言語,聴覚,嚥下などの諸機能の病態と,それに対する訓練,治療的アプローチについての基礎知識が要求されている現状である.このうちでも話しことばの生成に直接関与する構音機能についての知識は,言語聴覚士の日常臨床において最も基本的なものの一つであると考えられる.読者諸氏にあっては,言語障害学を医学の一分野としてとらえ,構音訓練を神経機構および運動の病態の理解に立脚する体系として構築していくことを目指していただきたい.そのためには話しことばの生理学,神経学,病理学を学ぶことが不可欠となる.このような見地から,本書においては特に第2章「ことばの産生の仕組み」や第3章「運動障害性構音障害の病態」などを中心にこれらの領域の記述に力点を置くように努めた.本書が言語聴覚士の知識の整理のうえで役立つものになることを期待している.
さらに本書が言語聴覚士のみならず,この領域の臨床に携わる医師をはじめとする医療関係者にとって有用なものとなることを願っている.
2001年2月 廣瀬 肇 柴田貞雄 白坂康俊
序文
第1章 運動障害性構音障害臨床の枠組み(柴田貞雄)
1 運動障害性構音障害とは
1 臨床の流れと知識の整理
2 定義と種類(範囲)
3 「運動障害性構音障害」という呼称について
2 Dysarthriaの原因疾患とDysarthria患者数
1 錐体路系疾患
1 脳血管障害
2 中枢神経の脱髄疾患
3 筋萎縮性側索硬化症
2 錐体外路系疾患
1 パーキンソニズム
2 ハンチントン病
3 ジストニア
4 Wilson病
3 小脳系疾患
4 運動ニューロン疾患および下部脳神経疾患
1 筋萎縮性側索硬化症
2 球脊髄性筋萎縮症
3 各種ポリニューロパチー
4 反回神経麻痺
5 延髄疾患
1 多発性硬化症
2 神経ベーチェット病
3 延髄空洞症
6 神経筋接合部疾患
7 筋疾患
1 進行性筋ジストロフィー
2 筋緊張性ジストロフィー
3 先天性ミオパチー
4 ミトコンドリア脳筋症
5 多発性筋炎
3 症状と検査法
1 構音症状
2 構音症状の検査
1 発話特徴抽出検査(聴覚印象評価法)
2 系統的構音・プロソディ検査法
3 自由発話法-簡易検査
3 構音器官の症状
4 構音器官の検査
1 構音器官の随意運動検査
2 構音器官の部位ごとの検査
5 付随する症状
6 その他の検査
1 神経学的検査
2 構音動態検査
4 診断
5 リハビリテーション
1 基本方針-患者の願いと言語聴覚士の目指す方向
2 リハビリテーションの総合的方策
1 医学的治療・管理
2 発声発語器官に対する治療
3 訓練
4 コミュニケーションの補助・代替
3 チームアプローチ-成員と役割
4 医師・歯科医師の指示・指導下の言語聴覚士の臨床実践
第2章 ことばの産生の仕組み(廣瀬 肇)
1 ことばによるコミュニケーション-発声と構音
2 発声・構音器官の構造
1 呼吸器系
1 肺,気管,気管支
2 胸郭と横隔膜
3 補助呼吸筋
2 喉頭
1 喉頭の枠組み
2 喉頭筋
3 喉頭の内腔
4 喉頭の神経支配
3 付属管腔
1 声道
2 咽頭
3 口腔
4 下顎
5 舌
6 口蓋帆
7 口唇
3 発話機構-音声信号産生時の発声・構音器官の調節
1 呼吸調節
1 呼吸運動と肺容量
2 発声時の呼気調節
2 発声時の喉頭調節
1 声の成立-声帯振動機構
2 声の強さ,高さ,および音源の調節
3 ことばの音の喉頭調節
3 構音(調音)時の付属管腔の調節
1 構音と下顎の開閉
2 舌の運動
3 口蓋帆の運動と鼻咽腔開放度の調節
4 口唇と構音
4 構音器官の運動速度について
5 構音点と構音の様式
4 ことばの音の性質
1 分節的特徴と音声学
2 音声記号と音韻記号
3 母音と子音
1 母音の性質と分類
2 子音の性質と分類
4 連続した発話
5 ことばの神経機構
1 神経系の構造
1 ニューロン
2 中枢神経系と末梢神経系
2 神経系の機能
1 運動指令
2 反射とフィードバック
3 筋活動に関する特殊な調節機構
3 発声・構音(発話)運動の神経制御
1 大脳皮質運動野からの神経支配
2 錐体外路系の機能-基底核を中心に
3 小脳の機能
4 発声の中枢支配-動物における知見
第3章 運動障害性構音障害の病態(廣瀬 肇)
1 運動障害性構音障害の分類
2 原因疾患の神経学
1 痙性麻痺をきたす疾患とその病態
2 弛緩性麻痺をきたす疾患とその病態
3 失調をきたす疾患とその病態
4 運動低下をきたす疾患とその病態
5 運動過多をきたす疾患とその病態
1 急速型
2 緩徐型
6 混合型の障害について
1 筋萎縮性側索硬化症
2 多系統萎縮症-特にShy-Drager症候群(SDS)
3 多発性硬化症
4 Wilson病
3 運動障害性構音障害の症候学
1 構音障害の概要
1 声の障害
2 構音の障害
3 プロソディの障害
2 原疾患の種類(タイプ)別にみた発声・構音の障害
1 痙性麻痺性障害
2 弛緩性麻痺性障害
3 失調性障害
4 運動低下性障害
5 運動過多性障害
6 混合性障害-筋萎縮性側索硬化症について
3 嚥下の障害
1 嚥下機構の概観
2 嚥下障害の原因と分類
3 動的嚥下障害の病態と誤嚥の起こり方
4 運動障害性構音障害の各タイプにおける嚥下障害の病態
第4章 検査・評価から訓練プログラム立案へ(白坂康俊)
1 検査・診断・評価の流れ
1 検査の概要
1 検査の種類と目的
2 検査・評価と診断の流れ
3 診断と鑑別
4 方針決定およびプログラムの策定
5 終了あるいは方針の修正
2 評価から機能訓練プログラムへ
1 音の誤りの発現機序
2 音の誤りと発声発語器官の運動制限
3 訓練プログラムの実践と拡大
2 問診および情報の収集
1 言語聴覚療法に必要な情報
1 個人に関する情報
2 原疾患に関する情報
3 言語障害に関する情報
4 心理的な問題,障害受容,QOL
2 情報収集の時期と方法
1 リハビリテーションスタッフ間の情報交換
2 本人・家族などへの問診と継続的な情報収集(コミュニケーション)
3 ことばの音の評価
1 言語病理学的評価
1 目的
2 概要
3 検査の内容
2 音声学的記述
1 目的
2 課題
3 課題提示方法
4 記述の方法
5 既存の検査リスト
3 聴覚印象評価……(廣瀬 肇)
4 音響分析による評価……(廣瀬 肇)
1 声の要素についての音響分析的アプローチ
2 ことばの音の要素に関する分析
5 プロソディの評価
1 プロソディとは
2 プロソディの評価
4 調音音声学的評価
1 調音運動の検査と評価(〔評価表1〕による評価)
1 概要
2 検査の実際
5 発声発語器官の検査と評価
1 構音器官の随意運動検査……(柴田貞雄)
1 口唇
2 舌
3 口蓋帆・咽頭
4 下顎
5 喉頭
6 呼吸
7 摂食動作
2 発声発語器官の評価(〔評価表2〕による評価)
1 姿勢
2 呼吸器
3 喉頭
4 軟口蓋
5 下顎
6 舌
7 口唇
8 顎・舌・口唇の協調運動
3 構音器官の動態解析……(廣瀬 肇)
1 X線マイクロビームシステムの応用
2 マグネトメータの応用
3 超音波による解析
4 位置記録による解析
5 光電声門図による声帯運動の解析
6 その他の方法
6 その他の評価
1 心理的問題の評価
1 障害受容と心理的な問題
2 障害受容の評価
2 代償手段・代行機器の適応評価
3 その他の検査
7 評価留意点と鑑別
1 検査における留意点・予後・検査(訓練)機器
1 検査における留意点
2 予後
3 検査(訓練)機器
2 異常運動の評価の留意点
3 鑑別
1 弛緩性麻痺
2 痙性麻痺
3 失調
4 運動低下
5 運動過多
第5章 治療とリハビリテーション(白坂康俊)
1 リハビリテーションの流れ
1 運動障害性構音障害の臨床
1 急性期のリハビリテーション
2 回復期のリハビリテーション
3 維持期のリハビリテーション
2 臨床の実際
1 臨床の形態
2 訓練時間と頻度
3 空間
4 機能訓練における留意点
5 臨床の運用
3 運動障害性構音障害のリハビリテーションにおける留意点
1 医学的リスク管理
2 感染予防
3 事故防止
4 合併症
5 口腔内の衛生について
6 痛みや疲労への配慮
7 心理面への配慮
8 接遇
9 患者との距離
10 服装
4 進行性疾患・変性疾患のリハビリテーション
1 進行性疾患・変性疾患の言語臨床
2 臨床の形態・時間・空間
3 留意点
2 薬物療法と手術的治療……(廣瀬 肇)
1 薬物療法
1 痙性麻痺性障害に対する薬物療法
2 弛緩性麻痺性障害に対する薬物療法
3 失調性障害に対する薬物療法
4 運動減少型障害(特にParkinson病)に対する薬物療法
5 運動過多型障害(特に舞踏病)に対する薬物療法
6 混合型障害に対する薬物療法
2 手術的治療
1 軟口蓋運動不全に対する手術
2 声門閉鎖不全に対する手術
3 気管切開術
4 嚥下障害・誤嚥に対する手術的治療
3 運動障害性構音障害に対する代償的手段
1 代償手段とAACの定義
1 健常者の言語処理過程モデル
2 代償手段の適応
3 代償モデル
4 適応の時期と目的
5 適用と装用訓練
6 進行性疾患・変性疾患への代償的手段の適用
2 代償手段の実際
1 音声出力装置
2 装具
3 気管切開の音声確保
4 コミュニケーションノート類
5 テレコミュニケーション
4 機能訓練
1 機能訓練の原理と原則
1 訓練の原則
2 訓練の原理
3 訓練の適応
4 進行性疾患・変性疾患への訓練適応
2 タイプ別訓練法
1 弛緩性麻痺
2 痙性麻痺の訓練
3 失調
4 運動低下および運動過多
5 混合性
6 発語失行
7 進行性疾患・変性疾患
3 訓練の組み立て
4 粗大運動の機能訓練
1 姿勢
2 呼吸
3 発声
4 鼻咽腔閉鎖
5 口唇・舌・下顎
6 摂食・嚥下訓練
7 ストレッチ
5 構音動作訓練
1 顎の閉鎖
2 舌の構え
3 口唇の丸め
4 口唇閉鎖
5 舌縁硬口蓋閉鎖
6 舌尖硬口蓋接触
7 舌口蓋せばめ
8 奥舌挙上
9 呼気操作
10 口腔内圧上昇
11 瞬間的開放(破裂)
12 摩擦操作
13 破擦操作
14 弾き
15 発声
16 母音とのわたり
17 有声無声の対立
6 音の産生
1 音素レベル
2 統合そして般化
7 プロソディ
1 プロソディ訓練の組み立て
2 訓練の実際
5 障害受容・家族指導・地域リハビリテーション
1 障害受容と心理的問題への対応
1 障害の受容の実際
2 言語障害者の環境
3 真の障害受容
4 カウンセリング
5 活動および環境の調整
6 進行性疾患・変性疾患の心理的問題
2 家族指導
1 家族への情報提供と指導
2 自己訓練
3 グループ訓練
3 地域リハビリテーション
1 地域リハビリテーションの定義
2 地域リハビリテーションの活動
3 地域リハビリテーションの課題
6 摂食・嚥下障害のリハビリテーションとチームアプローチの実際
1 摂食・嚥下障害リハビリテーションにおける言語聴覚士の役割
2 リハビリテーションの流れ
1 検査・評価
2 直接的訓練と病棟管理
3 各部門の間接的訓練
4 カンファレンス
5 家族指導
6 進行性疾患・変性疾患の嚥下リハビリテーション
3 検査・評価
1 摂食・嚥下器官の基本的な形態や検査
2 摂食動作の評価
3 その他の評価
4 発声発語機能の検査
4 リハビリテーション
1 機能訓練
2 介助
3 心理的問題
4 気管切開の管理とコミュニケーション確保
5 口腔ケア
6 在宅へ向けて
7 手術などの適応
5 チームアプローチ
1 嚥下リハビリテーションにおけるチームアプローチ
2 運動障害性構音障害のチームアプローチ
3 リハビリテーション・チームアプローチのあり方
4 病棟拠点主義
5 リハビリテーションの時期によるチームアプローチの変化
6 進行性疾患・変性疾患へのチームアプローチ
文献
和文索引
欧文索引
第1章 運動障害性構音障害臨床の枠組み(柴田貞雄)
1 運動障害性構音障害とは
1 臨床の流れと知識の整理
2 定義と種類(範囲)
3 「運動障害性構音障害」という呼称について
2 Dysarthriaの原因疾患とDysarthria患者数
1 錐体路系疾患
1 脳血管障害
2 中枢神経の脱髄疾患
3 筋萎縮性側索硬化症
2 錐体外路系疾患
1 パーキンソニズム
2 ハンチントン病
3 ジストニア
4 Wilson病
3 小脳系疾患
4 運動ニューロン疾患および下部脳神経疾患
1 筋萎縮性側索硬化症
2 球脊髄性筋萎縮症
3 各種ポリニューロパチー
4 反回神経麻痺
5 延髄疾患
1 多発性硬化症
2 神経ベーチェット病
3 延髄空洞症
6 神経筋接合部疾患
7 筋疾患
1 進行性筋ジストロフィー
2 筋緊張性ジストロフィー
3 先天性ミオパチー
4 ミトコンドリア脳筋症
5 多発性筋炎
3 症状と検査法
1 構音症状
2 構音症状の検査
1 発話特徴抽出検査(聴覚印象評価法)
2 系統的構音・プロソディ検査法
3 自由発話法-簡易検査
3 構音器官の症状
4 構音器官の検査
1 構音器官の随意運動検査
2 構音器官の部位ごとの検査
5 付随する症状
6 その他の検査
1 神経学的検査
2 構音動態検査
4 診断
5 リハビリテーション
1 基本方針-患者の願いと言語聴覚士の目指す方向
2 リハビリテーションの総合的方策
1 医学的治療・管理
2 発声発語器官に対する治療
3 訓練
4 コミュニケーションの補助・代替
3 チームアプローチ-成員と役割
4 医師・歯科医師の指示・指導下の言語聴覚士の臨床実践
第2章 ことばの産生の仕組み(廣瀬 肇)
1 ことばによるコミュニケーション-発声と構音
2 発声・構音器官の構造
1 呼吸器系
1 肺,気管,気管支
2 胸郭と横隔膜
3 補助呼吸筋
2 喉頭
1 喉頭の枠組み
2 喉頭筋
3 喉頭の内腔
4 喉頭の神経支配
3 付属管腔
1 声道
2 咽頭
3 口腔
4 下顎
5 舌
6 口蓋帆
7 口唇
3 発話機構-音声信号産生時の発声・構音器官の調節
1 呼吸調節
1 呼吸運動と肺容量
2 発声時の呼気調節
2 発声時の喉頭調節
1 声の成立-声帯振動機構
2 声の強さ,高さ,および音源の調節
3 ことばの音の喉頭調節
3 構音(調音)時の付属管腔の調節
1 構音と下顎の開閉
2 舌の運動
3 口蓋帆の運動と鼻咽腔開放度の調節
4 口唇と構音
4 構音器官の運動速度について
5 構音点と構音の様式
4 ことばの音の性質
1 分節的特徴と音声学
2 音声記号と音韻記号
3 母音と子音
1 母音の性質と分類
2 子音の性質と分類
4 連続した発話
5 ことばの神経機構
1 神経系の構造
1 ニューロン
2 中枢神経系と末梢神経系
2 神経系の機能
1 運動指令
2 反射とフィードバック
3 筋活動に関する特殊な調節機構
3 発声・構音(発話)運動の神経制御
1 大脳皮質運動野からの神経支配
2 錐体外路系の機能-基底核を中心に
3 小脳の機能
4 発声の中枢支配-動物における知見
第3章 運動障害性構音障害の病態(廣瀬 肇)
1 運動障害性構音障害の分類
2 原因疾患の神経学
1 痙性麻痺をきたす疾患とその病態
2 弛緩性麻痺をきたす疾患とその病態
3 失調をきたす疾患とその病態
4 運動低下をきたす疾患とその病態
5 運動過多をきたす疾患とその病態
1 急速型
2 緩徐型
6 混合型の障害について
1 筋萎縮性側索硬化症
2 多系統萎縮症-特にShy-Drager症候群(SDS)
3 多発性硬化症
4 Wilson病
3 運動障害性構音障害の症候学
1 構音障害の概要
1 声の障害
2 構音の障害
3 プロソディの障害
2 原疾患の種類(タイプ)別にみた発声・構音の障害
1 痙性麻痺性障害
2 弛緩性麻痺性障害
3 失調性障害
4 運動低下性障害
5 運動過多性障害
6 混合性障害-筋萎縮性側索硬化症について
3 嚥下の障害
1 嚥下機構の概観
2 嚥下障害の原因と分類
3 動的嚥下障害の病態と誤嚥の起こり方
4 運動障害性構音障害の各タイプにおける嚥下障害の病態
第4章 検査・評価から訓練プログラム立案へ(白坂康俊)
1 検査・診断・評価の流れ
1 検査の概要
1 検査の種類と目的
2 検査・評価と診断の流れ
3 診断と鑑別
4 方針決定およびプログラムの策定
5 終了あるいは方針の修正
2 評価から機能訓練プログラムへ
1 音の誤りの発現機序
2 音の誤りと発声発語器官の運動制限
3 訓練プログラムの実践と拡大
2 問診および情報の収集
1 言語聴覚療法に必要な情報
1 個人に関する情報
2 原疾患に関する情報
3 言語障害に関する情報
4 心理的な問題,障害受容,QOL
2 情報収集の時期と方法
1 リハビリテーションスタッフ間の情報交換
2 本人・家族などへの問診と継続的な情報収集(コミュニケーション)
3 ことばの音の評価
1 言語病理学的評価
1 目的
2 概要
3 検査の内容
2 音声学的記述
1 目的
2 課題
3 課題提示方法
4 記述の方法
5 既存の検査リスト
3 聴覚印象評価……(廣瀬 肇)
4 音響分析による評価……(廣瀬 肇)
1 声の要素についての音響分析的アプローチ
2 ことばの音の要素に関する分析
5 プロソディの評価
1 プロソディとは
2 プロソディの評価
4 調音音声学的評価
1 調音運動の検査と評価(〔評価表1〕による評価)
1 概要
2 検査の実際
5 発声発語器官の検査と評価
1 構音器官の随意運動検査……(柴田貞雄)
1 口唇
2 舌
3 口蓋帆・咽頭
4 下顎
5 喉頭
6 呼吸
7 摂食動作
2 発声発語器官の評価(〔評価表2〕による評価)
1 姿勢
2 呼吸器
3 喉頭
4 軟口蓋
5 下顎
6 舌
7 口唇
8 顎・舌・口唇の協調運動
3 構音器官の動態解析……(廣瀬 肇)
1 X線マイクロビームシステムの応用
2 マグネトメータの応用
3 超音波による解析
4 位置記録による解析
5 光電声門図による声帯運動の解析
6 その他の方法
6 その他の評価
1 心理的問題の評価
1 障害受容と心理的な問題
2 障害受容の評価
2 代償手段・代行機器の適応評価
3 その他の検査
7 評価留意点と鑑別
1 検査における留意点・予後・検査(訓練)機器
1 検査における留意点
2 予後
3 検査(訓練)機器
2 異常運動の評価の留意点
3 鑑別
1 弛緩性麻痺
2 痙性麻痺
3 失調
4 運動低下
5 運動過多
第5章 治療とリハビリテーション(白坂康俊)
1 リハビリテーションの流れ
1 運動障害性構音障害の臨床
1 急性期のリハビリテーション
2 回復期のリハビリテーション
3 維持期のリハビリテーション
2 臨床の実際
1 臨床の形態
2 訓練時間と頻度
3 空間
4 機能訓練における留意点
5 臨床の運用
3 運動障害性構音障害のリハビリテーションにおける留意点
1 医学的リスク管理
2 感染予防
3 事故防止
4 合併症
5 口腔内の衛生について
6 痛みや疲労への配慮
7 心理面への配慮
8 接遇
9 患者との距離
10 服装
4 進行性疾患・変性疾患のリハビリテーション
1 進行性疾患・変性疾患の言語臨床
2 臨床の形態・時間・空間
3 留意点
2 薬物療法と手術的治療……(廣瀬 肇)
1 薬物療法
1 痙性麻痺性障害に対する薬物療法
2 弛緩性麻痺性障害に対する薬物療法
3 失調性障害に対する薬物療法
4 運動減少型障害(特にParkinson病)に対する薬物療法
5 運動過多型障害(特に舞踏病)に対する薬物療法
6 混合型障害に対する薬物療法
2 手術的治療
1 軟口蓋運動不全に対する手術
2 声門閉鎖不全に対する手術
3 気管切開術
4 嚥下障害・誤嚥に対する手術的治療
3 運動障害性構音障害に対する代償的手段
1 代償手段とAACの定義
1 健常者の言語処理過程モデル
2 代償手段の適応
3 代償モデル
4 適応の時期と目的
5 適用と装用訓練
6 進行性疾患・変性疾患への代償的手段の適用
2 代償手段の実際
1 音声出力装置
2 装具
3 気管切開の音声確保
4 コミュニケーションノート類
5 テレコミュニケーション
4 機能訓練
1 機能訓練の原理と原則
1 訓練の原則
2 訓練の原理
3 訓練の適応
4 進行性疾患・変性疾患への訓練適応
2 タイプ別訓練法
1 弛緩性麻痺
2 痙性麻痺の訓練
3 失調
4 運動低下および運動過多
5 混合性
6 発語失行
7 進行性疾患・変性疾患
3 訓練の組み立て
4 粗大運動の機能訓練
1 姿勢
2 呼吸
3 発声
4 鼻咽腔閉鎖
5 口唇・舌・下顎
6 摂食・嚥下訓練
7 ストレッチ
5 構音動作訓練
1 顎の閉鎖
2 舌の構え
3 口唇の丸め
4 口唇閉鎖
5 舌縁硬口蓋閉鎖
6 舌尖硬口蓋接触
7 舌口蓋せばめ
8 奥舌挙上
9 呼気操作
10 口腔内圧上昇
11 瞬間的開放(破裂)
12 摩擦操作
13 破擦操作
14 弾き
15 発声
16 母音とのわたり
17 有声無声の対立
6 音の産生
1 音素レベル
2 統合そして般化
7 プロソディ
1 プロソディ訓練の組み立て
2 訓練の実際
5 障害受容・家族指導・地域リハビリテーション
1 障害受容と心理的問題への対応
1 障害の受容の実際
2 言語障害者の環境
3 真の障害受容
4 カウンセリング
5 活動および環境の調整
6 進行性疾患・変性疾患の心理的問題
2 家族指導
1 家族への情報提供と指導
2 自己訓練
3 グループ訓練
3 地域リハビリテーション
1 地域リハビリテーションの定義
2 地域リハビリテーションの活動
3 地域リハビリテーションの課題
6 摂食・嚥下障害のリハビリテーションとチームアプローチの実際
1 摂食・嚥下障害リハビリテーションにおける言語聴覚士の役割
2 リハビリテーションの流れ
1 検査・評価
2 直接的訓練と病棟管理
3 各部門の間接的訓練
4 カンファレンス
5 家族指導
6 進行性疾患・変性疾患の嚥下リハビリテーション
3 検査・評価
1 摂食・嚥下器官の基本的な形態や検査
2 摂食動作の評価
3 その他の評価
4 発声発語機能の検査
4 リハビリテーション
1 機能訓練
2 介助
3 心理的問題
4 気管切開の管理とコミュニケーション確保
5 口腔ケア
6 在宅へ向けて
7 手術などの適応
5 チームアプローチ
1 嚥下リハビリテーションにおけるチームアプローチ
2 運動障害性構音障害のチームアプローチ
3 リハビリテーション・チームアプローチのあり方
4 病棟拠点主義
5 リハビリテーションの時期によるチームアプローチの変化
6 進行性疾患・変性疾患へのチームアプローチ
文献
和文索引
欧文索引