やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

第2版の発刊に寄せて
 この度,医歯薬出版から日本小児歯科学会編『小児歯科学専門用語集 第2版』が刊行される運びとなりました.これまで,日本小児歯科学会では昭和52年に『1975年度日本小児歯科学会選定用語集原案』を作成し,また昭和61年8月には『1985年度日本小児歯科学会選定用語集』を発刊しています.その後20年以上を経て,平成20年5月に発刊された日本小児歯科学会編『小児歯科学専門用語集』は,当時の学術用語委員会(委員長:木裕三先生)のご尽力によりまとめられたもので,各用語の解説を掲載した専門用語集の初版となるものでした.そして,本書は初版の発刊から10年以上の歳月を経て編纂されましたが,その編集過程において『日本歯科医学会学術用語集 第2版』の発刊と重なったこともあり,日本歯科医学会の事業に協力しながらの作業が膨大な量となったことは想像に難くありません.今回の本書の発刊は,日本小児歯科学会学術用語委員会委員長の島村和宏先生をはじめ,委員の皆様のご尽力の賜であるといえます.
 日本における小児歯科学が学問的体系を確立してから約60年の歳月を経て,少子高齢化という社会環境の変貌と疾病構造の変化に伴い,社会の歯科医療へのニーズも変化してきました.小児歯科医療は過去40年間で齲蝕治療を中心とするものから,齲蝕の予防と健全な歯列・咬合の育成へと変化し,現在では,それに加えて口腔機能の発達支援を含む包括的な医療を担うべくその役割を大きく変化させています.その間,学術用語は教授要綱や歯科医師国家試験出題基準等の記載事項を反映した段階から,その後導入された歯学教育モデル・コア・カリキュラムやCBT,OSCE等共用試験に関する内容を含むものに発展しています.現在,医学や医療の発展に伴い,学術用語は多岐にわたっていますが,科学技術の進歩と情報化社会の中で,専門的学術用語は常に「一語一意」として適切に使用されなければなりません.その一方で「言葉」は生き物であると言われるように時代とともに変化しており,常に新たな用語も生まれています.小児歯科学専門用語についても,今後の時代の流れに沿って見直していく必要があります.
 今回,日本小児歯科学会が公益社団法人として初めて発刊することとなった『小児歯科学専門用語集第2版』は,学術団体として専門的学術用語に関する統一した見解を示すものであり,国民の健康と福祉に広く貢献するための役割を担うものでなければなりません.本書が,小児歯科専門医や小児歯科学会認定歯科衛生士を含めた学会会員のみならず,日常小児の診療に従事する歯科医師や医師,歯科衛生士,看護師から,保健師や保育士,さらに行政や教育関連職種,卒後臨床研修医や学部学生に至るまで,幅広く有効に活用していただけることを切に願っています.
 最後に,本書の刊行に際して,多大なご尽力とご協力をいただいた本学会学術用語委員会委員の皆様と関連する全国小児歯科学講座の皆様,さらに医歯薬出版の関係者の皆様に敬意を表するとともに深甚なる感謝を捧げます.
 令和元年(2019年) 12月
 公益社団法人日本小児歯科学会
 理事長 木本茂成


第2版 序文
 日本小児歯科学会は1977年から,小児歯科学に関する用語集を学会選定用語集としてまとめ,1986年,2006年に発行し,学術発表あるいは教育現場の基準としてきました.
 さらに,「歯学教育モデル・コア・カリキュラム」の作成と,CBT(Computer BasedTesting)やOSCE(Objective Structured Clinical Examination)の実施,あるいは歯科医師国家試験出題基準の改訂などの歯学教育改革を受けて,学術用語の整理とともに内容に関する標準化も要求されるようになってきたことから,2008年に『小児歯科学専門用語集』を出版しました.科学の進歩は日々続いており,学術用語もその数を増して内容の変化もみられます.そうした学術用語を理解しまとめることは,次世代教育のために必要不可欠であり,日常臨床における診断や治療に関わる共通認識を保つ上でも重要と考えられます.
 これまで蓄積されてきた学術用語について,あらためて整理する必要があることから,2013年より用語集の改訂作業に取りかかってまいりました.初版の方針を継承しながら,日常で使用することの少ない用語を削除し,新たに理解・普及が必要な用語を取り入れました.また,他分野での研究・教育状況ならびに他学会の学術用語集をもとに説明文の内容にも一部修正を加えました.執筆内容については,日本小児歯科学会理事会等でもご意見を頂戴し参考としながら,学術用語委員会で検討を行って最終稿といたしました.これらの手順については日本小児歯科学会理事会での議を経て進めさせていただきました.
 本書の発行は,小児歯科学の研究・教育・臨床に多忙ななか,執筆・編集などにご協力いただいた各位,ならびに刊行を担当していただいた医歯薬出版のご尽力の賜物であります.ご協力に対し深く感謝いたします.
 本書の編集は計画から発刊までの間に,歯科医師国家試験出題基準や『日本歯科医学会用語集』の改訂とも重なり,用語の選定や編集内容の変更が必要となり,予定以上の期間を要してしまいました.一方,まだまだ不都合な点も多々存在するかと思います.しかしながら,学術用語は時代とともに変遷するものという概念に立脚して,今後も修正あるいは変更を前提に,今回出版されたものをもとに学会内はもとより関係する他学会とも継続的に議論を重ねていくことを委員会一同,強く希望いたしております.
 2019年12月
 公益社団法人 日本小児歯科学会 学術用語委員会
 平成30,31年度委員
 委員長 島村和宏
 副委員長 清水武彦
 委員 倉重圭史
    松本弘紀
    森川和政
    名和弘幸
    八若保孝
    (五十音順)
 平成25〜29年委員
 委員長 八若保孝
 委員 飯沼光生
    島村和宏
    前田隆秀
    丸山進一郎
    野中和明
    渡部 茂
    (五十音順)


『小児歯科学専門用語集』の発刊に寄せて
 このたび,日本小児歯科学会学術用語委員会を中心に全国の歯科大学ならびに歯学部の小児歯科学担当講座の協力のもとに『小児歯科学専門用語集』を出版する運びとなりました.この用語集は,日本歯科医学会の学術用語委員会が厳選した用語を母体とし,日本小児歯科学会の学術用語委員会(委員長:木裕三教授)を中心に小児歯科学に関連する用語を整理したものに簡明な解説を加えたものであります.
 わが国で小児歯科学の教育が始まってから,50年が経とうとしています.この間,科学技術は日進月歩の発展を遂げ,使用される専門用語の増加とともに,その解釈や内容の変遷は目まぐるしいものがあります.しかし,情報化社会のなかで,学術情報のあいまいさや誤解は,情報の混乱をきたし誤った知識や技術を増幅させる危険性もあります.また,「歯科医学教授要綱の改訂」,「歯科医学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂」,「歯科医師国家試験出題基準の改定」などにともない,専門用語の見直しが喫緊の課題となりました.
 そのため現在までに,日本歯科医学会の多くの専門分科会がそれぞれの専門用語集や教育用語集をすでに発刊されています.
 さらに歯科界は,医学・歯科医学教育の変革のみならず,人口動態や社会構造の変化にともなう疾病構造の変化,医療制度改革への対応など難問山積の時代を迎えています.このような時代背景に適切に対応し,国民の口腔の健康の維持・増進に寄与できる歯科医を養成することは,歯科医学教育の重要な役割であると考えます.
 とりわけ小児歯科学は,成長発育過程にある小児の口腔保健に関与する領域であり,健全な口腔の機能と構造の維持・増進,生活習慣の基盤形成などライフステージの初期段階を担い,学問的には学際領域の臨床歯学,臨床的には小児期の包括医療を担うものであります.
 本用語集が,学会会員の皆様のみならず,小児歯科学を学ぶ学生,小児の歯科医療に携わる歯科医ならびに小児歯科専門医,さらには小児歯科学の研究や教育に携わる方々など,多くの皆様のお役にたちますことを心から期待しています.
 最後になりましたが,本用語集の出版にあたり,多大なご尽力,ご協力を頂いた本学会の学術用語委員の方々,用語の解説の執筆にご協力頂いた小児歯科学担当講座の方々,さらに医歯薬出版の方々に深謝します.
 平成20年5月
 有限責任中間法人日本小児歯科学会
 理事長 土屋友幸


序文
 学術用語は科学に携わる者の共通言語であり,コミュニケーションの重要な手段になります.これらは科学の進歩のためだけでなく,次世代教育のための必須ツールでもあります.普通の言語は長い歴史を背景に,比較的恒常性が保たれたものになっていますが,学術用語は科学の進歩にともなう新しい用語の創造や,すでに存在するものの見直しなど,たえず変化するものであります.しかし一方,個々の用語は一定の基準にしたがい,内容を忠実に具現するもので,その分野の大多数が許容できるものでなくてはなりません.
 このような観点から,日本小児歯科学会は小児歯科学に関する用語集を学会選定用語集として1977年と1986年,2006年に発行し,学術発表,あるいは教育現場の基準としてきました.これらの用語集の改訂・発行により,小児歯科学をめぐるこれまでの大きな変化に対応し,多大な貢献がなされてきたと思います.ところが,近年の歯学教育をめぐる改革,すなわち2001年の「歯学教育モデル・コア・カリキュラム」の作成と,それにもとづいたCBT(Computer Based Testing)やOSCE(Objective Structured Clinical Examination)の実施,あるいは歯科医師国家試験出題基準の改訂などでは,単に学術用語の整理だけでなく,内容に関する標準化も要求されるようになってきています.
 そこで,日本小児歯科学会学術用語委員会では,これらの状況に対応するため,2006年に佐々龍二前委員長のもとに発行された選定用語集に掲載された用語について,内容の標準化をはかり,同時に『小児歯科学術用語集』の出版を行うこととし,2006年度末より作業に取りかかってまいりました.本来であるなら2006年版選定用語集に掲載された約3,000語について,これらすべての内容の標準化をはかるべきではありますが,このなかには他分野と重複するものや類似語が多く含まれていることから,小児歯科学分野で使用頻度が高く,かつ小児歯科学に特徴的な性質の強いもの約1,000語を整理・抽出し,それぞれに200字前後の説明文を加えたものとしてまとめることとなりました.執筆は全国29歯科大学・歯学部の小児歯科学担当の講座・分野から推薦いただいた教員に依頼し,執筆内容については学術用語委員会で検討を行って,最終稿といたしました.これらの手順については日本小児歯科学会理事会での議を経て進めさせていただきました.
 本書の発行は,小児歯科学の研究・教育・臨床に多忙ななか,執筆・編集などにご協力いただいた各位,ならびに刊行を担当していただいた医歯薬出版のご尽力の賜物であります.ご協力に対し深く感謝いたします.
 本書の編集は計画から発刊まで1年半という大変短期間に進められたため,用語の抽出や説明文の検討などに十分な時間をかけたとは申せず,不都合な点も多々存在するかと思います.しかしながら,学術用語は時代とともに変遷するものという概念に立脚して,今後も修正あるいは変更を前提に,今回出版されたものをもとに学会内で継続的に議論を重ねていただくことを委員会一同,強く希望いたしております.
 平成20年5月
 有限責任中間法人 日本小児歯科学会 学術用語委員会
 委員長 木裕三
 委員 朝田芳信
    井上美津子
    大嶋 隆
    前田隆秀
    眞蜿G昭
   (五十音順)