●序文
薬剤処方においては,副作用,他剤との相互作用といったリスクを回避し,目的とする薬効を発現させることこそがゴールとなる.そのためには,まず患者の状態を把握し,正確な薬剤情報提供や服薬指導を行うことが必要となる.その際には,歯科で用いられる薬剤のみならず,今後ますます受診率が増加するであろう高齢有病者への対処等も考慮し,身体の生理的変化や全身疾患の病理を踏まえたうえで,医科において処方されるさまざまな薬剤の知識をも持ちあわせた対応が課せられるといえよう.とりわけ続発する医療事故などを思い返せば,今さらながらその必要性を再認識せざるをえない.そこで,そのような命題に対処すべく,安全で良質な医療の提供(薬剤処方)を主題とし,短期間で更新されていく薬剤情報を踏まえた臨床ガイドブックとして,ここに本書を企画した.
すなわち本書前半の実践編では,上記の主題を踏まえ,問診(医療面接)にはじまり薬剤の具体的取り扱い方法や歯科処方薬の紹介,相互作用の問題,全身疾患と薬剤の関係から急変時の対処までを詳説した.さらに,保険請求・診療情報提供に際して必要となるべき章を起こし,臨床における薬剤処方で必要なあらゆる事項を網羅したと自負している.また,後半の基礎知識編では薬物動態,副作用の機序から今後のトピックとなるであろう遺伝的特性に基づくオーダーメイド医療,中医学の理念に基づく漢方薬の基礎から処方までの解説を加えた.さらに,臨床での利便性を考慮してCD−ROMを添付し,歯科処方薬剤と医科処方薬剤の簡易検索ができるようにした.
昨今の歯科医療界における動向は,「かかりつけ歯科医」制度に象徴されるような,インフォームドコンセントの確立や医療機関連携等がキーワードの一つとなっている.医療費削減という側面もさることながら,そこには上述した良質な医療の提供という根元的趣旨が存在する.この本質を踏まえ,今後の時流を見据えた歩みなくして,明日の展望は開かれず,それは薬剤処方という一医療行為においても例外ではない.上述のような思いに基づき編集した本書を手にすることで,読者の方々が患者に対し,安全な薬剤処方を確実に行い,信頼の得られる医療の提供へとつながる一助となれば,これ以上の幸せはない.
最後に,本書発行にあたりご協力いただいた多くの方に,心より御礼申し上げたい.
平成17年1月
編者 五十嵐治義
薬剤処方においては,副作用,他剤との相互作用といったリスクを回避し,目的とする薬効を発現させることこそがゴールとなる.そのためには,まず患者の状態を把握し,正確な薬剤情報提供や服薬指導を行うことが必要となる.その際には,歯科で用いられる薬剤のみならず,今後ますます受診率が増加するであろう高齢有病者への対処等も考慮し,身体の生理的変化や全身疾患の病理を踏まえたうえで,医科において処方されるさまざまな薬剤の知識をも持ちあわせた対応が課せられるといえよう.とりわけ続発する医療事故などを思い返せば,今さらながらその必要性を再認識せざるをえない.そこで,そのような命題に対処すべく,安全で良質な医療の提供(薬剤処方)を主題とし,短期間で更新されていく薬剤情報を踏まえた臨床ガイドブックとして,ここに本書を企画した.
すなわち本書前半の実践編では,上記の主題を踏まえ,問診(医療面接)にはじまり薬剤の具体的取り扱い方法や歯科処方薬の紹介,相互作用の問題,全身疾患と薬剤の関係から急変時の対処までを詳説した.さらに,保険請求・診療情報提供に際して必要となるべき章を起こし,臨床における薬剤処方で必要なあらゆる事項を網羅したと自負している.また,後半の基礎知識編では薬物動態,副作用の機序から今後のトピックとなるであろう遺伝的特性に基づくオーダーメイド医療,中医学の理念に基づく漢方薬の基礎から処方までの解説を加えた.さらに,臨床での利便性を考慮してCD−ROMを添付し,歯科処方薬剤と医科処方薬剤の簡易検索ができるようにした.
昨今の歯科医療界における動向は,「かかりつけ歯科医」制度に象徴されるような,インフォームドコンセントの確立や医療機関連携等がキーワードの一つとなっている.医療費削減という側面もさることながら,そこには上述した良質な医療の提供という根元的趣旨が存在する.この本質を踏まえ,今後の時流を見据えた歩みなくして,明日の展望は開かれず,それは薬剤処方という一医療行為においても例外ではない.上述のような思いに基づき編集した本書を手にすることで,読者の方々が患者に対し,安全な薬剤処方を確実に行い,信頼の得られる医療の提供へとつながる一助となれば,これ以上の幸せはない.
最後に,本書発行にあたりご協力いただいた多くの方に,心より御礼申し上げたい.
平成17年1月
編者 五十嵐治義
・序文
・本書および添付のCD−ROMのご使用にあたって
◆診療室での実践編/患者さんに薬剤を処方するには
1章 投薬時の問診(医療面接)と服薬指導(前川理人)
●問診(医療面接)
良好な医師・患者の信頼関係をつくり出す
患者さんから必要情報を聞き出す
服薬後の確認事項
患者さんへの説明・啓発
●患者さんに伝える服薬の基本事項(服薬指導)
服薬の基本事項
歯科治療薬処方時の注意事項
2章 薬剤の取り扱いにあたって注意すべきこと(五十嵐治義)
●薬剤の服用時間と服用時の注意
服薬時の一般的注意事項
薬剤は何で飲む?
●飲食物,嗜好品と薬剤の関係は?
喫煙の影響
アルコールの影響
牛乳の影響
茶類(緑茶,紅茶,コーヒー)の影響
グレープフルーツジュースの影響
ビタミンAの影響
ビタミンKの影響
ビタミンCの影響
ビタミンEの影響
芽キャベツ・キャベツの影響
●薬の管理,保存法はどのようにする?
おもな歯科治療薬の取り扱い
3章 歯科でよく処方する薬剤(池田正弘)
●抗菌薬
おもな抗菌薬の比較
セフェム系抗菌薬
マクロライド系抗菌薬
ニューキノロン系抗菌薬
ペニシリン系抗菌薬
ペネム系抗菌薬
ケトライド系抗菌薬
テトラサイクリン系抗菌薬
●消炎酵素剤(酵素剤)
消炎酵素剤の分類
●解熱鎮痛消炎剤
アニリン系の解熱鎮痛消炎剤
アントラニル酸系の解熱鎮痛消炎剤
アリール酢酸系の解熱鎮痛消炎剤
プロピオン酸系の解熱鎮痛消炎剤
オキシカム系の解熱鎮痛消炎剤
塩基性の解熱鎮痛消炎剤
配合剤の解熱鎮痛消炎剤
解熱鎮痛消炎作用を持つ漢方薬
●外用薬
口腔用軟膏剤(外用)
洗口剤(外用)
その他の口腔用薬(外用)
●歯性感染症への対応について
抗菌薬投与に際して
歯性感染症とは
小児に対しての投薬では
妊婦等に対する投薬では
高齢者に対する投薬では
4章 薬物の相互作用(大浦 清)
●薬物の併用とその相互作用
薬物の吸収過程における相互作用
薬物の分布過程における相互作用
薬物の代謝過程における相互作用
薬物の排泄過程での相互作用
歯科治療薬処方に際し注意する相互作用
5章 麻酔薬等の選択(吉田和市)
●局所麻酔薬の選択方法
留意せねばならない全身的作用
局所麻酔薬に添加されている血管収縮薬
塩酸リドカイン製剤
エピネフリンの配合のない歯科用局所麻酔薬
●歯科口腔外科における精神鎮静法や全身麻酔で用いられるおもな薬剤
麻酔前投薬
全身麻酔や鎮静法で用いる薬剤
6章 全身疾患と薬剤(吉田和市)
●心疾患
虚血性心疾患
不整脈
心臓弁膜症
心不全
●高血圧症
高血圧症の治療薬
歯科治療時の注意事項
●脳血管障害
脳血管障害の治療薬
脳血管障害既往患者の歯科治療時の注意事項
●糖尿病
糖尿病の治療薬
歯科治療時の注意事項
●気管支喘息
気管支喘息の治療薬
歯科治療時の注意事項
●腎不全,人工透析
腎不全,人工透析に対して処方される薬剤
歯科治療時の注意事項
●痛風と高尿酸血症
尿酸と全身疾患
痛風,高尿酸血症の治療薬
歯科治療時の注意事項
●甲状腺機能亢進症・甲状腺機能低下症
歯科治療時の注意事項
●精神疾患・神経疾患
抗精神病薬
抗うつ剤
抗不安剤
抗パーキンソン剤
抗てんかん剤
不眠症治療薬
●胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍
胃腸疾患の治療薬
歯科治療時の注意事項
7章 妊婦・小児・高齢者への投薬時の注意事項(吉田和市)
●妊婦への投薬時の注意事項
妊婦に対する歯科治療時の注意事項
授乳期の薬剤投与の注意事項
●小児の薬剤投与の注意事項
小児の解熱鎮痛消炎剤投与に際して
小児への抗菌薬投与に際して
●高齢者への薬剤投与の注意事項
高齢者に使用頻度の高い薬剤の有害作用
高齢者へのNSAIDsの使い方
歯科における高齢者へのNSAIDs以外の注意事項
8章 患者さんが急変したら(吉田和市)
●歯科治療中の全身的偶発症に対する処方
脳貧血:失神,神経性ショック
過換気症候群
転換型障害(ヒステリー)
アレルギー反応
●歯科医院に備えておきたい救急薬剤
おもな救急薬品
9章 保険請求(投薬)と処方せん・対診書類(池田正弘)
●投薬と保険請求
薬剤料の算定方法等
特定薬剤
特定薬剤の請求点数一覧表(平成17年現在)
●処方せん,対診書類について
診療情報提供書
◆取り扱い基礎知識編/処方にあたって知っておきたい重要事項
1章 薬物の生体内運命(大浦 清)
●薬物の吸収と生体内運命
薬物の吸収(absorption)
薬物の分布(distribution)
薬物の代謝(生体内変化)(metabolism)
薬物の排泄(excretion)
2章 特異体質を持つ患者さんへの薬物処方(大浦 清)
●特異体質を持つ患者さんへの薬物処方とオーダーメイド医療
オーダーメイド医療とは
注意を要するアレルギー性疾患
3章 薬物の副作用(大浦 清)
●薬物の一般的副作用について
一般的副作用(有害作用)の分類
口腔領域における副作用(有害作用)
副作用の予知と回避
4章 漢方薬と歯科疾患(関口善太)
●漢方薬とは
東洋医学の紹介
漢方薬とは
●東洋医学における生理と病理の考え方
東洋医学の全体的な生理観
東洋医学の全体的な病理観
口腔領域に関与する生理・病理
●処方の実際
口腔疾患各論
歯科疾患に用いる病証別漢方薬
・文献
・索引
・CD−ROMをご使用になる前に
・本書および添付のCD−ROMのご使用にあたって
◆診療室での実践編/患者さんに薬剤を処方するには
1章 投薬時の問診(医療面接)と服薬指導(前川理人)
●問診(医療面接)
良好な医師・患者の信頼関係をつくり出す
患者さんから必要情報を聞き出す
服薬後の確認事項
患者さんへの説明・啓発
●患者さんに伝える服薬の基本事項(服薬指導)
服薬の基本事項
歯科治療薬処方時の注意事項
2章 薬剤の取り扱いにあたって注意すべきこと(五十嵐治義)
●薬剤の服用時間と服用時の注意
服薬時の一般的注意事項
薬剤は何で飲む?
●飲食物,嗜好品と薬剤の関係は?
喫煙の影響
アルコールの影響
牛乳の影響
茶類(緑茶,紅茶,コーヒー)の影響
グレープフルーツジュースの影響
ビタミンAの影響
ビタミンKの影響
ビタミンCの影響
ビタミンEの影響
芽キャベツ・キャベツの影響
●薬の管理,保存法はどのようにする?
おもな歯科治療薬の取り扱い
3章 歯科でよく処方する薬剤(池田正弘)
●抗菌薬
おもな抗菌薬の比較
セフェム系抗菌薬
マクロライド系抗菌薬
ニューキノロン系抗菌薬
ペニシリン系抗菌薬
ペネム系抗菌薬
ケトライド系抗菌薬
テトラサイクリン系抗菌薬
●消炎酵素剤(酵素剤)
消炎酵素剤の分類
●解熱鎮痛消炎剤
アニリン系の解熱鎮痛消炎剤
アントラニル酸系の解熱鎮痛消炎剤
アリール酢酸系の解熱鎮痛消炎剤
プロピオン酸系の解熱鎮痛消炎剤
オキシカム系の解熱鎮痛消炎剤
塩基性の解熱鎮痛消炎剤
配合剤の解熱鎮痛消炎剤
解熱鎮痛消炎作用を持つ漢方薬
●外用薬
口腔用軟膏剤(外用)
洗口剤(外用)
その他の口腔用薬(外用)
●歯性感染症への対応について
抗菌薬投与に際して
歯性感染症とは
小児に対しての投薬では
妊婦等に対する投薬では
高齢者に対する投薬では
4章 薬物の相互作用(大浦 清)
●薬物の併用とその相互作用
薬物の吸収過程における相互作用
薬物の分布過程における相互作用
薬物の代謝過程における相互作用
薬物の排泄過程での相互作用
歯科治療薬処方に際し注意する相互作用
5章 麻酔薬等の選択(吉田和市)
●局所麻酔薬の選択方法
留意せねばならない全身的作用
局所麻酔薬に添加されている血管収縮薬
塩酸リドカイン製剤
エピネフリンの配合のない歯科用局所麻酔薬
●歯科口腔外科における精神鎮静法や全身麻酔で用いられるおもな薬剤
麻酔前投薬
全身麻酔や鎮静法で用いる薬剤
6章 全身疾患と薬剤(吉田和市)
●心疾患
虚血性心疾患
不整脈
心臓弁膜症
心不全
●高血圧症
高血圧症の治療薬
歯科治療時の注意事項
●脳血管障害
脳血管障害の治療薬
脳血管障害既往患者の歯科治療時の注意事項
●糖尿病
糖尿病の治療薬
歯科治療時の注意事項
●気管支喘息
気管支喘息の治療薬
歯科治療時の注意事項
●腎不全,人工透析
腎不全,人工透析に対して処方される薬剤
歯科治療時の注意事項
●痛風と高尿酸血症
尿酸と全身疾患
痛風,高尿酸血症の治療薬
歯科治療時の注意事項
●甲状腺機能亢進症・甲状腺機能低下症
歯科治療時の注意事項
●精神疾患・神経疾患
抗精神病薬
抗うつ剤
抗不安剤
抗パーキンソン剤
抗てんかん剤
不眠症治療薬
●胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍
胃腸疾患の治療薬
歯科治療時の注意事項
7章 妊婦・小児・高齢者への投薬時の注意事項(吉田和市)
●妊婦への投薬時の注意事項
妊婦に対する歯科治療時の注意事項
授乳期の薬剤投与の注意事項
●小児の薬剤投与の注意事項
小児の解熱鎮痛消炎剤投与に際して
小児への抗菌薬投与に際して
●高齢者への薬剤投与の注意事項
高齢者に使用頻度の高い薬剤の有害作用
高齢者へのNSAIDsの使い方
歯科における高齢者へのNSAIDs以外の注意事項
8章 患者さんが急変したら(吉田和市)
●歯科治療中の全身的偶発症に対する処方
脳貧血:失神,神経性ショック
過換気症候群
転換型障害(ヒステリー)
アレルギー反応
●歯科医院に備えておきたい救急薬剤
おもな救急薬品
9章 保険請求(投薬)と処方せん・対診書類(池田正弘)
●投薬と保険請求
薬剤料の算定方法等
特定薬剤
特定薬剤の請求点数一覧表(平成17年現在)
●処方せん,対診書類について
診療情報提供書
◆取り扱い基礎知識編/処方にあたって知っておきたい重要事項
1章 薬物の生体内運命(大浦 清)
●薬物の吸収と生体内運命
薬物の吸収(absorption)
薬物の分布(distribution)
薬物の代謝(生体内変化)(metabolism)
薬物の排泄(excretion)
2章 特異体質を持つ患者さんへの薬物処方(大浦 清)
●特異体質を持つ患者さんへの薬物処方とオーダーメイド医療
オーダーメイド医療とは
注意を要するアレルギー性疾患
3章 薬物の副作用(大浦 清)
●薬物の一般的副作用について
一般的副作用(有害作用)の分類
口腔領域における副作用(有害作用)
副作用の予知と回避
4章 漢方薬と歯科疾患(関口善太)
●漢方薬とは
東洋医学の紹介
漢方薬とは
●東洋医学における生理と病理の考え方
東洋医学の全体的な生理観
東洋医学の全体的な病理観
口腔領域に関与する生理・病理
●処方の実際
口腔疾患各論
歯科疾患に用いる病証別漢方薬
・文献
・索引
・CD−ROMをご使用になる前に