やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

改訂の序

 日本歯科衛生士会の人たちが,自分たちで自分たちの仕事についての本をまとめたいという願いがまとまって,昭和38年に“歯ブラシの使い方指導の手びき”がはじめて世に出ることになった.
 実際にはそれは歯科衛生士の仕事の中で大切なものであったので,会では一生懸命でまとめ,これに当時歯科衛生士教育に直接たずさわっておられた小野巌先生と石川純先生がこの計画に援助をして下さって,最初のこの本ができた.
 その後,昭和41年には日本歯科衛生士会も社団法人となり,一方,歯ブラシの使用についてはブームとも思えるほど,注目されるようになった.
 その間にいろいろな新しいこともくわわったり,この本を利用する歯科衛生士の人びとの数も増してきたりしたので,もう一度全体にわたって洗い直しをしようということはかねがねいわれてきたが,日本歯科衛生士会でも編集委員会をつくって,この内容の検討および改訂をはじめた.
 この計画に応じて,石川先生と小野先生もまたいろいろ手をくわえて下さって,この改訂版が生まれることになった.
 どんなことでも,保健指導というものには,必ずその事柄の基礎となる十分な正しい知識と,そういうことを相手に伝達する技術の2つの面が整っていなければならない.
 この意味で,石川先生と小野先生が知識の面を担当して下さり,伝達する技術については日本歯科衛生士会が担当するというこの本のつくリ方は,現場で活動する歯科衛生士の諸君にとって,本当の意味で,血となり肉となるものであろうと思う.
 歯ブラシ使用については,ありあまるほどのたくさんのことはいわれている中で,この本の存在理由があるとすればその点であると思う.
 次には,諸君がこの本を現場で活用して,とかくいろいろのことのいわれている国民の歯科保健の向上に一役も二役も果すことを願うのである.
 1975年3月1日 榊原悠紀田郎
監修のことば
改訂の序
はじめに

■ブラッシングの意義と目的■
はじめに…2
1.とくに重要な原因―現代人の食物の欠陥…4
2.歯垢とは…7
3.歯垢と齲蝕…9
4.歯垢と歯肉炎…10
5.蔗糖と歯垢…11
6.歯垢の形成過程…13
7.歯の表面の付着物…16
 1)後天性薄膜…16
 2)歯石…17
 3)食物残渣…18
 4)白質…19
8.ブラッシングとは…20
9.ブラッシングの反省と今後…22
■各種のブラッシング法と補助的清掃法■
1.各種のブラッシング法…24
 1)歯ブラシの毛先を使う方法…25
 2)歯ブラシの毛束の脇腹を使う方法…36
 3)電動歯ブラシ…44
2.歯間部への各種の補助法…45
 1)デンタルフロス…45
 2)ラバーチップ…47
 3)木製チップ…49
 4)ジェット水流洗口器…50
 5)うがい,洗ロ…51
3.ブラッシング指導とモチベーション…52
4.どんな歯ブラシがよいか…53
5.歯腐き剤について…56
6.どのように指導するか…57
7.どのように歯ブラシは有効か…59
■歯ブラシの使い方指導法■
はじめに…62
1.歯ブラシの使い方指導の心構え…63
 1)口腔衛生の全般についての知識を十分に身につけておくこと…65
 2)歯ブラシや歯磨き剤などについてはよく知っておくこと…65
 3)患者の状態をよくつかむこと…66
 4)患者の立場になって考えること…66
 5)態度と言葉に注意すること…67
 6)指導法をたえず研究すること…68
2.歯ブラシについての知識…68
 1)歯ブラシの所要条件…69
 2)歯ブラシの選択基準…69
3.補助器具の使用法…71
 1)デンタルフロス…72
 2)インターデンタルブラシ…75
 3)ラバーチップ…76
 4)歯磨き剤…77
 5)木製チップ…78
 6)電動歯ブラシ…79
 7)ジェット水流洗口器…80
 8)含嗽剤…81
4.ブラッシング指導上の注意…81
 1)指導のねらい…82
 2)指導の時期…82
 3)指導法…85
 4)準備する道具…85
 5)指導の順序…92
5.対象別指導の要領…95
 1)幼児の指導の場合…95
 2)学童の指導の場合…97
 3)成人の指導の場合…104
■歯ブラシの使い方の集団指導法■
はじめに…108
1.集団指導の意味…108
2.集団指導の場面…110
3.指導のための準備…112
 1)計画についての打合わせ…112
 2)器材の準備…113
4.指導の実際…113
 1)説明…114
 2)歯ブラシのもち方…114
 3)歯ブラシ使用の部位と順序…115
 4)実施の一例…116
 5)むすび…117
5.集団指導のときの注意…117
■各種の場合に応じた口腔清掃法■
1.歯肉炎や歯槽膿漏の治療や予防のために…120
2.歯石のたまりやすい人の対策…125
3.義歯装着者の場合…126
4.孤立歯や萌出途上歯や鈎歯の清掃…129
5.クラウンやブリッジの清掃…131
6.矯正装置を装着してある場合の清掃法…133
7.肢体不自由者や長期臥床者のブラッシング…134
■歯はなぜ正しく刷掃しなければならないか■
1.人間はなぜ歯ブラシを使うか…138
2.歯口刷掃法についての考え方と扱い方…141
3.予防歯科は胎生期からはじまる…143
4.崩出歯の小窩はほとんどが齲蝕の巣…147
5.歯苔の誘惑…153
6.歯石の温床は歯苔か…157
7.歯石は危険な生きものである…160
8.歯肉マッサージの意義…166
9.剥脱細胞のいたずら…170
10.病的歯肉と組織球のはたらき…172
11.不健全な歯口での刷掃法の効果は完全な歯学的処置の併用によってあげられる…173
12.刷掃指導をするために必須な問題,それは人柄である…175