やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

第3版の序

 初版から約20年,第2版を出版してから約10年を経過し,その間の医学・薬学の進歩は目をみはるものがある.したがって本書も時代の趨勢にあわせて,随所に新しい学問のレベルを補完した.とくに医療用薬品の再評価の結果に基づき,消毒法の項の大改訂を行った.
 また,常用注射薬および内服薬の薬剤分類については,系列,一般名,商品名という形式で記し,かつ新たに索引を付して,教育・臨床の場における学習の便宜を図った.
 この小書が向学の諸姉に広く活用され,自己の職業をとおして社会に貢献されることを心から願ってやみません.
 昭和61年7月30日 著 者

はじめに(第1版)

 歯科衛生士・看護婦諸姉の歯科診療補助者のための教科書,あるいは参考書は少なくないが,日常,診療室で頻繁に行われる口腔外科小手術の介助について詳述した成書は意外に少ない.
 一般に,実際の介助にあたって細かい注意,知識などは,医師,その他の先達者により直接に診療の場において指導をうけるのが通例である.ただし,この際適当な手引書といえる参考書があれば,指導者も補助者も重宝であることはいうまでもない.
 したがって本書は,従来の教科書の副読本として,他の参考書に記載が少なく,しかもきわめて重要と思われる事項について,具体的に,しかも判りやすく記述することを主眼とした.また,補助者が常識として知らなければならない事項についても記載し,理解を深めることに留意した.さらに受講時,あるいは実習時にメモできるように,適当な余白をもうけて利用者の便宜を図った.
 この小書が,歯科衛生士,看護婦,准看護婦,および歯科助手の向学の諸姉に,いくぶんなりとも臨床上の実際面に活用されれば著者として望外の喜びとするところである.
 昭和42年11月1日 著 者

第2版の序

 約10年前,初版を出版して以来,多くの歯科衛生士・看護婦の教育の場において,本書が利用され,かつ臨床上の実際面においても,簡明で判りやすい点で,手軽に活用されている現状は著者として喜びにたえない.
 しかしながら,最近の学問の進歩や社会状勢による医薬品の変動は,目まぐるしいものがあり,手指の消毒,薬剤などの項を全面的に改訂し,時代に即応したものとした.ただし,本書の性格上,詳細にわたっての論述は避け,必要なことがらにとどめた.
 本書が,向学の諸姉になおいっそう活用され,医療をとおして社会に奉仕されることを念願する.
 昭和52年8月1日 著 者
I.手術前準備
 1.手術介助者の心構え
 2.手術前の準備
II.器械・器具の準備
 1.抜歯手術
  1)局所麻酔時
  2)抜歯時
  3)術後
 2.埋伏智歯抜歯手術
 3.歯槽骨整形手術,歯槽堤形成手術
 4.膿瘍切開手術
  1)口腔内の場合
  2)口腔外の場合
 5.顎骨良性腫瘍・嚢胞摘出手術
  1)口腔内より手術する場合
  2)口腔外より手術する場合
 6.歯根端(尖)切除手術
 7.上顎洞根本手術(歯性上顎洞炎・術後性上顎嚢胞の手術)
 8.唾石摘出手術,がま腫摘出手術
 9.軟組織良性腫瘍摘出手術
 10.歯槽骨骨折手術
 11.顎骨骨折整復固定術
  1)口腔内より行う場合
  2)口腔外より行う場合
 12.歯周外科手術(歯肉炎・歯槽膿漏症手術)
  1)新付着手術,歯肉切除手術
  2)歯肉剥離掻爬手術(ノイマン氏手術)
 13.上顎洞瘻孔閉鎖手術
 14.外歯瘻手術
  1)口腔内で使用するもの
  2)口腔外で使用するもの
 15.小帯整形手術
III.消毒法
 1.器械・器具の消毒
 2.手術野の消毒
  1)口腔内
  2)顔面皮膚
 3.手指の消毒
IV.手術中の一般的介助法
V.手術中の看護
VI.手術後の一般的注意事項
 1.出血
  1)少量出血
  2)中等量出血
  3)多量出血
 2.疼痛
 3.腫脹
 4.口腔内の清潔
 5.食事
VII.偶発症――とくにショック(広義)について
 1.軽度のショック(急性脳貧血)
  1)原因
  2)症状
  3)処置
 2.いわゆるショック
  1)症状
  2)予防ならびに処置
VIII.常用注射薬および内服薬
 1.昇圧剤
 2.冠拡張剤
 3.呼吸促進剤
 4.強心剤
 5.止血剤
 6.抗生物質製剤
 7.非ステロイド系鎮痛・抗炎症剤
 8.消炎酵素剤

 主要参考書
 索引