監訳者の序文
Fascial Manipulation(R)(ファシャル・マニピュレーション,FM(R))は,イタリア人理学療法士のLuigi Stecco氏が提唱する新たな生体力学モデルと,それを裏づけるfasciaに関する解剖学的・生理学的エビデンスに基づく徒手的治療法である.FM(R)は,治療コンセプトにとどまらず,とくに既往歴を重視する問診の手順,具体的な評価と治療の方法,治療戦略の立て方までが確立されており,筋骨格系機能障害および内部機能障害を理解し治療するための革新的かつ具体的な道筋を提案している.
本書は,2011年に出版された『筋膜マニピュレーション 実践編 筋骨格系疼痛治療』(医歯薬出版刊)の改訂版である.本書の著者であるLuigi Stecco氏は,FM(R)の研修コースの受講者の理解を容易にするために本書の原著を執筆した〔日本における研修コースについては,一般社団法人日本Fascial Manipulation協会のサイト(https://fascialmanipulation-japan.com)で紹介されている〕.そのため,初版は1冊であったが,第2版となる今回は,新たな内容とともに多数の写真やイラストが追加され,本書と続巻〔『筋膜マニピュレーション 実践編 レベル2 原著第2版』(2022年春発行予定)〕の2冊に分冊されている.
本書および続巻は,疼痛や関節可動域制限をはじめとする筋骨格系機能障害に対するFM(R)がテーマである.レベル1である本書では,各身体分節の筋力のベクトルが収束する点(協調中心,Centre of coordination:CC)と,CCをつなぐ筋膜配列(Myofascial sequence)を治療するための基礎理論と実践方法が説明されている.一方,レベル2である続巻では,隣接するCCの影響が融合する点(融合中心,Centre of fusion:CF)と,CFをつなぐ筋膜対角線(Myofascial diagonal)と筋膜螺旋(Myofascial spiral)の評価と治療の方法が説明されている.
本書には,購入特典として,FM(R)公式アプリを利用するためのPINコードが用意されている.このアプリでは,CCとCFの位置を示すイラストと写真が提供されている.ぜひスマートフォンやタブレット端末にアプリをダウンロードして,たとえば,フィールド・ワーク中にCCの位置を確認する際などに活用していただきたい.
“fascia“という用語の定義に関しては,国際解剖学会とFascia Research Societyのあいだで議論が進んでいるものの結論にはいたっていない.ただし,fasciaが筋系のみならず,皮膚系や内臓系,神経系などにも関与する構造体であるという点は国際的に共通認識されている.そのため,近年,日本の有識者のあいだでは,従来の“fascia=筋膜”という概念は適当でないとの意見が一般的になりつつある.実際,FM(R)の理論と手技には,筋に関係する“myofascia“だけでなく,皮下組織内にある“superficial fascia”や,内臓に関係する“visceral fascia“の存在を考慮したものもある.以上の点を考慮すると,本書の書名は“筋膜マニピュレーション”ではなく“Fascial Manipulation“という英名をそのまま使用するのが妥当かもしれない.しかし,“筋膜マニピュレーション”という名称がわが国の徒手療法の分野においてある程度浸透していることを考慮して初版の書名を踏襲することとした.なお,原著で“fascia“と記載されている箇所のうち,“myofascia”と同義で用いられている箇所については,“筋膜”と訳したことをこの場でお伝えする.
最後に,初版の訳者であり,わが国へのFM(R)の導入に尽力された竹井仁氏の功績に敬意を表したい.また,休日や多忙な日常業務の合間を使って作業を滞りなく進めてくれた本書の10名の訳者の貢献に賛辞を送りたい.さらに,本書の出版にあたり,多大なご協力をいただいた医歯薬出版株式会社の編集担当者に深く感謝を申し上げる.
小川大輔
目白大学保健医療学部理学療法学科
一般社団法人 日本Fascial Manipulation協会
巻頭言
筋骨格系の刺激的な新分野,魅惑的な筋膜の世界へようこそ! 筋膜は人体全体をつなぐ連続した張力ネットワークを構成している.それは,1つひとつの臓器,筋,神経から小さな筋線維までを包み込みそれぞれをつないでいる.数十年にわたってひどく軽視されてきたが,現在の医学研究において,筋膜は“整形外科学のシンデレラ”からスーパースターの地位へ上り詰めたといえるだろう.21世紀の最初の数年間で,査読付き医学雑誌に掲載された筋膜に関する論文の数は急激に増加した.2007年10月にハーバード大学医学部で開催された第1回国際筋膜研究学会は世界的に承認され,成功を収めた.神経学において急速に成長しているグリア細胞研究と同様に,これまで過小評価されてきたこの連続性のある組織が,健康や病理学の面で,かつて考えられていた以上にはるかに重要な役割を果たしているということが,現在では世界的に認知されている.
すべての医学生や医師は,現在にいたるまで解剖学の授業のなかで,筋膜は“何かを見るために”すみやかに取り除くべき白い包装材として扱われてきたのをご存じだろう.同様に,解剖書においては,乳白色や半透明の筋膜をできるだけ高い技術で完全に取り除くことで,運動器系をいかに明瞭に整然と示すことができるかを競い合ってきた.鮮やかな赤で描かれた筋が骨格の特定の場所に接続するような簡略化された図は,学生には歓迎されたかもしれない.しかし,これらの簡略化された図は,人体が実際にどのように感じ,どのように振舞うのかという点とは一致していない.そのため,手術や触診の際にその違いにフラストレーションを感じるのは当然のことである.
教科書に描かれているように,収縮によって生じたすべての力を腱を介して骨格に伝える筋はほとんど存在しない.筋は収縮によって生じた力や張力の多くを筋膜へ伝達する.
筋膜は,受け取った力を,協調筋群だけでなく拮抗筋群にも伝える.それによって,関連する関節だけでなく,離れた関節にも影響を与える可能性がある.大殿筋と大腿筋膜張筋という強力な2つの筋に注目すると,どちらも腸脛靱帯とよばれる大腿外側の密性の筋膜組織に挿入している.この組織は大腿全体を覆っている大腿筋膜の一部を構成している.大腿筋膜の張力は,外側ハムストリングスや大腿四頭筋だけでなく,膝関節の関節運動や下腿全体に大きな影響を与える.
筋骨格系の教科書で論じられてきた,“どの筋”が特定の運動に関与するのか,という単純な問いは時代遅れになった.筋が機能的な単位であるという概念は,どれほど一般的であっても真実ではない.実際,多くの筋活動は個々の運動単位によって生じている.運動単位は1つの筋の一部と他の複数の筋の一部によって構成される.それら運動単位によって生成された張力は,膜状,嚢状,線維状の筋膜組織の複雑なネットワークに伝わり,最終的に身体運動に変換される.歴史的に権威ある教科書において,筋の数に違いがあるのは解剖の技術の差によるものである.筋を区別することでは,筋がどの運動を行うのかという問いに答えることができない.
同様に,筋膜の剛性と弾性が,人体の弾道的な運動において重要な役割を果たしている.それは,カンガルーとレイヨウの下腿組織の研究によって初めて発見された.その後,ウマも研究対象となり,最新の超音波研究の結果,筋膜の反動性が多くの身体活動に大きく貢献していることが明らかになった.どれだけ遠くへ石を投げられるか,どこまで高く跳躍できるか,どこまで長い距離を走れるかは,筋線維の収縮だけで決定されるのではなく,その多くの部分は,それらの運動に関与する筋膜のネットワークが弾性のある反動性を備えているかによって左右される.
筋膜ネットワークの構造が筋骨格系の活動にとってこれほど重要な要素であるならば,筋膜はなぜこれだけ長い期間見過ごされてきたのだろうか.この問いにはいくつかの答えがある.1つは,新しい画像診断方法が開発されたことと関係がある.それによって,生体内の筋膜組織を研究できるようになった.もう1つの理由は,筋膜が,何かを分割して部分に分けて,名前を付けて数を確認するという古典的な解剖学研究の手法に適さないからである.骨や筋の数を概算することは合理的に可能だが,人体の筋膜の数を数えるという試みは意味をもたない.筋膜とは大きな全身をつなぐ臓器である.その形態は多様であり,嚢状のもの,局所で線維が密になったロープ状のもの,幾重にも重なった袋状のもの等によって構成されており,それらは頑健な隔膜や疎性結合組織の層によって互いに連続している.
文献によって,筋膜の定義に含まれる組織に異なった用語が使用されているのは,こうした筋膜の把握しにくい性質を反映している.薄い筋内膜や浅筋膜は筋膜に含めるべきか(あるいは疎性結合組織なのか),線維が不規則に並んだ密性の結合組織のみが筋膜なのか,このような判断は,それぞれの研究者の考え方によって異なる.そこで,第1回筋膜研究学会で提案された筋膜の新しい定義をご紹介しよう.ここでいう“筋膜“とは,全身に広がる結合組織系を構成する軟部組織である.これは“筋膜らしい筋膜”といわれる平面的なシート状の組織(隔膜,関節包,腱膜,臓器被膜,支帯など)だけでなく,局所で線維の密度が高くなり靱帯や腱を構成するものも含む.それに加え,浅筋膜や筋内最内層の筋内膜のようなより軟性のコラーゲン性結合組織も含まれる.
すべての人がこの新しい定義に満足するわけではないだろうが,それはその研究領域に多くの重要な利益をもたらしている.関節包とそれに密接なつながりをもつ靱帯と腱のあいだに恣意的に境界線を引く必要はないことが多く(相互に連続した腱膜,支帯,筋内筋膜も同様である),筋膜組織は,局所に必要な張力に応じて,その線維の配合と密度を適応させる1つの相互に連続した張力ネットワークとして認識されるようになった.この定義は“筋膜“のラテン語の語源(束,包帯,革帯,統合,1つに束ねる)と非常によく合致している.そして,それは一般の人が理解している“結合組織”の意味とも一致する(対照的に,医学や生物学の専門家にとっては,軟骨,骨そして血液も結合組織に含まれる).
活発な筋膜の研究分野において,本書の著者らは大きな貢献を果たしてきた.筋膜は,以前考えられていたよりも,いくつかの側面からよりいっそう“生きている“ということが示されている.生きているということに関して,少なくとも2つの側面がある.1つは自動収縮する能力があることである.これは,われわれのグループ(Fascia Research Project,Ulm University,Germany)とIan Naylor(Bradford University,U.K.)のグループのラットとヒトの筋膜を用いた研究よって示された.もう1つの側面は,感覚器としての特性である.筋膜は,機械受容器や侵害受容器を含む多くの感覚神経終末によって神経支配を受けている.そのため,急性の筋筋膜性疼痛症候群の原因となる可能性がある.もし,筋膜を前述のような広い定義でとらえた場合,それは最も多くの感覚器をもつ臓器となる.固有感覚と私たちの“身体感覚”にとって最も重要な臓器であることは確かである.
Steccoファミリーは,そのうちの2人が本書の著者であるが,この新しい研究分野を牽引し続けてきた.彼らの最初の著書,“Fascial Manipulation for Musculoskeletal Pain”(Piccin,2004)〔日本語訳『筋膜マニピュレーション 理論編 筋骨格系疼痛治療』(2011年医歯薬出版刊)〕はすでに世界中の注目を集め,筋膜セラピストや運動指導者のあいだで瞬く間に広く知れわたった.そのため,2007年のハーバード大学における筋膜学会において,彼らの講演が,科学的な質の高さと内容の深さから特別賞を受賞したのは驚くことではなかった.私はこの新しい書籍が徒手療法の分野に大きな衝撃を与えることを確信している.その理由は,本書は最初の著書の理論と解剖学的に詳細な描写を掘り下げているだけでなく,彼らの治療技術を正確に表現しているからである.
著者たちは,筋膜ネットワークのなかに局在する特定の中心(協調中心,認知中心,融合中心)を介して,筋膜が神経筋協調性に貢献しているという斬新なモデルを示している.これはまったく新しいモデルであるが,非常に説得力がある.本書にあげられているこのモデルの医学的根拠は,系統学や神経生理学的なものだけでなく,創始者Luigi Stecco氏はじめ,娘のCarla Stecco医師,息子のAntonio Stecco医師による数千時間にも及ぶ解剖学研究に裏づけられている.
彼らの献身的な解剖学研究の結果,いくつもの新しい発見がもたらされた.その成果は,科学解剖学の査読付き雑誌に掲載されている.過去数年にわたって次々に発表される,筋膜に関する研究論文に目を通している者ならば,誰しも彼らの大きな貢献を知っているだろう.このファミリーのチームは筋膜の形態と局所解剖に関して詳細な研究を行っている.それは単に素晴らしいだけでなく,本書に示されている神経筋膜間の協調性モデルを裏づける新しい発見につながっている.
それらの発見は,彼らの研究の信用性を押し上げているが,科学界がこの新しい概念の妥当性を完全に認めるにはさらなる研究が必要であろう.歴史的な本書に示された新しい概念は支持されるのか,さらに発展するのか,どんなことがもたらされるにせよ,これからの数年間は刺激的なものになるだろう.Steccoファミリーと他の卓越した研究グループが世界の医学界に与えた貢献によって,すでに数名の筋骨格系医学の第一人者が筋膜研究の分野に足を踏み入れている.たとえば,筋性疼痛の第一人者であるハイデルベルグ大学(Heidelberg University)のSiegfried Mense教授は,最近,自身の神経支配と侵害受容の研究対象に腰部筋膜を含めた.そして,すでに“非常に興味深い発見”をしたという.それに関しては近く発表されるだろう.同様に,鍼灸研究で著名なバーモント大学(The University of Vermont)のHelene Langevin医師は,超音波を用いて,慢性腰痛患者と健常者の筋膜の状態の違いを研究している.
本書に収められた宝物の1つは,筋膜の局所解剖を詳細に表した豊富な解剖写真である.それらの解剖写真は非常によい仕事がなされていて,これほどまでに細部にわたって局所の特徴を表現したものはこれまで存在しなかった.しかしながら,1つ忠告させていただきたいのは,それらの解剖写真は確かに美しいが,生きているあなた自身の体や,あなたが実際に触れているクライアントの体よりもずっと乾燥している点である.本書から実際に生きているヒトの筋膜の性質に目を向ける際,ぜひ流体力学を心にとめて触れていただきたい.生体内の筋膜は,あなたが想像しているよりもはるかに滑走性が高く湿潤である.
もしあなたが理学療法(あるいは整形外科,リハビリテーション,運動療法等)の初心者であれば,本書は,テレビを見ながら拾い読みするような類のものではないと覚悟していただきたい.それは濃縮された情報の宝庫である.本書には余分なことは書かれておらず,もし誤って文章を読み飛ばしてしまうと,のちに論理を理解するための重要な情報を見逃してしまうことになりかねない.さらに,この領域の専門家であっても,本書を手に取って読むことで,計り知れない興奮と発見の喜びに浸ると確信している.筋膜に関する他の書籍はいくつかの異なった視点で書かれているが,本書が新たな基準を打ち立てることは明らかである.これまでに出版されたFascial Manipulationの書籍のなかで最も価値のある豊かな書籍を完成させた著者に,そして真に魅力的な組織とその徒手療法を学ぼうと本書を手に取った読者に心からの祝辞を贈りたい.
Robert Schleip PhD
筋膜研究プロジェクト(Fascia Research Project)
理事
ウルム大学(ドイツ)
序文
本書はFascial Manipulationの研修コースの参加者の助けになることを目的として書かれている.
筋膜の解剖学と生理学を理解するために必要不可欠な内容を第1章と第2章に記した.治療を行うためのアドバイスと評価表の書き方も併せて示している.
第3〜8章では,3つの空間面において各分節を動かす筋膜単位(myofascial unit)について記してある.
各筋膜単位には,患者が疼痛を感じる領域と一致する認知中心(Centre of Perception:CP),関節の機能障害の原因となる協調中心(Centre of Coordination:CC)が存在する.各CCは関連するCPから離れたところにあり,触診でのみ疼痛を感じる.
疼痛部位あるいはCPは,筋膜単位によって運動する関節上に存在する.
6つ,すなわち,前方運動,後方運動,外方運動,内方運動,内旋運動,外旋運動の筋膜単位が各関節を協調し運動を起こす.
関節痛がある場合,疼痛や機能障害にかかわっている筋膜単位を特定するために運動検証を行う.ここでの運動検証は個々の関節検査ではない.それは,分節を特定の方向へ動かす際の骨神経筋膜複合体,あるいは筋膜単位の全体的なパフォーマンスを評価する.
Fascial Manipulationの治療を受けたあと,多くの患者は「これはマッサージではない」と言う.実際に,筋膜の変性を特定するために必要な深い圧を特定の領域(CC)に加えていく.筋膜の変性を特定したあと,ナックルや肘を使って疼痛が消失するまで数分間にわたって刺激を与えると,ただちに関節機能が改善される.
初めての治療は,疼痛を増悪させる運動を含む情報収集から始まる.各筋膜単位は特定の方向に分節を運動させるため,この情報は,どの筋膜単位が疼痛とかかわっているのかという仮説を立てる際に有効である.
仮説は,触診検証を行う前に,運動検証を行うことで確認する.運動検証において,患者に,問診で聴取した最も疼痛を誘発する運動を行うよう求める.治療後には患者に再度同じ運動をしてもらい,治療の結果を評価する.疼痛が複数の分節にまたがって生じている場合,かかわっている空間面と疼痛の現れる筋膜配列を特定するのは有効である.そのような場合,運動検証はより可動性のある分節で行う.
触診検証と治療を行うCCの場所の理解を促進するために,本書には数多くの解剖図を掲載している.
第3章では,解剖図に,各分節の前方・内方・内旋の各運動を行う3つのCCが描かれている.この章は前方運動の筋膜配列を扱っており,読者は前方運動(an)にかかわる単関節筋と二関節筋の線維がCC上で集約することを理解する.内方運動の筋膜配列は第5章で,内旋運動の筋膜配列は第7章で取り上げる.そのため,内方運動と内旋運動にかかわる筋を解剖図で確認する際には第3章を参照する必要がある.全身の各分節の前面に存在するCCを一度に示すためにこの方法を用いた.
各分節で後方・外方・外旋の各運動を行う3つのCCは第4章に示した.この章は後方運動を扱っており,読者は単関節筋と二関節筋が後方運動のCC上で集約することを理解する.外方運動の筋膜配列は第6章で,外旋運動の筋膜配列は第8章で扱う.そのため,外方運動と外旋運動にかかわる筋を解剖図で確認する際には第4章を参照する必要がある.
第5章では,前面にある当該分節の3つのCCとともに隣接する遠位分節のCCを解剖図に表している.読者が水平方向だけでなく,前方・内方・内旋の筋膜配列に沿って,長軸方向への触診検証を行いやすくするためにこの方法を用いた.疼痛部位は常に顕在化しているが,その原因は隠れている,あるいは潜在性であるということを忘れてはならない.そのため,触診検証に費やされる時間が無駄になることはない.
第6章では,後面にある当該分節の3つのCCとともに隣接する遠位分節のCCを解剖図に表している.第4章と第8章のCCを学ぶ際に,読者はこの章を参照する必要がある.病的状態では,同じ配列上の2つのCCはしばしば“活性化”(高密度化と疼痛のどちらか一方もしくは両方を伴う)している.
第7章では,分節の断面図とその分節に存在する6つのCCすべてが解剖図に描かれている.とくにこの章では,前方・内方・内旋の3つのCCを取り上げている.それらの断面図に描かれているCCは,本来の位置よりもわずかに近位あるいは遠位に示される可能性があることをご理解いただきたい.しかし,各CCの位置は,隔膜やそのCCの下(深部)にある筋,拮抗するCCとの関係性を正しく表している.いくつかの解剖図(図7.20,7.50,7.60等)では矢印を書き加えることで,動筋のCCと拮抗筋のCCとの特徴的な関係性をわかりやすく示している.
第8章の断面図は,後方・外方・外旋の3つのCCを解説するために描かれている.それらの運動方式のCCは,四肢と体幹の後面に位置する.
第9章では,運動検証と触診検証を解説する.運動検証は可動性の高い分節の6つの筋膜単位を順次検査するため,“比較運動検証”とよばれる.比較触診検証は,身体の片側のCCと反対側のCCを比較する.
第3〜8章において,触診検証の解説の際に,そのCCと一致する経穴が存在する場合,それを括弧内に記載した.いくつかのCCは,2もしくは3つの経穴と一致するため,その情報は有用である.その場合,触診検証は主要な協調中心から始め,続いて近位,遠位と移っていく.たとえば,後方─足関節(re-ta)のCCは腓腹筋の筋腱移行部にあり,経穴のBL57と一致する.下腿分節の後方運動が矢状面に沿っていくつかの角度で行われることを考慮すると,より近位の腓腹筋の内側頭と外側頭のあいだ(BL 56),より遠位のヒラメ筋の筋腹上(BL 58)であってもよい.主要なCC(BL 57)を治療した場合,評価表にre-ta(後方─足関節)と記載し,近位(BL 56)を施術した場合はre-ta p(後方─足関節近位)と記載する.
体幹において,各椎骨は深層の筋によって動くため,主要なCCは近位もしくは遠位に移動する可能性がある.
本書にはそれらの主要なCCの可変性を記載した.触診検証の際にあらかじめ設定された位置にとらわれず,触診の自由度を増すためである.
本書の旧版では解剖図が掲載されていなかった.しかし,本書は“Istituzionni di Anatomia dell'Uomo”(G.Charugi & L.Bucciante)からの図解によってより理解しやすくなった.使用を許可してくれた編集者(Piccin)に感謝する.
著者
Fascial Manipulation(R)(ファシャル・マニピュレーション,FM(R))は,イタリア人理学療法士のLuigi Stecco氏が提唱する新たな生体力学モデルと,それを裏づけるfasciaに関する解剖学的・生理学的エビデンスに基づく徒手的治療法である.FM(R)は,治療コンセプトにとどまらず,とくに既往歴を重視する問診の手順,具体的な評価と治療の方法,治療戦略の立て方までが確立されており,筋骨格系機能障害および内部機能障害を理解し治療するための革新的かつ具体的な道筋を提案している.
本書は,2011年に出版された『筋膜マニピュレーション 実践編 筋骨格系疼痛治療』(医歯薬出版刊)の改訂版である.本書の著者であるLuigi Stecco氏は,FM(R)の研修コースの受講者の理解を容易にするために本書の原著を執筆した〔日本における研修コースについては,一般社団法人日本Fascial Manipulation協会のサイト(https://fascialmanipulation-japan.com)で紹介されている〕.そのため,初版は1冊であったが,第2版となる今回は,新たな内容とともに多数の写真やイラストが追加され,本書と続巻〔『筋膜マニピュレーション 実践編 レベル2 原著第2版』(2022年春発行予定)〕の2冊に分冊されている.
本書および続巻は,疼痛や関節可動域制限をはじめとする筋骨格系機能障害に対するFM(R)がテーマである.レベル1である本書では,各身体分節の筋力のベクトルが収束する点(協調中心,Centre of coordination:CC)と,CCをつなぐ筋膜配列(Myofascial sequence)を治療するための基礎理論と実践方法が説明されている.一方,レベル2である続巻では,隣接するCCの影響が融合する点(融合中心,Centre of fusion:CF)と,CFをつなぐ筋膜対角線(Myofascial diagonal)と筋膜螺旋(Myofascial spiral)の評価と治療の方法が説明されている.
本書には,購入特典として,FM(R)公式アプリを利用するためのPINコードが用意されている.このアプリでは,CCとCFの位置を示すイラストと写真が提供されている.ぜひスマートフォンやタブレット端末にアプリをダウンロードして,たとえば,フィールド・ワーク中にCCの位置を確認する際などに活用していただきたい.
“fascia“という用語の定義に関しては,国際解剖学会とFascia Research Societyのあいだで議論が進んでいるものの結論にはいたっていない.ただし,fasciaが筋系のみならず,皮膚系や内臓系,神経系などにも関与する構造体であるという点は国際的に共通認識されている.そのため,近年,日本の有識者のあいだでは,従来の“fascia=筋膜”という概念は適当でないとの意見が一般的になりつつある.実際,FM(R)の理論と手技には,筋に関係する“myofascia“だけでなく,皮下組織内にある“superficial fascia”や,内臓に関係する“visceral fascia“の存在を考慮したものもある.以上の点を考慮すると,本書の書名は“筋膜マニピュレーション”ではなく“Fascial Manipulation“という英名をそのまま使用するのが妥当かもしれない.しかし,“筋膜マニピュレーション”という名称がわが国の徒手療法の分野においてある程度浸透していることを考慮して初版の書名を踏襲することとした.なお,原著で“fascia“と記載されている箇所のうち,“myofascia”と同義で用いられている箇所については,“筋膜”と訳したことをこの場でお伝えする.
最後に,初版の訳者であり,わが国へのFM(R)の導入に尽力された竹井仁氏の功績に敬意を表したい.また,休日や多忙な日常業務の合間を使って作業を滞りなく進めてくれた本書の10名の訳者の貢献に賛辞を送りたい.さらに,本書の出版にあたり,多大なご協力をいただいた医歯薬出版株式会社の編集担当者に深く感謝を申し上げる.
小川大輔
目白大学保健医療学部理学療法学科
一般社団法人 日本Fascial Manipulation協会
巻頭言
筋骨格系の刺激的な新分野,魅惑的な筋膜の世界へようこそ! 筋膜は人体全体をつなぐ連続した張力ネットワークを構成している.それは,1つひとつの臓器,筋,神経から小さな筋線維までを包み込みそれぞれをつないでいる.数十年にわたってひどく軽視されてきたが,現在の医学研究において,筋膜は“整形外科学のシンデレラ”からスーパースターの地位へ上り詰めたといえるだろう.21世紀の最初の数年間で,査読付き医学雑誌に掲載された筋膜に関する論文の数は急激に増加した.2007年10月にハーバード大学医学部で開催された第1回国際筋膜研究学会は世界的に承認され,成功を収めた.神経学において急速に成長しているグリア細胞研究と同様に,これまで過小評価されてきたこの連続性のある組織が,健康や病理学の面で,かつて考えられていた以上にはるかに重要な役割を果たしているということが,現在では世界的に認知されている.
すべての医学生や医師は,現在にいたるまで解剖学の授業のなかで,筋膜は“何かを見るために”すみやかに取り除くべき白い包装材として扱われてきたのをご存じだろう.同様に,解剖書においては,乳白色や半透明の筋膜をできるだけ高い技術で完全に取り除くことで,運動器系をいかに明瞭に整然と示すことができるかを競い合ってきた.鮮やかな赤で描かれた筋が骨格の特定の場所に接続するような簡略化された図は,学生には歓迎されたかもしれない.しかし,これらの簡略化された図は,人体が実際にどのように感じ,どのように振舞うのかという点とは一致していない.そのため,手術や触診の際にその違いにフラストレーションを感じるのは当然のことである.
教科書に描かれているように,収縮によって生じたすべての力を腱を介して骨格に伝える筋はほとんど存在しない.筋は収縮によって生じた力や張力の多くを筋膜へ伝達する.
筋膜は,受け取った力を,協調筋群だけでなく拮抗筋群にも伝える.それによって,関連する関節だけでなく,離れた関節にも影響を与える可能性がある.大殿筋と大腿筋膜張筋という強力な2つの筋に注目すると,どちらも腸脛靱帯とよばれる大腿外側の密性の筋膜組織に挿入している.この組織は大腿全体を覆っている大腿筋膜の一部を構成している.大腿筋膜の張力は,外側ハムストリングスや大腿四頭筋だけでなく,膝関節の関節運動や下腿全体に大きな影響を与える.
筋骨格系の教科書で論じられてきた,“どの筋”が特定の運動に関与するのか,という単純な問いは時代遅れになった.筋が機能的な単位であるという概念は,どれほど一般的であっても真実ではない.実際,多くの筋活動は個々の運動単位によって生じている.運動単位は1つの筋の一部と他の複数の筋の一部によって構成される.それら運動単位によって生成された張力は,膜状,嚢状,線維状の筋膜組織の複雑なネットワークに伝わり,最終的に身体運動に変換される.歴史的に権威ある教科書において,筋の数に違いがあるのは解剖の技術の差によるものである.筋を区別することでは,筋がどの運動を行うのかという問いに答えることができない.
同様に,筋膜の剛性と弾性が,人体の弾道的な運動において重要な役割を果たしている.それは,カンガルーとレイヨウの下腿組織の研究によって初めて発見された.その後,ウマも研究対象となり,最新の超音波研究の結果,筋膜の反動性が多くの身体活動に大きく貢献していることが明らかになった.どれだけ遠くへ石を投げられるか,どこまで高く跳躍できるか,どこまで長い距離を走れるかは,筋線維の収縮だけで決定されるのではなく,その多くの部分は,それらの運動に関与する筋膜のネットワークが弾性のある反動性を備えているかによって左右される.
筋膜ネットワークの構造が筋骨格系の活動にとってこれほど重要な要素であるならば,筋膜はなぜこれだけ長い期間見過ごされてきたのだろうか.この問いにはいくつかの答えがある.1つは,新しい画像診断方法が開発されたことと関係がある.それによって,生体内の筋膜組織を研究できるようになった.もう1つの理由は,筋膜が,何かを分割して部分に分けて,名前を付けて数を確認するという古典的な解剖学研究の手法に適さないからである.骨や筋の数を概算することは合理的に可能だが,人体の筋膜の数を数えるという試みは意味をもたない.筋膜とは大きな全身をつなぐ臓器である.その形態は多様であり,嚢状のもの,局所で線維が密になったロープ状のもの,幾重にも重なった袋状のもの等によって構成されており,それらは頑健な隔膜や疎性結合組織の層によって互いに連続している.
文献によって,筋膜の定義に含まれる組織に異なった用語が使用されているのは,こうした筋膜の把握しにくい性質を反映している.薄い筋内膜や浅筋膜は筋膜に含めるべきか(あるいは疎性結合組織なのか),線維が不規則に並んだ密性の結合組織のみが筋膜なのか,このような判断は,それぞれの研究者の考え方によって異なる.そこで,第1回筋膜研究学会で提案された筋膜の新しい定義をご紹介しよう.ここでいう“筋膜“とは,全身に広がる結合組織系を構成する軟部組織である.これは“筋膜らしい筋膜”といわれる平面的なシート状の組織(隔膜,関節包,腱膜,臓器被膜,支帯など)だけでなく,局所で線維の密度が高くなり靱帯や腱を構成するものも含む.それに加え,浅筋膜や筋内最内層の筋内膜のようなより軟性のコラーゲン性結合組織も含まれる.
すべての人がこの新しい定義に満足するわけではないだろうが,それはその研究領域に多くの重要な利益をもたらしている.関節包とそれに密接なつながりをもつ靱帯と腱のあいだに恣意的に境界線を引く必要はないことが多く(相互に連続した腱膜,支帯,筋内筋膜も同様である),筋膜組織は,局所に必要な張力に応じて,その線維の配合と密度を適応させる1つの相互に連続した張力ネットワークとして認識されるようになった.この定義は“筋膜“のラテン語の語源(束,包帯,革帯,統合,1つに束ねる)と非常によく合致している.そして,それは一般の人が理解している“結合組織”の意味とも一致する(対照的に,医学や生物学の専門家にとっては,軟骨,骨そして血液も結合組織に含まれる).
活発な筋膜の研究分野において,本書の著者らは大きな貢献を果たしてきた.筋膜は,以前考えられていたよりも,いくつかの側面からよりいっそう“生きている“ということが示されている.生きているということに関して,少なくとも2つの側面がある.1つは自動収縮する能力があることである.これは,われわれのグループ(Fascia Research Project,Ulm University,Germany)とIan Naylor(Bradford University,U.K.)のグループのラットとヒトの筋膜を用いた研究よって示された.もう1つの側面は,感覚器としての特性である.筋膜は,機械受容器や侵害受容器を含む多くの感覚神経終末によって神経支配を受けている.そのため,急性の筋筋膜性疼痛症候群の原因となる可能性がある.もし,筋膜を前述のような広い定義でとらえた場合,それは最も多くの感覚器をもつ臓器となる.固有感覚と私たちの“身体感覚”にとって最も重要な臓器であることは確かである.
Steccoファミリーは,そのうちの2人が本書の著者であるが,この新しい研究分野を牽引し続けてきた.彼らの最初の著書,“Fascial Manipulation for Musculoskeletal Pain”(Piccin,2004)〔日本語訳『筋膜マニピュレーション 理論編 筋骨格系疼痛治療』(2011年医歯薬出版刊)〕はすでに世界中の注目を集め,筋膜セラピストや運動指導者のあいだで瞬く間に広く知れわたった.そのため,2007年のハーバード大学における筋膜学会において,彼らの講演が,科学的な質の高さと内容の深さから特別賞を受賞したのは驚くことではなかった.私はこの新しい書籍が徒手療法の分野に大きな衝撃を与えることを確信している.その理由は,本書は最初の著書の理論と解剖学的に詳細な描写を掘り下げているだけでなく,彼らの治療技術を正確に表現しているからである.
著者たちは,筋膜ネットワークのなかに局在する特定の中心(協調中心,認知中心,融合中心)を介して,筋膜が神経筋協調性に貢献しているという斬新なモデルを示している.これはまったく新しいモデルであるが,非常に説得力がある.本書にあげられているこのモデルの医学的根拠は,系統学や神経生理学的なものだけでなく,創始者Luigi Stecco氏はじめ,娘のCarla Stecco医師,息子のAntonio Stecco医師による数千時間にも及ぶ解剖学研究に裏づけられている.
彼らの献身的な解剖学研究の結果,いくつもの新しい発見がもたらされた.その成果は,科学解剖学の査読付き雑誌に掲載されている.過去数年にわたって次々に発表される,筋膜に関する研究論文に目を通している者ならば,誰しも彼らの大きな貢献を知っているだろう.このファミリーのチームは筋膜の形態と局所解剖に関して詳細な研究を行っている.それは単に素晴らしいだけでなく,本書に示されている神経筋膜間の協調性モデルを裏づける新しい発見につながっている.
それらの発見は,彼らの研究の信用性を押し上げているが,科学界がこの新しい概念の妥当性を完全に認めるにはさらなる研究が必要であろう.歴史的な本書に示された新しい概念は支持されるのか,さらに発展するのか,どんなことがもたらされるにせよ,これからの数年間は刺激的なものになるだろう.Steccoファミリーと他の卓越した研究グループが世界の医学界に与えた貢献によって,すでに数名の筋骨格系医学の第一人者が筋膜研究の分野に足を踏み入れている.たとえば,筋性疼痛の第一人者であるハイデルベルグ大学(Heidelberg University)のSiegfried Mense教授は,最近,自身の神経支配と侵害受容の研究対象に腰部筋膜を含めた.そして,すでに“非常に興味深い発見”をしたという.それに関しては近く発表されるだろう.同様に,鍼灸研究で著名なバーモント大学(The University of Vermont)のHelene Langevin医師は,超音波を用いて,慢性腰痛患者と健常者の筋膜の状態の違いを研究している.
本書に収められた宝物の1つは,筋膜の局所解剖を詳細に表した豊富な解剖写真である.それらの解剖写真は非常によい仕事がなされていて,これほどまでに細部にわたって局所の特徴を表現したものはこれまで存在しなかった.しかしながら,1つ忠告させていただきたいのは,それらの解剖写真は確かに美しいが,生きているあなた自身の体や,あなたが実際に触れているクライアントの体よりもずっと乾燥している点である.本書から実際に生きているヒトの筋膜の性質に目を向ける際,ぜひ流体力学を心にとめて触れていただきたい.生体内の筋膜は,あなたが想像しているよりもはるかに滑走性が高く湿潤である.
もしあなたが理学療法(あるいは整形外科,リハビリテーション,運動療法等)の初心者であれば,本書は,テレビを見ながら拾い読みするような類のものではないと覚悟していただきたい.それは濃縮された情報の宝庫である.本書には余分なことは書かれておらず,もし誤って文章を読み飛ばしてしまうと,のちに論理を理解するための重要な情報を見逃してしまうことになりかねない.さらに,この領域の専門家であっても,本書を手に取って読むことで,計り知れない興奮と発見の喜びに浸ると確信している.筋膜に関する他の書籍はいくつかの異なった視点で書かれているが,本書が新たな基準を打ち立てることは明らかである.これまでに出版されたFascial Manipulationの書籍のなかで最も価値のある豊かな書籍を完成させた著者に,そして真に魅力的な組織とその徒手療法を学ぼうと本書を手に取った読者に心からの祝辞を贈りたい.
Robert Schleip PhD
筋膜研究プロジェクト(Fascia Research Project)
理事
ウルム大学(ドイツ)
序文
本書はFascial Manipulationの研修コースの参加者の助けになることを目的として書かれている.
筋膜の解剖学と生理学を理解するために必要不可欠な内容を第1章と第2章に記した.治療を行うためのアドバイスと評価表の書き方も併せて示している.
第3〜8章では,3つの空間面において各分節を動かす筋膜単位(myofascial unit)について記してある.
各筋膜単位には,患者が疼痛を感じる領域と一致する認知中心(Centre of Perception:CP),関節の機能障害の原因となる協調中心(Centre of Coordination:CC)が存在する.各CCは関連するCPから離れたところにあり,触診でのみ疼痛を感じる.
疼痛部位あるいはCPは,筋膜単位によって運動する関節上に存在する.
6つ,すなわち,前方運動,後方運動,外方運動,内方運動,内旋運動,外旋運動の筋膜単位が各関節を協調し運動を起こす.
関節痛がある場合,疼痛や機能障害にかかわっている筋膜単位を特定するために運動検証を行う.ここでの運動検証は個々の関節検査ではない.それは,分節を特定の方向へ動かす際の骨神経筋膜複合体,あるいは筋膜単位の全体的なパフォーマンスを評価する.
Fascial Manipulationの治療を受けたあと,多くの患者は「これはマッサージではない」と言う.実際に,筋膜の変性を特定するために必要な深い圧を特定の領域(CC)に加えていく.筋膜の変性を特定したあと,ナックルや肘を使って疼痛が消失するまで数分間にわたって刺激を与えると,ただちに関節機能が改善される.
初めての治療は,疼痛を増悪させる運動を含む情報収集から始まる.各筋膜単位は特定の方向に分節を運動させるため,この情報は,どの筋膜単位が疼痛とかかわっているのかという仮説を立てる際に有効である.
仮説は,触診検証を行う前に,運動検証を行うことで確認する.運動検証において,患者に,問診で聴取した最も疼痛を誘発する運動を行うよう求める.治療後には患者に再度同じ運動をしてもらい,治療の結果を評価する.疼痛が複数の分節にまたがって生じている場合,かかわっている空間面と疼痛の現れる筋膜配列を特定するのは有効である.そのような場合,運動検証はより可動性のある分節で行う.
触診検証と治療を行うCCの場所の理解を促進するために,本書には数多くの解剖図を掲載している.
第3章では,解剖図に,各分節の前方・内方・内旋の各運動を行う3つのCCが描かれている.この章は前方運動の筋膜配列を扱っており,読者は前方運動(an)にかかわる単関節筋と二関節筋の線維がCC上で集約することを理解する.内方運動の筋膜配列は第5章で,内旋運動の筋膜配列は第7章で取り上げる.そのため,内方運動と内旋運動にかかわる筋を解剖図で確認する際には第3章を参照する必要がある.全身の各分節の前面に存在するCCを一度に示すためにこの方法を用いた.
各分節で後方・外方・外旋の各運動を行う3つのCCは第4章に示した.この章は後方運動を扱っており,読者は単関節筋と二関節筋が後方運動のCC上で集約することを理解する.外方運動の筋膜配列は第6章で,外旋運動の筋膜配列は第8章で扱う.そのため,外方運動と外旋運動にかかわる筋を解剖図で確認する際には第4章を参照する必要がある.
第5章では,前面にある当該分節の3つのCCとともに隣接する遠位分節のCCを解剖図に表している.読者が水平方向だけでなく,前方・内方・内旋の筋膜配列に沿って,長軸方向への触診検証を行いやすくするためにこの方法を用いた.疼痛部位は常に顕在化しているが,その原因は隠れている,あるいは潜在性であるということを忘れてはならない.そのため,触診検証に費やされる時間が無駄になることはない.
第6章では,後面にある当該分節の3つのCCとともに隣接する遠位分節のCCを解剖図に表している.第4章と第8章のCCを学ぶ際に,読者はこの章を参照する必要がある.病的状態では,同じ配列上の2つのCCはしばしば“活性化”(高密度化と疼痛のどちらか一方もしくは両方を伴う)している.
第7章では,分節の断面図とその分節に存在する6つのCCすべてが解剖図に描かれている.とくにこの章では,前方・内方・内旋の3つのCCを取り上げている.それらの断面図に描かれているCCは,本来の位置よりもわずかに近位あるいは遠位に示される可能性があることをご理解いただきたい.しかし,各CCの位置は,隔膜やそのCCの下(深部)にある筋,拮抗するCCとの関係性を正しく表している.いくつかの解剖図(図7.20,7.50,7.60等)では矢印を書き加えることで,動筋のCCと拮抗筋のCCとの特徴的な関係性をわかりやすく示している.
第8章の断面図は,後方・外方・外旋の3つのCCを解説するために描かれている.それらの運動方式のCCは,四肢と体幹の後面に位置する.
第9章では,運動検証と触診検証を解説する.運動検証は可動性の高い分節の6つの筋膜単位を順次検査するため,“比較運動検証”とよばれる.比較触診検証は,身体の片側のCCと反対側のCCを比較する.
第3〜8章において,触診検証の解説の際に,そのCCと一致する経穴が存在する場合,それを括弧内に記載した.いくつかのCCは,2もしくは3つの経穴と一致するため,その情報は有用である.その場合,触診検証は主要な協調中心から始め,続いて近位,遠位と移っていく.たとえば,後方─足関節(re-ta)のCCは腓腹筋の筋腱移行部にあり,経穴のBL57と一致する.下腿分節の後方運動が矢状面に沿っていくつかの角度で行われることを考慮すると,より近位の腓腹筋の内側頭と外側頭のあいだ(BL 56),より遠位のヒラメ筋の筋腹上(BL 58)であってもよい.主要なCC(BL 57)を治療した場合,評価表にre-ta(後方─足関節)と記載し,近位(BL 56)を施術した場合はre-ta p(後方─足関節近位)と記載する.
体幹において,各椎骨は深層の筋によって動くため,主要なCCは近位もしくは遠位に移動する可能性がある.
本書にはそれらの主要なCCの可変性を記載した.触診検証の際にあらかじめ設定された位置にとらわれず,触診の自由度を増すためである.
本書の旧版では解剖図が掲載されていなかった.しかし,本書は“Istituzionni di Anatomia dell'Uomo”(G.Charugi & L.Bucciante)からの図解によってより理解しやすくなった.使用を許可してくれた編集者(Piccin)に感謝する.
著者
訳者一覧
監訳者の序文(小川大輔)
巻頭言(Robert Schleip)
序文(著者)
略語集
第1章 筋膜の解剖学 筋膜の組織学 筋膜の生体力学
筋膜の解剖学
筋膜の組織学
筋膜の生体力学
第2章 筋膜の生理学 筋膜性疼痛 Fascial Manipulation(FM)の評価チャート
筋膜の生理学
筋膜性疼痛
Fascial Manipulation(FM)の評価チャート
第3章 前方運動の筋膜配列
前方─頭部1(an-cp1)の筋膜単位
前方─頭部2(an-cp2)の筋膜単位
前方─頭部3(an-cp3)の筋膜単位
前方─頸部(an-cl)の筋膜単位
前方─胸郭(an-th)の筋膜単位
前方─腰部(an-lu)の筋膜単位
前方─骨盤(an-pv)の筋膜単位
前方─股関節(an-cx)の筋膜単位
前方─膝関節(an-ge)の筋膜単位
前方─足関節(an-ta)の筋膜単位
前方─足趾(an-pe)の筋膜単位
前方─肩甲骨(an-sc)の筋膜単位
前方─肩関節(an-hu)の筋膜単位
前方─肘関節(an-cu)の筋膜単位
前方─手関節(an-ca)の筋膜単位
前方─手指(an-di)の筋膜単位
前方運動配列の治療戦略
第4章 後方運動の筋膜配列
後方─頭部1(re-cp1)の筋膜単位
後方─頭部2(re-cp2)の筋膜単位
後方─頭部3(re-cp3)の筋膜単位
後方─頸部(re-cl)の筋膜単位
後方─胸郭(re-th)の筋膜単位
後方─腰部(re-lu)の筋膜単位
後方─骨盤(re-pv)の筋膜単位
後方─股関節(re-cx)の筋膜単位
後方─膝関節(re-ge)の筋膜単位
後方─足関節(re-ta)の筋膜単位
後方─足趾(re-pe)の筋膜単位
後方─肩甲骨(re-sc)の筋膜単位
後方─肩関節(re-hu)の筋膜単位
後方─肘関節(re-cu)の筋膜単位
後方─手関節(re-ca)の筋膜単位
後方─手指(re-di)の筋膜単位
後方運動配列の治療戦略
第5章 内方運動の筋膜配列
内方─頭部1(me-cp1)の筋膜単位
内方─頭部2(me-cp2)の筋膜単位
内方─頭部2後方(me-cp2r)の筋膜単位
内方─頭部3(me-cp3)の筋膜単位
内方─頭部3後方(me-cp3r)の筋膜単位
内方─頸部(me-cl)の筋膜単位
内方─頸部 後方(me-cl r)の筋膜単位
内方─胸郭(me-th)の筋膜単位
内方─胸郭 後方(me-th r)の筋膜単位
内方─腰部(me-lu)の筋膜単位
内方─腰部 後方(me-lu r)の筋膜単位
内方─骨盤(me-pv)の筋膜単位
内方─骨盤 後方(me-pv r)の筋膜単位
内方─股関節(me-cx)の筋膜単位
内方─膝関節(me-ge)の筋膜単位
内方─足関節(me-ta)の筋膜単位
内方─足趾(me-pe)の筋膜単位
内方─肩甲骨(me-sc)の筋膜単位
内方─肩関節(me-hu)の筋膜単位
内方─肘関節(me-cu)の筋膜単位
内方─手関節(me-ca)の筋膜単位
内方─手指(me-di)の筋膜単位
内方運動配列の治療戦略
第6章 外方運動の筋膜配列
外方─頭部1(la-cp1)の筋膜単位
外方─頭部2(la-cp2)の筋膜単位
外方─頭部3(la-cp3)の筋膜単位
外方─頸部(la-cl)の筋膜単位
外方─胸郭(la-th)の筋膜単位
外方─腰部(la-lu)の筋膜単位
外方─骨盤(la-pv)の筋膜単位
外方─股関節(la-cx)の筋膜単位
外方─膝関節(la-ge)の筋膜単位
外方─足関節(la-ta)の筋膜単位
外方─足趾(la-pe)の筋膜単位
外方─肩甲骨(la-sc)の筋膜単位
外方─肩関節(la-hu)の筋膜単位
外方─肘関節(la-cu)の筋膜単位
外方─手関節(la-ca)の筋膜単位
外方─手指(la-di)の筋膜単位
外方運動配列の治療戦略
第7章 内旋運動の筋膜配列
内旋─頭部1(ir-cp1)の筋膜単位
内旋─頭部2(ir-cp2)の筋膜単位
内旋─頭部3(ir-cp3)の筋膜単位
内旋─頸部(ir-cl)の筋膜単位
内旋─胸郭(ir-th)の筋膜単位
内旋─腰部(ir-lu)の筋膜単位
内旋─骨盤(ir-pv)の筋膜単位
内旋─股関節(ir-cx)の筋膜単位
内旋─膝関節(ir-ge)の筋膜単位
内旋─足関節(ir-ta)の筋膜単位
内旋─足趾(ir-pe)の筋膜単位
内旋─肩甲骨(ir-sc)の筋膜単位
内旋─肩関節(ir-hu)の筋膜単位
内旋─肘関節(ir-cu)の筋膜単位
内旋─手関節(ir-ca)の筋膜単位
内旋─手指(ir-di)の筋膜単位
内旋運動配列の治療戦略
第8章 外旋運動の筋膜配列
外旋─頭部1(er-cp1)の筋膜単位
外旋─頭部2(er-cp2)の筋膜単位
外旋─頭部3(er-cp3)の筋膜単位
外旋─頸部(er-cl)の筋膜単位
外旋─胸郭(er-th)の筋膜単位
外旋─腰部(er-lu)の筋膜単位
外旋─骨盤(er-pv)の筋膜単位
外旋─股関節(er-cx)の筋膜単位
外旋─膝関節(er-ge)の筋膜単位
外旋─足関節(er-ta)の筋膜単位
外旋─足趾(er-pe)の筋膜単位
外旋─肩甲骨(er-sc)の筋膜単位
外旋─肩関節(er-hu)の筋膜単位
外旋─肘関節(er-cu)の筋膜単位
外旋─手関節(er-ca)の筋膜単位
外旋─手指(er-di)の筋膜単位
外旋運動配列の治療戦略
第9章 運動検証と触診検証
比較運動検証
体幹の比較運動検証:頸部
体幹の比較運動検証:腰部
体幹の各配列の抵抗を用いた運動検証
体幹の簡略化した運動検証
体幹の姿勢検査
下肢の比較運動検証:股関節
下肢の比較運動検証:足関節
下肢の各配列の抵抗を用いた運動検証
下肢の簡略化した運動検証
下肢のアライメント検査
上肢の比較運動検証:肩関節
上肢の比較運動検証:手関節
上肢の各配列の抵抗を用いた運動検証
上肢の簡略化した運動検証
上肢における偏位の検査
比較触診検証
眼分節(CP1)両側
上顎分節(CP2)両側
下顎分節(CP3)
頸部分節(CL)
長軸方向の比較触診検証:胸郭分節(TH)と腰部分節(LU)
長軸方向の比較触診検証:腰部分節(LU)と骨盤分節(PV)
長軸方向の比較触診検証:股関節(CX)と膝関節分節(GE)
足関節分節(TA)
足趾分節(PE)
肩甲骨分節(SC)
肩関節分節(HU)
肘関節分節(CU)
手関節分節(CA)
手指分節(DI)
結論
参考文献
監訳者の序文(小川大輔)
巻頭言(Robert Schleip)
序文(著者)
略語集
第1章 筋膜の解剖学 筋膜の組織学 筋膜の生体力学
筋膜の解剖学
筋膜の組織学
筋膜の生体力学
第2章 筋膜の生理学 筋膜性疼痛 Fascial Manipulation(FM)の評価チャート
筋膜の生理学
筋膜性疼痛
Fascial Manipulation(FM)の評価チャート
第3章 前方運動の筋膜配列
前方─頭部1(an-cp1)の筋膜単位
前方─頭部2(an-cp2)の筋膜単位
前方─頭部3(an-cp3)の筋膜単位
前方─頸部(an-cl)の筋膜単位
前方─胸郭(an-th)の筋膜単位
前方─腰部(an-lu)の筋膜単位
前方─骨盤(an-pv)の筋膜単位
前方─股関節(an-cx)の筋膜単位
前方─膝関節(an-ge)の筋膜単位
前方─足関節(an-ta)の筋膜単位
前方─足趾(an-pe)の筋膜単位
前方─肩甲骨(an-sc)の筋膜単位
前方─肩関節(an-hu)の筋膜単位
前方─肘関節(an-cu)の筋膜単位
前方─手関節(an-ca)の筋膜単位
前方─手指(an-di)の筋膜単位
前方運動配列の治療戦略
第4章 後方運動の筋膜配列
後方─頭部1(re-cp1)の筋膜単位
後方─頭部2(re-cp2)の筋膜単位
後方─頭部3(re-cp3)の筋膜単位
後方─頸部(re-cl)の筋膜単位
後方─胸郭(re-th)の筋膜単位
後方─腰部(re-lu)の筋膜単位
後方─骨盤(re-pv)の筋膜単位
後方─股関節(re-cx)の筋膜単位
後方─膝関節(re-ge)の筋膜単位
後方─足関節(re-ta)の筋膜単位
後方─足趾(re-pe)の筋膜単位
後方─肩甲骨(re-sc)の筋膜単位
後方─肩関節(re-hu)の筋膜単位
後方─肘関節(re-cu)の筋膜単位
後方─手関節(re-ca)の筋膜単位
後方─手指(re-di)の筋膜単位
後方運動配列の治療戦略
第5章 内方運動の筋膜配列
内方─頭部1(me-cp1)の筋膜単位
内方─頭部2(me-cp2)の筋膜単位
内方─頭部2後方(me-cp2r)の筋膜単位
内方─頭部3(me-cp3)の筋膜単位
内方─頭部3後方(me-cp3r)の筋膜単位
内方─頸部(me-cl)の筋膜単位
内方─頸部 後方(me-cl r)の筋膜単位
内方─胸郭(me-th)の筋膜単位
内方─胸郭 後方(me-th r)の筋膜単位
内方─腰部(me-lu)の筋膜単位
内方─腰部 後方(me-lu r)の筋膜単位
内方─骨盤(me-pv)の筋膜単位
内方─骨盤 後方(me-pv r)の筋膜単位
内方─股関節(me-cx)の筋膜単位
内方─膝関節(me-ge)の筋膜単位
内方─足関節(me-ta)の筋膜単位
内方─足趾(me-pe)の筋膜単位
内方─肩甲骨(me-sc)の筋膜単位
内方─肩関節(me-hu)の筋膜単位
内方─肘関節(me-cu)の筋膜単位
内方─手関節(me-ca)の筋膜単位
内方─手指(me-di)の筋膜単位
内方運動配列の治療戦略
第6章 外方運動の筋膜配列
外方─頭部1(la-cp1)の筋膜単位
外方─頭部2(la-cp2)の筋膜単位
外方─頭部3(la-cp3)の筋膜単位
外方─頸部(la-cl)の筋膜単位
外方─胸郭(la-th)の筋膜単位
外方─腰部(la-lu)の筋膜単位
外方─骨盤(la-pv)の筋膜単位
外方─股関節(la-cx)の筋膜単位
外方─膝関節(la-ge)の筋膜単位
外方─足関節(la-ta)の筋膜単位
外方─足趾(la-pe)の筋膜単位
外方─肩甲骨(la-sc)の筋膜単位
外方─肩関節(la-hu)の筋膜単位
外方─肘関節(la-cu)の筋膜単位
外方─手関節(la-ca)の筋膜単位
外方─手指(la-di)の筋膜単位
外方運動配列の治療戦略
第7章 内旋運動の筋膜配列
内旋─頭部1(ir-cp1)の筋膜単位
内旋─頭部2(ir-cp2)の筋膜単位
内旋─頭部3(ir-cp3)の筋膜単位
内旋─頸部(ir-cl)の筋膜単位
内旋─胸郭(ir-th)の筋膜単位
内旋─腰部(ir-lu)の筋膜単位
内旋─骨盤(ir-pv)の筋膜単位
内旋─股関節(ir-cx)の筋膜単位
内旋─膝関節(ir-ge)の筋膜単位
内旋─足関節(ir-ta)の筋膜単位
内旋─足趾(ir-pe)の筋膜単位
内旋─肩甲骨(ir-sc)の筋膜単位
内旋─肩関節(ir-hu)の筋膜単位
内旋─肘関節(ir-cu)の筋膜単位
内旋─手関節(ir-ca)の筋膜単位
内旋─手指(ir-di)の筋膜単位
内旋運動配列の治療戦略
第8章 外旋運動の筋膜配列
外旋─頭部1(er-cp1)の筋膜単位
外旋─頭部2(er-cp2)の筋膜単位
外旋─頭部3(er-cp3)の筋膜単位
外旋─頸部(er-cl)の筋膜単位
外旋─胸郭(er-th)の筋膜単位
外旋─腰部(er-lu)の筋膜単位
外旋─骨盤(er-pv)の筋膜単位
外旋─股関節(er-cx)の筋膜単位
外旋─膝関節(er-ge)の筋膜単位
外旋─足関節(er-ta)の筋膜単位
外旋─足趾(er-pe)の筋膜単位
外旋─肩甲骨(er-sc)の筋膜単位
外旋─肩関節(er-hu)の筋膜単位
外旋─肘関節(er-cu)の筋膜単位
外旋─手関節(er-ca)の筋膜単位
外旋─手指(er-di)の筋膜単位
外旋運動配列の治療戦略
第9章 運動検証と触診検証
比較運動検証
体幹の比較運動検証:頸部
体幹の比較運動検証:腰部
体幹の各配列の抵抗を用いた運動検証
体幹の簡略化した運動検証
体幹の姿勢検査
下肢の比較運動検証:股関節
下肢の比較運動検証:足関節
下肢の各配列の抵抗を用いた運動検証
下肢の簡略化した運動検証
下肢のアライメント検査
上肢の比較運動検証:肩関節
上肢の比較運動検証:手関節
上肢の各配列の抵抗を用いた運動検証
上肢の簡略化した運動検証
上肢における偏位の検査
比較触診検証
眼分節(CP1)両側
上顎分節(CP2)両側
下顎分節(CP3)
頸部分節(CL)
長軸方向の比較触診検証:胸郭分節(TH)と腰部分節(LU)
長軸方向の比較触診検証:腰部分節(LU)と骨盤分節(PV)
長軸方向の比較触診検証:股関節(CX)と膝関節分節(GE)
足関節分節(TA)
足趾分節(PE)
肩甲骨分節(SC)
肩関節分節(HU)
肘関節分節(CU)
手関節分節(CA)
手指分節(DI)
結論
参考文献