やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに

 現代社会はグローバル化の波に洗われて間断なく新しい情報が私たちの目や耳を刺激しています.
 しかし,その情報も人の心が生み出している結果であり,その流れに適切な反応をしつつ人々が生活しているか否かが,その人の進路や生活を,大きく左右します.
 したがって,望ましい未来や明日の生活を期待するためには,人の心について知りたいと思っている若い人々のために,私ども三人は新世紀を迎えた今,この本の内容を清新なものにしようと話しあって,改訂増補しました.
 なお,将来全面改訂を期しておりますので,今後の叱正,ご示唆をお願い申し上げます.
 2002年1月 編著者
 はじめに

プロローグ 現代心理学のはじまりと本書の概要
 現代心理学のはじまり
 ゲスシュタルト心理学
 行動主義の心理学点3
 精神分析系統の心理学
 認知心理学のなりたち
 本書の概要

第I編 心理学の基礎
 1.知覚と認識――環境情報の取得
  1)知覚研究の現在
  2)見えるとおりには見ていない
   (1)線がないのに見える:主観的輪郭線
   (2)錯視:知覚の誤解?
   (3)錯視:正しい知覚?
  3)平面から立体を見る不思議
  4)視覚の神経生理学
   (1)特徴抽出細胞
  5)色覚のメカニズム
  6)脳の左右差
  7)開眼者の知覚
  8)アフリカの原住民の絵画知覚
  9)パタン認識
   (1)特徴抽出モデルの問題点
  10)選択的注意とは
 2.記憶――情報の貯蔵
  1)記憶の研究について
   (1)記憶の検出方法
   (2)情報処理マシンとしての人間
  2)感覚記憶
  3)記憶の二重構造
   (1)記憶の仕組み
   (2)リハーサル
   (3)記憶障害者H.M.
   (4)系列位置記憶
  4)短期記憶の処理
   (1)忘却
  5)長期記憶
   (1)名人の暗記力
   (2)物語連鎖法
   (3)絵の記憶にみる意味づけ
  6)長期記憶化のプロセス
   (1)再構成
   (2)犯人の確認
  7)写真のような記憶
   (1)超記憶能力者
  8)記憶の表象
  9)知識の配置
   (1)ヒツジとウマはどれくらい似ていますか
  10)長期記憶の忘却
  11)動物の記憶
  12)忘れる記憶と忘れない記憶
 3.思考――問題を解決する
  1)問題解決とはなにか
   (1)心理学における問題解決実験
  2)問題の表現方法と解決の難易度
  3)類推と問題解決
   (1)類推と理解
   (2)類推と問題解決
  4)問題解決と過去経験
  5)人間は論理的判断を行なうか
   (1)演繹的推論と帰納的推論
   (2)演繹的推論にみられる誤り
   (3)人間の論理的推論
  6)確率的な事象に対する判断
   (1)代表性
   (2)人間はほんとうは論理的
  7)人工知能と問題解決
   (1)人工知能とは
   (2)なぜ人工知能で人間の思考が研究できるのか
   (3)人工知能の歴史
   (4)一般的問題解決システム
   (5)自然言語理解
   (6)すぐれた日常問題解決
 4.言語――意志を伝える
  1)言語の機能
  2)動物はことばをもつか
   (1)ベルベットモンキーの警戒の叫び
   (2)イルカのコミュニケーション実験
   (3)ハトのコミュニケーション実験
   (4)賢い馬ハンスは賢いか
  3)ことばを習うサル
   (1)手話を学ぶチンバンジー
   (2)プラスチック記号言語
   (3)コンピュータを対話するサル
   (4)ことばを理解するチンパンジー
  4)言語の条件
 5.学習――行動のコントロール
  1)学習と勉強は別のこと
  2)学習の基本パタン
  3)事象間の関係の理解:パブロフ型条件づけ
   (1)実験神経症
   (2)ガルシア効果
   (3)学習性の無力感
  4)行為とその結果の理解:オペラント条件づけ
   (1)オペラント条件づけの学習過程
   (2)オペラント条件づけの訓練手順
   (3)精神病院でのオペラント条件づけ
  5)オペラント条件づけのさまざまな現象
  6)パブロフ型条件づけオペラント条件づけの相違
  7)パブロフ型条件づけとオペラント条件づけの相互作用
  8)条件づけの応用
   (1)パブロフ型条件づけによりあがりを防ぐ
   (2)オペラント条件づけによるアルコール依存症の治療
   (3)自閉的こどもの治療
 6.動機づけと感情――感情に左右される人間
  1)動機づけとは
  2)生命の維持と種の保存
   (1)摂食行動と摂水行動
   (2)社会的促進
   (3)肥満者の食行動
   (4)血液中の血糖濃度
   (5)子孫の保存の要求
   (6)性行動
  3)動機づけの強さの測定法
  4)内発性動機づけ
   (1)感覚遮断実験
  5)社会的動機づけ
   (1)やる気と目標設定
  6)フラストレーションとその解消
  7)コンフリクト
   (1)コンフリクトと選択反応
  8)情動とは
   (1)表情の推定
   (2)生理的変化と情動状態の関係
   (3)泣くから悲しい
   (4)情動の認知モデル
第II章 心理学の応用――こころの健康
 7.発達の心理――ライフサイクルからみた発達
  1)人間の発達
  2)発達段階と発達課題
   (1)乳・幼児期
   (2)児童期
   (3)青年期
   (4)成人期
   (5)老年期
  3)発達研究の現在
 8.パーソナリティ――性格の理解
  1)パーソナリティと性格
   (1)類型論
    〈クレッチマーの類型論,その他の類型論,ユングの外向,内向タイプ論〉
   (2)特性・因子論
@   〈オールボートの特性論,キャッテルの特性・因子論,アイゼンクの類型的因子論〉
  2)精神分析の人間観
  3)性格の形成
 9.知能――その測定と評価
  1)知能とは
  2)知能の測定・検査
  3)知能検査結果の表わしかた
  4)知能の分布
  5)知能の発達とIQの恒常性
  6)知能テストの利用
  7)高齢者の知能
  8)知能の診断と検査値
 10.心の健康――メンタルヘルスとストレス
  1)メンタルヘルス
  2)ストレス
  3)ストレス度評価法
  4)タイプA行動とCHD
  5)CMI:Cornell Medical Index
 11.心理臨床――サイコセラピー
  1)臨床心理学
  2)性格テスト
   (1)インベントリーまたは質問紙法
    〈a MPI(モーズレ性格検査) b MMPI:Minnesota Multiphasic Personality Inventory C Y-G性格検査〉
   (2)作業検査法
   (3)投映法
    〈a SCT:Sentence Conpletion Test b ロールシャッパテスト:Rorshach Test c TAT:Thematic Apperception Test d P-Fスタディ:Picture Frustration Study e その他の投映法テスト〉
  3)性格テストの種別と特色
  4)心理療法
 12.カウンセリング――心と心のふれあい
  1)カウンセリングの論拠
  2)適応の指導
  3)適性テスト
  4)親子カウンセリング
  5)学校カウンセリング
  6)職場のカウンセリング
 13.福祉のこころ――社会福祉援助と心理学
  1)高齢者の心理
   (1)高齢者の認知機能
    〈a 高齢者の知的活動 b 高齢者の記憶様式〉
   (2)中・高齢者の人間関係
  2)障害者をめぐる心理学的知識
   (1)障害者の心理と援助
  3)福祉的援助活動とこころ

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