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第61回日本口腔衛生学会・総会開催される

 5月25日(金)~27日(月),神奈川歯科大学(神奈川県横須賀市)にて,標記学会・総会(大会長:荒川浩久/神奈川歯科大学健康科学講座口腔保健学分野教授)が「プラークコントロールマイニング」をメインテーマに開催された.

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 25日(金)には,「治療可能な初期う蝕の診断」「地域口腔保健の評価とその指標について考える」「禁煙指導・禁煙支援を歯学教育と健康保険制度の面から考える」など,5つのテーマをもとに自由集会が開かれ,26日(土)には,飯島洋一氏(長崎大学社会医療科学講座口腔保健准教授),高橋信博氏(東北大学口腔生物学講座口腔生化学分野教授)によるシンポジウム「デンタルプラークをコントロールするフッ化物」,山口直人氏(東京女子医科大学衛生学公衆衛生学第二講座教授)の特別講演「携帯電話からの電磁波と発がん性」,Ujjal K. Bhawal氏らによる「米海軍横須賀基地でのプラーク・コントロールおよびフッ化物応用」など,多彩な講演が企画された.

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 27日(日)シンポジウムⅢ「プラークコントロールの実際」には,山本裕子氏(神奈川県高座郡・後藤歯科医院),岩切明美氏(IWAKIRI SYSTEM代表),三澤洋子氏(藤沢市保健所)が登壇した.
 山本氏は,唾液の緩衝能と口腔内pH,口腔内常在菌による齲蝕リスクの違いを解説し,勤務する後藤歯科医院での齲蝕予防の特別プログラムを紹介した.唾液緩衝能の検査により高リスクと判断され,患者さんが希望する場合,細菌検査,TBI,フッ化物の応用,食事指導などがプログラムの一項目として実施され,成人に対しては生活習慣の検査が加わる.ただし,「患者さんに無理を強いないことが重要で,定期的な来院が途絶えないよう対応すべきである」と述べた.
 岩切氏は,スケーラー,プローブ,エキスプローラーの特徴,歯ブラシ,フロスなどの清掃用具の使い分けなどについて,歯周治療の基礎知識を解説した.また,メインテナンスを継続している症例を提示し,歯肉炎の段階で炎症をコントロールし,歯周炎に進行させないことが重要であるとした.
 三澤氏は,高齢者のプラークコントロールについて,免疫力や口の動き,唾液分泌量が低下したときには,口腔ケアが特に必要であるとし,口腔ケアの方法を詳説した.続いて,症例を紹介.施設に通院する認知症の75歳男性に対し,まわりの患者さんの協力を得てアプローチし,何事にも関心のなかった患者さんが興味を示し歯磨きができるようになった.最終的には,「ご飯がおいしくなったという感想が聞かれるまで身体の調子もよくなった」という.

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 パネルディスカッションでは,石井良昌氏(海老名総合病院歯科口腔外科部長・NST室長),江頭文江氏(地域栄養ケアPEACH厚木代表),津田豪太氏(福井県済生会病院耳鼻咽頭科・頚部外科主任部長)が,それぞれ歯科医師,管理栄養士,医師(耳鼻咽頭科)の立場から摂食・嚥下機能向上における多職種医療連携について解説した.
 石井氏は,舌接触補助床,軟口蓋拳上装置を用いた症例を報告し,総合病院におけるNST(栄養サポートチーム)での歯科医師の役割の1つとして示した.また,「口腔保健のスペシャリストとして,歯科衛生士と協働して,スキルアップしていく必要がある」と,歯科医師・歯科衛生士にさらなる技術の向上を求めた.
 管理栄養士の江頭氏は,栄養管理は全身管理の1つであるとし,「栄養管理のポイントは,栄養状態良好に保つこと,誤嚥を防ぐ安全な食事,食環境である」と解説.他職種と連携し,食を利用した摂食・嚥下訓練の重要性にも言及した.
 津田氏は,急性発症の嚥下障害の診断,特に経口摂取の可否について,ベッドサイドにてVE(嚥下内視鏡検査)を用いて,食べられるものを探す検査を解説.そのほか,2カ月間の集中的な摂食・嚥下リハビリテーションの取り組みや難治性嚥下障害への外科的治療を紹介した.

 次回,第62回日本口腔衛生学会・総会(学会長:牧 茂/松本歯科大学教授)は,2013年5月22日(水)~24日(金)に開催予定である.

 

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