5月29日(日),THE GRAND HALL(東京都港区)にて標記講演会が開催された(主催:株式会社オーラルケア,後援:NPO法人「最先端のむし歯・歯周病予防を要求する会」).本講演会は,PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)の提唱者として知られ,世界的な歯科疾患予防の権威として知られるペール・アクセルソン氏の来日講演とあって,全国から350名あまりの歯科医師・歯科衛生士が参加した.

午前中の講演においては,「費用対効果に基づいた予防(Cost-effective prevention)」をテーマに,効果的な予防プログラムを遂行するためには,リスクの把握が不可欠であるとして,「患者さん個々のリスク」,「キーリスク歯」,「キーリスク歯面」を知ることの重要性を強調した.また,「PMTCはニーズに応じて選択的に行うべきであり,リスクのない歯面に対して行う必要はない」と述べ,過度で不必要なケアのあり方に警鐘を鳴らした.
続いて,リスクの把握に不可欠な「齲蝕と歯周病の病因論」を詳説.研究データをもとに宿主側の因子,全身疾患,喫煙,生活習慣,教育レベルなどこれらの疾患の原因となる修飾因子について解説を加えた.

午後の講演においては,「必要に応じたう蝕・歯周病の予防」「必要に応じた予防プログラム」として,セルフケア・プロフェッショナルケアにおけるフッ化物の応用,PMTCの具体的手技,また,小児,成人,高齢者等それぞれの年代に応じた予防プログラムのあり方を供覧.歯科衛生士による予防処置は,患者教育,必要に応じたPMTCとデブライドメント,フッ化物の応用,プラーク停滞因子の除去にあることが改めて確認された.
講演後には,アクセルソン氏と聴講者が直接懇親できる場が設けられ,予防の真髄を身近で学ぶ機会となった.
※NPO法人「最先端のむし歯・歯周病予防を要求する会」ホームページ
http://www.honto-no-yobou.jp/