7月4日(土),5日(日),こまばエミナース(東京都目黒区)にて,第29回臨床歯科を語る会が,160名の参加者を集め開催された(実行委員長:松井宏榮氏・神奈川県開業).
初日の全体会は,『傷はぜったい消毒するな』(光文社刊)等の著書で知られ,「非消毒・湿潤治療」を提唱する,夏井 睦氏(石岡第一病院・傷の治療センター長)による講演「新しい創傷治療」が行われ,「生体」の治癒能力を妨げない創傷治療の姿について,豊富な実例をもとにその理論背景が紹介された.特に医療の常識とされている“創面を乾燥させる”という行為が,創傷の治癒を遅延させてきた主因であると断じ,湿潤環境で創を閉鎖するための創傷被覆材を用いた臨床例が提示された.

続く分科会では,「補綴前処置としてのMTM」「欠損歯列におけるトリートメントプランと予後予測」「“力”が強い症例にインプラントは有効か?」の3題のプログラムが組まれ,それぞれ日常臨床のなかでの疑問や臨床実感を参加者が持ち寄ってのディスカッションが展開された.

その後のテーブルクリニックは,黒田昌彦氏(東京都開業),玉置博規氏(デンタルラボ玉置)による「コーヌスクローネへの道・実践編」,下川公一氏(福岡県開業)による「再生療法における炭酸ガスレーザーの有効性と概念」の2題.「コーヌスクローネへの道」では,義歯の安定性や清掃性などのコーヌスクローネのメリットを最大限に発揮させるための間接法の精度について,製作上の勘所をレクチャーされた.「再生療法における炭酸ガスレーザー」では,炭酸ガスレーザーの組織活性化作用を再生療法の術式に組み込むことで実現する,手術時間と治癒期間の大幅な短縮について,豊富な実例にて紹介された.

2日目の全体会では,阿部伸一准教授(東歯大・解剖)による講演「インプラント解剖学―粘膜下に潜む危険部位と治療後の抗加齢現象」が行われ,インプラント治療に関連して押さえなければいけない解剖学的チェックポイントを,静止画と動画を駆使してわかりやすく解説されたほか,最新の剖検データに基づくトピックが紹介された.
毎日の臨床のなかでの実感や気づきに根ざした同会ならではのプログラムと,医療界の最新動向を睨んでのプログラムとが有意義に同居する充実した2日間であった.