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東京歯科大学同窓会主催・TDC卒後研修セミナー2008「患者さんの健康を支援する」開催される

11月9日(日),東京歯科大学水道橋病院血脇記念ホール(東京都千代田区)にて「患者さんの健康を支援する~歯科医師の出来ること歯科衛生士に出来ること~」と題した標記セミナーが開催された.3医院それぞれの歯科医師・歯科衛生士双方の視点から,健康支援に向けた取り組みの実際を学べるプログラムとあって100名を超える歯科医師,歯科衛生士が参加した.

講演に聴き入る参加者たち.jpg

「歯周治療,メインテナンスにおけるチーム力の向上と維持」という側面から健康支援について解説した牧野 明氏(まきの歯科医院・富山県開業),畔川澄枝氏(同院勤務・歯科衛生士)は,「6,7㎜を超える歯周ポケットや,歯周炎によって傾斜・移動した歯に対しても,適切に歯石を探知し軟組織を傷つけないルートプレーニングの技術を備えていれば,非外科的なアプローチで改善するケースが少なくない」「院内の総合力を育てるには,誰か1人が卓越した知識・技術をもつのではなく,トレーニングと指導によってそれを継承し,全スタッフが同等のレベルの治療を提供できる体制づくりが重要である」など,患者を中心としたチームのなかで患者・歯科医師・歯科衛生士それぞれの果たすべき役割が臨床例を通して語られた.
続いて登壇した高柳篤史氏(高柳歯科医院・埼玉県)は,「保健指導から健康支援へのアプローチ」と題して,まず,歯科治療の特徴や患者の口腔衛生・歯科疾患の実態,意識調査の結果などを示しながら,歯科界の現状と今後求められている役割を詳説した.「医療の在り方は“術者目線”から“患者目線”へと変わりつつあり,私たちの役割も,患者に保健行動への変容を求める“保健指導”から,患者が主体的に参加できる環境づくり,患者・術者の双方向のかかわり,生活者目線でのアプローチなどを主体とする“健康支援”へと移行すべき時期に来ている」「科学的根拠に基づく“予防”と,個々の患者のあらゆる側面を考慮した多様性,柔軟性のある“治療”を提供するなかで,健康の価値を患者と術者が分かち合える関係を築いていくことが重要」など,調査データやエビデンスの報告・分析にとどまらず,それらを日々の臨床にどう反映させていくかまで掘り下げた解説がなされた.
同院の真中美和子氏(歯科衛生士)は,ブラッシング指導を軸とした健康支援への取り組みを報告し,患者との会話における注意点や院内のディスプレイの工夫など,参加者が明日から取り入れることができるアイディアを多数紹介した.

本セミナー最後となる演題 「“変化”への対応―長期症例は語る―」では,北川原 健氏(北川原歯科医院・長野県開業),岡本めぐみ氏(同院勤務・歯科衛生士)が登壇し,同院がいかにして健康支援を継続してきたか,そしてその結果としてどのような口腔状態が維持されているかが,20年を超える長期症例を通して示された.北川原氏は,健康支援に不可欠な要素として「治療の質」「情報提供の質と量」「変化への対応」の3点をあげ,「1カ月の来院患者の70%が50歳以上という,患者の高齢化が進む当院においては,加齢や疾患にともなう“変化への対応”が今後の健康支援において特に重要な鍵になるであろう」と述べた.

ディスカッション.jpg ディスカッション

講演後のディスカッションでは,「ブラッシング指導を目的とした来院で,患者のモチベーションを維持し,来院を継続していただくには?」「ルートプレーニング開始のタイミングをもっと詳しく教えてほしい」など,参加者から多くの質問が投げかけられ,終始活発な議論が交わされた.

なお,本セミナーは2008年最後の卒後研修セミナーとなり,来る2009年も,臨床で活躍する歯科医師,歯科衛生士の知識・技術の向上のためのさまざまなプログラムが予定されている.

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