7月5日(土),6日(日),こまばエミナース(東京都目黒区)にて,150名の参加者を集め,臨床歯科を語る会が開催された(実行委員長:須貝昭弘氏・神奈川県開業).全国のスタディグループに所属する会員が一堂に会する同会は,今年で28回目を迎える.

初日の全体会は,『医師アタマ』(医学書院刊)の編者である尾藤誠司氏(国立病院機構東京医療センター)による講演「エビデンスと患者の事情」.近年の医療不信を,患者と医師が互いに被害者意識をもっている状況と分析.患者と医療者が“共に考える医療”への転換のために,EBMと患者の事情とを対等に考えるスタンスが必要と強調された.
午後の分科会では,下記の3つのテーマについて,参加者が臨床実感をケースプレゼントの形で持ち寄り,ディスカッションを展開.「①オールセラミックスの現状と可能性」では,オールセラミック修復における適応症・適応部位の見極めや製作上の留意点など,審美的観点からだけではないメタルフリー修復のあり方について討論された.「②片側遊離端欠損の治療オプションを考える」では,3歯以上の片側遊離端欠損症例に対し,病態の診断や力学的な問題を踏まえた補綴設計が話し合われ,残存天然歯を守ることを主眼に,パーシャルデンチャーやインプラントを用いた設計が模索された.また「③機能的な臼歯部の咬合面形態を考える」では,臼歯部補綴時の咬合面形態の付与について,主に咀嚼サイクル,ガイド付与の視点を中心にディスカッションが展開された.
引き続いて行われたテーブルクリニック「①CTの使い方 臨床編(藤関雅嗣氏・東京都開業)」では,さまざまな臨床例の提示から,歯科用CTによる画像診断の利点と限界が報告された.「②黒田式コーヌスクローネへの誘い(黒田昌彦氏・東京都開業)」では,コーヌスクローネのトラブルの主因はネガティブウィンケルの存在に尽きるとの指摘のもと,全周6°の内冠設計,レジンコーピングを用いた印象採得などの“黒田式”テクニックが紹介された.「咬合育成に必要な装置と調整法(須貝昭弘氏)」では,子どもの交叉咬合や叢生などの歯列不正を改善するための装置が紹介され,混合歯列期に治療を行って成果を上げた,多くの症例が提示された.

2日目は,村上伸也教授(阪大)による講演「塩基性線維芽細胞増殖因子(FGF-2)を用いた新規歯周組織再生療法の確立に向けて」.再生療法の適応症の拡大と予知性の向上に尽きるとの前提のうえで,サイトカインの歯周組織再生誘導薬の臨床試験の現状について解説された.会場からの再生療法に関する臨床実感とあわせ,ディスカッションも熱を帯びたものとなった.
毎日の臨床のなかでの実感や気づきにベースをおきつつ,最新の研究動向についてもアンテナを張り続ける同会の,真摯な臨床姿勢を実感する2日間であった.