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　12月3日（土），4日（日），第30回JIADS総会・学術大会が「Debridementを極める」をテーマとしてベルサール九段（東京都千代田区）で行われた．

　Dr. DH会員発表では，9名の演者が発表した．
　「JIADSラーニングステージを実践して～根面被覆術を行った症例～」の演題で登壇した豊島貴彦氏（東京都）は，歯肉退縮を認める複数歯に根面被覆術を行った症例を供覧し，完全根面被覆を行うための条件について検討した．「咬合崩壊の原因，治療計画に関与する小児の治療法」の演題で登壇した金子祥子氏（埼玉県）は，歯周病のリスクを減らすのに有効な患者指導について提案し，治療計画の立案方法もあわせて発表した．「臼歯部の咬合支持を喪失した患者にインプラント治療を行った一症例」の演題で登壇した伊藤　隼氏（福島県）は，咬合の変化はあるものの顎位に問題のない症例で，臼歯部欠損や歯周炎の進行した患者に対するインプラント治療を行った経過を解説した．「歯周炎患者のモチベーションアップに歯科衛生士としてできること～臨床検査やデジタルデバイスの応用～」の演題で登壇した伊達奏美氏（岡山県）は，不正歯列のある重度歯周炎患者に対して，IOSやマイクロスコープなどによって状態を可視化することで治療へのモチベーションに繋げた症例を供覧した．「患者さんのために役立つ歯科衛生士を目指して」の演題で登壇した福田乃子氏（東京都）は，歯科衛生士として患者利益に資する治療のあり方を模索する様子をわかりやすいイラストにまとめ，治療によって得られた良好な結果をいかに維持するかという点を率直に語った．「良好な口腔内環境を獲得するための歯周炎患者へのアプローチ」の演題で登壇した武田浩平氏（医科歯科大）は，重度歯周炎患者に対して，各段階に応じて科学的な治療コンセプトをもとにアプローチして口腔内環境を改善した症例を紹介した．「重度歯周炎患者に対して歯周組織再生療法を用いて歯の保存を試みた一症例」の演題で登壇した竹川剛典氏（奈良県）は，重度歯周炎を有する高齢患者が歯の保存を強く希望した症例を紹介し，全学的な補綴治療による対応を解説した．「セファロ分析を応用して咬合再構成を行った二症例」の演題で登壇した長瀬ゆき氏（愛知県）は，全顎的な咬合再構成が必要になってくる症例におけるセファロ分析の有用性を示した．「多数歯に及ぶ垂直性骨欠損を有する歯周病患者に対し，包括的治療を実践した症例」の演題で登壇した中村弘幸氏（大阪府）は，全顎的に垂直性骨吸収がみられる慢性歯周炎の患者に対し，歯周治療のみならずインプラント治療，矯正治療，補綴治療を施した症例を振り返った．

　海外招待講演では，Dr.Benfenatiが「天然歯周囲の再生療法」「インプラント治療への再生療法の応用」「インプラント周囲炎治療のための再生療法」の3講演を，Dr.Roncatiが「非外科治療における新たな戦略と戦術」「非外科治療の可能性を広げる」の2講演とハンズオンセミナーをそれぞれ別会場にて披露するなど，活気に溢れた講演会となった．

　特別講演には，2日間で5名の演者が登壇した．
　「リグロスⓇを用いた硬軟組織マネジメントとその可能性」で登壇した大川敏生氏（兵庫県）は，リグロスⓇを用いて歯周組織再生療法を行った症例を検討したうえで，さらなる可能性について言及した．
　「根分岐部病変の再生～軟組織のコンディションを考慮して～」の演題で登壇した中家麻里氏（大阪府）は，歯周組織再生に必要な環境整備のために根分岐部病変にリグロスⓇを応用した症例を紹介した．
　「Perio-Ortho Synergy～デジタルを活用した包括的歯周治療～」の演題で登壇した土岡弘明氏（千葉県）は，患者のライフステージに応じた治療計画を立案し，デジタルテクノロジーを駆使してあらゆる治療オプションを検討しながら，歯列不正のある患者に対して包括的歯周治療を行った症例を供覧した．
　「長期安定を考慮した包括的歯科治療の実践」の演題で登壇した水野秀治氏（大阪府）は，咬合に問題のある患者に対して全顎的対応を行い，長期安定を得た症例を供覧した．
　「Er:YAG Laserを用いた次世代インプラント周囲炎治療―Er:YAG Laserの劇的進化について―」の演題で登壇した山本敦彦氏（神奈川県）は，四半世紀前からEr:YAG Laserの治療ソフト開発に携わった演者がその進化の過程を解説し，インプラント周囲炎治療における展望を語った．