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日本臨床歯周病学会 第35回年次大会開催される
カテゴリ:歯科界
 6月24日(土),25日(日),大阪国際会議場(グランキューブ大阪)(大阪市北区)にて,標記大会が「Save Teeth! Save Implants! ~歯周病患者におけるインプラント治療~」とのメインテーマのもと開催された(大会長:山野総一郎氏/兵庫県・やまの歯科).
 基調講演では和泉雄一氏(医歯大)が「インプラント周囲炎は歯周病と同じか?~細菌学的検討~」と題し,複合感染症である歯周炎とインプラント周囲炎は微生物間の相互作用の全貌解明が必要としてそれぞれの細菌叢を網羅的に解析し,両者の生菌組成は異なるが機能組成の類似が臨床症状の類似につながること,後者のほうがinteracting core taxa(活動性が高く共起ネットワーク構造が強い細菌種)が多いことなどを報告した.
 シンポジウムⅠ「インプラント治療における歯周病学的配慮」では,松井徳雄氏(東京都・貴和会 銀座歯科診療所)が「歯周病患者に対する治療結果の永続性をめざして」として歯周病患者のインプラント治療における清掃性の重要性,深いポストや垂直性骨欠損への対応について論じ,谷口宏太氏(鹿児島県・谷口こうた歯科 ハートデンタルクリニック)は「歯周病治療歯とインプラントの共存を考える」と題し,歯周病患者へのインプラント応用にはまず慢性歯周炎か侵襲性歯周炎かの診断が重要とし,臨床例を供覧しながら「残存歯の基本歯周治療を先行させる」「インプラントと天然歯の被圧変位量の違いを踏まえた咬合調整を行う」といった注意点を述べた.石川知弘氏(浜松市東区/石川歯科)は「インプラントを有効に活用するために」との演題で,歯周病患者の天然歯とインプラントを共存させるためのポイントとして「インプラントのベネフィットとリスクを認識する」「再生療法の可能性と適応症を理解しなければ残せる歯を抜くことになる」「インプラント周囲炎を防ぐために5mm以上の歯周ポケットを可及的に残さないようにする」などをあげた.
シンポジウムⅠ会場風景
 シンポジウムⅡ「インプラントにおけるトラブルシューティング」では,4名の演者が登壇.
 二階堂雅彦氏(東京都・二階堂歯科医院)は,インプラント周囲炎について生物学的に明らかになっていることを改めて整理し,病因を踏まえた予防・治療のあるべき姿を提示した.治療においては,非外科治療,外科治療ともにさまざまな方法が存在しているが,いずれも決定的な治療法とはなり得ていないことを強調.また外科的アプローチにあたっては,インプラントを取り囲む骨壁の診断が最も重要と述べた.
 中島 康氏(大阪府・なかじま歯科医院)は,インプラント周囲粘膜炎であれば,適切なモチベーション下での歯肉縁上・縁下のプラークコントロールによって回復は可能であるとし,メインテナンスでのプロービング診査において,わずかなBoPがみられる段階でいかに対応しきれるかが重要と述べた.また,インプラント周囲炎の発症において,医原的な因子は徹底的に排除しなければならないことを強調した.
 鈴木真名氏(東京都・鈴木歯科医院)は,インプラント周囲軟組織の退縮への対応について解説.軟組織のマネジメントにおいては,バイオタイプに代表される解剖学的要素の理解,天然歯周囲との血流環境の違いなど治癒過程の理解が必要になると述べた.さらに審美的な再建を達成するにあたっては,修復物の再製作を伴うことから,インプラントの埋入ポジションなどの諸条件の見極めが重要であると結んだ.
 松井孝道氏(宮崎県・松井歯科医院)は,インプラント周囲炎にはさまざまな病態像があり,X線診断のみをもって安易に外科治療あるいはインプラント撤去の判断を行わないことが重要と述べ,非外科で回復した多くの症例を紹介した.一方,外科治療が必要な中等度以上のインプラント周囲炎においては,β-TCPパウダーによるエアアブレージョンが,現段階では最も有効なアプローチであるとの見解を,長期の臨床結果とともに示した.
 歯科衛生士教育講演には,天野敦雄氏と村上伸也氏(ともに大阪大)が登壇した.
 天野氏は,「病原性の高いプラークと低いプラーク」と題し,細菌学的な観点から歯周病,歯周治療について解説.プラークの病原性が高まることが歯周病発症につながるとのメカニズムを示すとともに,治療においては歯周病菌の必須栄養素である鉄を供給しないこと,すなわち歯周ポケット内の潰瘍面を閉鎖し,BoP(-)の状態を維持することが大切であると強調.年に数回行われるメインテナンスの重要性を改めて訴え,満員となった会場の歯科衛生士へのエールとした.
 続く村上氏は「『歯周病が治る』って,どういう意味? ―『治る』と『再生する』を再考しよう―」をテーマに,歯周病における免疫や治癒に焦点を当てた.白血球接着不全症患者に起こった口腔内の重篤な炎症状態を供覧し,「歯周組織の健康は免疫力で守られている」ことを示したほか,骨欠損症例の歯周組織再生に関する研究成果を報告.また歯科衛生士に対し,歯周病の治り方の解釈は複雑であるとして,治療を行ううえで「患者さんが今,治療のどのステージにいるのかを見失わないことが大切であると」述べた.
歯科衛生士教育講演 会場風景
 次回,第36回年次大会は2018年7月7日(土),8日(日),広島国際会議場(広島市中区)にて,「炎症と慢性疾患~私たちは全身の健康を維持できるのか?~」をメインテーマに開催予定である(大会長:鈴川雅彦/広島県・AICデンタルクリニック).