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第7回日本歯科衛生教育学会総会・学術大会開催される
 12月10日(土),11日(日),東京医科歯科大学(文京区湯島)にて,「歯科衛生学の未来に向けて―チームアプローチ力を育む学び―」をメインテーマに標記学術大会が開催され,前大会を上回る470名近くの歯科衛生士教育関係者が参加した.
 教育講演Ⅰでは「『食べる楽しみ』を支援する」と題し,古屋純一氏(東京医科歯科大学大学院地域・福祉口腔機能管理学分野 教授)が登壇し,摂食・嚥下障害とそのリハビリテーションについて概説した.古屋氏は口腔機能低下症を予防するためには口腔機能管理を徹底し,事前に口腔機能を高めておくことが重要であると論じ,食べることの自立を支援することが個人の尊厳を守ることにも繋がると述べた.
 教育講演Ⅱでは杉本久美子氏(東京医科歯科大学 名誉教授)が登壇し「食べる機能を支えるしくみ」と題した講演を行い,唾液分泌や味覚,嗅覚,咀嚼運動といった食に関する機能について詳説した.杉本氏は専門家による口腔清掃と唾液腺マッサージや舌清掃などの口腔健康教育といった2つのアプローチから,患者の食べる機能を支える必要があると訴えた.
 シンポジウム「多職種連携教育推進のために」では増田美恵子氏(専門学校中央医療健康大学校歯科衛生学科)を座長に,川﨑つま子氏(看護師),安原幸美氏(言語聴覚士),篠原弓月氏(歯科衛生士)による発表が行われた.
 川﨑氏は「高齢者医療を支える多職種連携教育を考える―歯科医師・歯科衛生士と看護職の連携を体験して―」と題し,高齢者医療の特徴や病院と在宅ケアの連携の重要性について説明した.また,多職種連携を推進するには「チーム医療の理解・他の専門職の理解・多職種と協働することの意義」,これらを学生の段階から教育していくことが重要であると述べた.
 安原氏は「歯科衛生士と言語聴覚士との連携」と題し,歯科衛生士と言語聴覚士に行ったアンケート調査の結果を発表し,考察を行った.その結果から,双方が共通して情報共有の機会をもつことが重要であると考えていることがわかり,多職種の講師を招くことや学生時から多職種と連携を行っている現場を見学するといった多職種連携に関する教育が必要であると訴えた.
 篠原氏は「在宅における多職種連携について―訪問歯科衛生士の立場から―」と題して登壇.歯科衛生士,管理栄養士,理学療法士で構成されている多職種協働の地域食支援グループ「ハッピーリーブス」の実際の活動をとおして,在宅での多職種連携におけるコミュニケーション力や情報伝達力の重要性について論じた.篠原氏は入院や施設など,患者さんの環境が変わっても,途切れることなく情報が伝達されることが多職種連携において重要な役割をもつと述べた.
 11日(日)には朝比奈真由美氏(千葉大学医学部附属病院総合医療教育研修センター 准教授)による特別講演「本物のプロフェッショナルを育成する専門職連携教育(IPE)」が行われた.朝比奈氏はアクティブ・ラーニングを主体とした専門職連携教育とプロフェッショナリズム教育を紹介した. また,専門職としてのアイデンティティ形成には専門職教育と専門職連携教育(IPE)の繰り返しが効果的であると説明し,教員・指導者は自らを理想的なロールモデルであるということを自覚し,そのように振る舞うことが大切であると語った.
 そのほかにも数多くの口演発表やポスター発表が行われ,盛況な2日間となった.次回は平成29年11月25日(土),26日(日)に関西女子短期大学(大阪府柏原市)で開催される予定である.

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