Ishiyaku Dent Web

歯科医師・歯科技工士・歯科衛生士のポータルサイト

ヘルスケアミーティング2016開催される
 10月9日(日)~10日(祝),秋葉原コンベンションモール(東京都千代田区)にて,日本ヘルスケア学会によるヘルスケアミーティング2016が「カリエスリスク・アセスメントの科学と患者支援」をテーマに開催された.
 9日では3つの会場にわかれ,歯科医師による症例報告「線の歯科臨床」,歯科衛生士による症例報告,「そしてヘルスケア型診療所 その取り組み」と題し,ヘルスケア学会に所属する医院や歯科医師,歯科衛生士による発表が行われた.
 10日のシンポジウムでは,杉山精一氏(日本ヘルスケア歯科学会代表/千葉県開業)が「基調報告:う蝕の60年と日本ヘルスケア歯科研究会―学会」と題して登壇し,齲蝕の疫学的変遷,日本と世界の齲蝕の状況について論文を用いた解説とN.Pitts氏(King’s College London Dental Institute 教授)へのインタビュー映像を交えた発表を行った.発表のなかで,杉山氏は齲蝕の減少や病因論の解明とともに,カリエスリスク・アセスメントが導入されるようになってきたことやゲノム技術の進歩によって口腔内細菌についての解明が進んでいると結論づけた.そしてカリエスリスク・アセスメントに必要な項目は何か,どのようなタイミングでカリエスリスク・アセスメントを行うべきなのかなどの疑問を会場に投げかけた.
 続いて「口腔マイクロバイオームと口腔疾患」と題し,山下喜久氏(九州大学大学院歯学研究院口腔予防医学分野教授)が登壇し,齲蝕における病因論の変遷を概説した.山下氏は齲蝕を細菌学的見地から再考察し,成人の齲蝕経験の多い者ではプラークの形成が早い点や唾液中の細菌種の多様性が低い点などの齲蝕細菌の特徴を示した.
 次に,「いま,改めてう蝕とは」と題し,伊藤 中氏(大阪府開業)が登壇.齲蝕という疾患の解釈がどのように,なぜ変化してきたのかを詳説した.リスクは患者さんそれぞれによってリスク項目の比重が異なっている点と,「リスクが高い=罹患する確立が高い」であり「リスクが高い=罹患する」ではないという点を理解したうえで,リスク・アセスメントし臨床に活かすことが重要であると論じた.
 「カリエスリスクと患者指導―歯科衛生士の視点から」と題し,石原美樹氏(歯科衛生士)が登壇.リスクには全身疾患などの変化させることのできない因子と生活習慣などの変化可能な因子があると論じ,臨床の場で歯科衛生士として,どのようにリスクアセスメントを行うべきなのかについて論じた.そして患者さんごとに下げられるリスクが違うことや発達段階や生活のステージによってリスクが違うことなどを理解し,検査と問診をすることが重要であると論じた.
 最後に「カリエスリスク・アセスメントの科学と患者支援」と題したパネルディスカッションが行われました.宇田川義朗氏(東京都開業)が「乳歯列期(ECC)から混合歯列期のカリエスリスクと患者支援」,斉藤 仁氏(北海道開業)が「中高生のカリエスリスクと患者支援」,千草隆治氏(福岡県開業)が「高齢者のカリエスリスクと患者支援」と題したテーマで発表した.それぞれ何かしらの問題のあった症例が紹介され,どのようにカリエスリスクをとらえ,患者さんの支援を行えば問題解決に繋がったのかなどが,話し合われ盛況なディスカッションとなった.

■他のニュース記事をさがす

日付から記事をさがす
<2024年4月>
31123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
2829301234
567891011
キーワードから記事をさがす

人気の歯科書籍(キーワード別)

歯科雑誌 最新号