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第29回日本顎関節学会学術大会 開催される
 7月17日(日),18日(月・祝)の2日間,湯本富士屋ホテル(神奈川県)にて標記大会が開催された(大会長:久保田英朗氏・佐賀大).
 招聘講演「DC/TMD Consortium Update」では,Per Alstergren氏(マルメ大)がDC/TMDの位置づけ,内容の解説から今後の見通し,トレーニングコースまで詳細に紹介を行った(座長:久保田氏).
 シンポジウム1「神経学的異常による顎関節脱臼の治療戦略」では,川上哲司氏(奈良県立医大)が「神経学的異常による顎関節脱臼の現状」と題し,パーキンソンなどの神経学的異常による脱臼に対する観血的処置などについて紹介.堀川博誠氏(奈良県立医大)は「顎関節脱臼発生に関与する神経学的病態」と題し,神経内科医の立場から不随意運動のメカニズムや影響など,基礎研究の紹介を中心に解説した.吉田和也氏(京都医療センター)は「ジストニアによる顎関節脱臼とボツリヌス治療」と題し,口腔領域へのボツリヌス治療の内容や具体的な症例を紹介した(座長:栗田賢一氏・愛院大,依田哲也氏・埼玉医大).
 シンポジウム2「変形性顎関節症への取り組み-小児から高齢者まで-」では,最初に高橋哲氏(東北大)が「Idiopathic Condylar Resorption(ICR)の病態と臨床」と題し,ICRをめぐるレビューから発症メカニズムとその対応などを解説した.五十嵐千浪氏(鶴見大)は「画像からみた変形性顎関節症と特発性下顎頭吸収の中長期経過」と題し,画像所見による変形性顎関節症の症例を解説した.田中栄二氏(徳島大)は「成長期児童における変形性顎関節症の発症率とそのリスク因子」と題し,若年のICR/PCRリスク因子の解析から,矯正科に来院する若年症例の紹介まで行った.窪木拓男氏(岡山大)は「顎関節OAによる咬合変化に対する補綴治療 安定する咬合位は?」と題し,顎関節症の結果として発現する咬合異常に対し,咬合治療の注意点などを解説した(座長:小林馨氏・鶴見大,矢谷博文氏・大阪大).
 イブニングセミナー「セルフケアで直す顎関節症」では,島田淳氏(東京都)が「顎関節症治療におけるセルフケアの考え方」として現在の顎関節症治療を整理し,歯科医師・患者の共同作業としてのセルフケアについて解説した.渡邊友希氏(昭和大)は「患者の背景因子を治療につなげるための医療面接」では,“Patient-centered care”を目指した症例をもとに,患者の背景因子を知ることの大切さや,疾患教育の重要性を述べた.澁谷智明氏(日立製作所横浜健康管理センタ)は「運動療法を行う上での病態の見方」では,セルフケアのなかでも運動療法の適応と具体的な手技を解説した.渡邉勉氏(目白大)は「顎関節症患者への心理カウンセリング-訴えの多い患者さんとどうかかわるか-」と題し,臨床心理学の立場から“慢性の痛み”を抱えた患者に対してどのように向き合うのか,専門である森田療法を中心に紹介し,非対称的関係の探究をすべきではないかと提案した(座長:島田氏,高野直久氏・東京都).

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