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第26回 日本臨床歯周病学会年次大会開催される

 6月21日(土),22日(日),市川文化会館(千葉県市川市)にて「共に治し 共に癒す 『粋でいなせな,江戸前ペリオ』」と銘打った標記大会が開催された(大会長:若林健史氏・東京都開業).

 初日午前には,10名の会員によるケースプレゼンテーションが行われた.石谷晃司氏(東京都開業)はエムドゲイン,GTR,骨移植などのさまざまな再生療法が用いられている現状をふまえ,文献をもとにその併用法について整理し,自らの症例を示した.斎田寛之氏(埼玉県開業)は,予後不安な歯を炎症と咬合力をコントロールしながら経過観察し,支台歯として保存を図った症例を提示し,賛否両論の多くの意見を会場から集めた.
 また,歯科衛生士シンポジウムでは,最初に登壇した金澤紀子氏((社)日本歯科衛生士会会長)が歯科衛生士の業務内容の変遷を解説したうえで,全身疾患,口腔機能の維持・向上など,今後歯科衛生士に求められる知識を提言.つづいて,田島菜穂子氏(ナグモ歯科赤坂クリニック・東京都),杉浦裕子氏(岡山大学病院),小林明子氏(小林歯科医院・東京都)らが,患者とのコミュニケーション,がん患者の口腔ケア,インプラントのメインテナンスなど多彩なテーマで発表を行った.

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 午後には,ストレスが身体に及ぼす影響をテーマに,教育講演2題が行われた.安保 徹氏(新潟大学大学院教授)は「ストレスと全身との関係」と題して講演し,免疫学の立場から,ストレスが各種の疾患の引き金になることを示すとともに,ストレスによって生体を守るはずの白血球が,組織を障害する側に回る場合もあることを解説した.小西昭彦氏(東京都開業)は「ストレスと歯周疾患」をテーマに講演を行い,安保氏の理論をもとにストレスが歯周病の原因となる可能性を提起.長期に渡って安定していたにもかかわらず,生活上の大きな変化によって,急激に歯周病が悪化した症例をもとに,細菌のコントロール同様に,患者にかかるストレスに注意を払う必要性を説いた.
 また,歯科衛生士向けのセミナーとしては,スケーリングのハンズオン講座,食生活指導,エビデンスに基づいたブラッシング指導,歯根形態の基礎知識など計10題もの演題が並び,30名程度で満席となる会議室は,どこもあふれんばかりの人だかりとなっていた.

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 2日目は,特別講演として,アメリカ・コロラド州で開業するDr.Pamela Kay McClaneが,「Management of Complex Periodontal Defects Using Combination Regenerative Therapy」のタイトルでアドバンス再生療法の講演を行った.
 Dr.McClaneは,まず歯周組織再生療法を,①DFDBAなどのBone Replacement Graft,②バリアメンブレンを使ったGTR,③エムドゲイン,Gem21sなどの成長因子,④クエン酸による根面処理等の補助的療法に分類し,それぞれの治療法をシステマティック・レビューなどから評価した.そして,実際の臨床では,複雑な骨欠損形態に対し,これらの治療法を複数併用するコンビネーションセラピーを行うことが治療成績を上げるとし,そのテクニックを具体的に解説し聴衆の注目を集めた.また,根分岐部病変の再生療法に関するクライテリア,審美性への配慮,破壊的歯周炎に対する非外科処置の可能性など,多彩なテーマで注目すべき知見,技術を提示した.
 同時に行われた市民フォーラム「食べること,生きること~介護が変わる 食べることから~」では,歯科医師である千葉光之・市川市長らが登壇し,高齢社会における口腔ケアの重要性などを一般市民にわかりやすく説いた.


 本大会は,NPO法人としての活動の面も充実し,豊富なコンテンツで1,200名に及ぶ参加者を集めるなど,歯周病治療に取り組む開業医の結集力を感じさせる年次大会となった.
 次回は2009年6月26日(金)~6月28日(日),アクロス福岡(福岡県)にて開催予定(大会長:鎮守信弘氏).

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