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「日本補綴歯科学会第117回学術大会」開催される

 6月6日(金)~6月8日(日)の3日間にわたり,名古屋国際会議場(名古屋市)にて,標記学術大会が開催された(田中貴信大会長:愛院大歯科補綴学第一講座).


 本学術大会は第1回日本・中国・韓国補綴歯科学会学術大会との共催で,「国際補綴歯科学会名古屋2008」と銘打って開催され,国内外合わせて約2,800名の参加者を得た.

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会場となった名古屋国際会議場

 特別講演では遠藤英俊氏(国立長寿医療センター)が,超高齢社会と歯科との関わりを意識しつつ「認知症の最新情報」と題して講演.認知症患者を支えるための地域連携の重要性などを訴えた.

 基調講演では韓国補綴歯科学会のSang-Wan Shin会長,中国補綴歯科学会のHailan Feng会長がそれぞれ登壇.Shin会長は,インプラント,CAD/CAMなど最新治療技術に加え,補綴の教育・臨床におけるEBMの重要性の高まりなど,補綴の世界的な潮流を概観した.Feng会長は,自身が携わる顎運動シミュレーションシステムについて,解説を行った.

 国際シンポジウムでは,佐々木啓一教授(東北大)座長のもと,Donald M Brunette教授(ブリティッシュコロンビア大・カナダ),Joke AJ Duyck氏(ルーベンカトリック大・ベルギー),吉田靖弘准教授(岡山大)がそれぞれ発表.「Tissue-biomaterial Interface Research for Prosthodontic Dentistry」のテーマのもと,それぞれインプラントと骨,歯面とボンディング材といった“界面”にフォーカスをあてて,最新の研究知見を供覧した.

 シンポジウムは3題開催され,それぞれ多くの参加者を集めた.

 シンポジウムⅠ「補綴歯科治療の何が問題で,なにを解決するか?」(市川哲雄座長・徳島大)では,櫻井 薫教授(東歯大),森本達也氏(静岡県開業),窪木拓男教授(岡山大)が,日常臨床と教育の立場から,診療ガイドラインの構築,ひいては臨床成果の向上について,意見を交わした.
 シンポジウムⅡは「大規模災害時の緊急補綴歯科治療」という,時宜にかなった企画.大久保満男・日本歯科医師会会長,平井敏博・日本補綴歯科学会理事長,宮村一弘・愛知県歯科医師会会長が,実践例を交えながら提言を行うという,従来大会のプログラムにはない,新たな試みとなった.
 シンポジウムⅢ「臼歯部修復の審美と強度を考える」は,日本歯科保存学会,日本歯科審美学会との共催で行われ(中村隆志座長・阪大准教授),会場は立見が出るほどの盛況となった.宮崎真至教授(日大)は臼歯部のコンポジットレジン修復の適応と注意点を整理し,適応を誤ることがなければ,コンポジットレジンによる直接修復は信頼に足るオプションであるとの見解を述べた.近藤隆一氏(東京都開業)は自身のホワイトニングへの取り組みから実感した患者の審美に対する要求を,臼歯部でどう実現するか,新たなオールセラミックシステムを紹介しながら考えを述べた.植松厚夫氏(神奈川県開業)は,特にジルコニアコーピングのオールセラミッククラウンの臼歯部への応用について,審美性,強度の観点から,材料の物性データのみならず,自身の症例に基づき解説.所属するスタディグループでのアンケート結果も供覧し,ジルコニアの何が利点であり,注意点なのか,臨床実感を常に意識しながら考えさせる内容となった.

 その他,研修セミナー,臨床スキルアップセミナー,専門医講習会,課題口演,ポスター発表など,会場狭しと多彩なプログラムが展開され,国際色あふれる充実した学会となった.

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多数の参加者が詰めかけた会場

 次回大会は,2009年6月5日(金)~7日(日),京都国際会議場(京都市)にて,矢谷博文大会長(阪大教授)のもと開催される.

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