12月18日(日),ベルサール汐留(東京都中央区)にて標記会が開催され,1,500名超の参加者を集めた.(主催:株式会社オーラルケア,株式会社ナカニシ,シロナデンタルシステムズ株式会社)
テーマは,「40年の臨床からみえてきたもの,そしてそこから拓かれる明日への展望」.歯科界を牽引してきた熊谷氏の臨床家としての40年余の歩みと,日吉歯科診療所の30年余の歴史を振り返るとともに検証がなされ,真の患者利益を求めるためのこれからの歯科界の展望等について語られた.

熊谷 崇氏
講演は大きく,1.日吉歯科診療所の紹介,2.イノベーション,3.成長と発展,4.ネットワーク,5.まとめで構成された.1部では日吉歯科診療所の歩みと転換期,診療所拡大時の背景などを「人生は選択である」と説きつつ解説.グローバルスタンダードを導入する重要性や経緯,恩師であるR. Page氏や故・D Bratthall氏をはじめとする海外の第一人者との学びや親交についても紹介した.2部では,熊谷氏の考えるイノベーションとして,人々の「生涯にわたる口腔内の健康を維持すること」と挙げ,患者の権利を守り,またその責任の遂行のうえに成り立つ患者-医療者との信頼関係を構築するためには,医院側のビジョンとミッションを明示することが重要であること,ともすると,過剰な患者サービスが助長されつつある現在の歯科界についても警鐘を鳴らした.また,現在までに積み上げた多くの長期にわたる症例と患者データを呈示しながら,継続的な歯科支援としてのメインテナンスおよびそこにかかわる歯科衛生士業務の重要性を改めて強調し,集めたデータから未来への予測を立てる先見性をもった歯科医療の必要性について言及した.
3部では,GPと各専門医(エンド,ペリオ,矯正,口腔外科,技工室,予防など)それぞれが,一所で協働するデンタルネットワークの構築の重要性について解説し,2011年に氏が導入した日吉オーラルヘルスセンターについても言及したうえで,GPにとって専門医とのタイアップは魅力的な診療室作りに不可欠であるとした.また続く4部では,オーラルフィジシャンについての考え方を改めて解説し,歯科界では,歯科医師においても,歯科衛生士においても,drill,fill,billの旧来的な価値観が根強く,口腔疾病をもつ患者へ技術で対応できることに価値が置かれる傾向があるが,「健康な人を健康なまま維持すること」に新たな価値観をもつ必要があることなどを強調した.これらをまとめる形で,最終部には,歯科医療の本質とはなにか,自身のこれまでの臨床の歩みで目指してきたこと,ビジョン・ミッション・戦略についてを総括した.

場内の様子.1,500席が満席となった

広い場内には複数のスクリーンが,場外にはサテライトルームが設けられた
その他,「企業はどのように発展・成長し,今後どのように発展していくのか ~企業発展の戦略と今後の展望」と題し,主催企業三社の代表取締役である株式会社ナカニシ・中西英一氏,株式会社オーラルケア・大竹喜一氏,シロナデンタルシステムズ株式会社・栗城祐治氏が登壇.それぞれの企業紹介も含め企業理念や社会貢献への取り組みなどについて解説したが,各社それぞれのカラーや哲学が垣間見れる内容で,聴講者も興味深く聞き入っていた.このテーマは,日本の歯科界を代表する三社と日吉歯科診療所との共通点は何かを聴講者に問う形で展開され,「クローバルスタンダードな視点に基づく成長戦略,国内基準からの脱却」「社会貢献を礎とすること」「新しい価値の創造」というキーワードが浮き彫りとなった.
講演会終了後には熊谷氏を囲んだ懇親会が開催され,大盛況のうちに会は幕を下ろした.