2月6日(土),アキバプラザセミナールーム(東京都千代田区)にて,日本歯科放射線学会主催による標記講習会が開催された.
まず,岡野知宏氏(昭和大教授,日本歯科放射線学会理事長)が「歯科用コーンビームCT:その適正運用を目指して」と題した講演の冒頭で「近年,歯科用コーンビームCT(以下,CBCT)が普及しつつあるものの,CBCTに関するさまざまな情報が錯綜しており,不確かな情報を基に購入している場合も少なくない.そこで,学会として装置を製造・販売するメーカーの方々にCBCTに関する現時点での科学的根拠を示し,情報交換の場にしたい」という本講習会の企画意図を説明した後,放射線被曝における線量やその影響,ヨーロッパにおけるCBCTのガイドラインなどを概説した.また,現在,厚労科研で検討されている診断参考レベル(Diagnostic Reference Level;DRL)を紹介し,線量レベルが異常に高い撮影に対して注意を促した.
続いて,「CTの歴史と新たな展開」と題して宮谷美行氏(東芝メディカルシステムズ)が登壇.医科用CTの開発の歴史を概説し,今後のCT開発の方向性について示唆した.
新井嘉則氏(日大特任教授)は「歯科用CBCTの開発・臨床評価」と題し,講演.医科におけるCT画像は,診療放射線技師が撮影し,それを放射線専門医が処理した後,内科医などがそれを用いて診断するといった分業がなされており,各段階が教育された専門家によって行われている一方,歯科では十分な教育を受けたとは言えない歯科医も撮影等を行っているため,使い方がわからない場合や,解剖学的な知識不足から読影ができていない場合があることなどを指摘した.また,近年ではインプラント治療においてCTを撮影していないと訴訟になった場合に負けてしまうと言われていることに対し,「撮影したから良いというわけではなく,重要なのはCTを撮影した場合にその画像を患者のために十分使うことである」と述べ,CTは歯科医を守るためのものではなく患者の利益のために使用すべきことを強調した.さらに,安全管理に関する法令の改定により,未知なる機器を使用する場合は必ず訓練を受けるよう義務づけられたことから,販売するメーカーに対しても購入者にそのような情報を促す必要があることを指摘した.
西川慶一氏(東歯大)は,「歯科用コーンビームCTの物理的特徴と現状」と題した講演で,医科用CTと歯科用CTの比較から,歯科用CBCTを有効に利用するためには,①小さな撮影領域を使用すること,②画素値を診断に利用しないこと,③軟組織を観察対象にしないことが必要であると述べた.
最後に,荒木和之氏(昭和大)が「医用画像共通規格および三次元画像表示の基礎」と題して講演.医用画像データの標準規格であるDICOMなどについて概説した.
講演後には,有地榮一郎氏(愛院大教授)による司会の下,討論会が行われ,CBCTの保険適用の可能性などについて活発な議論が交わされた.