5月10日(日),標記セミナーが鶴見大学会館(神奈川県横浜市)にて開催され,歯科医師,歯科衛生士を中心に約380名の参加者を集めた.基調講演では諸井英徳氏(文の里歯科クリニック・大阪府開業)が登壇,「健康は,幸せな生活を送るための資源でしかない」とし,疾患に罹患していても,していなくても,自らの健康状態を自らが認識し,問題があれば主体的に解決できる能力をもった人々を育成すること,またそういった人々が誕生し,生活しやすい社会を整備するという「クリニカルヘルスプロモーション(CHP)」が目指すゴールを表し,いかに診療室に取り入れ,実践してゆくかの基本的な考え方を述べた.
また,経年的な実態調査から,潜在的な需要は高いにもかかわらず,実際に歯科医院に足を運んでいる市民はいまだ少ないというデータを提示し,多くの歯科医療従事者がもちがちな“歯科界は不況である”という見解は払拭する必要があること,また,同業内で数少ない口腔保健意識の高いパイ(定期的な歯科受診を行う人々)を取り合うのではなく,真に歯科医療を必要としている未来院のパイをいかに呼び込むか,その実現には同業内での協力・コラボレーションが重要で,歯科界全体で取り組む必要性があることに言及した.

会場内の様子
特別講演では,築山雄次氏(つきやま歯科医院・福岡市開業)が,自身の「予防歯科」との出合いから,今日に至るまでの診療理念を紹介した.「健康は,歯に存在するのではなく人に存在する.歯には"健全"が存在する」とし,「歯」という単体を見るかつての歯科医療ではなく,人をみる歯科医療の実践・普及を説いた.自分自身が「健康だ」と感じられるときこそが「健康」であり,それは各人の健康観にも通じるという.院内では,来院者一人ひとりをよく観察し,その時々のちょっとした変化に気づき,話しかけるよう心掛けるという,臨床の一場面を紹介しながら講演を終えた.
午後からは,職種やトピック別に8つの分科会が設けられ,それぞれ多くの参加者を集め,盛況のうちに幕を降ろした.