7月18日(金),19日(土)にわたり,広島市の広島県民文化センターにて標記学術大会が開催された(大会長:赤川安正教授:広島大,Dr.In-Ho Cho教授:ダンコック大・韓国).AAOはアジア地域におけるインプラント治療の啓発と発展を目指して,日本と韓国を中心に発足した団体であり,2005年から毎年,アジア各国で学術大会が開催されている.4回目となった今回は,初めて中国,インド,タイ,インドネシア,マレーシアなど,さまざまな国にも参加を呼びかけ,約300人が集まった.

特別講演①「Occlusion-Modern Concepts and Their Application in Implant Prosthodontics」では,イエテボリ大(スウェーデン)のGunnar E Carlsson教授が,天然歯とインプラントの咬合について,理論上は若干の違いは見られるが,臨床における重要性はそれほど大きくないと指摘.天然歯と同様に,咬頭嵌合位における安定した咬合に配慮して,機能的にも生理的にも問題のない咬合を維持することの重要性を解説した.
特別講演②では申基喆教授(明海大)が,インプラントの審美性を獲得するための軟組織のマネジメントを解説.長期性を維持するとともに,患者の審美的な満足を満たせるよう,軟組織の外科,移植などについて,さまざまなテクニックを供覧した.
特別講演③ではポルトガルのDr. Paulo Maloが登壇.オリジナルの無歯顎補綴のテクニックであるAll-on-4について2時間解説した.正確な外科手技に裏打ちされた片顎4本のインプラントと,それに支えられた補綴物の美しさに,参加者からは驚きの声があがった.Dr. Maloからは6年間のフォローアップによる良好な予後も示されており,今後も本テクニックが世界的に注目を浴びていくであろうことがうかがわれた.
また,シンポジウム①「Current Innovation of Implant Treatment」では,宮崎隆教授(昭和大),Dr. Soon-Ho Hong(Yonsei大・韓国),水木信之氏(横浜市開業)が,インプラントに関する最新の話題を提供.宮崎教授は表面性状とCAD/CAMについて,Dr.Hongと水木氏からは,コンピュータを応用した診断やガイデッドサージェリーの到達点と実際が供覧された.

シンポジウム②では「Clinical Application of Magnetic Attachments to Implant-supported Overdentures」として,インプラントオーバーデンチャーのアタッチメント選択に話題を絞って4人の演者が登壇した.前田芳信教授(阪大)はアタッチメント選択にあたって考慮すべき点(サイズ,デンチャーの動き,インプラントの本数など)を概説.Dr. Mark Thomason(Newcastle大,英国)はマグネットとボールアタッチメントの比較,Dr. In-Ho Choはマグネットとバーの比較をそれぞれ行った.古谷野潔教授(九大)は,生体力学的にどのアタッチメントにどのような利点があるか,実験データをもとにした考察を行った.
すべてが英語で行われた学会であったが,会場からは活発な質疑応答もあり,国際色豊かに盛り上がった2日間となった.