やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに

 1996年に発行されたJournal of CLINICAL REHABILITATION別冊『リハビリテーションにおける評価』は,臨床現場で繁用されるとともに,教科書としても多くの医科大学,医療福祉系養成校などで利用された.これは,正しい評価こそ適切なリハビリテーション医療の原点であると願った編集委員会にとって望外の喜びであった.
 しかし,ご存知のように医療・福祉におけるその後の変革は著しく,障害者の「評価」を共通言語とする人たちも増加した.たとえば,今年4月に発足した介護保険制度の軸となるケアマネジャーについてもしかりで,さまざまな職種をバックグラウンドにもつ資格取得者たちは,個々の高齢障害者のケアのためにプランを立て,医療,福祉,保健の協力体制を築いていく必要がある.このように,従来のチーム医療のコンセプトがさらに拡大していくなかで,お互いが誤解なく情報を伝達し合うことが必須となっている.
 またリハビリテーション医学においては,年ごとにスタンダードな評価に加えてよいものが増えている.このように医療状況が変化するなか,本年7月に本誌が通巻100号を迎えるにあたり,本別冊を全面的に見直し,時代の要請により則したVer.2として発行することとなった.
 本書では,臨床,教育,研究の現場で欠かせない評価の知識,技術が容易に得られることを目指している.特に,(1)実用性の高い,オーソライズされた評価方法を紹介すること,(2)臨床現場で必要に応じて頁を開き,理解できるように工夫すること,(3)図・表を多用することを統一目標として,各執筆者にお顧いした.本書を利用される方々の立場を念頭におき,平易にわやりやすく,スタンダードな知識を得ることを意図した編集側の注文に応じ,ご執筆くださった皆様に心から感謝する.
 本書が医師,看護婦,理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,臨床心理士,薬剤師,社会福祉士,介護福祉士,その他多くの医療職の皆さんにとって実践的な必読書となり,またこれからリハビリテーション分野に進もうと意欲をもつ学生さんにご愛用いただけることを期待している.
 2000年6月 編者を代表して 米本恭三
I 基本評価
 1 国際障害分類とリハビリテーション医療……西村尚志
 2 リハビリテーションにおける評価とは……米本恭三
 3 ADL,IADLの評価……正門由久
 4 QOLの評価……高橋龍太郎
 5 精神・人格・知能の評価……先ア 章
 6 発達機能評価……北原 佶
 7 関節可動域測定,徒手筋力検査……下堂薗 恵 田中信行
II 障害評価
 1 運動障害……栢森良二
 2 感覚障害・痛み……立野勝彦
 3 意識障害……原 寛美
 4 言語障害……安保雅博 道関京子・他
 5 失行・失認……武田克彦 小野内健司
 6 痴呆……江藤文夫
 7 上肢機能障害……原 徹也 関谷 修・他
 8 歩行障害……越智文雄 石神重信
 9 摂食・嚥下障害……馬場 尊 才藤栄一
 10 排尿障害……牛山武久
III 疾患評価
 1 脳血管障害……石田 暉
 2 脳外傷……大橋正洋
 3 脊髄損傷……安藤徳彦 水落和也
 4 頸椎・頸髄疾患……大井直往 岩谷 力
 5 末梢神経損傷……岡島康友 木村彰男
 6 中枢神経系変性疾患……菅野 学 眞野行生
 7 ニューロパチー,ギランバレー症候群・他……上田まり 大野重雄・他
 8 筋萎縮性側索硬化症(ALS),多発性硬化症(MS)……松本博之
 9 筋ジストロフィー……里宇明元
 10 脳性麻痺……君塚 葵
 11 二分脊椎……岩谷 力 吉田一成
 12 慢性閉塞性肺疾患……桂 秀樹 木田厚瑞
 13 心疾患……宮野佐年
 14 生活習慣病……勝村俊仁 村瀬訓生
 15 末梢血行障害……牟禮 亨 椿原彰夫
 16 慢性関節リウマチ,膠原病・他……原 まさ子
 17 骨粗鬆症……上好昭孝
 18 腰椎疾患,腰痛症……吉永勝訓 高橋和久
 19 関節疾患(肩・股・膝)……堀井基行 久保俊一 高井信朗・他
 20 切断(上肢・下肢)……三上真弘
IV 診断書記入のポイント  浅山 滉 住田幹男
 ○身体障害者診断書・意見書
 ○介護保険における主治医意見書
 ○労働者災害補償保険診断書
 ○特定疾患治療意見書
 ○障害年金診断書
 ○自賠責保険・後遺障害診断書