やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

巻頭言
がん・生殖医療の必要性と将来性
 がん診療の進歩発展には著しいものがあり,がん患者の予後は著しく改善された.私が研修医の時代には,がんの治療にあたってがん患者の命を助けるためには,身体機能の温存は二の次であった.ところが,がん生存者(キャンサーサバイバー)の増加に伴って,いかに身体機能を残したまま最大限の治療効果を引き出すかが問われるようになってきた.ここで身体機能としているのは,がん罹患者が生きていくために必要な個人の身体の機能をいかに残すかというものである.これはいわばがん患者の個体保存の一環にすぎない.つまり,生命維持を第1フェーズの機能温存とすると,個体保存のための運動機能などの保存は第2 フェーズの機能温存ということができる.さらに次世代の種族保存の機能,すなわち生殖機能を温存するということは第3 フェーズ以後の機能温存といえるであろう.
 第1 フェーズ,第2 フェーズの機能温存については,今や普通のことである.拡大傾向にあった外科手術も,再発などのリスクは最低限に抑えながら縮小手術を行う傾向にある.ここで,がん治療医は第3 フェーズ以降の機能温存について真剣に考えてみる必要がある.生殖のための臓器の温存,すなわち女性では子宮,卵巣を残したままがん病巣を取り除く,男性では陰茎,睾丸,精嚢腺の温存が問題となる.また勃起機能,射精機能の温存についても自然性交機能温存という意味では重要である.これを第3 フェーズとすると,さらに問題となるのは第4 フェーズ,卵子・精子すなわち配偶子の温存である.生殖補助技術の進歩により体外受精,顕微授精が可能となり,卵子ひとつ,精子ひとつで受精卵を作ることが可能となっている.しかし,抗がん剤,放射線療法などにより卵子・精子が廃絶してしまっては,生殖器をいかに残しても生殖機能を温存したことにはならない.がん患者さんの総合的なQOLを考えたときに各フェーズの機能温存を考慮する必要があることは論を待たないが,いまや機能温存はこの第4 フェーズに入っていることを認識すべきである.
 最後にあらためて,がん・生殖医療の必要性と将来を考え,関係する各科と大いに議論を深めることの重要性を強調したいと思う.

 東京慈恵会医科大学 産婦人科学講座
 東京慈恵会医科大学附属病院腫瘍センター
 落合和徳

巻頭言
がんと妊孕性温存
 年間60 万人以上ともいわれる悪性腫瘍患者の中の約10%は,生殖年齢またはそれ以下の患者であり,手術療法,放射線療法,がん化学療法,骨髄移植療法などにより,その完全寛解率は著しく向上してきた.しかしながら,一方で治療により卵巣機能の廃絶に追い込まれることが多く,卵巣組織を温存して将来の妊孕能を確保しておく気運が高まってきている.従来より悪性腫瘍患者の治療の際には,妊孕力保持を目的として卵巣温存手術,卵巣に対して影響力の少ない化学療法の選択,卵巣を移動することによる放射線療法における照射部位の考慮などが実施されてきた.しかしながら,これらの効果は妊孕能温存という観点から十分とは言えないものがあった.
 最近の細胞凍結保存技術の進歩により,精子や生殖補助医療で作られた胚の凍結保存はさかんに臨床応用されるようになっており,未受精卵の凍結保存による妊娠も試みられている.さらに今世紀に入り卵巣の凍結保存も実施されるようになり,融解後の卵巣組織の移植による妊娠例が報告されるようになってきた.腹腔鏡下に原始卵胞を多く含んでいる卵巣皮質の一部を摘出し,凍結する.卵巣の凍結保存には,緩慢凍結法またはガラス化法で凍結保存した卵巣組織を解凍後自己移植して,卵胞の成熟を促す方法と分離した卵胞を体外培養し成熟卵を得る方法がある.
 卵子や受精卵の凍結保存が卵子数個しか凍結保存できないのに対して,卵巣の凍結保存は組織を凍結するため理論的には凍結可能な卵子数が飛躍的に多くなる.また卵巣刺激操作や卵胞成熟までの日数を待つ必要がないため,原疾患の治療の開始を延期させなくてもよいことが利点である.さらに将来的には移植後体外受精を実施しなくとも自然妊娠を期待することができるようになるかもしれない.また成熟卵子を得ることが困難な思春期前の女性でも凍結保存が可能であり,卵子凍結と異なり月経周期再開という点から,女性にとっては心理的にもエストロゲンによる生理的な体内バランスを取り戻すことができるという長所がある.将来は既婚女性を含めて悪性腫瘍患者の妊孕性保持のために非常に合理的な方法となる可能性がある.
 しかしながら,卵巣組織凍結はこれまで報告されている出産例が20 数例に満たないことからわかるように,未完成の医療技術と言わざるを得ない.現在まで報告された症例では移植後卵巣の機能期間は1 年程度と短く,悪性腫瘍細胞再移植の危険性も解決されていない.これまで出生児の異常は報告されていないが,自然妊娠と比較できるほどの臨床例の蓄積はもちろん存在しない.卵巣組織凍結保存は将来有望な妊孕性保存法ではあるが,現時点では卵巣への転移が比較的少ない悪性リンパ腫などの限られた疾患で考慮されるべきである.治療開始までの時間が限られている,あるいは思春期前などの特殊な状況下でのみ,受精卵や未受精卵子凍結保存の補完的,かつ臨床研究として実施されるのが望ましい.
 一方,若年者の悪性腫瘍の場合の卵巣保存においては,本人が自己決定することが困難なことがあり,親権者である両親から同意を得ておくことが必要となる.保存期間が長期となることが予想され,その管理費用の負担,良好な成熟した卵子を得られなかった場合の責任問題など解決すべき社会的あるいは倫理的問題が多数残っている.悪性腫瘍患者の妊孕能温存に関しては,治療開始前に卵巣組織凍結保存する生殖医療専門医と,原疾患を治療する腫瘍専門医による十分な情報交換と同時に診療協力体制の確立,さらに臨床心理士による患者とその家族に対する十分なカウンセリングが不可欠である.
 “いのちの未来を拓く”,この領域の発展を切に祈るものである.

 慶應義塾大学医学部産婦人科学教室
 吉村泰典

Preface
Global Advances in Oncofertility−Teams Working Across Disciplines and Geography to Ensure a Fertile Future for Young Cancer Survivors
 It is my pleasure to contribute this preface to the book' Oncofertility−Recent Advances in Fertility Preservation'.As the director of The Oncofertility Consortium,I see tremendous value in working together across disciplines to solve intractable problems,like the fertility needs of young cancer patients.Under the leadership of Dr.Nao Suzuki,and many other global oncofertility leaders,we are now starting to share' best practices' across the globe.This is an important advance for our field and ensures that breakthroughs at the bench are tested rigorously in multiple labs,that issues surrounding patient access to advanced technology are addressed and in the end,that patients are provided fertility options that at one time seemed like a hopeless wish.
 I want to congratulate the editors,publishers and authors of this book.It represents critical advances in each of three knowledge gaps − the information gap,the data gap and the option gap.Essential new information on the cancer types and treatment that create infertility or sterility are reviewed and clear recommendations are communicated in Chaper 5 that provide the real-world guidelines to practicing physicians.The book also presents concrete data on fertility outcomes and the current barriers to treatment decisions.The decisions for patients,parents and partners are difficult,especially given the incredible emotions that can overwhelm a family when a cancer diagnosis is given.Under any circumstance,cancer is a powerful term that creates anxiety,depression and an existential crisis about the future.When a young person − a child,adolescent or young adult − is given this diagnosis,it is perhaps an even more difficult discussion.Importantly,and as the book points out,the conversation about future fertility can positively impact the patient because it provides a focus on the future that is lacking under normal circumstances.The final gap in the field,the option gap,is rapidly being filled by the global reproductive science and cancer communities providing new technology that addresses the previously unmet needs of this patient group.
 It is clear that the field of oncofertility has emerged as a powerful new force in the medical community and books like this one and those in English 3-5 provide a tangible reference for new members of the field and a summary of the work that has been done to date.Having this kind of information published in parallel with web resources for patients, parents and partners(http://myoncofertility.org/ −in English,Spanish and Japanese languages),providers(http://www.savemyfertility.org/)and the public(http://oncofertility.northwestern.edu)creates a network of resources that is unparalleled in any other field.
 So on behalf of The Oncofertility Consortium and our National Physicians Cooperative,congratulations on the publication of this book,which represents the significant advances in our field.
 It is truly an exciting time to be in reproductive science !

 Teresa K.Woodruff,Ph.D.
 The Thomas J.Watkins Professor of Obstetrics and Gynecology
 Vice Chair for Research
 Director,The Oncofertility Consortium
 Feinberg School of Medicine,Northwestern University
 http://oncofertility.northwestern.edu
 http://www.woodrufflab.org

序文

 近年,がんに対する集学的治療の進歩によって,多くの患者が「がん」という病気を乗り越えることができるようになってきている.しかし,若年患者に対するがん医療は,性腺機能不全,妊孕性の消失,そして早発閉経などを引き起こす場合がある.
 現在,若年がん患者における治療寛解後の妊孕能温存法として,配偶子凍結,胚凍結,卵巣遮蔽や卵巣位置移動術,そして卵巣組織凍結などがあげられる.とくに女性がん患者は,生殖細胞(未熟あるいは成熟した卵子)または卵巣組織を外科的に採取しなければならず,月経周期によってはそのタイミングがベストとはならないこともあることから,がんの診断後可能な限り早急に,がん治療開始前に妊孕性温存の可能性を検討しなければならない.若年がん患者が妊孕性を温存した治療を選択する機会が増加しつつあることから,治療寛解後の男性としての,あるいは女性としてのQOL向上を志向して,症例によっては治療開始前から妊孕性温存に対する十分な対策を練る必要性があるだろう.
 しかし,なによりも妊孕性温存希望のがん患者においては,原疾患の治療が最優先されるべきであり,その治療を遅滞なく遂行することを大原則とし,がん・生殖医療は原疾患の治療を担当する医師によって妊孕性温存を考慮することが可能であると判断された場合においてのみ施行される治療となる.がんと診断された患者は,同時に多発する問題の自己解決が求められ,短期間にいくつもの選択を余儀なくされることから,妊孕性温存が選択された場合には,がん治療専門医と生殖医療専門医両者がともにいることは患者にとっても大きなメリットになると考えられる.
 患者は生殖医療施行中にも常に原疾患の再発・再燃のリスクを負っていて,限られた時間の中での生殖医療の施行が求められる.原疾患が診断され後療法が始まるまでの間,妊孕性温存治療に与えられた期間は長くても1 カ月以内であることが多く,体外受精・胚凍結を行えたとしても1 クールぐらいが限度であり,一生分の妊孕能温存としては決して満足な治療とはならないのが現状である.原疾患が寛解し不妊治療を開始できたとしても,がん治療専門医による精密検査は定期的に必ず行われるべきであり,妊孕性温存が不可能となるがんの進展がみられた際には原疾患の治療を優先させることを忘れてはならない.
 一方本邦において,これまで若年がん患者に対する妊孕性温存療法の適応や治療法の選択などに関する議論が,生殖医療に携わる産婦人科医と,がん治療に携わる腫瘍専門医や自己免疫疾患治療に携わる内科医との間で,公式の場において十分に検討されることはなかった.海外では2006 年にドイツでFertiPROTEKTが,また2007 年にはアメリカでOncofertility Consortiumなどのネットワークが構築され,国民に基礎的な知識を啓発し,治療を受けることができるネットワークシステムが構築されている.本邦におけるがん・生殖医療の啓発を志向して,2012 年11 月3 日に「日本がん・生殖医療研究会」が設立された.
 本研究会の立ち上げを契機として,これまでの実践と研究の成果及びこれからの展開を本書に一冊にまとめることで,妊孕性温存を望むがん患者のために,そしてそれを実践するがん治療医をはじめ,すべての専門領域にわたる産婦人科医や看護師,心理士などにとって診療のお役に立てれば幸いである.

 2013 年8 月
 鈴木 直・竹原祐志
 巻頭言(落合和徳)
 巻頭言(吉村泰典)
 巻頭言(Teresa K.Woodruff)
 序文(鈴木 直・竹原祐志)
 執筆者一覧

第1章 妊孕性温存の基礎
 01 卵子の発育と受精(高橋祐司・細井美彦)
  ・卵子の成り立ち
  ・卵胞(卵子)の発育
  ・卵子の成熟
  ・フリーラジカルと卵成熟
  ・受 精
 02 精子の発育(久慈直昭・上條慎太郎・井上 治ほか)
  ・精巣の発生
  ・精巣の構造
  ・精子形成
  ・精子と加齢
  ・In vitroでの精子形成
 03 卵巣の予備能(高江正道・河村和弘・石塚文平)
  ・卵巣の予備能と加齢による生理的変化
  ・卵巣の予備能に影響を与える因子
  ・卵巣予備能の評価法
  ・悪性腫瘍および自己免疫疾患患者における卵巣予備能評価の役割
 04 ARTのリスク(前沢忠志・森本義晴)
  ・腹腔内出血
  ・卵巣過剰刺激症候群(OHSS)
  ・腹腔内感染
  ・新生児へのリスクについて
 05 化学療法による卵巣毒性(筒井建紀)
  ・化学療法による卵巣毒性のメカニズム
  ・薬剤別卵巣毒性
  ・疾患別化学療法による卵巣毒性
 06 化学療法による精巣毒性(河野康志・楢原久司)
  ・造精機能のしくみ
  ・抗がん剤の種類と精子形成に与える影響
  ・抗がん剤投与症例における不妊治療の現状
  ・抗がん剤投与症例において不妊治療によって得られた児の予後
 07 放射線療法による性腺毒性,子宮毒性(齋藤 豪)
  ・性腺・子宮の疾患に対する放射線照射
  ・性腺・子宮以外の疾患における放射線照射
  ・放射線照射による精巣毒性
  ・放射線照射による卵巣毒性
  ・放射線照射による子宮毒性
  ・視床下部-下垂体に対する放射線照射と妊孕性
第2章 妊孕性温存を考慮すべき疾患
 08 若年性乳がん患者の現況−治療の進歩(津川浩一郎)
  ・若年性乳癌の総数,頻度
  ・若年性乳癌患者のQOLと課題
  ・乳癌治療方針の決定
  ・化学療法と卵巣機能障害
  ・内分泌療法と治療期間
  ・治療開始までの期間が予後に与える影響
  ・遺伝性乳癌卵巣癌症候群
  ・浸潤性小葉癌
  ・我々の施設での取り組み
 09 若年性乳がん患者の現況−乳がんと妊娠(福田 護)
  ・乳がんの疫学
  ・乳がん発症リスクとエストロゲン
  ・妊娠期乳がん
  ・乳がん治療後の妊娠
  ・乳がんと妊孕性
 10 若年がん患者の現況(血液疾患・白血病,悪性リンパ腫)(菊地美里・神田善伸)
  ・若年者の造血器腫瘍罹患率と治療の概要
  ・若年者の造血器腫瘍治療に伴う生殖機能の影響
  ・実際の妊孕性保護対策
 11 若年がん患者の現況(男性:精巣腫瘍など)(大山 力)
  ・精巣腫瘍
   [発生頻度,組織学的分類/病期分類,腫瘍マーカー/治療,精巣腫瘍に伴う性腺機能低下症と造精能障害/治療関連有害事象(とくに精巣毒性について)]
 12 小児がん患者の現況(三善陽子・大薗恵一)
  ・小児がんと晩期合併症
  ・小児がんの現状
  ・小児の性発育と性腺機能
  ・小児がん患者の性腺機能
  ・妊孕性の低下と温存療法
  ・CCSの長期フォローアップ
  ・晩期合併症の現状
  ・小児における抗ミュラー管ホルモン
 13 免疫疾患と若年患者(亀田秀人・金子祐子)
  ・若年患者に発症しやすい炎症性免疫疾患の疫学
  ・SLEの最新治療
  ・シクロホスファミドによる治療の実際
  ・若年患者の管理における課題と展望
 14 若年婦人科がんの現況(上田 和・岡本愛光)
  ・子宮頸がん
  ・子宮体がん
  ・卵巣がん
 15 子宮内膜症と妊孕性(大須賀 穣)
  ・子宮内膜症
  ・子宮内膜症と不妊症
  ・子宮内膜症性卵巣嚢胞の妊孕性への影響
  ・妊孕性を考えた子宮内膜症の取り扱い
第3章 妊孕性温存療法の実際
 16 卵子凍結(竹原祐志・青野文仁・加藤恵一)
  ・ヒトの配偶子(精子・卵子),受精卵(胚)の凍結保存の歴史
  ・卵子凍結保存の現状
  ・凍結保存卵子により妊娠出産,挙児獲得に至った症例
 17 精子凍結・精巣凍結(岡田 弘・慎 武)
  ・精子凍結保存
  ・精巣(組織)凍結保存
 18 胚凍結(高井 泰)
  ・胚凍結保存の歴史
  ・胚凍結保存の適応
  ・胚凍結保存の臨床成績と問題点
 19 卵巣組織凍結(橋本 周・鈴木 直・河村和弘ほか)
  ・はじめに:妊孕性の温存
  ・凍結方法
  ・卵巣組織凍結臨床例
  ・卵巣組織移植
  ・凍結卵巣組織への腫瘍細胞の混入
 20 卵巣組織移植(菊地 盤・香川則子・熊切 順ほか)
  ・背 景
  ・組織の凍結法
  ・組織の再移植部位
  ・再移植法
  ・順天堂大学における再移植法
  ・聖マリアンナ医科大学における再移植法
 21 卵巣保護(GnRHアゴニスト)(古井辰郎・牧野 弘・森重健一郎)
  ・GnRHa
  ・GnRHaによる性腺保護
  ・GnRHaによる性腺保護の臨床試験
  ・わが国の現状
 22 卵巣移動術−子宮頸がんにおける適応を中心に(梶山広明)
  ・子宮頸癌における卵巣移動術の適応
  ・卵巣移動術の実際
  ・移動卵巣の内分泌的機能
  ・卵巣移動術後に発生する問題点
 23 子宮がんに対する妊孕性温存療法(山上 亘・田中京子・進 伸幸ほか)
  ・子宮頸癌に対する妊孕性温存
  ・子宮体癌に対する妊孕性温存
第4章 がん・生殖医療を支える医療
 24 周産期の立場から考えるがん・生殖医療(平田 徹・池田智明・須藤 保ほか)
  ・子宮頸癌合併妊娠についての概略
  ・抗悪性腫瘍治療の胎児への影響
  ・新生児への影響
 25 精神的アプローチ1 −医師の立場から(詠田由美)
  ・不妊患者の心理
  ・生殖医療施設を訪れるがん患者の心理
  ・生殖医療を求めるがん患者へのインフォームドコンセント
  ・胚・卵子凍結保存治療での慎重な対応を必要とする状況
 26 精神的アプローチ2 −看護の立場から(上澤悦子)
  ・生殖年齢にあるがん患者の不安と希望
  ・生殖看護の役割
  ・今後の生殖看護の役割
 27 精神的アプローチ3 −臨床心理士の立場から(奈良和子)
  ・がん・生殖医療における患者の心理社会的特徴
  ・がん・生殖医療におけるカウンセリング
 28 がん・生殖医療と倫理(己斐秀樹)
  ・遵守すべき医療における倫理原則
  ・生殖の特徴と生殖補助医療の特殊性
  ・男性がん患者の妊孕性の温存
  ・女性がん患者の妊孕性温存
  ・第三者を介する生殖補助医療とがん・生殖医療
第5章 妊孕性温存療法の試み−ガイドラインなど
 29 海外でのがん・生殖医療の取組みと日本がん・生殖医療研究会の役割(鈴木 直)
  ・がん・生殖医療の実践
  ・ASCOガイドライン
  ・Onocofertilityコンソーシアム
  ・国際妊孕性温存学会(ISFP)
  ・FertiPROTEKT
  ・NCCNガイドライン
  ・本邦におけるがん・生殖医療の実践−日本がん・生殖医療研究会(JSFP)の取組み
 30 本邦における乳がん患者に対する妊孕性温存の取組み(清水千佳子)
  ・本邦における乳がん患者の妊孕性温存の取組み
  ・今後の展望
 31 A-PARTの取組み(青野文仁・宇津宮隆文・加藤 修)
  ・臨床研究への取組みの経緯
  ・臨床研究の概要
  ・臨床研究の現状
 31 ASCO2013 最新トピックス−妊孕性温存に関する新ガイドライン概要(高江正道・西島千絵・吉岡伸人ほか)
  ・ガイドライン変更の要点
  ・ASCO新ガイドラインによる“がん・生殖医療”の提言
  ・性腺毒性に関するリスク分類 2013 年版

 索引