やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

第2版(改題)のはじめに
 この本の前身である『医学生のための漢方・中医学講座』(以下,「医学生編」と略す)は,現代医療のあり方に一石を投じ,また漢方・中医学を一人でも多くの医療者・医療関係者に知っていただけることを願って,2006年に出版されました.お陰様で,医学生をはじめ,看護学生や薬学生など保健衛生を学ぶ方たちに,さらにはすでに医師として活躍されていながら漢方を身につけたいと望む方々にも,広く迎えられました.筆者としてはまことに望外のよろこびを感じるとともに,執筆した責任感をもひしひしと感じているこの頃です.
 出版後早3年が過ぎ去ろうとしておりますが,この間,漢方・中医学を取り巻く環境も大きく変化してきました.一番大きな変化は,医療上「漢方」が標榜できるようになったことでしょう.実際に,私が現在勤務するクリニックでは,「漢方内科」を正式に標榜しております.
 さて,漢方・中医学は伝統医学ですから,学問の内容自体は本来このような変化とは縁のないものであるはずです.本も,他の現代医学のそれのように3〜5年経つと使い物にならないということはありません.実際に漢方の臨床で用いられている本は昭和期以前に書かれたものが多く,今でも第一級の漢方書である『傷寒論』に至っては,(翻訳とはいえ)2世紀前の著作なのです.
 しかし,現代医療のなかで漢方を用いようとする方々にとって,漢方・中医学は常に現代医学の進歩にスライドして議論できるようなものでなければならない,と筆者は最近とみに思うようになりました.そうすると,当時最新の内容を盛り込んだつもりの「医学生編」が,すでに一部古くなってきています.
 また,当初は,本はこの「医学生編」1冊で完結するつもりで出版したのですが,いろいろな経緯があり,続編ないし補完編ともいえる『漢方・中医学講座-基礎理論編』,『同-鍼灸編』,『同-診断学編』を執筆してきました.さらには『同-治療編(仮題)』,『同-生薬編(仮題)』を脱稿し,現在編集作業に入っておりますが,「漢方・中医学講座」シリーズがいつの間にかできつつあります.「医学生編」は,これらシリーズにおいて,かなり専門的な内容を含む他の本と対比的に,最も基本的・初歩的な内容を持つものとしての位置づけになってきました.
 以上のような状況を鑑みて,「医学生編」に若干の改訂を加え,本シリーズの中で最初に手に取っていただきたい,という思いを込めてタイトルも新たに『漢方・中医学講座-実践入門編』とすることにしました.
 2009年春 著者

『医学生のための漢方・中医学講座』からの主な変更点
 1.「医学生編」にはなかった,漢方の基礎理論の解説と漢方と縁の深い鍼灸についての解説を,それぞれ独立した章として加えました.これらはいずれも,漢方理論や鍼灸について学ぶだけの情報量としては圧倒的に不足していますが,詳しい内容についてはシリーズの「基礎理論編」,「鍼灸編」で学んでいただけるよう,ガイド的な役割を期待して収めました.
 2.「医学生編」は,東洋学術出版社刊の中医学専門誌「中医臨床」に「医学生・研修医・プライマリケア医のための中医学講座」と題して連載したものをまとめたものです.したがって,「中医学(中国医学)」をキーワードに話を展開していましたが,以後のシリーズでは日本漢方と中医学とを並立し,むしろこれらはわが国の医療現場では融合することが望ましい,という立場で書いてきました.本書の今回の改訂に当たっては,この融合する立場を貫くことにしました.したがって,本書のほとんどのところでは,日本漢方と中医学とをひっくるめて単に「漢方」と総称しています.あえて二者を区別すべきところでは,「日本漢方」「中医学」と表記しています.

初版のはじめに
 私は,西洋医学の現場に身を置きながら中医学(中国医学)を学び実践してきた医師のひとりです.医師になった当初は,特に何の疑問も感じることなく,西洋医学の実践者として内科医としての研鑽に励みましたが,年を重ねるにつれ,徐々に診療における東洋医学の占める比重が大きくなってきました.そのうち東洋医学外来を担当するようになり,漢方薬を用いた診療を行うとともに,大学の教官として講義・実習で東洋医学(漢方,中医学)を医学生に紹介してきました.また生薬およびその成分がもつ病気の治療効果について,基礎医学的な検討を中心に研究も行ってきました.最近になって,大学に籍を置いて研究に携わりながら,もっと広く中医学を実践するために,町の診療所で勤務をはじめました.研究と臨床の間を振り子のように振れながら,片方をもう片方に活かすという名目で日々中医学に邁進しているつもりです.じつは単に,ひとつのことに集中する力がなく,ずぼらな性分なので,「邁進」というのは正しくないかもしれないのですが.
 かつて私は,内分泌の分野において先天性遺伝子異常による成長障害の研究を行っていました.大学院では,まず分子生物学の手法を学び,それから患者さんの血液から取り出したDNAを,主に遺伝子診断装置を用いて解析していました.その頃は,種々の疾患が突然変異,欠失など遺伝子異常によって生じるという報告が盛んになされていた頃で,遺伝性が古くから知られている極めて稀な疾患から,がんやアルツハイマー病などのポピュラーだけれども重篤な疾患,さらには糖尿病や高血圧症などのごくありふれた生活習慣病までが遺伝子研究の対象範囲に含まれ始めていました.「すべての疾患は遺伝子異常である」とまではさすがに言えないけれども,それに近い雰囲気が当時の医学界にはあったのではないでしょうか.
 さて,遺伝子異常症と診断された患者さんはどうなるのでしょうか.特に,生理・病理現象の末端で働いている遺伝子はともかく,身体で極めて重要なキー遺伝子が「壊れて」いたらどうするのでしょうか.患者さんに向かって,「あなたの病気はこの遺伝子が壊れていて,うまく働かないために起こったのです」と診断はできるものの,結局遺伝子は修復できないので,諦めなさいと宣言していることに他ならなかったのです.少なくとも私はそう感じていました.
 今でこそ,遺伝子異常症に対しては,遺伝子導入や特異的遺伝子発現抑制,あるいは分子生物学を応用した分子標的薬などの手法で克服しようという試みが始まりましたが,それらの最先端の治療は,新聞やインターネットでニュースとして華々しく紹介されるだけで,一般の医療現場に導入されるにはまだまだ程遠いものです.例えば,○○がんの最新の治療法が△△大学病院で実施されていても,まだ試験研究段階であることから病院側が対象患者を絞り込んで施行するため,大多数の「普通の」がん患者は,まだ一般の病院でこれまでどおりの治療を受け続けているのが現実でしょう.また,仮にそのような治療法が識者の間で認められてきたとしても,臓器移植のようにその治療法が非常に高額なものであったりすると,対象者は一部の裕福な者のみに絞られることになり,一般の患者さんにはその治療法は依然として無縁のものです.もちろん,将来を見据えた医学の研究とその進歩は大事なものですが,いまこの現代に生きる人々にとっては何の恩恵もないわけです.
 私はこのような現代医学の限界,不平等を肌で感じていたことから,何か「新しい」治療法はないものかと模索し始めました.しかし,この段階ではまだそれほど積極的ではありませんでした.現代医学にできないことですから,あまり他にも期待していなかったわけです.
 決定的だったのは,自分の家族に起こった出来事でした.
 娘が1歳を過ぎ,順調に成長していたある日,彼女の手首に湿疹ができるようになりました.最初はただの湿疹だと思って軟膏を塗布したりしていたのですが,一向に改善しません.そのうちに数が増え激しい掻痒を伴うようになり,就寝中にもポリポリと掻き毟るようになってきました.湿疹は肘関節内側にも広がり,私はこれはアトピー性皮膚炎ではないかと考え始めました.小児科や皮膚科を受診したところ同様の診断がくだり,早速ステロイド軟膏の処方が出ました.食事は,アレルギー検査の結果を踏まえて,主治医の指示に従って卵の摂取制限を始めました.しかし半年経っても症状は一進一退で,ステロイド軟膏を塗布すると改善するけれども,減らすと悪化します.私は皮膚科医ではなく,アトピー性皮膚炎に関する専門的知識も持ち合わせていなかったため,娘が将来ステロイド漬けになってしまうのではないか,栄養は大丈夫か,と非常に不安になり,自分も医者だ,自分の娘ひとりも何とか治してやれないものかと勉強を始めました.
 その結果,漢方に行き当たったのです.怪しげな治療法も横行する中,安全で確実な効果のあるものをとなると,やはり伝統的に認められてきた漢方には非常に惹かれるものがありました.そこで漢方で娘を治すことにし,専門書を買って来てどの漢方薬がよいのか調べ始めました.このときに初めてわかったことは,「○○病にはこの薬」という使い方は間違いである,ということでした.漢方とは,「アトピーにはこの薬」という単純なものではありません.安直に漢方に期待を寄せていた私はしばし愕然としました.そういえば,幼少の頃に風邪をひくと苦い葛根湯ばかり飲まされていて,全く効かなかったことを思い出しました(今になって考えると,これは証が合っていなかったということですが).しかしこれは見方をかえると,漢方にはそれなりに理論があるということであり,漢方が単純な民間療法よりは高度な医術であるのだと考え直し,とにかく娘の症状や体質をよく調べ,効きそうな漢方薬の吟味に入りました.
 こうして選んだ漢方処方は「治頭瘡一方」でした.漢方薬に健康保険が適用されることは知ってはいましたが,聞いたこともないこの薬は勤務していた病院には置いていないのです.通院していた皮膚科にも聞いてみましたが,「それは何ですか?」といった風の返事でした.やはりあまり使われない漢方薬なのかと思って漢方専門薬局を訪ね,「治頭瘡一方を下さい」と言いました.向こうにすれば,いきなり客が専門的薬剤名を口にしたので,どこかで聞きかじってきたと思ったのでしょう(まさにその通りなのですが).娘の症状を詳しく聞かれ,「それなら治頭瘡一方で大丈夫でしょう」ということで,「漢方薬は長期に渡ってゆっくりと効く」と思っていたこともあり,一箱(成人の2か月分ほど)購入して帰りました.
 結果的にこの治頭瘡一方は半分以上も残り,古くなったので数年後に廃棄してしまいました.何があったのかというと,娘の湿疹は2週間ほどできれいになってしまったのです.それとともに,緩下剤をときどき使っていた便秘も同時にすっかり治ってしまい,漢方の威力をこのとき初めて実感したのです.西洋医学に勝った,と思いました.
 このようなことがあって,漢方をすっかり見直した私は,漢方の学習を手探りの状態で開始し,覚えた処方は内科臨床に積極的に取り入れることとしました.やはり予想を上回る効果が見られ,患者さんの不定愁訴を軽快させることにもしばしば成功し,漢方の恩恵をそれなりに感じ取っていました.しかし,その運用理論が付け焼刃で身に付いていなかったため,すぐに壁に突き当たりました.娘の例はいわゆるビギナーズ・ラックだったのです.そこで,理論的に漢方薬を使う必要性を感じるようになりました.しかし,そのときに持ち合わせていた種々の漢方書をいくら読んでも,書いてあるのは経験談に近いものばかりで,これでは臨機応変にいろいろな患者さんに対応するのは無理であろう,一部の優秀な医師には可能でも,凡人の私には無理だろうと判断しました.そこでまた暗中模索状態に戻ったのです.
 さて,漢方関連の学会に出席した際,ロビーで所狭しと並べられている本を眺めていて,ふと「中医臨床」の文字が目に入りました.中医学専門の医学雑誌です(東洋学術出版社刊).これまでにもその存在は知っていましたが,手にとって見た際,とても煩雑で理解不能な専門用語が並んでいたので,すぐにページを閉じました.しかし何と表現すればよいのか,それでも何かピンと来るものがありましたので,一冊買ってじっくり読んでみることにしました.これが中医学との運命的な出逢いだったわけです.
 その後,本格的に中医学を学び始めた私は,一般内科診療の傍ら,様々な中医学の書物を読み込んでは実践に活かすことを心掛けてきました.やがて,それまで治せなかった患者が中医学で軽快したり,ときには治っていくようになりました.それがさらなる実践を生み,さらに勉強を繰り返すことを本日まで続けてきました.今なお,この素晴らしい中医学を学び実践できる喜びと未熟さへの反省との日々を,四苦八苦しながら過ごしています.
 さて,そんなある日のこと,一読者であった「中医臨床」から,その誌上で医学生,研修医,プライマリケア医などを対象に,ひろく中医学の必要性を訴え,その素晴らしさを紹介する機会をいただきました.浅学かつ発展途上の身であることは百も承知でしたが,一流の中医師,中医学者ではなく凡人の私だからこそ初学者の視点に近い位置で書けることもあるのではないかと考え,連載を引き受けることにしました.拙い内容ではありましたが,連載は足掛け4年に渡り,どうにか12回の執筆を終えることができました.
 やれやれこれでお役御免と思っているのも束の間,今度はその内容を本にしてみないかと東洋学術出版社・山本勝廣社長からご提案を受けました.非常に戸惑ったのですが,このようなチャンスは滅多にあるものではないので,ぜひ書かせてほしいとこちらからその場でお願いしました.山本氏には医歯薬出版株式会社の板橋辰夫氏をご紹介いただき,このたびの出版の運びとなった次第です.
 さて,本書は中医学について書いたものですが,いくつかあらかじめお断りしておきたいことがあります.
 (1)私は特に中国びいきでも何でもありません(中国料理や文学作品などは好きですが).したがって,中国のものならば何でもよい,と盲目的に信じているつもりは全くありません.それでもこの医学の効果は素晴らしいと純粋に思います.
 (2)中医学は現代西洋医学に取って代わるものではないと思っています.やはりどちらにも得意・苦手な分野がありますので,相補的に使っていけばよいと考えます.西洋医学を基本にし,中医学はセカンド・チョイスという立場でいます.
 (3)中医学で用いられる生薬の作用は,すべてその中の化学物質の作用によって説明でき,気や血の概念もいつかは生体内分子の振る舞いにて説明できるようになると考えます.ただ,現時点では不可能です.中医学も現代西洋医学も人体,自然をつぶさに見ているのですが,見る位置,観点が違うだけだと考えます.同じことを表現するのに,言語が違うようなものです.しかし,病のメカニズムを分子の動きの解明に求めて,いまだに苦闘している段階にある西洋医学は,その段階を早くに超越してすでに病の全貌を捉えている中医学にまだ追いついていないと思います.西洋医学が中医学に追いついたとき,我々の医学は完璧になると思います.
 (4)(3)にも通じますが,中医学は,数ある怪しげな医学もどきや偽民間療法とは完全に一線を画していると考えます.これだけ体系がしっかりとし,それが矛盾なく人体,病理を説明でき,治療効果もきちんとしているのであれば,これは堂々たる医学でしょう.
 (5)中医学と漢方を併記した箇所や,本来なら「中薬」とすべきところを「漢方薬」と表記してあるところがあります.これは混同ではなく,あえてそのような表現を取ったことをご理解ください(例えば,中医学的治療をしていても,使う薬がエキス製剤であればそれは「漢方薬」と表記しました).中医学も漢方も起源を同じくする親戚同士であり,互いに補い合うものであっても排斥し合うものではないと私は思うのです.中医学派にも漢方派にもさらに細かい分派が百家争鳴のごとく存在するけれども,いまのこの時代には互いの小さな差には眼を瞑り,東洋医学として協同し,現代医学に不足したものを補うべくともに発展すべきではないだろうかと考えます.したがって,本書は漢方を排斥するものでも,中医学のみを奨励するものでもありません.中医学の考え方を身につけ,それを軸にして,漢方にも通じていただきたいと思います.
 (6)本書は,臨床にいかに中医学を取り入れるかに重点をおいて執筆しました.したがって,紙数の都合もありますが,本書で中医学の知識をすべて得ようというのは無理です.特に,中医学の基本である臓・腑や気・血・津液などの概念,病因・病機などのしっかりした理解のためには,きちんとした教科書が必要です.
 なお本書は,単行本として出版するにあたり,「中医臨床」の連載内容を元に加筆訂正したものです.しかしそれでも重複や不備があるかも知れず,ここにあらかじめお詫び申し上げておきます.
 この本が現代医療のあり方に一石を投じ,また中医学を一人でも多くの医療者・医療関係者に知っていただけるような役割を果たすことができれば幸いです.
 著者
 第2版(改題)のはじめに
 初版のはじめに
第1章 医学教育における漢方の必要性
 1.東洋医学は世界でこんなに普及している
 2.医学教育における漢方の位置付け
 3.医学教育における漢方教育の望ましい方向とは
 4.医学教育において漢方を学ぶことの重要性
 5.漢方の知識・概念は西洋医学の理解にも役立つ
 6.西洋医学を超える/補う漢方
 7.漢方の教育・学習における注意点
第2章 診療に漢方を取り入れよう
 1.漢方を実践している医師はどれくらいいるのか
 2.漢方の学習事始め
 3.どうやって診療に漢方を取り入れて行くか:私の場合
 4.効果的な実践演習をしよう
 5.壁を撃ち破る
 6.「漢方なら何とかできる」ことに思い至れ
 7.それでも苦悩は続く
第3章 漢方的診察法 その1:総論および望診,聞診,問診について
 1.漢方の診察総論
 2.診察各論
第4章 漢方的診察法 その2:舌診について
 1.舌診のもつ重要性
 2.舌診で何を見るのか,何がわかるのか
 3.舌診における注意点
 4.舌診のトレーニング
 5.舌診の四診への統合
 6.本章の終わりに
第5章 漢方的診察法 その3:脈診について
 1.脈診のもつ重要性
 2.脈診で何を見るのか,何がわかるのか
 3.診るべき脈-これだけは弁別しよう-
 4.その他に覚えておくとよい脈証
 5.五臓と脈
 6.脈診のトレーニング
 7.四診の中の脈診
 8.腹診について
 9.本章の終わりに
第6章 西洋医学的診断の意義
 1.漢方診療において西洋医学的検査は意味があるのか
 2.西洋医学的検査の,もう少し積極的な意義
 3.西洋医学的検査で見つかった異常に漢方でどう対応するか
 4.西洋医学的検査で見つかった異常の漢方的解釈
 5.マクロ的視点とミクロ的視点
 6.西洋医との連携の大切さ
第7章 漢方で使われる薬
 1.生薬とはなにか
 2.漢方でいまだに生薬を使い続ける理由
 3.複合処方(処方)
 4.煎じ薬とエキス製剤
第8章 重要処方を理解する(1)十全大補湯
 1.十全大補湯とは
 2.十全大補湯と補中益気湯はどこが違うのか?
 3.十全大補湯の骨格を理解する:四君子湯と四物湯
 4.補中益気湯とは
 5.「補気」の四君子湯/「補血」の四物湯と応用処方
 6.本章の終わりに
第9章 重要処方を理解する(2)五苓散・猪苓湯
 1.五苓散
 2.五苓散の関連処方
 3.五苓散と猪苓湯はどう使い分けるのか?
 4.白虎加人参湯
 5.本章の終わりに
第10章 重要処方を理解する(3)二陳湯
 1.痰とは何か?
 2.二陳湯
 3.二陳湯の類似処方
 4.苓桂朮甘湯
 5.痰は取れにくい-難病と痰について
第11章 重要処方を理解する(4)桂枝茯苓丸
 1.漢方の治療則のひとつ-活血化おとは何か
 2.桂枝茯苓丸とはどのような薬か
 3.なぜ桂枝茯苓「丸」なのか-湯・散・丸の違い
 4.桂枝茯苓丸/加味逍遥散/当帰芍薬散の使い分けは?また,実証,虚証とは?
 5.では,加味逍遥散とはどんな処方か
 6.「女性治療の三種の神器」は女性にしか使えないのか?
 7.本章の終わりに
第12章 重要処方を理解する(5)黄連解毒湯・白虎加人参湯
 1.黄連解毒湯と熱
 2.黄連解毒湯の作用
 3.黄連解毒湯の類似・応用処方
 4.白虎加人参湯
 5.本章の終わりに
第13章 重要処方を理解する(6)六味丸
 1.滋陰降火法とは何か?-腎の機能を中心に考える
 2.陰虚火旺とは何か
 3.滋陰降火法について
 4.六味丸とはどのような薬か
 5.その他の六味丸の関連処方
 6.よくある質問<Q&A>
 7.本章の終わりに
第14章 『傷寒論』について
 1.『傷寒論』を学ぶ意味
 2.『傷寒論』は昔の医学?
 3.処方の話に入る前に
第15章 『傷寒論』ダイジェスト
 1.太陽病
 2.陽明病
 3.少陽病
 4.太陰病
 5.少陰病
 6.厥陰病
 7.霍乱病
 8.本章の終わりに
第16章 漢方理論のまとめ
 1.本章のはじめに
 2.陰陽五行論
 3.気・血・水(津液)理論
 4.臓腑理論
 5.病の原因について
 6.本章の終わりに
第17章 鍼灸について
 1.本章のはじめに
 2.鍼についての初歩的理解
 3.灸
 4.経絡
 5.経穴
 6.鍼を取り巻く環境
 7.本章の終わりに
第18章 漢方診療に関するQ&A
 Q1.漢方薬は西洋薬よりも有効?
 Q2.初心者はどの処方からはじめるのがよい?
 Q3.エキス剤の効果はメーカーによって違う?
 Q4.健康保険との絡みはどうなっていますか?
 Q5.エキスはよく使うが,そろそろ煎じ薬を処方してみたい.どうやって始めたらよいですか?
 Q6.古典は大事だとわかっていますが,『素問』,『傷寒論』,『金匱要略』などはやはり読まなければいけませんか?
 Q7.承気湯類は便秘薬ですか?それなら普通の便秘薬で事足りるのではないですか?
 Q8.日本漢方と中医学の違い(1):「方証相対」とは何?
 Q9.日本漢方と中医学の違い(2):「口訣」とは何?
 Q10.日本漢方と中医学の違い(3):どちらが優れていますか?
 Q11.漢方とEBMとの関係は?
 Q12.気って何?/普通の西洋医とうまく討論するには?
 Q13.漢方薬の効果はどれくらい科学的に解明されているか?

 付録1 主な処方
 付録2 煎薬と煎じ方
 索引
 あとがき