やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

第5版の序
 初版の『Plan-Do-Seeにそった給食管理実習のてびき』が発行されてからすでに20年,また第4版で『Plan-Do-Seeにそった給食運営・経営管理実習のてびき』と改題して10年以上経過した.
 この間に給食を取り巻く社会情勢の変化や,関係する制度等も大きく変わってきた.
 「日本人の食事摂取基準(2010年版)」以降は,食事改善,給食管理において,食事摂取基準の実践・運用には,PDCAサイクルに基づく実施が望ましいとされている.そこで,この度の改訂にあたり,書名を『Plan-Do-Check-Actにそった給食運営・経営管理実習のてびき』に改め,PDCAサイクルにそった実習の展開ができるよう加筆を行った.
 また,「日本人の食事摂取基準(2015年版)」が策定されたことにともない,前版同様に給与栄養基準量,食品構成基準を変更した.さらに「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」の大幅な改定が15年ぶりに行われたことにより,栄養価計算等に関する項目も見直した.
 本書をご利用いただいている栄養士・管理栄養士養成施設の給食実習ご担当の先生方には,これからもご助言・ご指導をいただきながら,給食の運営・給食経営管理の教育目標にそった実習内容になるよう改訂を重ねていきたいと思っている.
 今後とも,本書が給食運営実習および給食経営管理実習のテキストとしてご活用いただければ幸甚である.
 2016年3月
 著者一同


初版の序
 栄養士養成の必修科目である給食管理実習は,学内・学外を合わせて2単位以上と規定されている.
 学内実習は,学内の集団給食施設を使用して,担当教員の指導のもとに,学生自らが自主的に計画を立てて,各自が分担の作業を果たしながら,協力と責任の重要性を学び,給食運営の手順・方法などを修得する基礎的な実習である.
 そこで本書では,著者らの経験をふまえて,学生がplan・do・seeのサイクルをたどりながら積極的かつ研究的に実習が進められるように構成したつもりである.
 理解しやすいように,イラストや図表などをできるだけ多く用い,また各所に参考となる基礎資料を加え,機械使用法などはマニュアル的な要素も加味して,有効に活用できるように配慮した.
 しかし,まだまだ未熟な著者らであるゆえ,不備な点も多々あると思われる.先輩の諸先生方,また本書を使われる学生の皆さんに,お気づきの点をご忠言・ご指導いただき,今後改訂,補足をしていきたいと思っている.
 なお,本書を出版するにあたって,ご援助賜った医歯薬出版株式会社の皆様に深謝するとともに,参考文献として使わせていただいた諸先生方に厚く謝意を表す.
 1996年4月
 著者一同
I 給食運営管理実習オリエンテーション
 1.実習の意義と目的
 2.実習の進め方
 3.実習に当たっての心がまえ
 4.携行品
 5.個人の衛生について
  1)ふん便の細菌検査
  2)服装
  3)身体の衛生
  4)当日の健康状態
 6.実習方法の一例
  1)役割分担
  2)実習日程
  3)食事計画
  4)調理実習当日の時間配分
II 給食運営管理実習プロセス
 <1>計画(Plan)
  1.給与栄養目標量の算出
  2.食品群別荷重平均成分表作成
  3.食品構成表作成
  4.献立計画
   1)献立の組み合わせ方の基本
   2)献立作成の手順と留意点
  5.試作
   1)手順
   2)試作計画
   3)検討
   4)調理作業時間測定(time study)
  6.調理作業計画
   1)給食作業の種類
   2)作業の分類
   3)作業計画の立て方
  7.発注・出庫計画
   1)発注計画
   2)出庫計画
   3)発注・出庫量計算
  8.栄養教育媒体の作成
   1)媒体の役割
   2)媒体の種類
   3)媒体づくりの注意点
   4)媒体づくりの方法
  9.アンケート調査内容計画
   1)アンケート調査の定義
   2)アンケート調査のプロセス
   3)アンケートの質問項目
   4)アンケート集計および結果の報告
 <2>実施(Do)
  1.発注・出庫
   1)発注方法の種類
   2)発注時期
   3)発注方法
   4)出庫方法
  2.検収・保管
   1)検収
   2)保管
  3.実習食堂(試食室)の準備
   1)床・テーブルの準備
   2)献立表の掲示
   3)ポスター・卓上メモの設置
   4)アンケート用紙・筆記用具の準備
   5)雰囲気づくり
   6)お茶の準備
   7)テーブルふきんの準備
   8)テーブル花
   9)調味料スタンドの用意
  4.大量調理実習
   1)大量調理の特徴
   2)大量調理実習の手順
  5.盛りつけ
   1)食器
   2)盛りつけの手順
   3)盛りつけのポイント
  6.検食・保存食
   1)検食
   2)保存食(衛生検査試料)
  7.供食(配膳・喫食)
   1)配膳の方法
   2)利用者の心得
  8.食器返却・回収と洗浄・消毒
   1)食器の返却と回収
   2)食器の洗浄のポイント
   3)自動食器洗浄機の使い方
   4)食器の消毒・乾燥
  9.後かたづけ
   1)調理器具類の清浄・消毒
   2)調理室の清掃
   3)喫食室の清掃
   4)厨芥物の処理
  10.点検
   1)実習後の後始末(毎日の点検)
   2)定期的な管理
 <3>検証・改善(Check・Act)
  1.1回の実習における記録と検討
  2.実習全体を通しての検討
  3.栄養管理報告書
III 給食運営管理における調査
 1.残菜・嗜好調査
  1)残菜調査
  2)嗜好調査
 2.アンケートのまとめ方
  1)アンケート集計の方法
  2)グラフの活用
  3)考察
 3.廃棄率調査
 4.衛生検査
  1)食器の衛生検査
  2)手指の衛生検査
  3)清浄度検査
 5.乾物の吸水調査(もどし率)
 6.揚げ物の吸油率と揚げ衣の割合調査
 7.価格調査
  1)学内実習における価格調査
IV 給食経営管理演習

 付表 日本人の食事摂取基準(2015年版)