やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

改訂の序
 1983 年,『集団給食献立作成マニュアル』として刊行されて以来,『新編集団給食献立作成マニュアル』,『給食施設のための献立作成マニュアル』と順次改題され,これまで7版を重ねて30 余年を経た.この間,管理栄養士・栄養士養成施設における給食管理,調理理論等の講義,そして実習のマニュアルとして多くの方々にご利用いただき今日を迎えるに至った.著者一同,ここにあらためて厚く御礼申し上げる次第である.
 今回の第8 版改訂では,「日本人の食事摂取基準(2015 年版)」(使用期間は平成27 年度から31 年度までの5 年間)の公表に伴い,今回は主として「第2 章 献立作成の理論と実際」を中心として改訂を行った.
 また,食事摂取基準とそれに関連した通達等に基づき,「第4 章 施設別献立の特徴と献立作成」の訂正を行い,さらに,最新の資料に基づく加筆・修正を行った.
 これら改訂の内容,意図等を十分にお汲み取りいただき,献立論の理解,献立の立案・作成の手引き書として,引き続きご活用賜れば幸いである.
 2014 年12 月
 著者

はしがき
 給食管理業務は,すべて献立を中心として展開される.それは計画・立案にはじまり喫食に至るまでの,実に数多くのファクター一つ一つの集積であり,いうなれば,献立は栄養学をはじめとした食品,衛生,調理,経済,心理学等々が,それぞれ,たて糸,よこ糸として織りなされた織物であるともいえよう.それだけに,このたて糸,よこ糸の種類,組み合わせ,また,織り方によって,実にいろいろの織物ができ上がる.
 喫食者の嗜好に迎合すれば,栄養上からみて好ましくない献立になりかねないし,逆に,あまりにも栄養面にこだわると喫食者の嗜好を無視した内容の献立にもなりかねない.さらに,経済というものを考えれば,使用食品・予算制約といったことに頭を悩ますこともある.また,このような料理を献立に盛り込みたいと思っても,施設・設備ないしは人手の面でままならない.
 “食べる“ということは,きわめて日常性の高い行動であり,いわば泥くさいものである.このようなこともあってか,“食事づくり”がややもすれば,実験科学などにくらべて軽く見られがちである.しかし,われわれの健康の維持・増進,疾病の治癒ないし促進は食べることなくしてはあり得ない.
 献立は,どのような理論のうえに立って,具体的には,どのようなものを,どのくらい,どのようにして食べてもらうか,の一つの指標ともなるべきものである.この指標づくりには,理論はいうまでもなく,日常の訓練と経験の集積に負うところもすくなくない.それと同時に,料理のレパートリーを大いにひろげておくことも必要であろう.座右のノートとしてご活用いただければ幸甚である.
 終わりに臨み,発刊にあたって終始ご尽力いただいた医歯薬出版株式会社の方々に厚くお礼申し上げる次第である.
 昭和58 年2 月
 著者
第1章 献立作成にあたって
 (赤羽正之)
 1. 献立とは
 2. 献立の考え方
 3. 献立の要件
  1)栄養の問題
  2)食品の問題
  3)料理・おいしさの問題
   (1)化学的感覚
   (2)物理的感覚
   (3)心理的感覚
   (4)生理的感覚
  4)食費の問題
  5)安全の問題
第2章 献立作成の理論と実際
 (富岡和夫・西川貴子)
 1. 献立立案までの基礎計画
  1)特定給食の目的
  2)特定給食とは
   (1)給食施設
   (2)特定給食施設
   (3)特別特定給食施設
  3)特定給食施設の栄養士・管理栄養士の配置
   (1)給食施設
   (2)特定給食施設
   (3)特別特定給食施設
  4)特定給食施設における栄養管理の基準
 2.「日本人の食事摂取基準(2015年版)」と給食運営
  1)食事摂取基準の概要
  2)食事摂取基準の活用
   (1)対象集団の特性の把握
   (2)食事摂取量の評価
   (3)食事計画の策定
   (4)高齢者等への活用
 3. 献立作成までの手順
  1)献立計画の流れ
  2)給与栄養目標量
   (1)給与栄養目標量の生かし方
   (2)給与栄養目標量の決定方法
  3)給与栄養目標量を求める
   (1)対象集団の特性の把握
   (2)給与栄養目標量(荷重平均食事摂取基準)を算出する
 4. 食品群別荷重平均栄養成分について
   (1)食品群
   (2)食品群別荷重平均栄養成分
   (3)日本食品標準成分表
   (4)栄養量の求め方
   (5)食品群別荷重平均栄養成分の求め方
 5. 食品構成
   (1)食品構成と食品構成表
   (2)食品構成をまとめるにあたって
   (3)食品構成表をつくるための準備
   (4)食品構成をつくる
 6. 献立表の役割と様式
  1)献立表の役割
  2)献立表の様式
  3)1 人当たり可食部重量から直接材料使用予定重量を求める
   (1)廃棄部分のない食材料
   (2)廃棄部分のある食材料
 7. 栄養出納計算
  1)栄養出納とは
  2)栄養出納計算に必要な書類
   (1)食品群別分類名
   (2)献立表の様式
   (3)栄養出納表
  3)栄養出納の計算と判定の要領
 8. 給食実施の実際的な要領
  1)グレード別給食
  2)一人ひとりの給食利用者に対応する実際的要領
 9. 食事摂取基準と献立作成(第2 章のまとめとして)
第3章 献立の見方,読み方,考え方
 1. 献立の立案と献立計画(中川 悦)
  1)献立の種類
   (1)定食献立
   (2)複数献立
   (3)カフェテリア形式の献立
  2)献立立案の留意点
  3)献立立案と献立表
  4)献立計画
   (1)献立計画の基本的事項
   (2)年間計画
   (3)月間・旬間計画
   (4)1 週間の計画
   (5)1 日3 食の栄養配分
 2. 予定献立の作成(桂きみよ)
  1)献立表の種類
  2)予定献立作成の手順
   (1)型紙を利用した献立作成
   (2)記載の仕方
  3)記入上の注意
 3. 献立の評価の仕方
  1)評価の重要性
  2)評価のための留意点
  3)評価の実践
  4)献立の評価
第4章 施設別献立の特徴と献立作成
 1. 学校給食の献立作成(冨田教代)
  1)学校給食の目的と特徴
  2)学校給食の種類
  3)学校給食の運営
   (1)単独校調理方式
   (2)共同調理場方式
  4)献立作成の要点
   (1)学校給食摂取基準について
   (2)学校給食における食品構成について
   (3)学校給食における食事内容の充実等について
   (4)特別支援学校における食事内容の改善について
  5)献立の評価
 2. 事業所給食の献立作成(大島恵子)
  1)事業所給食の目的
  2)事業所給食の特徴
   (1)対象者
   (2)経営形態
   (3)給食形態
   (4)健康づくりへの取り組み
  3)事業所給食の種類
   (1)オフィス給食
   (2)工場給食
   (3)事業所付属施設給食
  4)献立作成の要点
   (1)給与栄養目標量の算定
   (2)食品構成
   (3)献立作成にあたっての留意点
  5)献立の評価
 3. 社会福祉施設給食の献立作成(飯樋洋二)
  1)社会福祉施設給食の目的と特徴
  2)献立作成の要点
   (1)児童福祉施設における給食
   (2)高齢者を対象とした社会福祉施設における給食
  3)献立の評価
 4. 病院給食の献立作成(今本美幸)
  1)病院給食の目的と献立作成の意義
  2)病院給食の特徴
   (1)入院時食事療養制度
   (2)食事の種類
   (3)約束食事箋
  3)献立作成の要点
   (1)給与栄養目標量と食品構成
   (2)献立作成にあたっての留意点
   (3)献立展開の留意点
  4)献立の評価
 献立作成が上手になるために(富岡和夫)

 付表
  1. 調理による食品の重量変化率(日本食品標準成分表2010)
  2. 調理方法の概要(日本食品標準成分表2010)
 索引
 計算式の索引