やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

まえがき
 NST(Nutrition Support Team)が全国的に普及し,多くの施設でNSTによるチーム医療が行われるようになってきました.当院で成人消化器内科39名,消化器外科32名の入院患者および小児外科外来患者100名を対象に栄養障害の実態を調べたところ,高度栄養障害:成人34/71人(48%),小児7/100人(7%),中等度栄養障害:成人25/71人(35%),小児32/100人(32%)となりました.これまでの諸家の報告では入院患者の約40%は栄養障害であるとされていますが,このデータもそれを裏付けています.
 ところで,500床以上ある総合病院では,果たしてNST管理は可能なのでしょうか?たとえば500床であれば,その40%にあたる200人に栄養障害があり,NST管理対象者となります.この200人を週1回回診すると,40人/日の回診が必要で,5人/時間を診る必要があります.この値はたとえ専属のNSTチームがあっても不可能と思われます.ベッド数の多い大学病院で,いかにすればNST活動が可能なのかを模索し,そこで考えついたのが現在採用しているブロック方式です.この方式は,各病棟あるいは部門単位でNSTチームを置き,これらのチームは独立して活動し,それらをNST委員会が統合するやり方です.
 ここで重要なことは,各ブロック間でのNST管理の質の格差を最小限にすることであり,そのキーになるのがPC上で同一のソフトを利用することです.そこで,独自のNST用PCソフトを開発することとなりました.ソフト作成のコンセプトは,(1)使い慣れた普及度の高いソフトを利用すること,(2)誰でも同じ結果が導き出せること,(3)労力の削減ができること,(4)そして,これがもっとも大切なことですが,栄養状態がひと目でわかることです.このコンセプトで開発したソフトは,SGAシート,ODAシート,PENシートの3つの画面から構成されています.当初は成人用だけでした.全国的にみて,成人領域ではその基準,方法がある程度確立してきたように思いますが,小児領域ではいまだ試行錯誤している施設が多いようです.小児の栄養評価や栄養推奨量が成人とまったく異なるところに問題がありました.そこで成人とはまったく異なるデータや計算法を組み込んだ本邦で初めての小児用ソフトを開発することとなりました.作成したソフトの入力方法は成人用と同じで,SGAシート,ODAシート,PENシートの3つからなります.
 本書で解説しているソフト「The NST」は,これ1つで,誰でも簡単に成人用,小児用NST活動を本格的に行うことが可能となります.現在,昭和大学病院など5つの施設で実際に使用し,実績をあげています.一度お試し下さい.
 なお,本ソフト作成にあたり,多大なご助言をいただいた香川大学附属病院検査部・多田達史先生,昭和大学病院栄養科・岡田知也先生に厚く御礼申し上げます.
 2008年2月 土岐 彰
 ダウンロードとインストール
  動作環境 ダウンロード インストール
 本ソフトの目的と使用方法
  本ソフトの目的 使用する前に必要な設定 入力の流れ
大人用
 SGAシート
  各シートの説明 判定結果
 ODAシート
  エネルギー推奨量 活動係数 障害係数(ストレス係数) 蛋白質推奨量 脂質推奨量 糖質・炭水化物推奨量
 PEN,PEN2シート
 輸液エネルギー計算表シート
  データ保存
 PEN(DM)
 PEN(HD)
小児用
 SGA(小児用)シート
  栄養障害の目安 判定結果
 ODA(小児用)シート
  エネルギー推奨量 蛋白質推奨量 脂質推奨量 糖質・炭水化物推奨量
 PEN(小児用)シート
 輸液エネルギー計算表シート
 モデル症例で使い方をマスター
  症例1 症例2
 疾患別栄養管理のポイント
成人
 ・糖尿病
 ・肝疾患(肝硬変)
 ・急性腎不全
 ・慢性腎不全
 ・COPD(慢性閉塞性肺疾患)
 ・炎症性腸疾患(Crohn病)
 ・褥瘡
小児
 ・短腸症候群
 ・胃食道逆流症
 ・重症心身障害