はじめに
　近年，わが国では生活習慣病や少子高齢化社会における国民の健康課題が増加しています．管理栄養士は保健・医療サービスの担い手として，これらの課題への対応が求められ，高度な専門的知識および技能がますます必要となってきました．
　平成12年4月，栄養士法の一部が改正され，管理栄養士の業務は，要約すると，「傷病者療養のための必要な栄養指導」，「個人の状況・状態に応じた高度の専門的知識と技術を要する健康の保持増進のための栄養指導」，「給食施設における利用者の状況・状態に応じた特別の配慮を要する給食管理」，および「給食施設に対する栄養改善上必要な指導など」とされました．すなわち，献立・食品・栄養成分などの“モノ“を中心とした従来の業務から，傷病者療養のための栄養ケアや健康維持のための食生活支援という“ヒト”を中心とした業務に重点が置かれるようになったということです．
　「臨地・校外実習」は，まさに“ヒト”を中心とした栄養マネジメントの実践および給食の運営などの能力を修得するために必須かつ重要な教科です．
　本書の編集は，管理栄養士国家試験出題基準（ガイドライン）改定検討会報告書（平成14年8月29日）に沿って行いました．
　本書の特徴は，次のとおりです．
　1．臨地・校外実習施設ごとに，各必修教科の実習内容に即した構成としたことにより，学内で学ぶ理論と，臨地・校外実習における実践を結びつけながら学ぶことができる．
　2．理論的なことは臨地・校外実習を行ううえで必要最小限のポイントに絞り，記入・記述欄を多く設けることによって，実践的理解をより深めることができるようにした．
　3．臨地・校外実習に関する初めから終わりまですべて（事前準備・事後報告・施設の特徴など）が網羅されているので，「総合演習」で活用することにより，臨地・校外実習の予習・復習をすることができる．
　4．臨地・校外実習施設それぞれの特殊性から実習内容に差が出ることがあるが，本書に従って実習や自習を行うことにより，管理栄養士養成課程において養うべき能力のすべてを学ぶことができる．
　5．ガイドラインに沿った編集により，臨地・校外実習終了後は，管理栄養士国家試験受験のための貴重な教材として活用することができる．
　本書を十分に活用し，有意義な臨地・校外実習を積極的に行っていただき，管理栄養士に必要な高度の専門的知識および技能を一つでも多く修得していただければ幸いです．
　発刊にあたり，終始暖かい激励と絶大なご支援をいただきました医歯薬出版編集部に謹んで深謝申し上げます．
　2006年3月
　編者
　
追記
　第1版第3刷（補訂）において，最新の情報・資料に基づく加筆・修正を行い，より一層の充実を図りました．引き続きお役立ていただければ幸いです．
　2013年2月
　編者