やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

第4版改訂の序

 現状からみた宇宙船地球号の未来を危惧する人々が年ごとにふえている.地球創世以来,今や修復がきわめて困難なまでの環境破壊と人口増による人類生存の危機から遠ざかるために,多くの人が警鐘を鳴らす時代になった.
 1万年前の縄文人の暮らしと食事情をみるとき,そこで営まれていた,おおからで現代にも匹敵する文化や技術が,発掘された遺跡の中に満ちていることがわかる.果たして,1万年後を,私たちは明るい気持ちで想像することができるだろうか.
 栄養士・管理栄養士は,人類生存の鍵のひとつ,すなわち,食べるということで人々の健康づくりに寄与することを使命としているが,今後,何が困難で,どうすることがその使命達成に必要なことかを,一人ずつ自分に問いかけながら学んでいきたい.
 栄養学各論,臨床栄養学は,ヒトの一生にかかわる栄養学を中心としたさまざまな課題を包含し,食の専門家として,対象者の健康の保持・増進,疾病の予防と治療を援助するという役割を果たす道筋を学習する科目である.
 食生活を中心とした「食」の現状と将来を,ちょっと立ち止まって見直すことから始めよう.目先の便利さや欲望を追求するばかりでなく,常に広い視点から,自らに課した歩みに,その生き甲斐を見つけてもらいたい.
 1999年2月 著者一同

追記

 「第六次改定日本人の栄養所要量」の発表に伴い,第4版第2刷で関連する箇所の訂正を行った.
 2000年2月 著者一同

追記

 「五訂日本食品標準成分表」の公表に伴い,第4版第4刷で関連する箇所の訂正を行った.
 2001年12月 著者一同
第1章 「食」の周辺
 1.食生活に何を求めるか
 2.どれだけ必要か(日本人の栄養所要量)
 3.食生活の最近の傾向と問題点
 4.望ましい食べ方
 5.今後の食生活と栄養士の役割
第2章 食品の選択
 1.食品の成分
 2.食品の価値・組合せと効果
 3.加工食品
 4.遺伝子組み換え食品
第3章 食事計画
 1.対象者の特性の把握
 2.献立作成に必要な基礎知識
 3.献立作成の実際
 4.食品の購入
 5.食品の検収と品質管理
第4章 調理・盛付け
 1.安全性の確保
 2.調理の作業管理
 3.調理による栄養素の損失
第5章 好まれる食事をめざして
 1.おいしさ,食べやすさとは
 2.おいしく食べるための演出
 3.調理・盛付け時の特殊な配慮
第6章 ライフ・ステージ別・状態別の栄養
 1.栄養学各論,演習・実習のねらい
 2.母性栄養の実際
 3.乳児期栄養の実際
 4.幼児期栄養の実際
 5.学童期・思春期栄養の実際
 6.成人期栄養の実際
 7.高齢期の栄養の実際
 8.運動時の栄養の実際
 9.特殊環境・ストレスと栄養
第7章 臨床栄養学
 1.臨床栄養学実践の意義
 2.疾病の成り立ちと食事
 3.栄養評価と検査
 4.病院給食における社会保険診療報酬制度
 5.病院における栄養管理
 6.一般食の実際
 7.疾患別食事療法
 8.病院給食の社会的使命
 9.栄養管理・栄養食事指導の実践とPOS