やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに
 みなさん,こんにちは.Dr.Hiroこと山本浩正です.(自分で言うのは案外恥ずかしい……) このたびは本書をご購入いただきありがとうございます.本書は2012年7月号から2013年12月号まで1年半にわたって月刊『デンタルハイジーン』で連載していた『Dr.Hiroのぺリオバカ養成講座』に新たなトピックを4項(計20問)加え,そして“余計な”コラムエッセイ10編までつけ加えた渾身のぺリオ本です.あくまで,『私たちは知らないことだらけだ』ということを基本にしていますので,知らないことに“喜び”を感じてもらいたいという想いで作りました.つまり,通常の本のように,“知らないことを知るために”読むのではなく,本書を読むことで“知らないことがある”ということに気づいてもらい,それを学びの起動にまで引き上げるきっかけとしていただければと考えています.そして,学びを一生続けていただきたいという気持ちで,巻末に『入学試験』を作りました.本書全体から“学びに対する前のめり感”という空気を感じていただければ,もうあなたの学びのスイッチはONです.
 最近,「勉強」という言葉を使うことに抵抗を感じるようになってきました.勉強といわれると,机に向かってがむしゃらに頑張った学生時代を思い出しませんか?私もそこそこ頑張ってきたつもりですが,決していい思い出ではありません.勉強という言葉に,学生時代のトラウマのようなものを感じてしまうのは私だけではないと思います.原因はいろいろあると思います.まず,学校の勉強は“なぜ?”から始まらず,いきなり新しい知識や考え方を押しつけられていた,ということが考えられます.自分の好みにかかわらず,あらゆるジャンルを無理やり押しつけられるというのも原因かもしれません.また,テストでよい成績を取ることが最重要の成果と判断されるのも問題です.テストは100点が最高と決められているわけですから,最初からこれ以上はないと宣言されているのと同じです.150点とか,200点というのはないわけです.ということは,いかに失点を防ぐかということがテクニック上大切になってきます.これって,スッキリしませんよね.
 学校を卒業し,社会人になって自ら学ぶとき,これらの問題はすべてリセットされます.自分が“なぜ?”と思ったことから調べればいいし,自分の好みに合わせてテーマを決めればいい.100点満点のテストなんてないので,成果によっては,自分のなかで200点,300点ということがありうる.こんな状況に“勉強”という言葉を使うのは憚られ,私はあえて“学び”という言葉を使いたいと思います.
 さあ,あなたも“学び”の楽しさを味わってください.そして,学生時代の勉強から脱却し,大人として,知の探究に加わる“知的ロマン”を仕事の糧にする歯科衛生士,歯科医師になってもらいたいと心から願っています.本書がその一助になればこれ以上の幸せはありません.では,学びの世界でお待ちしております.
 最後に,連載時からお世話になった医歯薬出版(株)松崎祥子氏,大西香織氏,イラストレーター,デザイナー,そして本書作成にあたってお世話になったすべての方々に,この場をお借りして御礼申し上げます.いい本になりましたね.(自分で言うな!)
 2014年初夏
 山本浩正
 はじめに
 プロローグ

1.歯周組織検査編
2.細菌編
3.SRP編
4.歯肉退縮編
5.リスク編
6.根分岐部病変編
7.骨欠損編
8.口臭編
9.咬合性外傷編
10.歯周外科編
11.抗菌薬編
12.メインテナンス編

 ペリオバカ度診断 成績表
 ペリオバカ度診断 入学試験(低学年用)
 ペリオバカ度診断 入学試験(高学年用)
 参考文献
 索引

 COLUMN ぺり男のつぶやき
  (1)知のありか
  (2)愛は迂回で深くなる?
  (3)ガーリックチップ
  (4)経験とエビデンス
  (5)“いい気”のススメ
  (6)生身の身体を通すということ
  (7)夏の美瑛にて
  (8)個と国家の歴史認識
  (9)終の仕事場
  (10)敬意を払うということ