やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

第4版 序
 『無歯顎補綴治療学』の第4版を発行する運びとなりました.本書は,歯学教育モデルコアカリキュラム,共用試験,歯科医師臨床研修など歯科医学教育の変革に対応する新しい全部床義歯補綴学の教科書として,細井紀雄先生,平井敏博先生の編集企画で2004年9月に第1版が出版されました.その後,2009年に第2版が,2016年に第3版が発行され,各版で増刷を重ねました.本書が多くの大学で教科書に採択され,教育,臨床の場で活用されていることに対し心から謝意を表します.
 今回の改訂にあたり,本書を創刊された細井先生,平井先生がご勇退され,水口俊介,大久保力廣が編集委員に加わり,われわれ4名で編集を引き継ぐことになりました.本書は一般的な歯科補綴学領域の教科書のように,補綴装置に“学”をつけた「全部床義歯学」とはせず,「無歯顎補綴治療学」としたところに,細井,平井両先生の強い意思を感じます.装置を作るだけの学問ではなく,生命科学と健康科学に立脚し,人工臓器としての全部床義歯を用いて無歯顎という障害を回復し,口腔機能を維持する治療学であるという考えを,この教科書のタイトルに託されたと思っています.第4版でもこの考えを踏襲しています.
 現在,無歯顎患者は減少しているといわれるものの,歯列回復,機能回復,補綴歯科治療に関する基本事項は全部床義歯による補綴歯科治療の中に網羅されています.そして,無歯顎補綴治療を取り巻く環境は,対象とする患者の高齢化,難症例化,CAD/CAMをはじめとするデジタルデンティストリーの機器と材料の進歩,インプラントオーバーデンチャーの需要の増加など数多くの変化がみられます.診察,検査の可視化,アウトカム評価もより求められています.このような状況に対応するために,第4版では項目を再整理し,より無歯顎補綴治療が高齢者の健康維持,増進に貢献できる内容となるよう努めました.
 本書が,歯学部学生,臨床研修歯科医だけでなく,歯科専門医制度の整備が進む中,より多くの歯科医師の無歯顎補綴治療の必携の書として活用されることを切に望んでいます.
 最後になりましたが,新型コロナウイルス感染症蔓延下において,さまざまな制約の中ご執筆いただきました全国の歯科大学,歯学部の担当の先生方と医歯薬出版編集部に深甚なる謝意を表します.
 2022年1月
 市川哲雄 大川周治
 大久保力廣 水口俊介


第3版 序
 本書は,2004年9月に初版が,2009年2月に第2版が発行され,そしてこのたび第3版を発行する運びとなりました.10年を超える期間にわたって,学生,研修歯科医,歯科医師の方々に広く活用されていることに,心から感謝の意を表する次第です.
 周知の如く,2000年に策定された「健康日本21」では,生活習慣病とその原因となる生活習慣等の課題について,「歯の健康」を含む9分野ごとの対策が組まれました.その結果として,「8020運動」の効果とともに歯の喪失数は減少し,診療室での無歯顎患者は減少し,無歯顎補綴治療学の意義は低下しているように見えるかもしれません.しかし,高齢化のスピードは一段と加速し,さらに医療と福祉とがボーダーレスになり,現在の医療政策では,要介護者や認知症などの老年症候群への対策や,フレイル,サルコペニアに対する早期の介入など,要介護にならないことへの対策に重点が移りつつあります.本書の初版には,「無歯顎補綴治療は無歯顎患者の形態的・機能的障害の改善や回復を目指すことからリハビリテーションの一分野でもある.また,リハビリテーションの究極的な目標はQOLの維持・向上であり,無歯顎補綴治療はまさに21世紀に求められる主要な医療の一つである.」という強いメッセージが込められておりました.いまこそ,真の意味でこのことが求められてきているものと考えます.
 もう一つの押し寄せてきている大きな波は,デジタル化です.既にインプラントやクラウンブリッジの分野では,重要な臨床術式の一つとなっています.有床義歯についても,この大きな波がすぐそこまで来ていることから,本書でもその章を新たに設定しました.ここで重要なことは,デジタル化の時代だからこそ,そして前述の老年症候群の対策が求められる時代だからこそ,無歯顎補綴学とそれに立脚した無歯顎補綴治療に関しての術式や製作法と並んで,診察・検査・診断と治療計画の立案,アウトカム評価などの能力が一層強く問われるということです.学生諸君や若い歯科医師の方々には,このような共通の認識の上で,補綴歯科治療学の基盤を成し,学術的に膨大な知識が凝縮された無歯顎補綴治療学とその臨床を学習あるいは認識していただくことが必要であると考えます.本書は,それに対応可能な教科書になっていると信じております.
 第3版は,当然のことながら,初版および第2版の編集の枠組みを踏襲しております.そして,現在ではそれほどは使用されていない治療材料,器具,手技につきましても,無歯顎補綴治療を理解する上で必要と考えられる基本的な事項を十分に吟味した上で継承するとともに,最新の事項と合わせて記載いたしました.
 また,初版では14歯科大学・歯学部,第2版では23歯科大学・歯学部の先生方にご執筆をいただいたのに対して,第3版では29歯科大学・歯学部のすべての無歯顎補綴治療学担当教員の方々に分担執筆をお願いいたしました.お忙しい中ご執筆いただいた先生方に深甚なる謝意を表します.
 最後になりましたが,本書がより一層多くの歯学部学生と研修歯科医の教科書として,また,日々臨床に携わる歯科医師の方々の必携の書として利用されることを祈念する次第です.
 2016年1月
 編集委員一同


第2版 序
 『無歯顎補綴治療学』の初版が2004年9月に出版されて以来今日まで,歯学部学生をはじめとして,多くの方々が本書を活用してくださっていることに対しまして,心から謝意を表します.
 この度の改訂にあたり,新たに市川哲雄教授,大川周治教授に編集委員として加わっていただきました.さらに23校に及ぶ歯科大学・歯学部の有床義歯補綴学担当教員の方々に分担執筆をお願いしました.なお編集方針につきましては,初版と同じく『歯科医学教授要綱』と『歯科医師国家試験出題基準』に準拠した構成としました.しかし高齢社会の急速な進展に対応し得るために,一部内容を補足し,新たな章を加えました.主な変更点は,「第2章 診察,検査,診断」に(社)日本補綴歯科学会が長年にわたる検討を経てまとめた「症型分類」を加えたこと,「第3章 治療」としてくくられていた「I 前処置」「II 印象採得」「III 顎間関係の記録」「IV 下顎運動の記録と咬合器装着」「V 人工歯の排列」「VI 蝋義歯とその試適」「VII 埋没,重合,研磨」「VIII 重合義歯の咬合器再装着と咬合調整」「IX 義歯の装着」をそれぞれ独立した章として記述したこと,さらに新たに「複製義歯による治療」と「無歯顎患者に対する歯科訪問診療」の章を加えたことなどです.また,全頁をカラー印刷とし,図や写真などの理解を深められるように配慮するなどの改変を試みました.
 ここ数年,高齢化のスピードは一段と加速し,それに伴い高齢無歯顎患者も増加している状況にあって,今回の改訂は無歯顎補綴治療の社会的要請にも応える内容となっております.さらに歯科医師国家試験はますます厳しさを増し,狭き門になりつつある状況下で,無歯顎補綴学とそれに立脚した臨床に関しても,術式や製作法と並んで診察・検査・診断と治療計画の立案などの能力が問われております.加えてインプラント治療は,無歯顎補綴治療の選択肢として重要な位置を占めるようになりました.このような背景から,多くの歯学部学生と歯科医師およびその関係の方々には,共通の基盤に立って新しい無歯顎補綴治療学とその臨床を学習あるいは認識していただくことが必要であると考えます.
 ご承知の通り,21世紀におけるわが国の健康政策であります「健康日本21」では,改善重点項目の一つとして「歯の健康」が掲げられています.顎口腔系の健康が全身の健康と密接に関係していることがエビデンスをもって示された所以です.適正な全部床義歯の装着が高齢者の健康の維持・増進に重要な役割を担っていることを強調したいと思います.「咬合・咀嚼が創る健康長寿」を具現化しなければなりません.
 本書が多くの歯学部学生と研修歯科医師の教科書として,また,日々臨床に携わる歯科医師の参考書として活用され,無歯顎患者の診断と治療に有効に生かされることを切望いたします.
 2009年1月
 編集委員代表 細井紀雄
 平井敏博



 近年の教育改革の波は歯科医学教育分野にも及んでおり,歯学教育モデル・コア・カリキュラムが提示され,共用試験の本格実施および歯科医師臨床研修の完全義務化が決定されている.そこで,これらの変革への対応が可能な無歯顎補綴治療に関する教科書が必要であると考えた.
 従来から,全部床義歯補綴学あるいは無歯顎補綴学とよばれる学問は,究極的には患者の健康の維持・増進をはかるために必要な理論と技術を考究することを目的としている.したがって,全部床義歯補綴学を含む歯科補綴学は,生命科学や健康科学をベースとする実学であり,人々の健康・福祉の向上に貢献する役割を担う学問である.すなわち,歯科補綴学は歯科補綴治療学であるといえる.このことから,本書名を“無歯顎補綴治療学“とした.また,無歯顎補綴治療とは,無歯顎患者の形態的・機能的障害の改善や回復を目指すことから,リハビリテーションの一分野であるといえる.リハビリテーションの究極的な目標はQOLの維持・向上であり,無歯顎補綴治療は,まさに21世紀に求められる主要な医療の一つであるといえる.なお,最新の“歯学教授要綱”では,“基本方針・到達目標“として,“口腔疾患の予防と健康の保持・増進に寄与する人材の養成”“患者の全身状態を把握し対応する能力を有する人材の養成”があげられている.この理由としては,人口の高齢化に伴う複数の基礎疾患を有する高齢者の増加が考えられる.また,国民の健康に対する関心の高まりと,咬合・咀嚼が全身の健康に重要な役割を果たしていることを示す多くの客観的データの提示も見逃せない.無歯顎患者への義歯補綴治療の重要性は明白である.
 以上のことから,本書では,まず健康あるいはQOLと密接な関係にある老化に関する基礎的知識を整理し,全人的見地から無歯顎患者を診ることができる能力を涵養する記載を心がけた.また,無歯顎という病態についての理解を深めるためには,顎口腔系の常態との比較が必要であると考え,総論部分では健常有歯顎者の形態と機能に関する詳細な記載を行った.また,臨床術式に関しては図と写真を多用し,それらを記述と平行して掲載することによって理解を容易にした.さらに,各章末には一般目標,到達目標とkey wordsを設定し,全般的な教育内容と修得すべき指標を記載した.なお,用語に関しては,“歯科補綴学専門用語集”(日本補綴歯科学会編)に準拠した.
 本書が歯学部学生,臨床研修医および歯科医師に広く活用され,人々の健康の維持・増進に寄与することを切望する.
 最後に,本書の発刊に貴重なご示唆を賜りました東京医科歯科大学名誉教授 林 都志夫先生に心から深謝いたします.
 2004年 盛夏
 編者 細井紀雄
 平井敏博
I編 総論(基礎編)
第1章 無歯顎補綴治療の健康に果たす役割と全部床義歯
 (市川哲雄)
  1 高齢者の健康・QOL
  2 フレイルとオーラルフレイル
  3 顎口腔系の変化と無歯顎
  4 全部床義歯と無歯顎補綴治療
第2章 無歯顎補綴治療の歴史と変遷
 (大川周治)
  1 木床義歯
  2 蒸和ゴム床義歯
  3 レジン床義歯
  4 インプラントの応用
  5 CAD/CAM技術の応用
第3章 無歯顎の病因と病態
 (越野 寿)
 I 無歯顎の病因
 II 歯の寿命および喪失歯数と全部床義歯装着者数
 III 無歯顎の病態
  1 歯の喪失後の顎骨の変化
  2 歯の喪失後の顎堤粘膜の変化
第4章 加齢と歯の喪失に伴う咬合機能の変化
 I 顎口腔系の形態的変化,機能的変化
  1 顎関節(津賀一弘,吉川峰加)
  2 筋(上田貴之,櫻井 薫)
  3 神経系(津賀一弘,吉川峰加)
  4 下顎運動・下顎位(古谷野 潔,鮎川保則)
  5 唾液(津賀一弘,吉川峰加)
  6 味覚
 II 咀嚼・嚥下・構音機能の変化
  1 咀嚼障害(越野 寿)
  2 嚥下障害
  3 構音障害(市川哲雄)
 III 精神心理的な変化(水口俊介)
  1 社会性の喪失による変化
  2 高次脳機能の低下
  3 人格の変化
  4 疾患による精神心理的変化
  5 認知症
第5章 補綴装置としての全部床義歯
 (皆木省吾,原 哲也)
 I 全部床義歯の構成要素
  1 人工歯
  2 義歯床
 II 全部床義歯の各部の名称と役割
 III 全部床義歯の維持
  1 唾液による物理的維持力
  2 陰圧による物理的維持力
  3 筋圧による生理的維持力
  4 維持力に影響を及ぼす解剖学的因子
 IV 全部床義歯の支持
 V 全部床義歯の安定
  1 咬合平衡
  2 上下顎顎堤の前頭面での対向関係
  3 上下顎顎堤の矢状面での対向関係
第6章 全部床義歯装着者にみられる主要症候
 (皆木省吾,原 哲也)
  1 義歯床下粘膜および周囲組織の疼痛
  2 咀嚼障害
  3 審美障害
  4 発語障害(構音障害)
  5 顎機能異常
II編 各論(治療編)
第7章 診察,検査,診断
 I 医療面接とインフォームドコンセント(飯沼利光,津匡樹)
  1 医療面接の基本
  2 無歯顎患者の医療面接
  3 医療面接情報の記録
  4 インフォームドコンセント
 II 診察,検査
  1 一般的な診察(馬場一美)
  2 局所的な診察と検査(馬場一美,志賀 博〔5)〕)
 III 診断と治療計画の立案(小野高裕)
  1 無歯顎補綴治療における診断
  2 心理的な診断情報
  3 全身的な診断情報
  4 局所的な診断情報
  5 プロブレムリストの作成
  6 治療計画の立案
  7 治療効果
  8 治療計画の提示と患者指導
  9 診断と治療計画の意義
第8章 前処置
 (横山敦郎)
 I 補綴前処置
  1 治療用義歯による粘膜治療
  2 治療用義歯による咬合治療
  3 複製義歯による治療
  4 残根に対する処置
 II 外科的前処置
  1 口蓋隆起,下顎隆起に対する外科的処置
  2 骨鋭縁部に対する外科的処置
  3 顎堤のアンダーカットに対する外科的処置
  4 高度な顎堤吸収に対する外科的処置
  5 軟組織に対する外科的処置
 III その他の処置
第9章 印象採得
 I 印象採得の目的(大久保力廣,細井紀雄)
 II 印象採得用材料
  1 印象材の所要性質
  2 印象用材料
 III 印象法の種類(上田貴之,櫻井 薫)
  1 印象材の組合せ別
  2 目的別
  3 粘膜への圧力別
  4 粘膜の静的・動的状態別
  5 その他の印象
 IV 概形印象採得(大川周治)
  1 目的
  2 印象法
 V 研究用模型の製作(大久保力廣,細井紀雄)
  1 使用目的
  2 製作法
 VI 精密印象採得
  1 目的
  2 印象法
 VII 作業用模型の製作(鱒見進一)
  1 使用目的
  2 製作法
  3 模型の調整
第10章 顎間関係の記録
 I 咬合床の製作(黒岩昭弘)
  1 咬合床の構成
  2 咬合床の製作
 II 仮想咬合平面の決定
  1 咬合床の試適
  2 前歯部の修正とリップサポート
  3 仮想咬合平面の設定
  4 下顎咬合床の高さの調整
 III 垂直的顎間関係の記録(小出 馨)
  1 形態的根拠に基づく方法
  2 機能的根拠に基づく方法
 IV 水平的顎間関係の記録(鈴木哲也,古屋純一)
  1 一般的な水平的顎間関係の記録法
  2 特に器具を必要としない方法
  3 特殊な器具を使用する方法
 V 標示線の記入
 VI デンチャースペースの記録法(鱒見進一)
  1 デンチャースペースを構成する筋群
  2 デンチャースペースの記録法
第11章 下顎運動の記録と咬合器装着
 I 下顎運動の記録(志賀 博)
  1 下顎運動測定の目的
  2 下顎運動の記録法
 II 咬合器(服部佳功,田中恭恵)
  1 咬合器の構造と機能
  2 咬合器の種類
  3 模型の咬合器への装着
  4 バーチャル咬合器の利用
第12章 人工歯の排列
 I 前歯部人工歯の選択と排列(山森徹雄,松本知生)
  1 前歯部人工歯の選択
  2 前歯部人工歯の排列
 II 臼歯部人工歯の選択と排列(市川哲雄,永尾 寛)
  1 臼歯部人工歯の選択
  2 臼歯部人工歯の排列
第13章 歯肉形成とろう義歯試適
 (玉置勝司,一色ゆかり)
 I 歯肉形成
  1 審美的形態
  2 機能的形態
 II ろう義歯試適時の検査
  1 義歯床形態
  2 咬合関係
  3 人工歯の排列位置と舌房
  4 審美性
  5 発語機能
第14章 埋没,重合,研磨
 (橋 裕,都築 尊)
 I ろう義歯試適から装着までの流れ
  1 スプリットキャスト法
  2 Tenchのコア法
 II 埋没
  1 埋没の前準備
  2 埋没法
  3 埋没の手順
 III 流ろうとレジン填入
  1 流ろう
  2 レジン填入
 IV 重合
  1 レジン重合法
  2 各種重合法の特徴
 V 義歯の取り出し
 VI 研磨
  1 意義
  2 手順
第15章 重合義歯の咬合器再装着と咬合調整
 (西村正宏,村上 格)
 I 重合の完了した義歯の咬合器再装着
  1 スプリットキャスト法
  2 Tenchのコア法
  3 フェイスボウを用いる方法
 II 人工歯の削合
  1 選択削合
  2 自動削合
第16章 義歯の装着
 (大川周治)
 I 装着時の調整
  1 形態に関する調整
  2 機能に関する調整
  3 審美に関する調整
 II 装着時の患者指導
  1 義歯への慣れに関する指導
  2 摂食に関する指導
  3 義歯および口腔内の清掃に関する指導
  4 就寝時における義歯の取り扱いに関する指導
  5 リコールとメインテナンスに関する指導
 III 装着直後の調整
  1 調整時期
  2 咬合調整と義歯床の調整
 IV 治療効果の評価
第17章 義歯装着後の経過観察
 I 装着後の生体と義歯の変化(河相安彦)
  1 生体の変化
  2 義歯の変化
 II 定期検査と評価
  1 残存組織について
  2 咬合について
  3 義歯について
  4 患者指導
 III 修理
  1 破折の原因
  2 修理法
 IV リライン(村田比呂司)
  1 直接法によるリライン
  2 間接法によるリライン
 V リベース
 VI 咬合面再形成
第18章 金属床義歯による治療
 (岡崎定司,高橋一也,小正 裕)
  1 金属床義歯の利点と欠点
  2 金属床義歯の構造
  3 金属床義歯の製作手順
第19章 即時全部床義歯による治療
 (横矢隆二,藤原 周)
  1 即時全部床義歯の利点と欠点
  2 診療手順と製作法
  3 即時全部床義歯の装着に関する注意事項
  4 暫間義歯(即時義歯,移行義歯,治療用義歯,診断用義歯)
第20章 オーバーデンチャーによる治療
 (池邉一典,権田知也)
  1 オーバーデンチャーの利点と欠点
  2 オーバーデンチャーの適応症
  3 支台歯の処置方法の選択
  4 装着後の経過観察
第21章 各種機能障害に対する治療
 (飯沼利光)
  1 スピーチエイド
  2 鼻咽腔の障害への対応
  3 軟口蓋の障害への対応
  4 舌の障害への対応
第22章 顎義歯による治療
 (武部 純)
  1 顎義歯を適用した顎補綴治療の臨床的意義
  2 顎補綴患者の病態と補綴的対応
第23章 インプラント義歯による治療
  1 無歯顎におけるインプラント治療の利点と欠点(近藤尚知)
  2 インプラント材料に対する生体反応
  3 インプラント治療の基本術式
  4 固定性上部構造
  5 可撤性上部構造(インプラントオーバーデンチャー)(池邉一典,和田誠大)
  6 インプラント治療の有効性とその将来(近藤尚知)
第24章 全部床義歯製作のデジタル化
 (水口俊介,金澤 学,岩城麻衣子)
 I 全部床義歯製作工程のデジタル化
  1 デンチャースペースの採得とデータ化
  2 義歯のデザインと人工歯排列
  3 義歯の試適
  4 切削加工または積層造形による最終義歯製作
 II 無歯顎補綴治療におけるデジタル化の意義
第25章 無歯顎患者に対する歯科訪問診療
 (水口俊介)
 I 歯科訪問診療の目的と意義
  1 歯科訪問診療の目的
  2 要介護高齢者の口腔状況と歯科訪問診療の意義
 II 診察・検査・診断
  1 歯科訪問診療と安全管理
  2 患者とのコミュニケーションと診療時の体位
  3 診察・検査・診断の要点
 III 器具,器材
  1 診療器具・器材と環境の整備
  2 感染予防
 IV 治療方針・治療計画と処置
  1 治療方針・治療計画の立案
  2 歯科訪問診療の実際
 V 患者指導
  1 義歯および口腔内の清掃に関する指導
  2 義歯への慣れ,摂食に関する指導
  3 メインテナンスに関する指導
第26章 補綴歯科治療における作業環境の整備
 (市川哲雄)
  1 感染対策
  2 粉塵対策

 COLUMN 1 「無歯顎補綴治療学」と「全部床義歯学」「全部床義歯補綴学」(編集委員)
 COLUMN 2 顆路傾斜角と顆路角(編集委員)
 COLUMN 3 中心咬合位(大川周治)
 COLUMN 4 発音・発語・構音(市川哲雄)
 COLUMN 5 筋圧形成(筋形成,辺縁形成)(編集委員)
 COLUMN 6 開口印象と閉口印象(上田貴之,櫻井 薫)
 COLUMN 7 チェックバイト(編集委員)
 COLUMN 8 平衡咬合の理解を深めるために(水口俊介)
 COLUMN 9 咬合平衡と平衡咬合(編集委員)
 COLUMN 10 義歯安定剤と口腔保湿(湿潤)剤(河相安彦)

 文献
 索引