やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに
 2016年に「歯学教育モデル・コア・カリキュラム」が改訂され,次いで,2018年には「歯科医師国家試験出題基準」が改訂されました.口腔微生物学・免疫学の範囲では,(1)高齢者や有病者への対応を鑑みて「誤嚥性肺炎」が,(2)アレルギー疾患対策基本法の施行に関連して「アレルギーの種類と疾患」が,(3)薬剤耐性(AMR)対策アクションプランに連動して「耐性菌と院内感染,消毒と滅菌」が,それぞれ増加あるいは新規追加されています.また,近年の感染動向を歯科医療従事者として理解する必要性から,流行性感染症(麻疹・風疹,結核,梅毒,インフルエンザ,エボラ出血熱など)の疫学も追記あるいは出題されています.口腔微生物学・免疫学は専門単語の丸暗記が多く,煩雑なイメージを抱きやすい科目ですが,学ぶ事柄はすべて現実の社会や歯科診療の問題につながっているわけです.
 本書は,「歯科医師国家試験出題基準」に準拠しつつも,歯科診療との相関性を補足することで学修意欲を高めてもらいたいと願い執筆しています.読者の皆さんには,科学的な基礎歯科学をベースに修めることで,信頼度の高い歯科臨床をその上に築けると気づいてほしいからです.その一方,必要十分の記載とすることで,歯科医師国家試験に向けて多くの科目を並行して勉強する皆さんの負担感を軽減するようにも努めています.本書を学び終え,“歯科国試パーフェクトマスターシリーズ”の臨床歯学科目へと読み進んでいき,再び,口腔微生物学・免疫学を深化させたいと考えた際には,『口腔微生物学・免疫学 第4版』などの教科書を再読することをお勧めします.教科書と補完しあうことで,より深い,真の理解へとつながるはずです.
 最後となりましたが,本書の執筆に際し,貴重な顕微鏡写真などをご提供いただきました,大原直也博士,小川みどり博士,小松澤 均博士,内藤真理子博士,中山浩次博士,藤原 卓博士,安島久雄博士に厚く御礼申し上げます.
 2018年9月 寺尾 豊
Chapter 1 細菌の特徴と基本構造
Chapter 2 グラム陽性球菌
Chapter 3 グラム陽性桿菌
Chapter 4 グラム陰性桿菌
Chapter 5 らせん菌(スピロヘータ属)
Chapter 6 その他の病原細菌
Chapter 7 ウイルスの特徴と構造
Chapter 8 DNAウイルス
Chapter 9 RNAウイルス
Chapter 10 レトロウイルス
Chapter 11 肝炎ウイルス
Chapter 12 真菌と原虫
Chapter 13 自然免疫
Chapter 14 獲得免疫
Chapter 15 アレルギー(過敏症)
Chapter 16 口腔内の細菌の分布
Chapter 17 齲蝕原性細菌
Chapter 18 歯周病原性細菌
Chapter 19 化学療法と消毒・滅菌
 付録(1) 覚えておきたい微生物学関連英文略語
 付録(2) 歯科医師国家試験出題基準対応表
 参考文献
 索引