やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに
 口腔保健が全身の健康状態に密接に関係し,人生のウェルビーイングならびにクオリティーオブライフに影響を与えることがわかってきています.歯科医師は口腔ヘルスケアのスペシャリストであり,その職業的目標は歯科疾患の診断と治療のみならず,予防や口腔と全身の健康の維持も含まれます.そして,その実現のために臨床ではしっかりした知識と熟達した技術を有し,それらを活用して対象者のニーズを満たすことが望まれます.
 近年のわが国は急速な高齢化と少子化が進行し,年少人口は年々減少しています.そのような中,子どもたちの健康に対する支援はますます重要性を増してきており,昨今の歯科医師国家試験においても小児歯科学は広範囲から多くの出題がなされています.
 本書は学生が受け取る膨大な知識や情報をコンパクトに理解しやすくというコンセプトを基に上梓され,初版の発行以来早くも7年が経過致しました.その間に国家試験の出題傾向や出題内容も変化してきています.
 改訂第3版では,従来の基本方針である歯科医師国家試験出題基準および歯科医学教育モデル・コア・カリキュラムに準拠し,学生として必要不可欠な事柄を網羅することを堅持しながら,できる限り新しい知見を取り入れて,歯科医療を実践する際の基本的な考え方,知識と治療法などを盛り込みました.
 また,小児や障害者の医学,歯学,福祉学などの最新情報と社会変化も見すえて刷新し,図表を大幅に増やしてすべての章においてアップデートをはかっています.
 今後の活躍にそなえる歯学生の教本として歯科医師国家試験対策はもちろんのこと臨床実習や卒後研修においても,またこれから子どもたちの歯科支援にかかわる方々の参考書として広く本書が活用されることを願っています.
 2016年12月 河上智美
Chapter 1 小児の全身発達
Chapter 2 歯の発育と異常
Chapter 3 歯列と咬合の成長発育
Chapter 4 乳歯および幼若永久歯の特徴
Chapter 5 小児齲蝕の特徴
Chapter 6 齲蝕の予防と進行抑制
Chapter 7 歯周病
Chapter 8 歯冠修復
Chapter 9 歯内療法
Chapter 10 歯の外傷
Chapter 11 外科的処置
Chapter 12 口腔軟組織疾患
Chapter 13 咬合誘導
Chapter 14 歯科治療時に留意すべき小児疾患
Chapter 15 小児患者への歯科的対応
Chapter 16 障害児の歯科診療
 付録1 保隙装置の製作法
 付録2 虐待関連法のまとめ
 付録3 パノラマエックス線写真の読み方
 付録4 知っておきたい小児歯科関連英単語25
 文献
 索引