やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

発刊にあたって
 歯学部学生用歯科理工学実習書として,本実習書の前身の『歯科理工学実習指針』が最初に刊行されたのが1974年であり,初版から数えて今年でちょうど40年の節目に相当する.この間,第2版が1986年,第3版が1998年とほぼ12年ごとに改訂が行われてきたが,前回の改訂からは既に16年経過している.
 そこで,歯科材料・器械の進歩や測定機器のデジタル化などに伴う実習内容の見直しを行い,同時にデジタル処理による新しい編集を行って大幅な改訂を加え,『新版 歯科理工学実習指針』として出版する運びとなった.今回は,ほぼ半数近い4名の新しい著者を加え,執筆者間の綿密な意思疎通を図った上で改訂作業を行った.
 おもな改訂箇所としては,1章では石膏のぬれ圧縮強さとぬれ間接引張強さ,4章ではワックスの熱膨張および変形,8章ではインレーとクラウンの接着強さに関する実習テーマを削除し,3章の常温重合レジン,8章の合着用セメントの接着強さの実習について新規テーマの追加や大幅な改訂を行い,全ての章において実習材料と実習方法の見直しを行い,写真や図表を新しくして時流に即した内容となるように努めた.例えば,7章成形充填材の実習からアマガムを用いる実習を削除したが,これは,2013年10月に日本が調印した水俣条約(いわゆる水銀条約)による規制を先取りしたものである.8章では,最新のボンディングシステムや接着性レジンセメントの接着に関する新しい実習テーマなどを取り入れている.
 これからも,さらなる内容の充実を図る所存だが,不備な点や忌憚のないご意見・ご教示をいただけると幸いである.
 終わりに,本書の出版にあたり,ご多用の中ご執筆頂いた教員の方々および撮影等にご協力頂いた歯科理工学講座の大学院生諸君,ならびに大変ご尽力を頂いた医歯薬出版関係各位に心から感謝いたします.
 2014年2月
 宮坂 平
 宮川行男
1 石膏
 (青木春美・赫多 清)
 基礎知識
 実習1 石膏の硬化膨張と硬化時間
 DATA SHEET
2 印象材
 (赫多 清・青木春美)
 基礎知識
 実習2-1 印象材の弾性ひずみと永久ひずみ
 実習2-2 印象材による模型の寸法精度
 実習2-3 連合印象による模型の寸法精度
 DATA SHEET
3 歯科用レジン
 (大熊一夫・宮坂 平)
 基礎知識
 実習3-1 加熱重合レジンの粉・液反応時間
 実習3-2 加熱重合レジン重合時の温度上昇と気泡の発生状態の観察
 実習3-3 常温重合レジンの硬化時間,温度上昇と重合収縮
 DATA SHEET
4 ワックス
 (相馬弘子・後藤真一)
 基礎知識
 実習4 フルクラウンタイプ・ワックスパターンの変形
 DATA SHEET
5 埋没材
 (青柳有祐・大熊一夫)
 基礎知識
 実習5-1 埋没材の硬化膨張
 実習5-2 埋没材の加熱膨張
 DATA SHEET
6 歯科精密鋳造
 (後藤真一・相馬弘子)
 基礎知識
 実習6 クラウンの寸法精度
 DATA SHEET
7 成形充填材
 (宮坂 平・宮川行男)
 基礎知識
 実習7-1 成形充填材の圧縮強さと間接引張強さ
 実習7-2 成形充填材の辺縁封鎖性
 DATA SHEET
8 合着材・接着材
 (宮川行男・青柳有祐)
 基礎知識
 実習8-1 合着用セメント
 実習8-2 歯質および修復材との接着
 DATA SHEET
付 測定値の基本的な統計処理法
 (宮川行男・宮坂 平)
 1.統計処理の必要性
 2.平均値と標準偏差の計算法
 3.平均値と標準偏差の桁数,および数値の丸め方
 4.2組の平均値の差の検定
 付表

 索引
 DATA SHEET(提出時)……1〜48