やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

第4版の序
 本書は1982年初版の歴史ある書である.1995年,2000年と版を重ね,このたびの改訂で第4版となるが,その間,時代の第一人者の先生方が執筆されてきた.改訂のたびに時代の進歩を反映した新しい内容を加えるとともに,その質の充実を図ってきた.このたびの改訂の主眼も学生諸君にとって読みやすく,検索しやすいことと同時に,何よりも最新の情報を正確に記載することにあった.現在のカリキュラムでは,専門学問分野である「歯科放射線学」や「口腔放射線医学」として系統的な授業が行われているが,一方では,たとえば疾患別に各専門領域が参加する統合科目のなかで,画像診断や放射線治療が授業されることもある.また,学生の学習意欲を向上させるために,将来,歯科医師として出会うであろう事例をもとにした授業が行われるが,そのような授業では,放射線医療が断片的に提示されることとなる.したがって,歯科放射線医療・医学を系統的に学ぶ場合であっても,関連事項としてその一部を調べる場合であっても,その学習が効果的に行えるような工夫がこの種の教科書には求められる.また,学生の最大の関心ごとである共用試験のCBTやOSCE,歯科医師国家試験などの受験準備の学習にも役立つことも必要である.本書は以上のことも考慮して編集された.
 したがって,本書は歯科医師になるために必要な放射線医療・医学を学ぶための入門書であるが,初期臨床研修に必要な事項も含まれている.しかし,学生・臨床研修医としてさらに深くこの領域を学習する場合や歯科放射線診療の専門医を目指す場合には,専門分野の先生方の指導を仰いで,適切な書物を参照してほしい.本書の読者が生涯を通じて学習し続けることのできる思慮深い歯科医師になることを願う次第である.
 2006(平成18)年5月
 編集者一同

第3版の序
 歯科医学教育は,現在,「曲がり角」にきているといわれている.これはわが国だけではなく先進諸国に共通している.その背景には,(1)歯科の疾病構造が変化したこと,(2)口腔衛生に対する人々の意識が変化したこと,(3)歯科医学研究が進歩したこと,(4)歯科医師の数が過剰なこと,などがある.こうした状況の変化に対して教育そのものが,従来どおりの型でいいはずがない.そこで新しい歯科医学教育についての提言が様々な書籍や論文で数多くなされ,歯科医学を含む医学教育そのものについて,より状況に即した効率的な手法が提起されている.
 しかし,一方では大学には教育理念があり,それは大学の間でも異なっているため,新しい教育の目標やそこに到達する過程もまた異なったものとなるであろう.
 こういう状況での教科書とはどういうものになるのであろうか.教科書はいつの時代であっても,その時代における標準を示すものでなくてはならない.そこでは現時点で確立された概念を明確に示すことが重要である.同時に,近い将来において重要となるであろう事項についても言及すべきであろう.したがって「曲がり角」にきた歯科医学教育ではあるが,教科書としての役割には大きな変化はないということになるであろう.
 さて,歯学部の学生が理解しておくべき内容と範囲については,歯科医学教授要綱(歯科大学学長・歯学部長会議編集)が参考となる.しかし,要綱は基本概念とともに教授項目が示されているに過ぎない.したがって教える先生方は要綱を意識しながら,その先生の教育・臨床・研究の経験を背景にして,必要と判断した内容を教授することになる.そこには先生方の個性が反映されることになる.
 教科書を編集するときには,それぞれの領域で活躍されている数多くの先生方に執筆していただく.考え方がそれぞれの先生で異なるので,その編集では,どこかで調整をしなければならない.この教科書では初めての試みとして,各章の執筆をお二人の先生の共著となるように依頼した.また私ども編集者は著者の方に多くのご無理をお願いし,記述ができるだけ平易になるように書き足していただいたり,せっかく書いたものを削除させていただいたりした.このようにして,できる限りバランスのとれた教科書となるように努力したつもりである.その結果,(1)こうした変革の時代にふさわしく,(2)従来からの重要で基本的なことを重視しながら,(3)新しい項目を積極的に取り入れた「歯科放射線学」の教科書となった.
 学生諸君,臨床研修医諸君,一般臨床医の方々は,本書を座右におくことにより,歯科放射線学をより深く,確実に理解できるものと確信している.
 なお,本書の執筆にあたり,先人が残された数多くの資料や図表を積極的に利用させていただいた.本書への転載を了解していただいた内外の著者や出版社の方々に心より感謝の意を表したい.読者の皆さんには,それらの図表が誰のものかがその場でわかるようにするため,出典を明らかにしておいた.
 本書が多くの方々に利用されることを願って,序とさせていただく.
 2000(平成12)年7月1日
 レントゲンによるX線の発見から105年経った年に
 編集者一同

第2版の序
 進歩してやまない歯科医学のなかにあって,歯科放射線学のアンダーグラジュエートの成書として1982年に出版された本書も,十数年を経て改訂の必要が生じた.
 その準備が,従来の執筆者と新しくお願いした専門の方々とともに数年前から進んでいたが,最新の装置の進歩,放射線防護関連法規の改正など,時代の変遷に対応しているうちに月日が過ぎてしまった.また,その間に教育,研修面でも,厚生省関係の「歯科医師国家試験出題基準」が平成5年6月に改訂され,さらに平成6年4月には文部省関係の歯科大学学長会議「歯科医学教授要綱」が改訂されるなどの大きな改革があった.
 したがって,本書ではこれらの新しい基準に沿って内容を充実させ,編集を進めた.
 改訂では,とくにつぎの点に重点をおいた.
 (1)放射線物理的項目はできるだけ臨床に必要な知識とした.
 (2)新しい画像診断装置の項を増やした.
 (3)歯の画像診断の範囲を広げ,また顎骨病変では鑑別診断にも注意した.
 (4)放射線障害防止法は,平成元年4月から施行された医療法のほか,ICRP(国際放射線防護委員会)1990年勧告も一部取り入れた.
 (5)臨床実地的な画像診断と,最新の理学療法も参考として付した.
 いずれにしても,歯科放射線学は各科の診療に必要な検査資料を提供するための学問としてみられることが多い.しかし,医科の放射線学と同様,CT,MRI,超音波などの新しい装置,RIや造影手技のほか,これらを利用して得られた画像に対する診査,さらに放射線治療,レーザー治療など,歯科放射線学の担当する範囲は広くて奥深い.
 このため,歯科放射線学会でも専門医の必要性が注目されている.この意味も含めて本書が学生諸君の教科書にとどまらず,ポストグラジュエート研修のための参考書としてもみていただければ幸いである.
 平成7年4月
 古本啓一
 菊地 厚


 最近,歯科放射線学に関する成書が比較的多く出版されるようになった.これは放射線が臨床各科の診療体系の中で広く利用され,これに伴って診断的な面はもちろん,基礎的な面も網羅した歯科放射線の解説書が必要とされるようになったためといえる.
 また,X線を含めて画像診断の進歩は電離放射線,RI(放射性同位元素)のみならず,ME(医用電子)の領域まで拡大されており,放射線機器その他の最新の診療機器に対する広い知識が今日的に必要となり,さらに,放射線障害防止の問題が社会的にも注目され,当然のことながら放射線の管理措置なしでは,放射線の利用ができなくなった現状も注意しなければならないことである.
 一方,これらの諸点は大学の歯科放射線学のカリキュラムの面を通して歯科医師国家試験にも反映されているため,本書はとくにアンダーグラジュエートの知識を習得する意味で,教科書的な構想のもとで企画された.
 もっとも,大学では教科書がすべてではなく,むしろ各教授のオートノミイが尊重されることが大切であり,このため,各執筆者には比較的専門とされる分野を担当していただくこととなったが,執筆の進んだ段階で各章が個性に富んだものとなった.このことは,本書の一つの特徴ともいえる.いずれにしても,現時点における大学の教授要綱にのっとったすべてが展開されているはずである.
 その他の特徴として……,
 1)基礎的な章は,歯科放射線学の根幹となるものであり,このためポストグラジュエート的な事項を含めて,詳記した.
 2)良いX線撮影フィルムを得るため,X線撮影法,現像操作の理論的な面のみならず具体的な面も含めた.
 3)放射線治療,核医学などの放射線医学のうち関係事項を包含した.
 4)歯学は全身の一環であるため,隣接医学の一端にもふれた.
 なお,用語については“スタフネ口腔X線診断学“,“口腔X線診断図譜”の中で用いられている専門語を参照した.
 本書は編集責任者のほか,東与光,黒柳錦也,前多一雄,尾澤光久,山本昭(ABC順)の各教授の分担によるものであるが,その他多くの人たちの協力でまとめられたものであり,諸先生方の御尽力に心から厚く感謝申し上げます.また,企画,製作にあたって終始お世話をいただいた医歯薬出版株式会社に深く感謝します.
 なお,記述にあたっては多くの諸先輩の著者に負うところが大きく,巻末にそれらの一部を記載し,あらためて感謝の意を表した.
 学問は日進月歩であり,一日として止まるところを知らないとさえいえる.本書も今後改訂を重ね歯科放射線学の進歩と歩を合わせながら発展して行きたいと思っている.アンダーグラジュエートの座右書として,学生諸君あるいは一般歯科医の方々のために本書が役立てば誠に幸いである.
 昭和56年11月8日
 古本啓一
 菊地 厚
1章 放射線と歯科医療
 1.はじめに(古本啓一・岡野友宏)
 2.放射線医学の歴史(古本啓一・岡野友宏)
  1.X線の発見とX線管
  2.放射能の発見
  3.放射線診療の展開
 3.歯科におけるX線の利用(古本啓一・岡野友宏)
  1.歴史的発展
  2.わが国における歯科放射線の歴史
2章 放射線とX線の性質
 1.放射線とその性質(佐藤健児)
  1.原子とその構造
  2.電離と励起
  3.電離放射線
  4.放射線の種類と分類
 2.放射線の量と単位(佐藤健児)
  1.量と単位
   1.カーマ 2.照射線量 3.吸収線量
  2.線量測定
   1.気体の電離を利用した測定器 2.固体の電離を利用した測定器 3.光を利用した測定器 4.写真乳剤を利用する測定器
 3.X線の発生(鈴木陽典)
  1.X線発生の原理
   1.制動放射 2.特性X線
  2.X線管
   1.X線管の構造 2.X線管によるX線の発生過程 3.X線の発生効率 4.焦点 5.陽極の形状 6.X線のエネルギーと波長の関係 7.デュアン・ハントの法則
  3.X線装置
   1.X線装置 2.整流回路 3.ろ過 4.絞り(コリメータ) 5.X線の線質
 4.X線写真像の形成
  1.X線と生体との相互作用と被写体コントラスト(岡野友宏)
   1.X線と物質との相互作用 2.被写体コントラストの形成 3.散乱線とその除去
  2.写真コントラストの形成(岡野友宏)
   1.蛍光増感紙 2.X線フィルム
  3.X線写真処理・画像の観察(奥村泰彦)
   1.感光の理論 2.写真処理 3.黒化度(写真濃度) 4.特性曲線
  4.写真処理の実際とX線写真の観察(奥村泰彦)
   1.暗室の設計 2.恒温槽による処理の手順 3.自動現像処理 4.恒温槽によるX線写真の不良とその原因 5.X線写真の観察
3章 X線撮影法と画像検査
 1.X線投影の原則(土持 眞)
  1.焦点・被写体・フィルムの幾何学的関係
   1.拡大 2.ひずみ 3.半影 4.接線効果 5.重積効果
  2.X線投影における体位・投影方向と投影法
   1.撮影体位・X線投影方向・基準線(面) 2.投影法
 2.口内法X線撮影
  1.口内法X線撮影装置(奥村泰彦)
   1.ヘッド 2.コントロールボックス
  2.歯科用X線フィルム(奥村泰彦)
   1.フィルムの規格 2.フィルムの包装
  3.口内法X線撮影の原則と実際(奥村泰彦)
   1.頭部の固定 2.フィルムの位置づけ 3.投影角度の決定 4.中心線の射入点 5.口内法X線撮影の手順 6.口内法X線撮影における投影法の工夫
  4.平行法X線撮影(奥村泰彦)
   1.撮影法
  5.口内法X線画像の正常解剖(小林 馨)
   1.歯と歯周組織 2.口内法X線画像に描出される周囲の構造物
  6.咬翼法X線撮影(荒木和之)
  7.咬合法X線撮影(荒木和之)
   1.撮影法 2.X線画像
 3.パノラマX線撮影(小林 馨・山本 昭)
  1.撮影の原理とX線装置
   1.回転パノラマX線撮影装置 2.口腔内線源方式パノラマX線撮影装置
  2.回転パノラマ撮影の実際
   1.撮影準備 2.被検者の位置づけ
  3.パノラマX線画像の正常像
  4.パノラマX線画像と障害陰影
 4.顔面頭蓋部撮影
  1.X線装置・フィルム・増感紙(小林 馨)
  2.後頭前頭方向撮影法
  3.Waters撮影法
  4.頭部側方向撮影法(小林 馨)
  5.頭部軸方向撮影法
  6.その他の撮影法
   1.下顎骨斜位撮影法 2.顎関節撮影法
  7.頭部X線規格撮影法(荒木和之)
 5.デジタルX線撮影(西川慶一)
  1.デジタル画像
   1.アナログ量とデジタル量 2.画像のデジタル化
  2.歯科用デジタルX線画像診断システム
   1.基本構成 2.歯科用デジタルX線画像診断システムの特徴
 6.造影検査(湯浅賢治)
  1.造影剤の種類および副作用
  2.口腔顎顔面領域における造影検査
   1.唾液腺造影法 2.顎関節腔造影法 3.嚥下造影法 4.血管造影法 5.造影CT 6.造影MRI 7.その他の造影法
 7.X線断層撮影法(荒木和之)
  1.断層撮影法の原理
  2.X線断層撮影法の臨床応用
 8.コンピュータ断層法(CT)(湯浅賢治)
  1.CTの原理,装置
  2.CT値
  3.ピクセル,ボクセル
  4.部分容積効果
  5.CT像の表示
  6.アーチファクト,障害陰影
  7.CTの適応
  8.歯科用コーンビームCT
 9.磁気共鳴撮像法(MRI)(佐野 司・荒木和之)
  1.MRIの原理
   1.1Hのスピン 2.巨視的磁化 3.磁場中のスピン,ラーモア歳差運動 4.NMR現象 5.緩和現象 6.パルス系列 7.勾配磁場 8.MRIにおける造影(造影MRI)
  2.MRIにおけるコントラスト
  3.MRIによる検査
  4.MRIの適応
  5.最新のMRI
   1.灌流MRI,拡散強調MRI 2.機能的MRI
 10.超音波断層法(荒木和之
  1.原理
   1.周波数 2.音速と音響インピーダンス 3.超音波の発生と探触子および装置 4.分解能
  2.ドプラ法の原理
  3.超音波像の基本的読影
  4.超音波検査の適応
 11.核医学検査
  1.放射性同位元素の性質(佐藤健児)
   1.原子核の崩壊 2.放射能 3.放射平衡
  2.放射性医薬品(放射性薬剤) 土持 眞・金子昌幸
   1.in vivo検査用放射性医薬品 2.in vitro検査用放射性医薬品 3.治療用放射性医薬品
  3.シンチグラフィ
   1.撮像装置(土持 眞) 2.口腔顎顔面領域での利用(土持 眞) 3.PET(小豆嶋正典)
  4.ラジオイムノアッセイ(金子昌幸・細川洋一郎)
 12.X線撮影時の感染対策(勝又明敏)
  1.口内法X線撮影における感染予防
   1.撮影室と撮影装置についての感染予防 2.撮影の準備と撮影 3.口内法X線フィルムの感染予防
  2.歯科用デジタルX線装置の感染予防
  3.口外法X線撮影および特殊画像検査時の感染予防
4章 画像診断
 1.診断入門
  1.診療における意思決定過程(岡野友宏)
  2.診断学における正確度(岡野友宏)
   1.正診と誤診 2.診断の適中度 3.観察者動作曲線を利用した正診度の評価
  3.口腔疾患におけるX線検査法の選択とその基準(岡野友宏)
   1.齲蝕 2.歯周疾患 3.歯内治療 4.矯正治療 5.炎症性ないし顎骨の腫瘤性病変 6.上顎洞の病変 7.顎関節の疾患 8.唾液腺の病変
  4.X線画像の読影(小林 馨)
   1.読影の原則 2.口内法X線画像の観察の要領 3.パノラマX線画像の観察の要領
  5.X線画像所見の表現(小林 馨)
   1.部位 2.大きさ 3.形 4.辺縁 5.内部 6.周囲構造への影響
 2.齲蝕(岡野友宏)
  1.齲蝕の検査
  2.齲蝕のX線検査
   1.X線撮影法 2.X線画像の画質 3.X線画像所見と実際の齲蝕との対応
  3.画像所見から決める治療方針の意味
 3.歯周疾患(岡野友宏)
  1.X線検査の役割
   1.歯槽骨の吸収程度・吸収の型 2.歯槽硬線(白線)の消失・歯根膜腔の拡大 3.X線検査の限界
  2.X線検査の適応
  3.撮影法
  4.歯周疾患のX線画像
 4.根尖部病変と歯内療法(笹野高嗣)
  1.根尖部病変のX線検査
   1.X線検査の重要性 2.X線撮影法
  2.根尖部病変の画像診断
   1.根尖部病変の典型像 2.X線画像の解釈
  3.歯内療法におけるX線画像の活用
   1.治療方針の決定と歯内療法の適応 2.根管長の測定 3.経過観察
 5.歯の異常(小豆嶋正典)
  1.数の異常
   1.歯の欠如 2.歯の過剰
  2.形および大きさの異常
   1.癒合歯と癒着歯 2.歯内歯 3.矮小歯と巨大歯 4.タウロドント 5.歯冠の異常 6.歯根の異常
  3.形成異常
   1.エナメル質の形成異常 2.象牙質の形成異常
  4.萌出の異常
  5.歯の退行的変化
   1.咬耗症 2.摩耗症 3.侵蝕症(酸蝕症)
 6.顎骨の炎症(鹿島 勇)
  1.顎骨骨髄炎
   1.急性下顎骨骨髄炎 2.慢性化膿性下顎骨骨髄炎 3.びまん性硬化性下顎骨骨髄炎 4.下顎骨のGarre骨髄炎
  2.放射線骨障害
   1.放射線骨髄炎 2.放射線骨壊死
 7.顎骨の嚢胞・良性腫瘍(小林 馨)
  1.X線検査法
  2.一般的なX線画像所見
  3.顎骨に生じる嚢胞および嚢胞様病変
   1.歯原性角化嚢胞(原始性嚢胞) 2.含歯性(濾胞性)嚢胞 3.萌出嚢胞 4.側方性歯周嚢胞 5.鼻口蓋管(切歯管)嚢胞 6.鼻唇嚢胞 7.歯根嚢胞 8.歯周(炎症性傍側性,下顎感染性頬部)嚢胞 9.単純性骨嚢胞(孤立性・外傷性・出血性骨嚢胞) 10.脈瘤性骨嚢胞 11.静止性骨空洞
  4.顎骨に生じる良性腫瘍およびその類似疾患
   1.エナメル上皮腫 2.腺様歯原性腫瘍 3.石灰化歯原性嚢胞 4.歯原性石灰化上皮腫(Pindborg腫瘍) 5.粘液腫(歯原性粘液腫,粘液線維腫) 6.歯牙腫 7.歯原性線維腫 8.エナメル上皮線維腫 9.エナメル上皮線維象牙質腫(象牙質腫),エナメル上皮線維歯牙腫,歯牙エナメル上皮腫 10.セメント質骨形成線維腫 11.良性セメント芽細胞腫 12.根尖性セメント質異形成症(根尖性線維性異形成症) 13.開花型セメント質骨異形成症 14.線維性骨異形成症 15.ケルビズム
  5.顎骨に生じるその他の腫瘍性病変
   1.骨腫 2.良性骨芽細胞腫 3.類骨骨腫 4.軟骨腫 5.血管腫 6.神経鞘腫 7.良性血管内皮腫 8.中心性巨細胞肉芽腫
 8.舌下・顎下・頸部の疾患(倉林 亨)
  1.舌下・顎下・頸部の解剖
  2.画像診断法
  3.炎症
  4.嚢胞
   1.ガマ腫 2.類皮嚢胞,類表皮嚢胞 3.鰓嚢胞 4.甲状舌管嚢胞
  5.良性腫瘍
  6.悪性腫瘍
 9.唾液腺の病変(湯浅賢治)
  1.大唾液腺の画像解剖
   1.CT 2.MRI 3.超音波像 4.唾液腺造影像
  2.画像検査の役割と適応
  3.唾液腺病変の画像所見
   1.唾石症と炎症性疾患 2.唾液腺腫瘍
 10.口腔の悪性腫瘍(有地榮一郎)
  1.口腔領域の悪性腫瘍
   1.部位と頻度 2.病理 3.病期の分類
  2.上皮性悪性腫瘍
   1.扁平上皮癌 2.腺系の癌 3.遠隔転移の診断
  3.非上皮性悪性腫瘍
   1.悪性リンパ腫 2.多発性骨髄腫 3.骨肉腫 4.悪性黒色腫
  4.転移性悪性腫瘍の診断
  5.治療効果および再発の診断
 11.リンパ節の疾患(林 孝文)
  1.リンパ節の構造
  2.頸部リンパ節の解剖(分類)
  3.頸部リンパ節の疾患
  4.頸部リンパ節の画像診断
 12.顎骨に影響する系統疾患(代居 敬)
  1.内分泌疾患
   1.副甲状腺疾患 2.下垂体疾患 3.甲状腺疾患 4.副腎疾患 5.膵臓疾患(糖尿病) 6.生殖腺疾患
  2.食事性および代謝性疾患
   1.骨軟化症とくる病 2.骨粗鬆症
  3.先天性遺伝性疾患
   1.鎖骨頭蓋異骨症 2.骨形成不全症 3.大理石骨病 4.頭蓋顔面異骨症 5.外胚葉異形成症 6.軟骨形成不全(軟骨異栄養症) 7.ガーゴイリズム,Hurler症候群 8.Down症候群 9.ピクノディスオストーシス 10.Papillon─Lefevre症候群 11.プロゲリア(早老症) 12.口─顔面─指症候群
  4.血液疾患と感染性疾患
   1.白血病 2.血友病 3.鎌状赤血球貧血 4.梅毒 5.結核
  5.その他の系統疾患
   1.ケルビズム 2.家族性大腸ポリープ症 3.乳幼児骨皮質過骨形成症 4.多発性母斑基底細胞癌─顎嚢胞症候群(基底細胞母斑症候群) 5.強皮症(進行性全身性硬化症)
 13.顎関節の病変(小林 馨)
  1.顎関節の解剖
  2.顎関節の疾患
   1.外傷性疾患 2.炎症性疾患 3.腫瘍性病変 4.発育異常 5.顎関節強直症 6.顎関節症
 14.上顎洞の病変(鹿島 勇・大庭 健)
  1.上顎洞の解剖
  2.上顎洞のX線検査法とその画像
  3.上顎洞の病変
   1.上顎洞内異物
  4.上顎洞粘膜の肥厚
  5.上顎洞炎
  6.上顎洞粘液貯留{胞
  7.術後性上顎{胞
  8.上顎洞に進展した良性腫瘍
  9.上顎における悪性腫瘍
 15.外 傷(金子昌幸・細川洋一郎)
  1.歯と歯槽骨の外傷
  2.顎骨の外傷
 16.歯と顎の成長とその障害(小豆嶋正典)
  1.歯の発育年齢
  2.骨の発育年齢
  3.頭部X線規格撮影法による計測
  4.顎骨の成長障害
 17.インプラントの検査
  1.口腔インプラント(代居 敬)
  2.インプラントにおけるX線検査法(内藤宗孝・代居 敬)
   1.初診時のX線撮影 2.インプラント術前画像検査 3.インプラント植立後の検査 4.経過観察
 18.顎骨の骨塩量測定(森田康彦)
  1.骨塩定量と顎骨の骨塩量測定(骨塩定量)
   1.骨塩定量 2.測定装置と測定値,原理 3.骨塩定量における測定値の取り扱い
  2.顎骨の骨塩定量
   1.いわゆる全身疾患を対象としたもの 2.歯科疾患を対象としたもの
  3.骨形態計測法
5章 放射線の生物学的影響と放射線防護
 1.放射線の生物学的影響(佐々木武仁)
  1.放射線影響発現過程
   1.物理学的過程 2.化学的過程 3.生化学的・生物学的過程
  2.放射線の細胞に対する影響
   1.細胞死の発現と細胞生存率曲線 2.細胞損傷からの回復 3.細胞致死効果の修飾因子 4.細胞死および突然変異の機構
  3.組織および臓器に対する放射線影響
   1.組織幹細胞の放射線感受性 2.早期組織反応 3.晩期組織反応  4.急性放射線症候群
 2.人体に対する放射線影響(佐々木武仁)
  1.放射線影響の分類
  2.確定的影響と確率的影響
   1.確定的影響 2.確率的影響
 3.歯科医療における放射線防護
  1.電離放射線による人の被曝(岡野友宏)
   1.放射線防護で用いる線量単位:実効線量 2.放射線の線源別にみた被曝線量 3.放射線影響のリスク
  2.医療・歯科医療における放射線検査とその被曝の実態(岡野友宏)
   1.世界の画像検査数 2.医療・歯科医療による実効線量 3.医療・歯科医療による組織・臓器線量
  3.放射線防護の考え方(岡野友宏)
   1.ICRPとUNSCEAR 2.放射線防護の目標 3.放射線防護の基本概念
  4.線量の低減と患者の防護(岡野友宏)
   1.不必要なX線撮影を行わない(正当化) 2.できるだけ少ない線量で撮影する(最適化) 3.撮影の実際における配慮
  5.医療従事者の防護(佐藤健児)
   1.線量限度 2.モニタリング
 4.X線検査における品質保証(誉田栄一)
  1.品質保証(Quality Assurance:QA)とは
  2.品質保証(QA)の効果
  3.品質保証(QA)計画の具体的な実施方法
   1.X線装置および施設のQA計画 2.X線写真の評価
6章 放射線腫瘍学
 1.放射線腫瘍学の基礎(佐々木武仁)
  1.悪性腫瘍の発育動態
   1.腫瘍の組織構造 2.腫瘍の発育動態
  2.腫瘍に対する放射線の作用
   1.線量・腫瘍制御率関係 2.線量・細胞生存率関係 3.細胞動態学的因子
  3.線量の時間的配分法
   1.分割照射における正常組織反応 2.線量の時間的配分法と治療効果
 2.放射線治療とその実際(渋谷 均)
  1.放射線治療の概念
   1.放射線照射装置と器具 2.放射線治療法と照射技術 3.放射線治療の副作用と合併症 4.放射線治療と集学的治療 5.頭頸部重複癌 6.告知と同意(インフォームド・コンセント)
  2.頭頸部癌の放射線治療
   1.頭頸部癌総説 2.口腔癌 3.上顎洞癌 4.唾液腺癌 5.その他の頭頸部悪性腫瘍
 3.放射線治療における副作用と患者の口腔管理(清水谷公成)
  1.放射線治療における副作用
   1.放射線治療前(照射前) 2.放射線治療中(照射中) 3.放射線治療後(照射後)
  2.頭頸部癌照射患者の歯科治療・口腔管理
   1.タービン使用時,スケーリング・バキューム時 2.ブラッシング時 3.食事時

 付表
 参考文献
 索引