やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

訳者のことば
 近年,さまざまな分野でのグローバル化やIT化が進められ,歯学領域においても,ますます国際間での情報の交換や共有が重要な時代となってきている.とくに,重要な参考書や文献等のほとんどは英語で書かれており,また,たとえ大量の電子化された英語情報があっても,われわれがそれらを正確に理解するためには,時代に即した正確で適正な歯学領域専門の英和辞典が必須である.
 「ハイネマン歯科用語辞典」は,Fairpo夫妻により,第1版が1962年に出版された.そして,歯学領域で優れた英和辞典がなかったことから,その第2版を基に,大阪大学名誉教授河村洋二郎先生監訳,元 医歯薬出版(株)の有坂利通氏訳で,「ハイネマン歯科英和辞典」が1983年に翻訳出版された.それ以来,本書は歯科学生ばかりでなく歯科領域の臨床家や研究者にも永年愛用されている.
 その後原著は1987年に第3版が,そして歯学ならびにその周辺領域の著しい進歩に対応すべく大幅に改訂されて,「ハイネマン歯科用語辞典第4版」が1997年に出版された.そこで,今回「ハイネマン歯科英和辞典第2版」を出版することとなり,その翻訳にあたっては,大阪大学大学院歯学研究科高次脳口腔機能学講座(口腔解剖学第二教室),顎口腔病因病態制御学講座(口腔外科学第一教室)ならびに口腔分子免疫制御学講座(予防歯科学教室)の第一戦のスタッフの方々が担当し,さらに,吉田篤教授,古郷幹彦教授と私とで校閲,監訳させていただいた.翻訳に際しては,原著を単に訳すだけではなく,日本の実情にあわせるなど訳注も適宜付記するようにした.また,歯科学生が英文でレポートを書く場合や研究者が英語論文を作成する場合に役立つように巻末に訳語の全てを網羅した和英索引を設け,和英辞典としても利用できるようにした.本の体裁は,持ち運びなどの利便も図り,ハンディーなA5判,並製とした.
 歯科医学領域が急速に広がるとともに,歯科医療が高度化するなかで,本書のような歯科医学辞典も,それらに対応すべく,常に改訂を繰り返す必要がある.そのような意味でもこの翻訳改訂第2版は,利用者に最新の情報を十二分に提供できるものと確信している.したがって,本書は歯科学生のみならず,歯科に関連する臨床家,研究者,歯科技工士や歯科衛生士の方々にも十分活用されうるものであり,本書が歯科臨床や研究の発展に少しでもお役に立てれば望外の喜びである.
 最後に,ここに本書を出版することができたのは,ひとえに翻訳に従事されたスタッフの方々はじめ制作にあたられた医歯薬出版(株)の方々のご協力とご支援のお蔭であり,監訳者を代表し,深甚より感謝の意を表したい.
 2004年 初秋
 大阪大学大学院歯学研究科教授
 雫石 聰


第四版の序
 1959年,William Heinemann Medical Books社のOwen Evans氏より歯科学生のためのポケットサイズの小辞典を編集するよう最初にお話があった時,約40年後に第4版を作成することになろうとは考えもしなかった.第4版では,第1版に元々あった主要なものの多くは語彙を増加させるために削除した.コンピュータ専門用語については,中身や改訂の取り上げ方を完全に変更した.薬剤に関する付録については,Dental Practitioners' Formulary(歯科医師医薬品集)やBritish National Formulary(英国国民医薬品集)の現在の版を歯科学生や臨床家が自由に利用できるので第3版から削除している.しかし,いくつかの薬剤や薬剤のタイプについては本文に残してある.
 この版の臨床用語はBritish Standard BS EN 21942: 1992 - 21942-4: 1994, - ISO 1942-1-4: 1989/Amd. 1: 1992 (E/F)歯科用語集1 〜 4部とBS EN ISO 1942 - 5: 1995: 歯科用語集5部に基づいた.歯や口腔領域に対するISO名称システムはISO 3950 - 1984 (E)から採用した.前後参照については,古い専門用語がより望ましい用語へと変わっていることがわかっていただけると思う.細菌学的分類はBergey's Manual of systematic bacteriology, John G. Holt編集,第4巻 (Baltimore, Williams & Wilkins, 1984-1989)に従った.解剖学名表に用いた学術用語は,Nomina Anatomicaの第5版 (Edinburgh, Churchill Livingstone, 1989)として出版されている第12回国際解剖学者会議 (London, 1985)で改訂されたものによった.
 定期刊行物に関する名称は,名称が変更されたものとともに新しい名称のものが非常に増加している.歯科文献索引 (Index to Dental Literature)に示されている名称のリストは毎年変更されているので,このIndexでカバーされている雑誌については含めていない.前回の版を作成した時になくなっているタイトルについても今回は削除した.
 本書を改訂するに当たって,常にご支援いただいたLeeds大学歯学部の同僚に感謝申し上げたい.とくに,インプラントおよびインプラント義歯に関してはChris Watson博士に,そして,歯科矯正に関連した困難な問題についてえり分けていただいたPaul Cook氏に深謝する.また,Anne Collinsさん,Leeds大学医歯学部図書館のスタッフおよびBoston Spaの国立貸出図書館のスタッフの方々に対して改訂作業を通してのご協力とご支援に感謝する.


第一版の序
 この辞典はもともと歯科学生の要求を満たすために編集されたものである.しかし,歯科看護師,歯科技工士,歯科秘書および他の歯科領域の業務に従事している人々のすべてにも同じく役立つものといえよう.このような主旨から用語の説明はできるだけ簡明にした.アメリカ用語を多く採用しているが,それは歯科に関する参考書の大部分および定期刊行雑誌の多くが今日アメリカ合衆国で出版されているからである.古典的文献を読む人の便宜のため,すでに廃用になった用語についても説明をつけた.このような医学用語はとくに歯科に関係のあるものに限定した.もちろん,このような小辞典に,あますところなく用語を記載することは不可能である.外国人学生のため,とくに発音に注意をはらった.
 この辞典の巻末に3つの付録をつけた.頭頸部の解剖学用語表は1960年,New Yorkで開催された第7回国際解剖学者会議で承認された用語でNomina Anatomicaの第2版 (Amsterdam, etc., Excerpta Medica Foundation, 1961) に掲載されているものである.次の付録は歯科で使用されている薬剤一覧である.この一覧はリバプール大学のDr. J. B. Robertsに作成していただいたもので大変面倒をおかけした.厚く感謝する.第3の付録は歯科学雑誌のリストである.このリストには雑誌の出版されている国名,刊行頻度,および雑誌の公式略名なども示した.雑誌の公式略名は世界医学系定期刊行物案内 (World Medical Periodicals) の第2版 (London, British Medical Association, 1957) に採用されている国際基準ISO R4に従った.これは歯科関係資料の出版に関係している方々すべてにお役に立つものと思う.
 このような性質の医学・歯学辞典を編集するに際しては当然のこととして,多くの関連図書を参考にした.私はこれらすべての関係各位に衷心より感謝の意を表したい.とくにG. V. Black著Operative Dentistry, 第8版(1947)から歯牙窩洞の分類を再録することを許可してくださったMedico-Dental Pub. Companyに厚くお礼申し上げる.
 この辞典の編集に当たって親切に私を助けてくださった方々すべてにお礼申し上げたい.とくに,タイプ原稿を通読し多くの有意義なサゼッションをくださったLeeds大学歯科病院の事務主任Mr. G. Wreakes,解剖学名表を注意深くチェックしてくださったLeeds大学,解剖学講師のDr.W. J. K. Walls; 私が困った多くの問題を解くのに協力してくださったLeeds大学歯学部のスタッフの先生方などである.また大学図書館員Mr.B. S. Pageがおよせくださったこの仕事についての関心と激励に対しても厚く感謝申し上げる.
 この他,効果的な線画を描いてくださったMr.Frank Price, いろいろな歯科用器具の凸版を貸してくださったDental Manufacturing Company,いろいろと手伝ってくださり,また歯科医師会図書館で便宜をはかってくださった英国歯科医師会,元司書のMiss Jean M. Kershawに厚くお礼申し上げる.また,この辞典を出版することを最初にすすめてくださったMr. L. T. Morton, ならびにWilliam Heinemann Medical Books株式会社のMr. Owen R. Evansの忍耐とご援助に厚く感謝申し上げる.
 Leedsにて,1962年1月
 J. E. H. F.
訳者のことば
第四版の序
第一版の序
凡例
略語一覧
本文
付表
 頭部および頸部の動脈
 頭部および頸部の筋
 頭部および頸部の神経
 頭部および頸部の静脈
和英索引
付録:世界の歯学雑誌
付録:日本の歯学雑誌