序文
近年の生命科学やコンピュータ科学などの著しい進歩によって,医学生・歯学生が学ぶべき知識と実践できなければならない技術の量は,膨大なものとなり質的にも高度となってきた.また,保健医療福祉に対する社会のニーズの多様化は,あらゆる場面で幅広い知識とその実践を必要とし,あわせて高い倫理観を有する人材が要求されている.こうした社会的要請に対してわが国の保健医療福祉に携わる医療関係者の教育は,内容の高度化が図られ,質的にも大きく向上した.医学部歯学部教育においても,2001年に医学・歯学教育の在り方に関する調査研究協力者会議による21世紀における医学・歯学教育の改善方策が作成され,それを契機として教育体系の再構築や新たな構築が各大学で急速に進行している.
衛生学・公衆衛生学は臨床と基礎の両者にかかわる領域であり,人々の健康を追求する保健学である.その特徴は,地球規模の環境保全の理解,ならびに保健医療福祉の分野における疫学,栄養学および健康教育の重要性を理解することである.また,その目標は,職域や地域保健活動の中でたえず思考し,広い視野と社会的洞察力で積極的に参画できる能力を習得することにある.
本書は,衛生学・公衆衛生学の実習や演習に使用することを目的とし,学習の到達目標を環境保全に取り組む技術を習得し,健康管理のための方法と得られたデータの解析,それに基づく保健教育ができるようになることとした.そのために保健医療福祉の分野で必要とされる栄養教育(指導),疫学的指標の解説ならびに統計的手法とその選び方,質問紙の作成法,ヘルスプロモーションに関わる健康教育(保健指導)については,具体的に実習ができるように記載してある.
本書は歯学部学生を対象としているが,保健社会福祉に関係する学生に対しても十分活用できるのではないかと考えている.この分野における必須の知識・技術の習得に活用していただければ幸いである.
最後に本書の編集に際して,多忙な中から時間を割いていただいた執筆者の諸先生に深く感謝したい.
2004年3月
編集委員
松久保 隆
中垣晴男
山中すみへ
近年の生命科学やコンピュータ科学などの著しい進歩によって,医学生・歯学生が学ぶべき知識と実践できなければならない技術の量は,膨大なものとなり質的にも高度となってきた.また,保健医療福祉に対する社会のニーズの多様化は,あらゆる場面で幅広い知識とその実践を必要とし,あわせて高い倫理観を有する人材が要求されている.こうした社会的要請に対してわが国の保健医療福祉に携わる医療関係者の教育は,内容の高度化が図られ,質的にも大きく向上した.医学部歯学部教育においても,2001年に医学・歯学教育の在り方に関する調査研究協力者会議による21世紀における医学・歯学教育の改善方策が作成され,それを契機として教育体系の再構築や新たな構築が各大学で急速に進行している.
衛生学・公衆衛生学は臨床と基礎の両者にかかわる領域であり,人々の健康を追求する保健学である.その特徴は,地球規模の環境保全の理解,ならびに保健医療福祉の分野における疫学,栄養学および健康教育の重要性を理解することである.また,その目標は,職域や地域保健活動の中でたえず思考し,広い視野と社会的洞察力で積極的に参画できる能力を習得することにある.
本書は,衛生学・公衆衛生学の実習や演習に使用することを目的とし,学習の到達目標を環境保全に取り組む技術を習得し,健康管理のための方法と得られたデータの解析,それに基づく保健教育ができるようになることとした.そのために保健医療福祉の分野で必要とされる栄養教育(指導),疫学的指標の解説ならびに統計的手法とその選び方,質問紙の作成法,ヘルスプロモーションに関わる健康教育(保健指導)については,具体的に実習ができるように記載してある.
本書は歯学部学生を対象としているが,保健社会福祉に関係する学生に対しても十分活用できるのではないかと考えている.この分野における必須の知識・技術の習得に活用していただければ幸いである.
最後に本書の編集に際して,多忙な中から時間を割いていただいた執筆者の諸先生に深く感謝したい.
2004年3月
編集委員
松久保 隆
中垣晴男
山中すみへ
衛生学・公衆衛生学実習 目次
第1章 環境保健・・・山中すみへ
1 温熱環境
A.温度の測定
B.湿度の測定
C.気流の測定
D.輻射熱の測定
E.温熱指数の測定
2 空気
A.粉塵濃度の測定
B.空気中の化学成分濃度の測定
3 水質
A.上水の水質検査
B.水質汚濁(河川水,海水,排水など)の検査
4 騒音・振動
A.騒音・振動の単位
B.騒音の測定
C.騒音の基準
5 照明・電磁波・紫外線
A.照 明
B.電磁波
C.紫外線
6 下水・廃棄物処理
A.下水処理
B.廃棄物処理
第2章 健康管理・・・山中すみへ
1 一般健康管理
A.地域における健康管理
B.学校における健康管理
C.職場における健康管理
2 スクリーニング検査
A.尿によるスクリーニング検査
B.血圧のスクリーニング検査
C.血糖値のスクリーニング検査
D.血液によるスクリーニング検査
E.糞便によるスクリーニング検査
F.唾液によるスクリーニング検査
G.アレルギー発現のスクリーニング検査
H.聴力のスクリーニング検査
第3章 疲労の測定と体力テスト・・・山中すみへ
1 疲労の測定
A.疲労とは
B.疲労の測定
C.疲労蓄積予防のための対策
2 体力テスト
A.体力テストの目的
B.体力テストの項目
C.各体力テストの方法
D.体力テストの評価と運動指導
第4章 栄養評価・・・村上多恵子
1 身体状況の把握
A.身体計測
B.肥満とやせ(肥満度)の判定
C.骨塩量と骨密度
2 食生活の把握
A.国民健康・栄養調査
B.食事調査法
C.食習慣・生活習慣調査(質問紙法)
3 食生活分析
A.食事記録法による分析
B.簡易栄養調査による分析
C.間食習慣の評価
4 栄養指導とカウンセリング
A.栄養指導におけるカウンセリングの必要性
B.行動変容の動機づけ
C.カウンセリングの基本姿勢
D.栄養指導におけるカウンセリングの活用
第5章 質問紙調査法・・・中垣晴男・森田一三
1 質問紙調査法の概要
2 質問紙調査法の分類
A.記入者による分類
B.質問形式による分類
3 質問紙の構成
4 質問紙の作成
第6章 疫学(統計)用語・・・中垣晴男・森田一三
1 疫学の基礎
A.比率と比
B.有病率と罹患率
C.相対危険と寄与危険,寄与危険度百分率,オッズ比
D.バイアス・サンプリング
2 記述疫学(因果関係の設定基準)
A.記述疫学
B.因果関係
3 分析疫学
A.前向き研究と後ろ向き研究
B.横断研究と縦断研究
C.症例対照研究と要因対照研究
D.コホート研究
4 実験疫学
A.動物実験
B.人における介入研究
5 スクリーニング
A.スクリーニングの目的
B.スクリーニングの妥当性
C.スクリーニングの有効性
D.スクリーニングの信頼性
E.スクリーニングの評価
F.スクリーニングにおける問題
G.スクリーニングが備える条件
6 分析方法
A.Mantel-Haenszel法
B.ロジスティック回帰分析
7 メタ・アナリシス
8 時系列研究
A.移動平均
B.自己相関
第7章 統計的手法の選択と統計分析の実際・・・松久保隆・杉原直樹
1 データの入力
2 データの種類
3 データの表示
A.単独変量の場合
B.2変量以上の場合
4 数字によるデータの要約
A.分布の中心の尺度とばらつきの尺度
B.分布の型
5 検定の基礎-統計的仮説検定-
A.2つの平均の比較
B.χ2検定
6 相関
A.回帰分析
B.重回帰分析
C.回帰分析の評価
7 分散分析
A.一元配置分散分析
B.多重比較
C.正規性・等分散が成り立たない場合
第8章 健康教育・・・鶴本明久・福島眞貴子
1 健康教育と保健行動モデル
A.健康教育における行動科学の意義
B.保健行動モデル
2 コミュニケーションスキル
A.コミュニケーションの構成要素
B.質問の技法
C.非言語的コミュニケーション
D.ロールプレイング
3 健康の評価と健康への態度
A.臨床検査
B.CMI
C.TEG
D.ヘルス・ローカス・オブ・コントロール
4 指導型と学習援助型の健康教育
A.指導型の健康教育
B.学習援助型の健康教育
付表・・・215
索引・・・229
第1章 環境保健・・・山中すみへ
1 温熱環境
A.温度の測定
B.湿度の測定
C.気流の測定
D.輻射熱の測定
E.温熱指数の測定
2 空気
A.粉塵濃度の測定
B.空気中の化学成分濃度の測定
3 水質
A.上水の水質検査
B.水質汚濁(河川水,海水,排水など)の検査
4 騒音・振動
A.騒音・振動の単位
B.騒音の測定
C.騒音の基準
5 照明・電磁波・紫外線
A.照 明
B.電磁波
C.紫外線
6 下水・廃棄物処理
A.下水処理
B.廃棄物処理
第2章 健康管理・・・山中すみへ
1 一般健康管理
A.地域における健康管理
B.学校における健康管理
C.職場における健康管理
2 スクリーニング検査
A.尿によるスクリーニング検査
B.血圧のスクリーニング検査
C.血糖値のスクリーニング検査
D.血液によるスクリーニング検査
E.糞便によるスクリーニング検査
F.唾液によるスクリーニング検査
G.アレルギー発現のスクリーニング検査
H.聴力のスクリーニング検査
第3章 疲労の測定と体力テスト・・・山中すみへ
1 疲労の測定
A.疲労とは
B.疲労の測定
C.疲労蓄積予防のための対策
2 体力テスト
A.体力テストの目的
B.体力テストの項目
C.各体力テストの方法
D.体力テストの評価と運動指導
第4章 栄養評価・・・村上多恵子
1 身体状況の把握
A.身体計測
B.肥満とやせ(肥満度)の判定
C.骨塩量と骨密度
2 食生活の把握
A.国民健康・栄養調査
B.食事調査法
C.食習慣・生活習慣調査(質問紙法)
3 食生活分析
A.食事記録法による分析
B.簡易栄養調査による分析
C.間食習慣の評価
4 栄養指導とカウンセリング
A.栄養指導におけるカウンセリングの必要性
B.行動変容の動機づけ
C.カウンセリングの基本姿勢
D.栄養指導におけるカウンセリングの活用
第5章 質問紙調査法・・・中垣晴男・森田一三
1 質問紙調査法の概要
2 質問紙調査法の分類
A.記入者による分類
B.質問形式による分類
3 質問紙の構成
4 質問紙の作成
第6章 疫学(統計)用語・・・中垣晴男・森田一三
1 疫学の基礎
A.比率と比
B.有病率と罹患率
C.相対危険と寄与危険,寄与危険度百分率,オッズ比
D.バイアス・サンプリング
2 記述疫学(因果関係の設定基準)
A.記述疫学
B.因果関係
3 分析疫学
A.前向き研究と後ろ向き研究
B.横断研究と縦断研究
C.症例対照研究と要因対照研究
D.コホート研究
4 実験疫学
A.動物実験
B.人における介入研究
5 スクリーニング
A.スクリーニングの目的
B.スクリーニングの妥当性
C.スクリーニングの有効性
D.スクリーニングの信頼性
E.スクリーニングの評価
F.スクリーニングにおける問題
G.スクリーニングが備える条件
6 分析方法
A.Mantel-Haenszel法
B.ロジスティック回帰分析
7 メタ・アナリシス
8 時系列研究
A.移動平均
B.自己相関
第7章 統計的手法の選択と統計分析の実際・・・松久保隆・杉原直樹
1 データの入力
2 データの種類
3 データの表示
A.単独変量の場合
B.2変量以上の場合
4 数字によるデータの要約
A.分布の中心の尺度とばらつきの尺度
B.分布の型
5 検定の基礎-統計的仮説検定-
A.2つの平均の比較
B.χ2検定
6 相関
A.回帰分析
B.重回帰分析
C.回帰分析の評価
7 分散分析
A.一元配置分散分析
B.多重比較
C.正規性・等分散が成り立たない場合
第8章 健康教育・・・鶴本明久・福島眞貴子
1 健康教育と保健行動モデル
A.健康教育における行動科学の意義
B.保健行動モデル
2 コミュニケーションスキル
A.コミュニケーションの構成要素
B.質問の技法
C.非言語的コミュニケーション
D.ロールプレイング
3 健康の評価と健康への態度
A.臨床検査
B.CMI
C.TEG
D.ヘルス・ローカス・オブ・コントロール
4 指導型と学習援助型の健康教育
A.指導型の健康教育
B.学習援助型の健康教育
付表・・・215
索引・・・229