やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社



 歯科臨床に日々携わっていて,よく“埋伏”という言葉を耳にされると思う.その多くは智歯の埋伏であったり,上顎前歯部の過剰歯であるかもしれない.ときには,萌出期を過ぎても前歯部に数本の歯が折り重なるように顎骨内に埋まっている非常に重篤な症例であるかもしれない.このようなさまざまな埋伏歯はどのような観点から診断がくだされ,どう処置されるのが賢明であるのか.
 それが智歯であると,抜歯を勧めたり,そのまま放置して経過をみる場合もあるだろう.埋伏歯が歯列不正や咬合異常にかかわる症例の場合は,矯正歯科医に専門的治療を依頼することになる.埋伏歯は術者自身の考え方,また知識,経験や技量によっては抜歯しないで歯列に復帰させるなど,保存可能なことも多い.しかしながら,熟慮なく抜歯されたり,逆に隣在歯に歯根吸収のような悪影響を与えるような場合でも放置されていることもある.
 著者らは,ずっと以前から埋伏歯に関して基礎から臨床にわたり,豊富に文献を渉猟しつつ,自験の,また多方面から寄せられた臨床例をもとに歯科矯正学的,口腔外科学的立場でさまざまな角度から検討を加えてきた.症例のなかには埋伏歯を無視して補綴学的処置に走ったために予後不良,悪化した例や,放置したために重篤な症状を呈した例などもあるが,300例以上の症例を検討し,本書ではなかでも興味深い70症例を越える臨床例を供覧して,その治療内容や要点・考察を付した.また症例を整理するうちに犬歯や小臼歯の埋伏において,その多様性のわりには日常臨床で埋伏状態に関する便利な分類がみあたらず,分類をも手がけた.
 本書の全体を4つの章で構成し,I章においては,埋伏歯の定義,種類とその特徴,そして発生原因と続発症など,基本的な項目を整理した.
 II章においては,臨床の実際として,埋伏歯の診断・治療・処置をまとめた.治療判断基準,治療指針については埋伏の歯種別に整理し,処置に際して知っておくべき埋伏歯の組織学も付した.処置は埋伏歯の保存活用と抜歯に分け,特殊な外科処置についても記述した.また,埋伏歯の衛生管理にもふれた.
 III章は,71症例を12のパターンに分けて供覧し,実際の臨床で参考にしていただけるよう努めた.
 IV章では,臨床に際しての補足的な知識を基礎編と臨床編に分け,Q&Aとしての項目も拾った.
 本書に示した“埋伏歯”に秘められた多様性の分類とその臨床的応用が,毎日の臨床における埋伏歯の診断や処置基準の一助となれば幸いである.そして埋伏歯が1本でも多く術者の的確な判断のもとに処置されて,患者の咀嚼機能を健全に回復させることが著者らの意図するところであり,この本を通じて少しでもそれに貢献できれば本望である.
 本書執筆の初めから臨床資料や標本の収集・整理・作成にあたり,大阪歯科大学,滋賀医科大学の諸講座,多くの病院の歯科口腔外科,研究機関,そして個人開業医からご親切なご指導を賜り,深甚の謝意を表する次第であります.
 なかでも,大阪歯科大学矯正歯科学講座 川本達雄教授には,ご多忙のなか,終始本書全体の構成,内容の充実について熱心に有意義なご指導,身に余る監修の労をいただき,格段の感謝の意を表する次第です.同大学大学院歯科矯正学科でご指導を賜わった木下善之介名誉教授にも豊富な臨床経験に基づき数々のアドバイスをいただき,この機会に院生時代からのご指導に感謝いたします.また同大学口腔解剖学講座 田中昭男教授には歴代にわたって整理された埋伏歯・湾曲歯標本を実示され,これに関する基本知識のご指導に感謝いたします.同大学解剖学講座の太田義邦名誉教授には,歯と顎骨の発生,用語の統一などについてご助言を受け,同講座の岡田成賛助手には歯根吸収面の走査電顕像についてご指導をいただき,併せて感謝の意を表します.同大学口腔外科学第2講座の中嶋正博講師には湾曲歯の軟X線撮影をして頂き併せて感謝致します.
 一方,共著者である山本 学が師事する滋賀医科大学歯科口腔外科学講座 吉武一貞教授からは埋伏歯に関する口腔外科領域の症例資料の呈示を賜わり,格段の感謝の意を表します.著者らが非常勤として勤務する滋賀県成人病センター口腔外科部長 津田善造先生には外科的処置内容について常に格別のご指導を賜わりました.同様に大津市民病院 多田一夫元副院長,松本忠士部長,北村公史郎先生,寺村千俊先生,社会保険京都病院 長谷川彰則歯科部長,京都第2日赤病院 吉川郁子先生,公立湖北総合病院 山下滋夫院長,澤渡新太郎医長,小川智彦医長,猪田博文医長,社会保険滋賀病院 瀧上啓志医長,中田利明医長,大阪大学歯学部口腔外科の先生方など,多方面から貴重な類似症例の引用の快諾,処置依頼や症例のご紹介をいただきました.その他,症例をご紹介いただいた次の先生方にも謝意を表します.足立 優,今西嘉次,上野 京,上松伸雄,梅田竜弘,太田邦雄,往西良之,岡本 肇,奥村洋介,城阪元也,佐久間 寛,嶋森純史,白木孝尚,鈴木之輔,泰間祥行,高橋礼太郎,田中豊彦,富阪 正,那須 馨,西崎義雄,信藤孝博,藤原修志,前田潤一郎,松原一典,政春明子,三井博晶,目片英樹,森川正治,八木丈史,安岡良介,山本 修の各先生(五十音順,敬称を略させていただきました).また歯科衛生士の井上幸子,今井梨恭子,橋本美樹,畑井直美,松田みどり,山本伸子,大学補助員の峰松年香の各氏には資料の整理,文献の収集などでお世話になり,併せて感謝いたします.
 以上の経過を経て検討・呈示した症例のうち約85%は自験例であるが,その他の症例は上記の研究機関や先生方のご協力によるものです.
 終わりに,医歯薬出版株式会社第3出版部米川征英取締役,辻 寿氏,大城惟克氏にはわがままな著者らの希望をご理解いただき,多大の面倒をおかけしたことを心から感謝いたします.
 1998年9月 中秋 太田義之 山本 学
I章 埋伏歯とはさまざまなX線像を見ながら/2
  1.埋伏歯の定義/2
    定義についての説明 埋伏歯の萌出程度(状態)について/2
    異所性萌出について/3
    萌出期/3
    その他の項目/3
  2.埋伏歯の種類と特徴/4
   1)永久歯の埋伏……4
    出現頻度/4
    性別・年齢/4
    埋伏歯数および対称性について/5
    埋伏状態/6
   2)過剰歯の埋伏……6
    総括的事項/6
    上顎前歯部埋伏過剰歯について/8
    大臼歯部の埋伏過剰歯について/11
    過剰歯の記述方法/12
   3)乳歯の埋伏……13
  3.埋伏歯の発生原因と続発症/15
   1)局所的原因(一歯または数歯埋伏の原因)……15
    埋伏歯の歯胚の一時的転移に起因する場合/15
    埋伏歯が萌出障害に起因する場合/15
    その他/15
   2)全身的原因(多数歯埋伏の原因)……16
   3)埋伏歯に起因する続発症……16
II章 埋伏歯の診断・治療・処置/19
  1.埋伏歯の診断/20
   1)患者の主訴,問診,視診など……20
    患者の主訴/20
    問診/21
    視診/21
    触診/21
   2)正確な診断を行うための資料……22
   3)埋伏歯についてのX線学的診査……22
    各種X線撮影法とその特徴/23
    X線学的鑑別診断/27
  2.埋伏歯の分類と治療判断基準,治療指針の概要/28
   1)埋伏上顎中切歯……28
    分類/28
    治療判断基準と検査の進め方/28
   2)埋伏犬歯……32
    分類/32
    各型における治療指針/38
    本分類の利点と欠点/39
   3)埋伏小臼歯(第二小臼歯を中心に)……40
    分類/40
    治療指針/44
   4)埋伏第一大臼歯……45
   5)埋伏第二大臼歯……46
   6)埋伏上顎第三大臼歯(智歯)……47
   7)埋伏下顎第三大臼歯(智歯)……51
   8)上顎正中埋伏過剰歯……55
  3.処置に際して知っておくべき埋伏歯の組織学/57
   1)埋伏歯の歯周組織……57
   2)誘導萌出歯と自然萌出歯の違い……57
  4.埋伏歯の保存活用:矯正処置を伴う歯の牽引誘導/60
   1)埋伏歯の開窓ならびに牽引方法の概要:その処置基準……60
    開窓法/60
    牽引誘導法/60
   2)牽引時の固定源……61
    同一顎内に固定源を設定する場合/61
    対顎に固定源を設定する場合/61
    口腔外に固定源を設定する場合/61
   3)牽引用ボタン(トラクションフックやボタン)の装着法と牽引の準備……62
   4)埋伏歯を移動させるとき,配慮すべき歯・歯周組織についての年齢的相違……67
   5)誘導萌出歯の歯軸(唇舌的)のコントロール……68
   6)特殊な位置にある歯の牽引方法:口蓋側埋伏犬歯……69
   7)誘導,萌出後の保定……71
   8)誘導,萌出における経過・予後……72
   9)埋伏歯の予防……72
  5.埋伏歯の抜歯/73
   1)上顎前歯部埋伏過剰歯(唇側にある場合)……74
    粘膜切開/74
    歯肉骨膜弁の剥離/74
    歯冠周囲の歯槽骨の削除/74
    過剰歯の抜去/74抜歯後の処置,粘膜弁の閉鎖/75
   2)上顎前歯部埋伏過剰歯(口蓋側にある場合)……76
   3)埋伏小臼歯・犬歯……77
   4)上顎埋伏第三大臼歯(智歯)の抜歯……79
    注意点とコツ(上顎第二大臼歯も考慮して)/79
   5)埋伏下顎第三大臼歯(智歯)の抜歯……80
    注意点とコツ(安全かつ迅速に手術を行うために)/80
    下顎第三大臼歯(智歯)抜去(ここがポイント)/82
    右側下顎第三大臼歯(智歯)の抜歯手順(完全水平埋伏)/84
  6.特殊な外科的処置/86
   1)歯胚の再植法……86
    時期/86
    再植の選択/86
    術中の注意と,良好な予後を得るために/86
    偶発症/86
   2)自家移植法……87
   3)外科的歯胚回転法(永久歯の歯胚回転による埋伏の防止)……88
   4)埋伏の原因の除去手術(埋伏歯を伴った嚢胞,腫瘍の処置法)……89
    嚢胞(含歯性嚢胞)/89
    腫瘍/91
  7.埋伏歯の衛生管理/93
III章 症例に学ぶ埋伏歯の治療・処置/95
  1.簡単な処置で埋伏歯を自然萌出させた例/96
    症例1 両側上顎中切歯の埋伏例……96
    症例2 翼状捻転を伴った両側上顎中切歯の埋伏例……97
    症例3 下顎(骨)底の濾胞性歯嚢胞内の下顎第二小臼歯の萌出様相を経時的に確認できた2例……99
    【症例A】 栓塞体使用例……99
    【症例B】 栓塞体未使用例……100
    症例4 下顎乳臼歯下方で嚢胞を伴った下顎第二小臼歯の埋伏例……101
    症例5 両側下顎第二大臼歯歯根尖部に埋伏した第三大臼歯(智歯)の自然萌出例……102
  2.種々の誘導例/104
    症例6 軽度な上顎中切歯の埋伏例……104
    症例7 鼻腔底壁下方に存在した左側上顎中切歯の埋伏例……106
    症例8 乳歯晩期残存に伴う上顎中切歯の埋伏例……108
    症例9 埋伏上顎中切歯の誘導萌出後,上唇小帯形成手術を必要とした例……109
    症例10 複雑に接近した上顎中切歯,側切歯,犬歯の埋伏例……111
    症例11 遠心方向に強度に傾斜埋伏した上顎犬歯の例(埋伏犬歯III型)……113
    症例12 濾胞性歯嚢胞を伴った上顎犬歯の埋伏例(埋伏犬歯II型)……115
    症例13 側切歯歯根尖部における上顎犬歯の埋伏例(埋伏犬歯II型)……117
    症例14 成人における下顎犬歯の水平埋伏例(埋伏犬歯III型・)……119
    症例15 両側上顎犬歯の口蓋側完全埋伏ならびに両側下顎小臼歯の水平および不完全埋伏例(埋伏犬歯I型,II型)(埋伏小臼歯II型,IV型)121
    症例16 上顎洞底に近接した両側上顎第二小臼歯の埋伏例(埋伏小臼歯III型)127
    症例17 上顎第二小臼歯の水平埋伏例(埋伏小臼歯IV型)128
    症例18 Le FortI型骨切り術のため両側上顎第二大臼歯を抜去し,埋伏上顎第三大臼歯(智歯)を萌出させた例……130
    症例19 下顎第一大臼歯の埋伏例……132
    症例20 水平および近心傾斜した下顎第二大臼歯の不完全埋伏例……134
  3.歯牙腫を伴った萌出誘導例/137
    症例21 歯牙腫を伴った上顎中切歯と側切歯の埋伏例……137
    症例22 歯牙腫を伴った下顎中切歯,側切歯,犬歯の埋伏例(埋伏犬歯II型)……139
    症例23 歯牙腫と濾胞性歯嚢胞を伴った下顎犬歯の完全埋伏例(埋伏犬歯I型)……142
  4.隣在歯に歯根吸収を伴った埋伏歯の萌出誘導例ならびに関連症例/144
    症例24 両側埋伏上顎犬歯により側切歯の挺出ならびに歯根吸収がみられた例(埋伏犬歯II型)……144
    症例25 両側上顎犬歯の近心傾斜埋伏に起因した両側側切歯の歯根吸収例(埋伏犬歯II型)……145
    症例26 歯の動揺から埋伏犬歯による上顎前歯部の強い歯根吸収を認めた例……148
    【症例A】 両側性の歯根吸収例……148
    【症例B】 片側性の歯根吸収例……149
    症例27 上顎前歯の歯根吸収とともに興味ある移動をした上顎犬歯と上顎第一小臼歯の埋伏例……150
  5.埋伏過剰歯を伴った種々の例/152
    症例28 逆性上顎正中埋伏過剰歯による正中離開例……152
    症例29 逆生上顎正中埋伏過剰歯の例……154
    症例30 順生,逆生上顎正中埋伏過剰歯の例……155
    症例31 X線学的に注意すべき逆生上顎正中埋伏過剰歯の例……156
    症例32 3本(逆生2本,順生1本)の上顎正中埋伏過剰歯と中切歯の埋伏例……157
    症例33 上顎正中埋伏過剰歯の動態と隣在歯の歯根形成の長期観察例……159
    症例34 2本の正中埋伏過剰歯を伴った両側上顎中切歯の埋伏例(矯正治療終了後,あらたに下顎小臼歯部に過剰歯が出現した例:矯正治療の全経過)……160
    症例35 上顎犬歯口蓋側の埋伏過剰歯の抜去例……168
    症例36 上下顎小臼歯部に6本の過剰歯を認め,10年後にそれらの萌出が確認された例……169
    症例37 上顎中切歯―側切歯の巨大癒合歯の歯根尖部の埋伏過剰歯の例……171
    症例38 乳歯列弓に上顎埋伏過剰歯が認められた例……172
    症例39 二卵性双生児に認められた上顎正中埋伏過剰歯の例……173
  6.乳歯の埋伏例/174
    症例40 埋伏下顎第二乳臼歯と,それに伴う下顎第二小臼歯の未萌出例……174
    症例41 下顎第二乳臼歯,下顎第一大臼歯粘膜下の埋伏例……175
  7.自家移植術を用いた埋伏歯の外科的処置例/176
    症例42 下顎第二大臼歯を抜去し,同側水平埋伏第三大臼歯(智歯)を移植した例……176
  8.埋伏歯に起因すると考えられる続発炎症性疾患/179
    症例43 上顎犬歯の埋伏に起因して隣接側切歯が上行性歯髄炎を併発したと考えられる例(埋伏犬歯VII型)……179
    症例44 下顎第一大臼歯歯根尖に接した下顎第二小臼歯の水平埋伏例(埋伏小臼歯IV型)……180
  9.埋伏歯の抜去例/182
    症例45 上顎中切歯-歯根強度湾曲歯の埋伏例……182
    症例46 水平埋伏上顎犬歯-歯根強度湾曲歯の抜去例(牽引中断例)(埋伏犬歯IV型)……183
    症例47 下顎大臼歯部舌側への下顎第二小臼歯の埋伏例……185
    症例48 Hofrath嚢胞を伴う完全埋伏下顎第三大臼歯(智歯)の抜去例……187
  10.多数歯の埋伏例/189
    症例49 多数の埋伏歯を有する鎖骨頭蓋異形成症の例……189
    症例50 母子にみられた全永久歯の異常埋伏の2例……192
    【症例A】 長男……192
    【症例B】 母親……193
  11.外科的に注意を要する埋伏歯の処置例―埋伏歯に併発した重篤な疾患も含めて/195
    症例51 無歯顎部歯槽からの排膿により埋伏歯が発見された2例……195
    【症例A】 上顎小臼歯の埋伏例……195
    【症例B】 下顎第三大臼歯の埋伏例……196
    症例52 脈瘤性骨嚢胞に隣接した水平埋伏第三大臼歯(智歯)の例……197
    症例53 上顎部内に埋伏した上顎第三大臼歯(智歯)の例……198
    症例54 眼窩下部にまで増大した上顎濾胞性歯嚢胞と上顎第二大臼歯の摘出例……200
    症例55 3DCT(3次元CT)でみる下顎枝に逆生埋伏した下顎第三大臼歯(智歯)の例……203
    症例56 エナメル上皮腫内に存在した埋伏下顎第三大臼歯(智歯)の2例……204
    【症例A】 腫瘍の増大に伴う下顎第三大臼歯(智歯)の頬側移動例……204
    【症例B】 水平埋伏下顎第三大臼歯(智歯)と腫瘍の増大例……205
    症例57 悪性腫瘍内(扁平上皮癌)の下顎第三大臼歯(智歯)の水平埋伏例とその扱い……207
    症例58 悪性腫瘍(悪性リンパ腫)に隣在した下顎第三大臼歯(智歯)の水平埋伏例-腫瘍の増大,縮小による下顎第三大臼歯の動態について-……208
  12.その他の注意すべき症例/211
    症例59 上顎小臼歯部の数歯にわたる複雑な埋伏歯のため歯列,咬合が悪化したと考えられる例(埋伏犬歯III型,埋伏小臼歯IV型)……211
    症例60 下顎骨骨折線上に埋伏歯を認めた例……212
    症例61 下顎犬歯の正中部水平埋伏例-CT像でみる下顎前歯との関係(埋伏犬歯IV型)……214
    症例62 唇顎口蓋裂部にみられた上顎側切歯の埋伏例……215
    症例63 補綴物下の埋伏歯が原因で咬合異常をきたしたと考えられる2例……216
    【症例A】 架工義歯下に完全埋伏した犬歯の埋伏例(埋伏犬歯I型)……216
    【症例B】 埋伏犬歯が小臼歯を挺出させた例(埋伏犬歯III型)……216
    症例64 抗てんかん薬服用による,全歯にわたる後天的な埋伏例……218
    症例65 唾石を埋伏小臼歯と誤診する可能性のある症例……219
IV章 臨床に際しての補足的知識/221
 基礎編
  1.歯の萌出と埋伏/222
   1)歯の萌出とは……222
   2)歯の萌出過程(代生歯)……222
   3)歯の萌出機序に対する有力説……222
   4)乳歯萌出に伴う歯胚の成長と歯導帯……223
    発生初期/223
    乳歯萌出前期/223
    乳歯萌出中期/223
    乳歯萌出後期/223
   5)大臼歯歯胚の位置と骨成長に伴う変化……224
   6)萌出時における歯根形成状況……225
  2.上顎犬歯の埋伏における問題点/226
   1)Ugly duckling stage……226
   2)上顎犬歯萌出のガイド役とも考えられる側切歯……227
   3)上顎犬歯の歯胚形成と萌出……227
   4)上顎犬歯と前歯の歯根吸収……229
   5)まとめ:上顎犬歯歯胚の位置と埋伏状態(主にみられる影響度)……230
  3.埋伏歯と嚢胞/231
   1)歯根嚢胞……231
   2)濾胞性歯嚢胞……231
   3)石灰化歯原性嚢胞……232
   4)歯原性角化嚢胞……232
  4.埋伏歯と歯根湾曲/234
   1)歯根が湾曲することの問題点……234
   2)湾曲の誘因……234
   3)湾曲の程度……234
 臨床編
  1.埋伏歯の頻発部位と移動について/238
   1)埋伏歯の存在範囲……238
   2)埋伏歯は顎骨内でどの程度移動するのか……238
  2.偶発症とその対策/241
   1)埋伏歯の開窓時と萌出誘導時に生ずる偶発症……241
    診断時と治療方針決定時に原因があったと考えられる例と対応内容/241
   2)埋伏歯の抜去に伴う偶発症とその対策……241
   3)抜歯中および抜歯後の局所的偶発症……241
    歯の損傷/241
    骨の損傷/242
    軟組織の損傷/242
    神経損傷/242
    出血/242
    異物迷入/242
    気腫/243
    上顎洞への穿孔/243
    上顎洞への歯根迷入/243
     (10)口底への歯根迷入/243(11)顎関節脱臼/243
  3.埋伏歯と歯根吸収/244
   1)上顎埋伏犬歯による切歯の歯根吸収……244
   2)第二大臼歯の歯根吸収について……245
   3)永久歯歯根吸収面について……245
  4.埋伏歯と顎骨骨折/251
  5.埋伏歯と補綴処置/252
  6.埋伏歯の保存的処置に関する歴史/254
  7.Q&A/257
    ・自然萌出と外科的萌出はどこが違うのか?……257
    ・埋伏歯は顎骨の発育にどのような影響を及ぼすか?……257
    ・歯の移動は歯根形成に対して悪影響を及ぼすか?……257
    ・牽引誘導速度は歯の萌出と歯根形成にどのように影響するか?……257
    ・水平埋伏智歯は抜歯する以外に本当に臨床的に役立たないのか?……257
    ・歯の一生はどのように分類され,どの時期に埋伏歯の牽引誘導を行うのが適当であるか?……258
    ・乳歯埋伏の処置はどのように行うか?……258
    ・上顎中切歯の代わりにやむなく犬歯を排列させたり,上顎犬歯の代わりに第一小臼歯を萌出させても問題はないか?……258
    ・なぜ上顎中切歯の湾曲は一般的には唇側湾曲が多く,舌側湾曲が少ないのか?……259
    ・埋伏中切歯は上下顎第一大臼歯の咬合関係や歯列弓に影響を及ぼすか?……260

索引……261