はじめに
高齢化社会を迎え,老後の生活がとても永い時代にさしかかってきた今,改めてQ・O・L(Quality of Life生活の質)がいろいろな場面で問われるようになってまいりました.
そのためにはどうしても,ある程度健康で日常生活に不自由のない老後が求められるものと思われます.
健康な生活は若い時からの健康に対する自己管理,健康観によるところが大きいのです.
口や歯の健康については体のどの部分よりも日頃の健康管理の影響が大きいのです.そして,歯の健康管理についても数多くの本が出版されています.しかし意外と“一生自分の歯で過ごす”ためのポイントについて簡潔に書かれた本は少なく,特に歯磨きに関するいろいろな注意事項について細かく解説された本は少ないように見受けられます.
この本では著者の永年にわたる指導経験から,一生自分の歯で過ごしたいと願う皆様に,ぜひ守っていただきたいいくつかの要点を,なるべく判りやすく,簡潔にまとめてみました.
「老化は歯から」とか「老後は入れ歯」という間違った概念を正すことから始まって,体の中での歯の特殊性,歯磨きの効果,歯磨きで誤りやすい点,大切な歯を傷つけない磨き方,歯磨剤の功罪など,今まで書きつくされてきたような観点とは一味違った,本当に歯のために大切な健康管理についてまとめてあります.
世の中には何となくまかり通っている“常識“とか“通念”のようなものがありますが,これがすべて正しいもの,安心なものとは限りません.歯の健康を保つための歯磨きについては,歯磨き=歯ブラシ+歯磨剤ということもそれに当てはまるのです.歯を一生もたせるために歯を磨くことは第一条件であり,よく磨くことはとても大切なことなのです.しかし一日三回,四回も毎回歯磨剤をつけて歯を徹底的に磨いたとしたら,また歯肉が悪いからといって毎回十五分も二〇分も歯磨剤をつけて磨くことが続いたら,歯の寿命は永くなるどころか傷ついてしまうことが多いのです.
ぜひ今日からこの本の内容をご理解の上実行され,自分の大切な歯を守り,“一生自分の歯で過ごせる人”の仲間入りをしてください.そして二十一世紀へ向けて一人でも多くの人々が,快適な食生活で健やかな老後をエンジョイできるようになることを願っております.
一九九四年二月 黒岩 勝
高齢化社会を迎え,老後の生活がとても永い時代にさしかかってきた今,改めてQ・O・L(Quality of Life生活の質)がいろいろな場面で問われるようになってまいりました.
そのためにはどうしても,ある程度健康で日常生活に不自由のない老後が求められるものと思われます.
健康な生活は若い時からの健康に対する自己管理,健康観によるところが大きいのです.
口や歯の健康については体のどの部分よりも日頃の健康管理の影響が大きいのです.そして,歯の健康管理についても数多くの本が出版されています.しかし意外と“一生自分の歯で過ごす”ためのポイントについて簡潔に書かれた本は少なく,特に歯磨きに関するいろいろな注意事項について細かく解説された本は少ないように見受けられます.
この本では著者の永年にわたる指導経験から,一生自分の歯で過ごしたいと願う皆様に,ぜひ守っていただきたいいくつかの要点を,なるべく判りやすく,簡潔にまとめてみました.
「老化は歯から」とか「老後は入れ歯」という間違った概念を正すことから始まって,体の中での歯の特殊性,歯磨きの効果,歯磨きで誤りやすい点,大切な歯を傷つけない磨き方,歯磨剤の功罪など,今まで書きつくされてきたような観点とは一味違った,本当に歯のために大切な健康管理についてまとめてあります.
世の中には何となくまかり通っている“常識“とか“通念”のようなものがありますが,これがすべて正しいもの,安心なものとは限りません.歯の健康を保つための歯磨きについては,歯磨き=歯ブラシ+歯磨剤ということもそれに当てはまるのです.歯を一生もたせるために歯を磨くことは第一条件であり,よく磨くことはとても大切なことなのです.しかし一日三回,四回も毎回歯磨剤をつけて歯を徹底的に磨いたとしたら,また歯肉が悪いからといって毎回十五分も二〇分も歯磨剤をつけて磨くことが続いたら,歯の寿命は永くなるどころか傷ついてしまうことが多いのです.
ぜひ今日からこの本の内容をご理解の上実行され,自分の大切な歯を守り,“一生自分の歯で過ごせる人”の仲間入りをしてください.そして二十一世紀へ向けて一人でも多くの人々が,快適な食生活で健やかな老後をエンジョイできるようになることを願っております.
一九九四年二月 黒岩 勝
はじめに……iii
〈写真解説〉
歯垢(プラーク)/1
七〇歳でも健康な歯と歯ぐき/2
健康な状態・不健康な状態/2
むし歯の進行停止(1)/3
むし歯の進行停止(2)/4
初期むし歯の自然消失/5
歯周炎・歯周病/6
重症歯周病患者の八年経過例/7
間違った歯ブラシの使用例・力の入れ過ぎ/9
歯が削れてくる/10
歯磨剤使用中止で磨耗も止まる/11
歯が削れて,しみたり,痛くなったりする/12
実験(1) 歯磨剤を少量つけて一年間使用/13
実験(2) 歯磨剤をつけずに一年間使用/14
歯磨剤に含まれる研磨剤/15
歯の着色,歯の光沢/16
歯がしみる(歯頚部知覚過敏)/17
特殊な歯ブラシ/18
歯ブラシの持ち方,当て方,動かし方/19
歯垢染色液で染めてみよう/21
歯磨きの補助用具/22
1.「自分の歯で一生を過ごしたい」と願っている方々へのアドバイス……23
1.長寿は歯の健康から……23
2.健康の基本は食生活の見直し……25
(1) むし歯や歯周病(歯槽膿漏)は文明病……26
(2) 口の中は細菌がいっぱい……26
(3) むし歯も歯周病も体にできた“傷”……27
3.歯の健康の基本は“歯磨き”……29
2.“歯磨き”のいろいろな効果について知ってください……30
1.歯に対する効果……32
(1) むし歯の予防……32
(2) むし歯の進行停止……34
(3) ごく初期のむし歯の自然消失……35
2.歯肉に対する効果……35
(1) 歯肉(歯周組織)の強化……35
(2) 歯肉炎の予防と自然治癒……36
(3) 歯周病の原因療法,進行停止と予防……37
3.口や歯の清潔は,今日のマナーです……39
3.歯磨きの大切なポイント……41
ポイント1 食後の歯磨き……41
ポイント2 歯ブラシの毛先を使う磨き方……42
ポイント3 歯磨剤を使わない歯磨き……44
4.歯磨剤を使用することの功罪……451,歯磨剤を使用することのデメリット(マイナス効果について)……46
(1) “磨いた“つもりで“磨けていない”……46
(2) 歯が削れてくる……47
(3) 歯のつけ根が削れて,しみたり,痛くなったりする……48
(4) 歯ブラシも歯磨剤をつけると磨耗して寿命が短くなる……49
5.歯の着色について……51
6.歯のつけ根がしみる(歯頚部知覚過敏)……52
7.歯ブラシを選ぶポイント……54
1.磨きやすい歯ブラシ……54
2.歯肉の状態がよくない時の歯ブラシ……56
3.電動歯ブラシについての考え方,注意点――文明社会の落とし穴……57
8.歯ブラシの持ち方,当て方,動かし方の基本……63
1.歯磨きは腕の作業でなく,指の作業……64
2.歯ブラシは意識して毛先を使うことが基本……65
3.歯ブラシの動かし方,磨き方……66
(1) 上の一番奥の歯(第二,第三大臼歯)の表側……67
(2) 右ききの人は,右の犬歯(糸きり歯)を中心に二,三本の部分(左ききの人は左側)……68
(3) 右きき(左きき)の人は右側(左側)の上下奥歯の裏面,特に歯肉との境い目の部分(歯頚部)……69
4.歯磨きのタイミング,回数,時間について……70
(1) いつ磨くのが合理的なのか……70
(2) 歯磨き時間について……72
〈むし歯や歯肉の炎症症状がない場合の歯磨き時間〉……72
〈歯肉に炎症がある場合の歯磨き時間〉……74
(3) ながら磨きについて……75
9.歯ブラシ以外の主な補助用具……77
1.デンタルフロス(糸ようじ)……77
2.歯間ブラシ……78
3.インタースペースブラシ……79
4.水流洗浄器……79
10.歯の寿命,八〇二〇運動について……80
〈写真解説〉
歯垢(プラーク)/1
七〇歳でも健康な歯と歯ぐき/2
健康な状態・不健康な状態/2
むし歯の進行停止(1)/3
むし歯の進行停止(2)/4
初期むし歯の自然消失/5
歯周炎・歯周病/6
重症歯周病患者の八年経過例/7
間違った歯ブラシの使用例・力の入れ過ぎ/9
歯が削れてくる/10
歯磨剤使用中止で磨耗も止まる/11
歯が削れて,しみたり,痛くなったりする/12
実験(1) 歯磨剤を少量つけて一年間使用/13
実験(2) 歯磨剤をつけずに一年間使用/14
歯磨剤に含まれる研磨剤/15
歯の着色,歯の光沢/16
歯がしみる(歯頚部知覚過敏)/17
特殊な歯ブラシ/18
歯ブラシの持ち方,当て方,動かし方/19
歯垢染色液で染めてみよう/21
歯磨きの補助用具/22
1.「自分の歯で一生を過ごしたい」と願っている方々へのアドバイス……23
1.長寿は歯の健康から……23
2.健康の基本は食生活の見直し……25
(1) むし歯や歯周病(歯槽膿漏)は文明病……26
(2) 口の中は細菌がいっぱい……26
(3) むし歯も歯周病も体にできた“傷”……27
3.歯の健康の基本は“歯磨き”……29
2.“歯磨き”のいろいろな効果について知ってください……30
1.歯に対する効果……32
(1) むし歯の予防……32
(2) むし歯の進行停止……34
(3) ごく初期のむし歯の自然消失……35
2.歯肉に対する効果……35
(1) 歯肉(歯周組織)の強化……35
(2) 歯肉炎の予防と自然治癒……36
(3) 歯周病の原因療法,進行停止と予防……37
3.口や歯の清潔は,今日のマナーです……39
3.歯磨きの大切なポイント……41
ポイント1 食後の歯磨き……41
ポイント2 歯ブラシの毛先を使う磨き方……42
ポイント3 歯磨剤を使わない歯磨き……44
4.歯磨剤を使用することの功罪……451,歯磨剤を使用することのデメリット(マイナス効果について)……46
(1) “磨いた“つもりで“磨けていない”……46
(2) 歯が削れてくる……47
(3) 歯のつけ根が削れて,しみたり,痛くなったりする……48
(4) 歯ブラシも歯磨剤をつけると磨耗して寿命が短くなる……49
5.歯の着色について……51
6.歯のつけ根がしみる(歯頚部知覚過敏)……52
7.歯ブラシを選ぶポイント……54
1.磨きやすい歯ブラシ……54
2.歯肉の状態がよくない時の歯ブラシ……56
3.電動歯ブラシについての考え方,注意点――文明社会の落とし穴……57
8.歯ブラシの持ち方,当て方,動かし方の基本……63
1.歯磨きは腕の作業でなく,指の作業……64
2.歯ブラシは意識して毛先を使うことが基本……65
3.歯ブラシの動かし方,磨き方……66
(1) 上の一番奥の歯(第二,第三大臼歯)の表側……67
(2) 右ききの人は,右の犬歯(糸きり歯)を中心に二,三本の部分(左ききの人は左側)……68
(3) 右きき(左きき)の人は右側(左側)の上下奥歯の裏面,特に歯肉との境い目の部分(歯頚部)……69
4.歯磨きのタイミング,回数,時間について……70
(1) いつ磨くのが合理的なのか……70
(2) 歯磨き時間について……72
〈むし歯や歯肉の炎症症状がない場合の歯磨き時間〉……72
〈歯肉に炎症がある場合の歯磨き時間〉……74
(3) ながら磨きについて……75
9.歯ブラシ以外の主な補助用具……77
1.デンタルフロス(糸ようじ)……77
2.歯間ブラシ……78
3.インタースペースブラシ……79
4.水流洗浄器……79
10.歯の寿命,八〇二〇運動について……80