やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

緒言
 本書の初版は2012年に発行され,7年の月日が経過しました.その間,各疾患のガイドライン改訂,新医薬品の承認,旧医薬品の販売中止などにより,本書の見直しをする必要が出てきました.また,わが国は,2025年には国民の4人に1人が75歳以上という,世界でも類をみない超高齢社会に突入します.高齢患者に対する全身リスク診断は今後ますます重要になってくると考えます.このような状況を鑑み,情報をアップデートして超高齢社会に対応できるよう,新版を発行させていただくことになりました.
 改訂に際して,次の3点について追加・変更をしています.
 (1)慢性閉塞性肺疾患(COPD)の追加
 慢性閉塞性肺疾患患者は40歳以上の人口の8.6%存在するといわれています.全体では死亡原因の9位で,超高齢社会において今後も増える可能性のある疾患と考えて追加しました.
 (2)モバイル端末の活用
 小型・軽量で持ち運びに適した電子機器の端末である,スマートフォン・タブレット・ノートPCなどのいわゆる“モバイル端末”は生活に必須であり,日常診療でも使用している先生は多いと思います.そこで,カード部分のPDFのみをインターネット経由でダウンロードし,閲覧できるようにしました.具体的には本書巻末「付録カード活用法」に,QRコードとURLを表示し,そこから入手できるようにしています.「厚紙のカードは場所をとる」とお考えの先生でも,モバイル端末ならば利便性が向上するのではないでしょうか.それに伴い,本書のタイトルも変更いたしました.
 もちろん,初版のコンセプトである「覚えなくてよい」カード形式を継承し,そして「訴訟にも耐えうる最新のエビデンス」をベースにした解説書をアップデートして,情報を更新しています.
 (3)本の体裁の変更
 前述の変更をふまえ,箱入り・カード分冊とはせず,切り離し可能なカードを巻末に綴じ込むようにしました.
 埼玉医科大学病院の歯科・口腔外科では,医科の先生と協力して,地域の医師会および歯科医師会との連携を強化するために研究会を発足させて活動しています.そこで話題になることの1つに,歯科医師から医師への診療情報提供が少ないということがあります.情報提供を行ううえで最新の医科の知識を得ることは重要ですので,そのような面でも本書を活用できると考えています.
 開業している歯科医師そして病院勤務の歯科医師の先生方が,この書籍1冊で医科の知識をある程度カバーできるようになり,医科の先生と診療情報提供書を介して情報交換すること,全身リスク診断に対応できることを切に願っております.
 2020年3月
 佐藤 毅
1章 高血圧
2章 循環器疾患
 不整脈
 狭心症
 心筋梗塞
 心筋症
 心臓弁膜症
 先天性心疾患
 感染性心内膜炎
 心不全
3章 動脈瘤
 大動脈瘤
 脳動脈瘤
4章 静脈瘤
 下肢静脈瘤
 食道・胃静脈瘤
5章 脳梗塞
6章 脳出血
7章 てんかん
8章 認知症
9章 重症筋無力症
10章 パーキンソン病
11章 うつ病
12章 統合失調症
13章 糖尿病
14章 甲状腺機能亢進症・バセドウ病
15章 甲状腺機能低下症・橋本病
16章 脂質異常症
17章 痛風
18章 胃潰瘍・十二指腸潰瘍
19章 慢性腎臓病
20章 慢性肝炎・肝硬変
 慢性肝炎
 肝硬変
21章 HIV感染症(エイズ)
22章 膠原病・リウマチ・SLE
 膠原病
 リウマチ
 SLE
23章 骨粗鬆症
24章 癌(がん)・悪性腫瘍
25章 貧血
26章 特発性(免疫性)血小板減少性紫斑病
27章 血友病
28章 喘息
29章 妊娠・授乳中
30章 アレルギー
31章 COPD

 索引
 付録カード